46.食い違う思惑

【登場人物】  
ロイン 「ローラーレンジャーズ」リーダーの魔法使い。
三洲次 密航してきた日本男児の盗賊。発音は「みすじ」。
訓練所を首席で卒業した侍の少女。すぐ暴れる。
ロース こんな名前だが細身の美人僧侶。エルフだしね。
ランプ お金一筋のエルフの司教。自分の店を持つのが夢。
ブリスケット 日本オタクのエルフ。侍で、あだ名は「ブリ助」。

読了時間 (目安):約8分



うっかりしていた....。


新しい階に潜ったので、マッピングを始めないと。


なので、今回から地下10階のマッピングを始めます。

とは言っても、前回書いたルール通り、まずは第二玄室まで、ですが。




──── プライベート エレベーター


ビートル 「キィィイーーッ♪♪(嬉 」
三洲次 「……………………」
ロイン 「………どうした? 三洲次?」
三洲次 「いえ……、別に……」

プライベート エレベーター前は、今回も友好的な敵だったので、
あっさり通してもらい、まずは地下9階へ。


シュートのある玄室の戦闘も楽勝だったので、詳細は割愛。


あっさりと地下10階へ到達。

では、マッピングを始めます


まずはシュートで降り立った場所の座標を確認しましょう。


......とは言ったものの....、


.... 地下10階でデュマピック(現在位置調査の呪文)を使っても......、


.... となります。
現在位置を確認する呪文が効きません

周知の事実ですが。


なので、地下10階では、どこに居るのかがさっぱり分かりません

つまり、このままではマップが作れない、ということですね。


しかし!!

これまた有名な話しですが......、


.... マロール(瞬間移動の魔法)で、真上の階に飛ぶと......、


.... 東西南北の位置は変わらずデュマピックが使えるようになります。

これで、地下10階のどの座標に居たかが分かる....という訳ですね。

まぁ、今回は地下1階に飛んだ途端に地上への階段だったので、
デュマピックするまでもなく、座標(0,0)ですが。

とりあえず、後はこれを繰り返せば、地下10階のマップが完成するという訳です。




──── 地下10階 上級魔術師協会 本部

レベル7メイジ 「会長?」
アーチメイジ 「なんじゃ?」
レベル7メイジ 「なにやらドラゴンゾンビの死体が見つかったそうです」
アーチメイジ 「ゾンビって、もともと死体じゃろ?
 まぁ、そういう野暮なツッコミはおいておくとして、
 それがどうしたんじゃ?」
レベル7メイジ 「仲間内の争いか、魔物同士のケンカでもあったのではないかと…」
アーチメイジ 「ワシらには関係の無い話しじゃ…」
レベル7メイジ 「ただ、どうもそいつがですなぁ、第一玄室の当番だったようで……。
 だから、そのケンカか何かのせいで、第一玄室はもぬけの殻状態なのです。
 なので、誰か代わりを置いた方が良いかと……」
アーチメイジ 「協会メンバーは、全員代休を取ってるんじゃぞ?
 全員が休みから戻ってくるまで、人手なんておらんわ」
レベル7メイジ 「しかし、誰か代わりの守衛を置かないと、ワードナ様に怒られるのでは?」
アーチメイジ 「じゃ、警備が専門のファイターのチームにでも、声をかけておけ」
レベル7メイジ 「分かりました。
 伝えておきます」

………


………………


………………………


さて、再び地下10階へ向かいまして、
今度は最初の玄室にあるワープポイントのワープ先の座標を調べます。

で、プライベートエレベータ、シュートの玄室と....、



.... それぞれオーガ、オーガロードと、
オーガ尽くしのエンカウントを乗り越えて、
再び「シュート!」。


今回は通路でのランダムエンカウントは無く....、


.... ストレートに第一玄室まで。

ブリスケット 「開けやすぜ?」
ロイン 「うむ。前回と同じく、ゆっくり開けてみろ」

ギイイィィ......ッ



ファイターA 「む?!」
ファイターB 「何奴?!」
ブリスケット 「ありゃ、バレましたぜ」
ファイターA 「不審者め!」
ファイターB 「ここを通す訳にはいかんぞ!」
ロイン 「では、力づくで通らせてもらおう」

ドカッ......バキッ......ベシッ.......!




三洲次 「余裕でしたね」
ブリスケット 「何だったんすかね?こいつら?」
ロイン 「ドラゴンゾンビの代わりに来た守衛だったんじゃないのか?」
ロース 「じゃぁ、多少はマシな警備になったってことかしら」
ランプ 「マシって…、2人じゃ少なすぎる気もしますが…」
ロイン 「臨時だったのかもな」
ブリスケット 「なんか、どこも守りが手薄っすよね」
三洲次 「なんでですかね?」

………………………

………………

………

──── 上級魔術師協会 本部

アーチメイジ 「ちっ……、どいつもこいつも、休みを取りおって……」

………

………………

………………………



さて、ワープポイントで......、


.... ワープしたら......、


.... すぐにマロールで真上にワープし......、



.... デュマピックを使って......、


.... 座標を確認。

第一玄室のすぐ北側に飛んだ感じですね。




──── レベル8ファイター警備隊 詰所

ファイターC 「おい! 大変だ!!
 第一玄室で臨時の守衛に入っていた2人が、死体で見つかったぞ!!」
ファイターD 「なに?!
 じゃぁ、久しぶりにトレボーの犬が、ここまで来たのか?」
ファイターE 「そうかもな。
 最近、トレボーの犬どもの来訪が途絶えていたから、油断してたな…」
ファイターF 「ワードナ様や、依頼元の上級魔術師協会にも、一応 連絡をしておくか?」
ファイターG 「いや、止めておこうぜ。
 失態なんて報告してみろよ?
 大目玉を喰らった挙句、無能呼ばわりされるぜ?」
ファイターH 「そうだな。
 他に被害は出ていないようだし、黙っておいた方がいいな」
ファイターI 「じゃ、連絡はせず、守衛の数だけ増やしておくか」


………


………………


………………………


とりあえず、第二玄室までのマップを完成させます。

いつも通りプライベート エレベーター前まで行くと....、


.... 手前の玄室は友好的なヒュージスパイダーだったので、
今回も特に問題もなく通してもらう。


シュートのある玄室の敵も、大した敵ではなかったので、楽勝。

宝箱も調べると.......、


三洲次 「テレポータですが?」
ロイン 「ここは地下9階だ。開けてみろ」
三洲次 「了解。
 ま、たまにはテレポータの罠を開ける経験を積んでおかないと、腕が落ちますからね」



三洲次 「ほらね」
ロイン 「ほらね…じゃねぇよっ! ! !



………ブウゥン………ブウゥン………


……………………


…………




ロース 「また地下1階に戻ったの?!」
ロイン 「一応、確認するか……」


ロイン 「お!地下9階のままだぞ!」
ランプ 「ちょうどシュートのある玄室の近くじゃないですか」
ロース 「不幸中の幸いね」
ロイン 「……………三洲次?」
三洲次 「はい?」
ロイン 「絶対に、ぜええぇっったいに
 地下10階でテレポータの罠を解除しようとするなよっ!!!」
三洲次 「………………はい」



とりあえず、すぐにリカバリできたので、そのまま「シュート!」へ。



地下10階に降りたら、まずは第一玄室へ。


ブリスケット 「開けやすぜ?」
ロイン 「うむ。今回も、ゆっくり開けてみろ」

ギイイィィ......ッ



ファイターC 「む?!」
ファイターD 「何奴?!」
ブリスケット 「ありゃ、またバレましたぜ」
ファイターE 「まさか、お前らがトレボーの犬か?!」
ファイターF 「ここを通す訳にはいかんぞ!!」
ランプ 「警備が3倍に強化されてますよ」
ロース 「さすがに、2人じゃ無理があると分かったのね」
ロイン 「ま、我々の敵じゃないだろう」

ドカッ......バキッ......ベシッ.......!




ロイン 「余裕だな」
ランプ 「さ! 待望のお宝タアアァァ~~イム!!
ロース 「カルフォ!」



ロイン 「無視して、次行くぞ」
ランプ 「ちょ、ちょっと!!
 そんな!!そんなぁっ!!」
ロイン 「さっきの三洲次のヘマを見ただろ!!!」
三洲次 「……………………」
ロイン 「絶対に、開・け・な・い!
ランプ 「………ぐすん………」

なんかテレポータの出現率、高過ぎない?


仕方なく開けずに立ち去り、第二玄室へ通じる通路へワープしようとした、
....その途端!!!



ドラゴンゾンビA 「グワアアァァァッ!!!」
ドラゴンゾンビB 「シャアアアァァーーーッ!!!」
ドラゴンゾンビC 「シューッ…ゴワアアァァッ!!」
   
ブリスケット 「うお!? こやつら!!
 前に倒したドラゴンゾンビの仲間じゃねぇっすか?!」
三洲次 「復讐しに来たんですかね?」
ロイン 「ゾンビに、弔い合戦の概念なんてあるかな?」
ロース 「今回はむしろ、こいつらを配置しておけば良かったんじゃないのかしら?」
ランプ 「ま、あまりコントロールできる魔物じゃなさそうですが…」


今度は3匹か....。
逃げ損なうとひどい目に遭いそうなので、戦うことにするが、
1匹だけでも2ターンかかったが、3匹だとどうなるか....?

戦闘開始!


まず、桃が動いてダメージを与えるも、今回も一撃では倒せず
さすが、最終フロアの魔物!!

続いて、ロースのマリクト(全体攻撃の聖なる魔法)が火を吹く!!

いいぞ!マリクトで一網打尽だ!

.....と、思いきや!!!


なんと、3匹中2匹が呪文を無効化してきやがった!!!


しかも、呪文が通用した1匹も、またもや一撃で倒せず!

くっ!!
最終フロアを根城にする魔物は、やはり強さが違う!


続いて、ドラゴンゾンビのマハリト!!
多少痛いが、まだ大丈夫。


次は、ロインのマダルト!!!

いいぞ!!!
今度は、3匹中3匹ともヒット!!!
一気に2匹を撃破!!!

さすがリーダー!!


最後に、ブリスケットが残った1匹に止めを刺す!!


勝利!!

......ってか、今回は1ターンで倒せたよ。

ブリスケット 「ふぅ…、倒しやしたぜ」
ロイン 「さすがに、余裕という訳にはいかなかったか」
三洲次 「いやー、やっぱり手強かったですね!」
ロース 「何もしてないあなたは、黙ってて!」
三洲次 「…………へい」

とりあえずH.P.を回復して、ワープへ。



ロース 「え? また、この声が聞こえてきたわ!」
三洲次 「前回と、まったく一緒ですよ…、言ってることが…」
ランプ 「こういう声が毎回響く仕掛けになってるのでしょう。
 ブルーリボンの部屋にあった、トレボーの声の仕掛けと一緒なのでは?」
ロイン 「それっぽいな。
 もう、次から無視していこう」

そして....、


.... 通路の形状をマッピングしつつ......、


....第二玄室へ。

ブリスケット 「じゃ、開けやすぜ?」
ロイン 「うむ。今回も、ゆっくりだぞ」

ギイイィィ......ッ


ロイン 「………どうだ?」
ブリスケット 「ん~……」



三洲次 奇襲だあああぁぁっっ!!!
ロース きゃああぁっっ!!
 なに?! なにっ?!!
 もしかしてバンパイアぁっ?!!」
ブリスケット うわあああぁぁっ!!!
 ド、ドレインされたくないっすうううぅぅっ!!!
ロイン 「もしかして、ポイゾンジャイアントかああぁっ?!!
ランプ 「止めてぇぇ!!!やめてええぇぇ!!
 私には無理ですうううぅぅっっ!!!
三洲次 ぎゃあああぁぁっ!!!
 助けてええええぇぇっっ!!!
「………………………」
ブリスケット 「……ガクガク……ブルブル………」
ロイン 「………………ん?……………」
ランプ 「…………あ………あれ………?」
ロース 「………え?………どうなったの……?」
「なんか変なのが、ヒョロヒョロ飛んでるだけだぜ」
三洲次 「え?」


ヒョロヒョロ............ヒョロロ............


三洲次 「な……、なに? あれ?」
ロース 「人魂っぽいわね……」
ランプ 「あれは…、ウィルオーウィスプです!」
ブリスケット 「ちょっ!こっち来たっす!!」


ブリスケット (ひょっい!)
ウィスプ (………ヒョロロロ………)
ブリスケット 「な……なんすか…、こいつ……?」
三洲次 「なんかゆったり飛んでて、やられる気がしないですね……」
ロース 「こんな奴の奇襲で、助かったわ……」


ロイン 「よし、ブリ助!やり返してやれ!」
ブリスケット 「承知!
 ちょえええぇぇっっ!!」
ウィスプ (……ヒョロヒョロ……ッ)


ウィスプ (サッ!!)
ブリスケット 「あれ?」
ロイン 「攻撃しようとした途端、いきなりスピードアップして避けたな……」
ウィスプ (……ヒョロロ…ロロ……)
ロース 「今度は、私が! えいっ!」


ウィスプ (ササッ!!)
ロース 「え?なに? こいつ?!」
三洲次 「ちょっ!避けるのだけは、うまいんだけど!」
ウィスプ (……ヒョロヒョロヒョロ……)
!!……そこだあぁっ!!!


ウィスプ (……バシュルッ…ッッ(汗
ロイン 「やはり、桃は違うな。
 見事に当てたぞ」
ランプ 「でも、倒すほどのダメージになりませんでしたね」
ブリスケット 「ちょ!また、こっちに来たっす!!」


ブリスケット (すたたたっ!)
ウィスプ (……ヒョロ…ヒョロヒョロ……)
ランプ 「あっちの攻撃も当たらないですね……」
ロース 「あの動きじゃねぇ……」
三洲次 「避ける時は素早いのに……」
ロイン 「う~む……これは、いよいよ……


ロイン  ……敵のAC(≒防御力)を弱める魔法を使う時が来たなっ!!
 よし、ランプ!
 モーリス(敵の防御力ダウン魔法)を使ってみるぞ!」
ランプ 「初の試みですね!」


ランプ 「では、詠唱を開始します!!」
三洲次 「で、他のメンバーはどうする?」
「あたいに任せな。
 もう動きは見切ったぜ……」

2ターン目いきなり桃が動いて......、


.... 一撃で倒す!

ウィスプ  …シュパパパパパパパパパ
ロース 「倒したわ!!」
ブリスケット 「さすが、桃っち!!」
三洲次 「しかし、なんでこんなところに人魂なんているんだ…」
ロース 「前回倒したビショップたちの霊魂だったりしない?
 あいつらが居たの、確かこの第二玄室だったわよね」
ブリスケット 「そういや、あっしがトドメを刺したっすね」
三洲次 「だから狙われたんじゃないのか…?
 死んだビショップたちの怨念が、死してなおぉ~、ブリ助にぃぃ…」
ブリスケット 「いや、そういう怖い話しは勘弁してくだせぇ…
ロイン モーリス!
ランプ モーリス!



ロース 「……………………」
ブリスケット 「……………………」
「……………………」
三洲次 「……………………」
ロイン 「………………あれ?」
ランプ 「………………あれ?」
ロース 「何やってんのよ?」
ロイン 「あ……いや、せっかくだから……」
ランプ 「モーリスを試してみたのですが……」
ブリスケット 「もう、桃っちが片づけたっす」
ロイン 「あ…そ、そう?……そうなの?」
ランプ 「そ、それなら……いいです……はい」
三洲次 「またかよ………」
ロース 「相変わらず、ノロいわね」
ロイン 「……………………」
ランプ 「……………………」

なにはともあれ、楽勝

いや~、奇襲のメッセージが出た時ドキリとしましたが、
ウィルオーウィスプで助かった。


ランプ 「では!お宝タァーーイムッ!
ロース 「カルフォ!」


ロイン 「『警報』か…。
 よし、三洲次も頼む」
三洲次 「どれどれ……」


三洲次 「……そうですね、『警報』ですね」
ランプ 「ロイン?!
 『警報』なら、開けていいでしょ!?」
ロイン 「うむ、いいだろう」
ランプ 「やったああぁーーっ!!
 三洲次、早く、早くぅ!!」
三洲次 「……むむ………」




三洲次 「お!外れた!」
ランプ よっしゃああぁぁーーーっ!!
 なに?なに? 何が出た?!」
ロース 「巻物と……あら、剣が入っているわよ」
ランプ 「ぬおおおっっ!!!!
 また『カシナートの剣』が来たかああぁぁっ?!
 それとも『悪のサーベル』かああぁっ?!!
 ほら!! 見せろ!見せろ!!!





なまくらな剣



ランプ 「…………………………………」
ロイン 「……………さ、帰ろっか」

前回設定したマイ ルール通り、侵攻は第二玄室まで



城へ戻るワープを使って、地上へと帰還する。


…………


……………………


………………………………


──── ボルタック商店

店員(女) 「あら?社長さん!
 地下10階の調子はどう?
 いい品は見つかった?
 もしあったら、高く買うわよぉ!」
ランプ 「これ……………」


店員(女) 「『炎』の巻物と、『苦しみ』の巻物……、
 って、また巻物??」
ランプ 「……………………」
店員(女) 「剣もあるけど……『なまくらな剣』よ、これ……」
ランプ 「……………………」
店員(女) 「……………………」
ランプ 「……………………」
店員(女) 「地下10階に……行ってるんじゃなかったの?」
ランプ 「…………ぐすん………」
店員(女) 「だから、なにも泣かなくても……」



アイテム全種類ゲット目標の1つに掲げているけど、
こんな調子だと、どうなることやら........。



「47.呪われてないのにAC悪化」へ



名前 LV H.P. コメント
ロイン 14 84 18 18 13 18 18 14 0 やっぱりノロい........。
三洲次 16 72 18 18 11 16 18 18 3 テレポータは怖くて、絶対に開けられない。
13 104 18 18 18 18 18 18 0 相変わらず接近戦では最高に信頼できる。
ロース 14 109 18 18 18 18 18 15 2 最近、戦闘での貢献度が落ちてないか?
ランプ 14 51 15 18 18 15 17 11 3 今回も地下10階でロクな戦果を得られず…。
ブリスケット 13 115 18 18 16 18 18 11 2 地下9階級の敵もおり、まだ前衛として戦力内。

 


【更新履歴】
2021年 7月17日:読むのにかかる所要時間(目安)を掲載しました。
2019年10月20日:誤字を修正。次ページへのリンクを設定。
2019年10月17日:公開予定日、及び履歴の日付間違いを修正。
2019年10月14日:新規公開。