12.それもレベルアップ?

【登場人物】  
ロイン 「ローラーレンジャーズ」リーダーの魔法使い。
三洲次 密航してきた日本男児の盗賊。発音は「みすじ」。
訓練所を首席で卒業した侍の少女。すぐ暴れる。
ロース こんな名前だが細身の美人僧侶。エルフだしね。
ランプ お金一筋のエルフの司教。自分の店を持つのが夢。
ブリスケット 日本オタクのエルフ。侍で、あだ名は「ブリ助」。

読了時間 (目安):約6分


現在は、地下3階で通路のみに絞ってマッピング中である。


前回の操作ミスによるランプ死亡でかなり懲りたので、この後は 慎重に マッピングをしていく。

おかげで、同じような失敗は起こさず、無事に全十字路を埋める。


やれやれ......。



通路のマッピングが終わったので、次は玄室を1つ1つ開けて、さらにマップを埋めていく。


玄室は、どこも3x2の部屋が2つ隣接しており、まったく同じ構造である。

って言うか、あまりに同じ構造が続き、すぐに飽きてきた......。

ブリスケット 「噂通り、同じ形の玄室ばかり並んでやすな」
ロース 「なんか、まさに『玄室』って感じね」
ロイン 「その名の通り、ここは昔、死体の安置所だったのだろう」
三洲次 「結構大きな部屋だから、偉い人たちのものかな?」
ロイン 「いや、まだ階層が浅いことや、同じ部屋が大量にあることを考えると、身分の低い者たち向けの玄室なんじゃないかな?
 部屋が大きい分、1つの玄室にいくつもの棺を入れてのだろう」
ランプ 「すると地下2階は、埋葬する前に祈祷などの儀式をする場所だったのですかね?」
ロイン 「かもな……」

そんな中、いきなり1マスだけの小部屋が出てきた!


....って、下に降りる階段だ!!

あ!
そういや階段もあるんだっけ....。

あまりに同じ構造が続き、マッピングが機械的になっていたので、すっかり思考能力が低下していた。

でも、変化はこの程度で、他は全部同じ構造ばかり。


とりあえずこの時点で、だいたいフロアの下側(南側)辺りのマッピングが完成した。


引き続き、各玄室のマッピングを続ける。

玄室突入時の敵の出現率はあまり高くないようだが、それでも何回か玄室戦闘となる。



三洲次 「レベル3サムライ、レベル3プリースト、その他にレベル3ニンジャとかも居たな……」
ランプ 「レベル3…ばかりですね」
ロイン 「ま、レベル9~10の我々からしたら、大した敵ではないな」
ブリスケット 「なんか、今回は人間系の敵ばかりでやすな」
ロイン 「動物と触れ合えなくて、残念か?」
ブリスケット 「いえ、そういう意味では……」

そして、アイテムも続々と手に入りだした。


巻物や薬など、地下2階ではあまり見なかったアイテムも出始めてきた。


こうして玄室戦闘を幾度かこなしたこともあり、上級職メンバが順次レベルアップを果たしていく。


まず、桃(侍)がレベルアップ!

なんと、H.P.が一気に11もアップ!
一足先に、H.P.が80台に。

しかも能力の低下がなかったので、ますます超人の域に近づく。
素晴らしい!


続いてランプ(司教)もレベルアップ!

運の強さを失ったが、彼の懸念だった生命力はアップ!

....とは言え、H.P.が 1しか上がらないのはきつい....。
こんなH.P.で、下の階でも戦っていけるのか、不安になる


なお、桃(侍)はレベルアップしたが、同じ侍のブリスケットはまだだった。
ま、1回死んでるしな。


引き続き経験値稼ぎを兼ねて、地下3階のマッピングを続ける。

相変わらず戦闘も、特にトラブルも無くこなせて.....


トラブルも無.....


くうぅううぅぅっっ!!?


ほぅ?! ほぉ?! ほお!!?


ほぉぉおおおぉぉ!!!


あ....あ、あぶねええぇぇ....!!

し、心臓に悪いなああぁぁ....!!

....と、とりあえず首刎ねは無かったが......、
こいつら毒も持ってるのかいっ!!

しかも、あまり気にしていなかったけど、5回攻撃もしてくるのか......。

恐っろしいなぁっ!!

しかし、桃まで奇襲でダメージを喰らうとは、驚きだ。
まぁ、5回攻撃をしてくる中、桃だけヒットを1回に抑える当たり、そこはさすがだ。


さて、誰も死ななかったし、当然ここから反撃ですな!


ロインのマカニト(弱い敵を全て消す魔法)で瞬殺

やれやれ、驚かせやがる。

ランプ 「いやぁ、全員首が無事で、良かったですね」
ロース 「……後衛は気楽よね」
ロイン 「敵のレベルがせいぜい3とは言え、油断はできないな……」
三洲次 「桃までダメージを喰らうなんて、珍しいな」
「………けっ…!」
ブリスケット 「それより、早く毒を治療してもらえねぇっすか?」
ロイン 「そうだな。
 よし、ロース。ラツモフィス(解毒の魔法)だ」
ロース 「はぁ?」
ロイン 「………『はぁ?』って、なんだよ?」

 


ロイン はぁ?!
ロース 「もう呪文の使用回数が、底を尽きてるわよ」
ブリスケット 「え? じ…じゃぁ……、治療できねぇ....て、ことでやすか?」
「…………」
ロイン 「なんて………ことだ………」
ロース 「さぁ、リーダーさん……。
 どうするのかしら?」
ロイン 「え………?
 あ~……。
 ………ラ、ランプ?」
ランプ 「私は司教なんだから、まだ覚えてる訳ないですよ」

やべぇ……


どうすんだよ……、これ……。


ロース 「…………………」
ロイン 「う………うーむ………」
三洲次 「………あのぉ?」
ロイン 「ん?」



三洲次 「地下2階に行っていた頃、買っておいた毒消しの薬が、まだ3個残ってますが?」
ロイン 「!!!」
ブリスケット 「三洲次っち!! 素晴らしいっす!!」
ロース 「……やれやれ、ね」

.........いろいろ心臓に悪い戦いだった。


なお、この経験を生かし、この後も毒消しの薬は常時持ち歩くことにした。
備えあれば憂いなし、だ。

いや、本当に......。



オッケェ!
無事にブリスケット(侍)もレベルアップ!!

こいつも、H.P.が11アップしやがった!!
なんかブリ助、おめぇ、すげぇなっ!!!!

彼も低下した能力はなく、着実に超人化に向かっている。

ロイン 「これで、全員レベル10だな」
ロース 「そうね」
ブリスケット 「レベル3の敵しかいねぇ地下3階なんて、もう余裕でやすよ!」
三洲次 「レベル3野郎どもなんて、蹴散らしましょう!!」
ロイン 「うむ!
 では引き続き、地下3階で戦おう!!」

 

……………………




ロイン 「なんでだよ?」
ランプ 「知りませんよ」
ブリスケット 「どうして敵もレベルアップしてるっすか?」
三洲次 「もしかして、『5』と書いて『さん』って読むのかな?」
ロース 「なにバカなこと言ってんのよ」
ロイン 「とりあえず1匹だし、倒すか………」


あっさり勝利。

ついでに宝箱もいただきますか。


三洲次 「うーん………ブラスター ?………メイジブラスター…か」
ロイン 「は?」
ブリスケット 「なんすか?それ?」
三洲次 「『魔法使いの呪文を使う人を麻痺させる』トラップですよ」
ブリスケット 「な、なんか難しそうな罠でやすな」
三洲次 「そりゃ、そうでしょう。
 こんな浅い階のモンスターごときが扱える罠じゃないですから」
ブリスケット 「なんで、それが地下3階で?」
ロース 「三洲次が罠を『間違えてる』から、に決まってるでしょ」
ブリスケット 「納得しやした!」
三洲次 「おい!!」
ロイン 「うーん……。
 そうだな…、なぁ、ロース?」
ロース 「えぇ、分かってるわよ」
ロイン 「カルフォ(罠識別)だ」
ロース 「もちろんね」



ロース 「あら、カルフォは初めてだから、失敗しちゃったかしら?」
三洲次 「おいっ!!」
ブリスケット 「でも地下3階で、これまでメイジブラスターなんて、出てきやしたっけ?」
三洲次 「いや」
ブリスケット 「でやしょ?おかしくねぇっすか?」
三洲次 「って、言われてもなぁ……」
ロイン 「仕方ない。
 とりあえずメイジブラスターとして解除してくれ」
三洲次 「初挑戦ですからね……どうなるやら……」
(ダダダダダ……!ササッ!
   ジーーー………ッ)
ランプ (ダダダダダ……!ササッ!
   ジーーー………ッ)
ブリスケット (ダダダダダ……!ササッ!
   ジーーー………ッ)
ロース 「3人とも、壁の陰に隠れちゃったわ……」
ロイン 「三洲次………お前、まったく信用されていないぞ……」
ロース 「当然よね」
ロイン 「…………お前は、退避しなくていいのか?」
ロース 「だって私ぃ、『僧侶の呪文』だけを使う人だしぃ」
ロイン 「………『爆弾』だったら、どうすんだよ……」



三洲次 「む…………、うーん…………」
ロイン 「いけそうか…?」



三洲次 「よっし!!」
ロイン 「おぉ!やったな!」
ロース 「帰る頃には、外は大雨ね」
三洲次 「お前な……、俺がこの道何年のベテランだと思ってんだよ?」
ランプ 「奇跡ですね……、どれどれ……お!『たて』が入ってますよ」
三洲次 「まぁ、階を考えると、いつもの普通の『盾』でしょう」
ロイン 「ま、一応鑑定してくれ」



ランプ 「お!『鉄の盾」ですね」
ロイン 「え?!」
ブリスケット 「な、なんでワンランク上の盾が、出てくるんですやか?!」
ロイン 「………………」
ロース 「………………」
三洲次 「………………」
ロイン 「どう思う?」
ロース 「高いレベルの敵、難度の高い罠、上位のアイテム……」
三洲次 「そこから導き出せる結論は………」
ロース 「これって……」
ロイン 「もしかして俺たち…」
ロース 「もしかして私たち…」



ロイン 「だ、大丈夫だ……」
ロース 「じゃぁ、なんで?」
三洲次 「うーん……」
ロイン 「もう一度、ここで戦ってみるか?」
ブリスケット 「そうしやすか」

と言う訳で、一度階段に戻ってフロアの状態をリセットした後、再度同じ場所へ向かう。

だが!! その手前でっっ!!!



とうとう来たああぁっ!!!

先制ブレ......

三洲次 「今はそれどころじゃないっ!!」
ロイン 「どくんだっ!!!」


いや....、ウィザードリィ名物「先制ブレス」、とうとう初登場で........

ロイン 「こんな奴ら、どうでもいい!!」
ブリスケット 「また、ここに来たでござる!!」
ロイン 「よし、ブリ助!蹴破れ!!」
ブリスケット 「うりゃっ!!」


......あのぉ.....、




ロイン 「………………」
ブリスケット 「誰でやすか?『レベル3しか居ない』って言ってやしたのは?!」
ランプ 「自分ですよね」
三洲次 「もしかして、『4』と書いて『さん』って読むのかな?」
ロース 「なにトンチンカンなこと言ってんのよ」
ロイン 「………とりあえず倒すか?」


相手に攻撃する隙も与えず、問題無く倒す。

ロイン 「ま、余裕だな」
三洲次 「じゃ、また宝箱を開けますか」


三洲次 「うーむ………また、メイジブラスターですかね」
(ダダダダダ……!ササッ!
   ジーーー………ッ)
ランプ (ダダダダダ……!ササッ!
   ジーーー………ッ)
ブリスケット (ダダダダダ……!ササッ!
   ジーーー………ッ)
ロイン 「三洲次………お前、本当に信用されていないな……」
三洲次 「もうメイジブラスターのコツは掴みましたから、大丈夫ですよ」
ロース 「ロイン、あなたも退避したら?」
ロイン 「リーダーとして、仲間を信頼しているだけだ」
三洲次 「心配はご無用、このベテランに任せてください」
ロース 「ま、どっちでもいいけどね、私は…」
ロイン 「………気楽だな」

 


 

 


ロイン 「ご………が………ぎ………」
ブリスケット 「ロイン殿、カッコつけてねぇで、退避した方がいいっすよ」
ロース 「もしかして、『ベテラン』と書いて『へたくそ』って読むのかしら?」
三洲次 「………お前………やっぱり 嫌味 もレベルアップしてね………?」

 

 

名前 LV H.P. コメント
ロイン 10 56 14 18 9 18 15 13 0 これで素早ささえあればなぁ…。
三洲次 10 35 16 13 7 12 18 14 0 生命力もH.P.も上がらない。ヤバいな…。
10 81 18 18 16 18 18 15 0 敵の数が多いので、最近魔法ばかり使ってる。
ロース 10 50 14 17 18 16 18 11 2 能力は順調に成長中。嫌味も順調に増加中。
ランプ 10 35 13 18 16 11 17 8 1 こいつも生命力とH.P.が低い。下へ行けるか?
ブリスケット 10 88 17 18 14 18 17 11 1 毎回H.P.の伸びに驚かされる。すごいっす。

 


ロイン 「ところで、手に入ったアイテムは何だ?」
ランプ 「お!そうですね。鑑定しましょう」
ロイン 「また上位のアイテムだと良いのだが………」
ランプ 「うーんと………」
ロイン 「ま、せっかく、俺が麻痺してまで手に入れたんだ。きっと良いモノだろう。
 ほら、言うだろ? 災い転じて……」



ロイン 「………………」

 

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【更新履歴】
2021年 8月28日:読むのにかかる所要時間(目安)を掲載しました。
2021年 6月19日:発言者名を右寄せにしました。
2019年 6月 3日:台詞を一部見直し。
2019年 2月25日:ステータス表の誤りを訂正。次ページへのリンクを設定。
2019年 2月18日:新規公開。