38.幸運に恵まれたパーティー

【登場人物】  
ロイン 「ローラーレンジャーズ」リーダーの魔法使い。
三洲次 密航してきた日本男児の盗賊。発音は「みすじ」。
訓練所を首席で卒業した侍の少女。すぐ暴れる。
ロース こんな名前だが細身の美人僧侶。エルフだしね。
ランプ お金一筋のエルフの司教。自分の店を持つのが夢。
ブリスケット 日本オタクのエルフ。侍で、あだ名は「ブリ助」。

読了時間 (目安):約8分



──── ギルガメッシュの酒場 につづく道....

三洲次 「おはよぉ~」
ロース 「あら、三洲次と同じ時間ってことは、私も遅刻かしら?」
三洲次 「朝から嫌味言わなくても…」

2人が酒場の前まで来ると、なにやら店の前が騒がしい....。

三洲次 「なんか酒場が賑やかですね」
ロース 「何かしら?」
   
野次馬A 「おい!能力が全て18のスゲェ奴がいるって、本当か?!」
野次馬B 「なんか女らしいぜ?」
野次馬C 「マジかよっ?! おい!どいつだよ?!」
野次馬D 「あれだ!!
 あのカシナートの剣でジュースを作っ…て……カシナートでジュースゥ?!
野次馬E 「ちょっと待て!あれ、桃じゃねぇかよっ!」
   
三洲次 「さっそく噂を聞きつけて、野次馬が来ていますね」
ロース 「桃も有名人ね。
 どんな噂が出てるか、教えてあげよっかな!」
   
野次馬A 「あ~…、思い出した。
 すぐ怒って暴れだしてた奴じゃん…」
野次馬B 「いっつも訓練所内をメチャクチャにしてたな、あいつ…」
野次馬C 「カシナートでジュースを作るって、相変わらずまともな神経してねぇなぁ」
野次馬D 「確かに訓練所で史上最高の成績出してたけどよぉ…、
 性格の方は史上最低だったよなぁ」
野次馬E 「なんだ、見に来て損したわ」
   
三洲次 「……教えない方がいいと思う……」
ロース 「……そうね……」



──── ギルガメッシュの酒場 朝方

ロイン 「諸君!!
 我がパーティーにも、とうとう能力がパーフェクトに成長したメンバーができた!!」
「…………………」
ロイン 「ここまで長かったが、皆もよく頑張ってくれた!」
ロース 「…………………」
ロイン 「思えば、我々は幸運に恵まれていたと思う!」
三洲次 「…………………」
ロイン 「例えば、一番最初の宝箱からアイテムをゲットできたのを始め、
 地下9階に来て早い段階で『カシナートの剣』をゲットするなど、
 アイテム運には恵まれていると言えよう!」
ブリスケット 「…………………」
ロイン 「また、ブレスやアンデッドの奇襲でも、まだ壊滅もレベルドレインもしていない!!
 いまだ全滅していないのが、幸運である何よりの証拠だと考える!」
ランプ 「…………………」
ロイン 「諸君!!
 我々は今、これまで以上に上昇気運に乗っている、と言えるだろう!!
 この勢いを維持し、ガンガン進んでいこうと思う!!」


まぁ、どっちにせよ、今回も地下9階で経験値とアイテムを稼ぐだけですが...。


──── 地下9階


地下9階に降りて、最初の玄室!!


ワイバーンなど、もはやザコ!!

三洲次 「余裕ですね!!」
ブリスケット 「もうイケイケっす!!」

パパッと蹴散らして....、

ロイン 「さぁ!! 戦利品の宝箱は…?!」





ロイン 「……1階に戻りやがった……」
三洲次 「いやぁ~……」


初っ端からなにしてくれんねん、三洲次......。




出鼻をくじかれたけど、再度地下9階に潜り、2部屋目の戦闘!!!


ブリスケット 「お!先制できやした!」
ロイン 「これはラッキーだ!!」


ロース 「しかも、アンデッドに先制よ!!」
ロイン 「やはり、まだまだ運と勢いはあるぞ!」
ブリスケット 「イケイケっすね!!」


エナジードレインをしてくる敵だったが、
ノリノリにのって攻めて、あっさりと勝利っ!!

ブリスケットの言う通り、やはりイケイケだぜっ!!

ロイン 「さぁ!! 戦利品の宝箱は…?!」





!!!
三洲次 「いやぁ~……」

いきなりマディを使い切ったので、また出直すことに。


イケイケ?




本日、3回目の地下9階......。



ドレインしてくるモンスターが友好的なのは、大歓迎だっ!

さぁ、次は?!


ロースが速攻動いて、敵全員の呪文を封じる

ロース 「はい!!」
ロイン 「さすが、ロース!! 素早いな!!」
三洲次 「いきなり勝ちは決まりですね!」
ブリスケット 「やっぱりイケイケですぜ!!」

そして、こいつらから....、


....炎の杖をゲット!!!!

お?
「炎の杖」って、普通の宝箱からも手に入るんですね。
素で忘れてました....。

ロイン 「いきなり良いアイテムをゲットしたな!!」
ランプ 「アイテム運も上向いてきてますよ!」
ブリスケット 「イケイケ状態っすからね!」
三洲次 「で?誰が持ちます?
 俺は、もう一本持ってるので…」
ロイン 「よし、先日の一件もあるし、
 この杖はランプに持っててもらおう」
ランプ 「では…」
ロイン 「ボルタックで戦利品を売る時に、
 間違って売ったりするなよ」
ランプ 「え?
 あぁ、そうですね。
 とは言え、注意する以外にどうすれば…?」
ロース 「装備すれば、間違って売らないんじゃない?」
ランプ 「なるほど…」


と、言う訳で、持たせる...じゃなくて、装備させました。


って、この時はそういう理由で装備したのですが、
今確認したら、装備してても普通に売れたよ!


......メッチャ勘違いしていました。
まぁ、装備中のマークが付いてるから、そこでチェックできる…ということで(後付け)。


とりあえず、これで装備は....


本と盾個.......。


どう持ってるんだ?


ランプ 「装備し終わりました」
三洲次 「腕は2本しかないのに、どうやって杖2本と盾を持ってるんだよ?」
ランプ 「『炎の杖』は攻撃に使わないので、紐で体にくくり付けました」
ロース 「ダサいわよ、それ……」
ランプ 「じゃぁ、どうしろと……?」
ロイン 「ま、それなら、とりあえず間違って売ったりはしないだろ」

ついでなので、他のメンバも、装備不要なアイテムでも....、


....あえて装備をさせました。
理由は同じく、間違って売らないように(売れるけど…)。


ともかく、準備もできたので、ノリに乗って次の戦闘へ!!


三洲次 「またも先制!!」
ブリスケット 「やはりイケイケでっせ!!」


桃が、今のレベルのカシナートで出せる最大ダメージ60で、いきなり悪魔を倒す!!!

もうマジでイケイケだね!!!!!


ロイン 「さぁ!! 戦利品の宝箱は…?!」






 

知らん。

 


とりあえず、先へ進んでいく....。



ブリスケット 「楽勝でっせ!!」
ロイン 「さぁ!! 戦利品の宝箱は…?!」





ロイン 「………………」


いや、まぁ、罠の解除の失敗は多いですけど、
その他は順調でして....、


ライフスティーラーを倒して、


錆びた鎖帷子」を入手したり、


レベル7メイジを倒して、


歪んだ盾」を手に入れたり、


レベル8プリーストを倒して、


しか手に入らなかったり。


...... 順調?







順調ぅぅっ??!


ブリスケット 「治療呪文が使えるお二人ともが、動けなくなったす…」
ロイン 「城に戻るしかないじゃん…」
三洲次 「いやぁ、なんか面倒くさいですねぇ」
ロイン&ブリ助 「「お前のせいだっ!!!」」
三洲次 「ごめんなさいいぃぃっ!!!」


今回3度目の強制帰還......。



ここまで成長しても、カント寺院の世話になることがあるとは......。

プリーストブラスター恐るべし......。



……………………


…………


──── 地下10階 上級魔術師協会

レベル7メイジ 「会長おおおぉぉっっ!!」
アーチメイジ 「またかっ!? なんじゃっ!!」
レベル7メイジ 「誰一人、ローラーレンジャーズを討ち取れませんんんっっ!!」
アーチメイジ 「聞き飽きたわっ、それはっ!!!」
レベル7メイジ 「あいつら、もう我がもの顔で、地下9階でやりたい放題ですぅぅっっ!!」
アーチメイジ 「こしゃくなっ…!」
レベル7メイジ 「あいつらを倒すなんてぇぇっっ、
 もう無理ですよぉおおぉぉっ!!」
アーチメイジ 「お前っ、最近泣いてばっかじゃなっ!!!」
ハイウィザード 「会長?」
アーチメイジ 「なんじゃ、副会長?」
ハイウィザード 「もう、他に頼るのは止めにしましょう。
 やはり頼れるのは、自分たちのみ!!」
アーチメイジ 「どうするのじゃ?」
ハイウィザード 「我が協会の中でも、精鋭中の精鋭のメイジを送り込みます!」
アーチメイジ 「勝算は?」
ハイウィザード 「奴らの詠唱スピードを調べましたが、その結果、
 我が協会の精鋭なら、奴らよりも早く呪文を詠唱できることが分かりました!
 さらに部下の報告では、奴らの中には、マダルト一撃で倒せるほどH.P.が低い者が複数おるそうです」
アーチメイジ 「お前らって、情報収集・分析能力だけは、なんかスゴいよな……」
ハイウィザード 「先にマダルトを連続で叩き込めば、奴らを壊滅させられます!
 今度こそ、ローラーレンジャーズに引導を渡してみせますっ!!」

…………


……………………


──── 再び地下9階....


プリースト 「バディアルぅっっ!!」


「ぐはっ!」


てめええぇぇっっ!!
 ふざけんじゃねええぇぇっっ!!!
プリースト 「ふぉごげぁげぅげぉげぃげぇええぇっっ!!」
   
ランプ 「桃って、やられたら、必ずやり返してますね…」
ブリスケット 「しかも、確実に一撃で殺しやすね…」
ロイン 「頼りになると言うか…、なんと言うか…」


ランプ 「また『粉砕のメイス』が出てきました」
三洲次 「またですか?」
ロイン 「それ、1回冒険に出ると、だいたい1本は手に入るな…」
ロース 「本当にアイテム運ってイイのかしら? 私たち…?」

ログインボーナスかな?

....なんて思いながら、迷宮を進んでいくと......、



??? 「死ねえええぇぇっっ!!!」
「…!!


(さっ!)
メイジ 「え?」


ロース 「きゃあ!」


メイジA 「ふははは!!!
 ローラーレンジャーズよ!!」
メイジB 「今日が貴様らの命日じゃ!!」
メイジC 「覚悟するがよいっ!!」
ロース 「く…っ、またなの?しつこい奴らね」
ロイン 「ま、どうせモンティノ一発で何もできなくなる。
 あっさりと勝負を決めてやるぞ!」
メイジD 「ふふふ…、調子に乗っていられるのも、今の内じゃ!」
メイジE 「遠慮なく、唱えてくるがよいっ!!」
メイジF 「だが、ノロマなお前らのモンティノよりも、
 ワシらの詠唱の方が、先に炸裂するのじゃ!!」
メイジA 「貴様らに、素早さというものを…


見せてやらあああぁぁっ!!!
メイジA ごばばごぇごぁごぃごぅごぉおおおぉぉっっ!!!
メイジB 「え? え?!
メイジC 「な、なんじゃ?! こいつっ?!」
メイジD 「ひるむなっ!!
 情報では、そいつ1人だけが異常なだけじゃ!!」
ロイン 「ロース! ランプ! 奴らの攻撃を封じろ!!」
ロース 「オッケー!」
ランプ 「詠唱スピードなら、負けませんよ!」
メイジE 「バカめっ!!
 既に負けてるのじゃ!!」
ロース 「え?」
ランプ 「え?」
メイジE マダルトオオオォォッッ!!
ロイン ………これはっ?!」


ブリスケット 「ぐわああぁぁっ!!」


「く!」


ロース 「きゃあああぁぁっっ!!」
三洲次 「52ダメージぃぃっ?!」
ランプ 「や、やばいですっ!!」


三洲次 「ぐはああぁっ!!」


ランプ 「ふぅおぉっ!!」


ロイン 「………………」
ロース 「ぜ…全員、耐えたわ!!」
三洲次 「な、なんとか……」
ブリスケット 「早くっ!モンティノをっ!!」
メイジF 「言ったであろう!!
 ノロマなお前らより、ワシらの詠唱が先に炸裂するとっ!!」
ロース 「え……?」
ランプ 「まさか……」
ブリスケット 「も…もう、次が……?!」
メイジF 「ふははは……っ!!
 もう一発…、マダルトだあああっっ!!!
三洲次 「マダルト2連発は、俺と…」
ランプ 「…私がまずいですっっ!!!」
ロース 「ちょっと!! ロインっ!?
 どうするのよ?!」
ロイン 「………………」
ロース 「ロインっ?!」
ブリスケット 「まさか、打つ手無しっすかっ?!」
ロイン 「………………」
ロース 「そんな……」
   
メイジF マダルトオオオォォッ!!!
三洲次 「うわあああぁぁっっ!!!」


ブリスケット 「ぐわあああぁぁっっ!!」


「くほっ!!」


ロース 「いやああぁぁっっ!!」


三洲次 「ぐわあああぁぁっっ!!」


ランプ 「おおおぉぉっっ!!!」


ロイン 「………………」

まさかの敵のマダルト連発っっ!!

ブリスケット 「な…なんとか、2発目も全員耐えやしたかっ?!」
三洲次 「ぐ……っ」
ランプ 「ぅう……っ」
ブリスケット 「しかし、三洲次っちもランプはんも、
 もう残りH.P.は1桁……、瀕死っす!!
 ロースはん!! 早くモンティノをっ!!」
ロース 「わ……私も……もう……H.P.限………」
ブリスケット 「えええぇぇっ?!」
メイジB 「3発目のマダルトを喰らう覚悟はできたかっ!!?」
ブリスケット 「く…くそっ!!」
メイジC ふははははははっっ!!
 我ら協会と貴様らとの因縁の対決も、
 これで決着じゃっ!!!
メイジD 「今日の自分たちの不運を恨みながら、死ぬがいいっ!!!」
ブリスケット 「ち、ちくしょうぅっ!!」
メイジE 最後のマダルトを唱える前に!!」
メイジF 「言い残すことはあるかぁっ?!」
ロイン 「………では………、
 ……最後に一言………」
ブリスケット 「ええぇっ?!
 な、なに諦めてるっすかっ?!」
メイジB 「おおぉぉお?」
メイジC 「なんだぁあ??」
   
   
   
ロイン 「マカニト だ」
   
   
   
メイジたち 「「「へ?」」」



メイジたち 「「「ぐわあああぁぁぁっっっ!!!」」」






ブリスケット 「ロイン殿…、よ、よくぞ……」
ロイン 「ふぅ……。
 やばいと感じたので、皆には耐えてもらって申し訳なかったが、
 ノロマなりに、呪文の詠唱を優先させてもらった」
ロース 「そ……それで……、返事もしなかったのね……」
ブリスケット 「しかし、グループ攻撃で最大の攻撃力を誇るマダルトの連発でっせ?
 耐えるなんて作戦じゃぁ…」
ロース 「…H.P.の低いランプと三洲次は、ヘタすれば死んでたわ?」
ロイン 「逆だ。
 そのマダルトだからこそ、むしろ死なない…と判断した」
三洲次 「い…、言っている意味が、さっぱり分からないです……」
ランプ 「ううぅ……、私と三洲次のH.P.を…、知ってますか?」
ロイン 「もう忘れたのか、ランプ?
 さっき、お前が体にくくりつけた杖は、何だ?」
ランプ 「…え?」


ランプ 「『炎の杖』……」
ロイン 「冷気系の攻撃から守ってくれる杖だ」
ロース 「今日、手に入れたばかりの……」
ロイン 「H.P.の低い三洲次とランプは、2人とも『炎の杖』を持ってるからな。
 だから、冷気系のマダルトなら、むしろダメージが小さいと踏んだ」
ブリスケット 「さっき、『炎の杖』をもう1本手に入れてなかったら、
 ランプはんか三洲次っちのどちらかは、死んでやしたかも…」
ロース 「そう考えると、すごく良いタイミングでゲットしていたのね……」
ロイン 「あぁ、ロースの言う通りだ」
ブリスケット 「………………」
ロース 「………………」
ロイン 「朝も言っただろ?
 我々は、アイテム運は良いって」
「………………」
三洲次 「………………」
ロイン 「大丈夫だ、みんな……」
ランプ 「………………」
   
   
   
ロイン 「我々は、やはり幸運に恵まれてるよ」

 

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名前 LV H.P. コメント
ロイン 13 77 17 18 12 18 17 15 0 魔法使いとは思えないH.P.が逆転の勝因!
三洲次 14 53 18 16 9 14 18 17 3 よくぞマダルト2連発を耐えてくれた。
13 104 18 18 18 18 18 18 0 ほぼ1人で直接攻撃を担っている。
ロース 13 104 17 18 18 18 18 14 2 僧侶のH.P.が高いのは、本当に心強い。
ランプ 13 46 14 18 18 14 16 10 3 彼も、マダルト連発をよく耐えてくれた。
ブリスケット 13 115 18 18 16 18 18 11 2 こいつら、「運の強さ」が低い奴が多いんだけど…

 


【更新履歴】
2021年 7月24日:読むのにかかる所要時間(目安)を掲載しました。
2019年 8月25日:全体的に文章を推敲。脱字を修正。次ページへのリンクを設定。
2019年 8月18日:新規公開。