114.不運と幸運の玄室

【登場人物】  
サーロイン ローラーレンジャーズのリーダー。サーは敬称。
三洲次 元盗賊だった日本男児の侍。発音は「みすじ」。
元接近戦最強の少女。現在は盗賊。すぐキレる。
ロース こんな名前だが細身で美人なエルフの女魔法使い。
ランプ お金一筋のエルフの司教。パーティーの知恵袋。
ブリスケット 日本オタクのエルフの僧侶。あだ名は「ブリ助」。

読了時間 (目安):約8分
※ページが崩れる場合、本サイトのキャッシュをクリア願います。



──── 早朝 酒場につづく道......

ブリスケット 「お! 三洲次っちじゃねぇっすか」
三洲次 「ん~………あぁ、ブリ助、おはようぉ……」
ブリスケット 「相変わらず朝は弱そうっすな」
三洲次 「ふぁ~あ………まぁな………」
ブリスケット !? あいや、お待ちなせぇ!」
三洲次 「うん?」
ブリスケット 「何か……聞き慣れた声が聞こえねぇっすか?」
三洲次 「あ~~、確かに………。
 これは、ロインとロースかな………」
ブリスケット 「どこからっすかねぇ?」
三洲次 「えぇと………あの角を曲がった奥からだな………」
ブリスケット 「こんなところで、何すかね?」
三洲次 「聞き耳たてるなよ……」
   
サーロイン 「(ボソボソ………)」
ロース 「(ボソボソ………)」
   
ブリスケット 「やはりロイン殿とロースはんですな」
三洲次 「なんだ? よく聞こえないぞ?」
   
サーロイン 「………いや、マズイだろ………」
ロース 「………大丈夫よ…………」
   
ブリスケット 「ん~~……よく聞こえねぇっすな……」
三洲次 「ところどころしか聞き取れないぞ……」
   
サーロイン 「………本気なのか………?」
ロース 「………もちろんよ………」
   
ブリスケット へ?
三洲次 え? まさか?!
   
サーロイン 「………きついぞ…………」
ロース 「……もっと……もっと奥まで………」
サーロイン 「………しかし………」
ロース 「……ダメ………止めないで………」
   
ブリスケット 「ちょ?! …こいつはぁ?!」
三洲次 「え?! マジか?!」
   
サーロイン 「……こ……これ以上は……!」
ロース 「……いく………いくわ………!」
   
ブリスケット えええぇぇぇ!!?
三洲次 「いや、これ以上はマズイだろ!!」
ブリスケット 「あ、あっしは何も聞かなかったっす!!」
三洲次 「み、みみみ、三洲次はクールに去るぜ!」

………………………………


……………………


…………


……


──── そしてギルガメッシュの酒場....

サーロイン 「やぁ、おはよう!」
ロース 「みんな、おはよう!」
ランプ 「朝から元気ですね」
ブリスケット 「…………………………」
三洲次 「…………………………」
サーロイン 「いきなりでなんだが、みんなに伝えたいことがある」
ブリスケット (ドキッ!)
三洲次 (え? まさか?!)
サーロイン 「さっきロースと話して、合意したんだ」
ブリスケット (話しとかいうレベルじゃなかったっすぜ……)
三洲次 (カ、カミングアウトが早いな……)
サーロイン 今日から、地下10階の第3玄室まで行くことにする!
ブリスケット 「はあ?!」
三洲次 「はあ?!」
サーロイン 「ん? どうした、2人とも?」
ブリスケット 「あ……いや……」
三洲次 「なんでもないです……」
サーロイン 「いやぁ、ロースがさぁ、『もっと奥』の玄室まで行くってしつこくてさぁ。
 俺自身は『これ以上』先の玄室は『マズイだろ』とか『きついぞ』と反対したんだが、
 どうしても第3玄室まで『行くわ』って、第2玄室までで『止めないで』と、譲らなくて」
ブリスケット ズコーッ!!
三洲次 ズコーッ!!
サーロイン 「ん? 本当にどうしたんだ、2人とも?」
ブリスケット 「あてて……い、いや………」
三洲次 「ててて……な、なんでもないです………」
ロース 「前にも言ったけど、第2玄室までって、やっぱり非効率だわ。
 呪文の使用回数もたくさん余ってて、もったいないし。
 これまで戦ってきた様子から、第3玄室まででも十分やっていけるわよ」
サーロイン 「そうやって油断していると、思わぬトラブルに遭うもんなんだぞ」
ブリスケット 「はぁ……なんだったんすか……」
三洲次 「紛らわしいなぁ………」


....と、まぁ、そんな訳で、今回からは地下10階の第3玄室まで周回コースにしようと思います。
これまでの戦闘で大事に至ることはほぼ無かったので、まぁ、プラス1部屋ぐらいなら大丈夫だと思います。


なお、これに併せて、今回から1話は基本的に「第3玄室までを2周」固定のペースとなります。
ご了承下さい。
たまに例外があるかも知れませんが……




──── 地下10階


では今回も、アイテム全収集を目指し、地下10階を周回します!

未入手のアイテムは、残り下記3種類!

・守りの盾
・回復の指輪
・破邪の指輪


──── 第一玄室(1周目)



マーフィーズゴーストやらレベル8ビショップやらをやり過ごしていくと......



....ファイアージャイアント奇襲を受けた。


アイテムも経験値も期待できないので、逃走することに。


ちぇ、逃げ損なったよ。


もう一度「にげる」をポチッと。


頼むから逃してくれよっ!!!



さすがに3回目の逃走は成功。

さぁ、次は?



おっと、強敵登場

この絵だけでも威圧感がビシビシと伝わってくる。
本当に素晴らしいモンスターデザインである。

ブリスケット 「こやつら相手に先制できたのは、ラッキーですぜ」
ロース 「そうね」
ランプ 「で、どうしますか?」
サーロイン 「前回4匹で勝てたから、2匹なら十分いけるだろう」
三洲次 「しかも先制ですしね」
サーロイン いくぞっ!!


デーモンA ギィワアアアアァァァッ!!
三洲次 「まず1匹!!」
デーモンB グギッ?!


デーモンB グィシュッワッッ!!
サーロイン 「く! 身構える隙を与えてしまったか…!」


ま、残り1匹だし、十分勝てるでしょう!

デーモンB ギィ……ッ!!
三洲次 「トドメを刺しますか」
サーロイン 「いや、最後まで俺に任せてくれ」
三洲次 「では……(スッ…」

2ターン目!!


デーモンB フォギュワアアアアァァァッッ!!!
サーロイン 「うむ」
ロース 「じゃ、後は任せて」


残ったレベル8ニンジャも、ロースのマダルト(最強のグループ攻撃呪文)であっさりと撃破!


見込み通り、余裕をもって勝利である。


ランプ 「お! 『こて』は久しぶりですね。
 どれどれ……」


ランプ 「『銅の小手』ですか………銀の方を期待のですが………残念」
サーロイン 「とは言え、悪くはない滑り出しだな」





──── 第二玄室(1周目)



マスターニンジャ2連続をやり過ごすと......



またも先制!
しかもフロストジャイアントとはラッキー尽くめだ!!


いきなり三洲次フロストジャイアントを一閃し......、


....シーフサーロインがきっちり仕留め、見事先制ターン中に勝利!

サーロイン 「今日は調子がいいな」

が......


....宝箱の中には巻物1個だけ......。


アイテム運の方は、どうも今一歩だな。



サーロイン 「さて……で、本当に第三玄室まで行くのか?」
ロース 「もちろんよ!
 呪文の使用回数も十分余ってるじゃない。
 余裕で戦えるわ」
三洲次 「ま、せっかくですし、行ってみましょう」
サーロイン 「では、先に進むか」

という訳で......


....第二玄室のワープを通り......


....長い通路を進んで行き......、


....久しぶりに来ました、第三玄室です。

まぁ、出てくるモンスターはこれまでと変わらないから、特別何か危険ってこともないでしょう。

サーロイン 「では、突入するぞ!」

バンッ!



三洲次 「ちょ?! いきなり!?」
サーロイン 「なんて不運なっ!?」


三洲次 「なんだよ……ビビらせやがって………」
サーロイン 「なんて幸運な……」


こいつは、そもそもアイテムを落とさないので論外
逃走して、入り直す。

バンッ!


三洲次 「ちょ! またっ?!」
サーロイン 「なんて不運なっ!?」


三洲次 「ぐほっ!」
サーロイン 「一応……幸運……?」


こいつらはロクなアイテムを落とさないので、パス
逃走して入り直す。

バンッ!


三洲次 「ちょ! 3連続てっ?!」
サーロイン 「なんて不運なっ!?」


三洲次 いだだだだっ!!
サーロイン 「なんて幸運なっ!!」
三洲次 「いや、幸運って……俺、噛まれてんだけど……」


おっけー!
余裕で勝利!!

こんな調子なら第4玄室まで行けるかな?
......って、3連続も奇襲を喰らったりしているから、油断はできないか。

ランプ 「とりあえず、アイテムを回収しましょう!」
サーロイン 「ブリ助、頼むよ」
ブリスケット 「では…………カルフォ!!」


サーロイン 「いつも通り 桃も頼む」
「うぃっす」


ブリスケット 「…………………………」
「…………………………」
サーロイン 「ランプも頼むよ」
ランプ 「では…………カルフォ!!」


ランプ 「最近、ブリ助のカルフォよりも、桃の方が正確なことが多いですね」
ロース 「すごいじゃない!
 桃、腕をあげたわね!」
「あたい、天才盗賊ぅー!!」
サーロイン 「では、開けてくれ」



「あたい、やっぱり天才盗賊ぅー!!
三洲次 「おかしい………ここは罠の解除に失敗するのが王道パターンのはず………」
なんか言ったか?!」
三洲次 「しかもガス爆弾とくれば、なおさら……」
ぁあ?! あぁ?! あぁ?! 文句あんのかあ?!


ランプ 「中身は『忍耐の兜』ですか……」
サーロイン 「悪くはないが、今となっては良くもない、ってところだな」
ロース 「1周目は、あまり実入りが良くなかったわね」

では、第三玄室まで来たので......


....地上に戻りましょう。


…………


……………………


………………………………


…………………………………………


──── 冒険者の宿

地上に戻ったら、ここで(天才盗賊)レベルアップ!!


2回目の能力パーフェクトに向け、着実に成長中!


....って、最近のレベルアップはみんな能力アップばかり幸運だが、
まさかこれでアイテム運を喰ってたりしないか......??




とりあえず、2周目です。


──── 地下10階 第一玄室(1周目)


バンッ!


三洲次 おおぉいっ!4連続って?!
サーロイン いくらなんでも奇襲が多すぎだろっ!?


三洲次 ぐほおっ!!
サーロイン 「お前、本当に奇襲に弱いな……」
ランプ 「おっと、でも、こいつはアイテムが期待できますよ!」


三洲次 てめええぇっ!!やりやがったなあっ!!
ブリスケット 「お、一撃っすね」


後続のメイジたちは、ロースマダルトで一掃。


無事に勝利



なんか手に入るアイテムが、悪くは無いんだけど、別にもう要らないものばかりだ......。


──── 第二玄室(2周目)



ウィルオーウィスプマスターニンジャをやり過ごしていると......


三洲次 「久しぶりの先制だな!」
サーロイン 「なんて幸運な!」


サーロイン なんて幸運なっ!!

4グループって、なんか久しぶりな気がする。

それはともかく、先制できたし、どうすっかな?
とりあえずゴーゴンキメラあたりの体力を削っておくのが良いかな。


先制中に、三洲次ゴーゴン一撃で倒し......、


....キメラサーロイン1匹葬る



2ターン目


いきなり三洲次が、残ったキメラ一撃のもとに倒す。
これでウザい敵は消えた。

後は......



....ランプマダルトロースマカニト(Lv7以下の魔物を倒す呪文)で敵を沈め、あっさり勝利!



ランプ 「『暗闇』の巻物………」
三洲次 「なんかアイテムの引きが悪いですね……」
サーロイン 「そうだな。
 ところで、桃?」
「うぃ?」



サーロイン 「天才盗賊がどうした?」
「あ……悪ぃ………」
三洲次 「ほら、ガス爆弾だとやっぱり……」
ぁあ?! なんか言ったか?!

では......


....本日最後の玄室に行きましょう。


──── 第三玄室(2周目)


バンッ!



サーロイン 「逃走に失敗したら目も当てられないからな。戦うぞ!」
三洲次 「俺、どっちでもいいです」
ブリスケット 「手裏剣を手にしてから、ほんに態度が変わりやしたね」
三洲次 「こんなヤツ、もうザコだぜっ!!」


三洲次 「ふ……またつまらぬモノを斬ってしまった……」
ロース 「この態度の変わりよう……」



ブリスケット 「プリーストブラスターっすね」
サーロイン 「じゃ、桃、頼むぞ」
「うぃっす」



「開いたぜ」
ブリスケット 「どれどれ………『兜』が入ってやすね」
ロース 「あ! 『指輪』が入っているわ!!」
サーロイン 「なに?! 今度こそ『回復の指輪』が来たかっ?!」


あ......指輪を見つけたロース「+」記号(H.P.回復マーク)付かない
こりゃ、ダメだ......。

サーロイン 「だが、まだもう1つの未入手の『破邪の指輪』という可能性もある!
 ランプ、鑑定を!!」
ランプ 「はい」


ランプ 「えぇと………」
サーロイン 「………………………………」
ランプ 「あ、『破邪の指輪』でもないです」
サーロイン 「(ガクッ)なんだ……またか………」
三洲次 「また入手済みの指輪ですか。
 何ですかね?」
ロース 「どうせ『宝石の指輪』じゃない」
ブリスケット 「あるいは『戒めの指輪』あたりっすね」
三洲次 「ま、そんなところか……」
ランプ 「……………………………………」
サーロイン 「…………………………」
ランプ 「……………………………………」
ロース 「ねぇ、珍しく鑑定が長くない?」
ブリスケット 「どうしたんすかね?」
ランプ 「えぇと………あぁ………そういうことですか………」
サーロイン 「おい、何を一人で納得しているんだ?」
ランプ 「いや、『死の指輪』と一緒だな……と思いまして」
サーロイン 「は? 何の話しだ?
 まさかこんなところで『死の指輪』が出てきた訳でもないだろ?」
ランプ 「えぇとですね………解説しますと………」

『死の指輪』とは、持っているだけで、1歩歩くごとにH.P.が3も減る呪われたアイテムのこと。
このアイテム、ファミコン版の場合は、実は「手に入れただけ」では、H.P.が減る効果は表れない
ステータス・ウィンドウも......、

(参考) 「死の指輪」取得直後

....指輪を取っただけでは「-」記号(H.P.減少マーク)付かない

一度キャンプを開くか、あるいは一度戦闘をこなすと、はじめて効果を発揮し、
ステータス・ウィンドウにも......

(参考)「死の指輪」取得して1度戦闘した後

....やっと「-」記号付く

つまり、ファミコン版の場合、H.P.が変化するアイテムは、
手に入れた直後「+」「-」の記号付かないのである。


それを踏まえ、先ほどの戦闘終了直後の画面写真を思い返すと......

(再掲)

....「?ゆびわ」を見つけたロース「+」記号無いけれども........

サーロイン !?
 おい、まさかっ?!
ランプ 「えぇ、とうとう来ましたよ」


「回復の指輪」きたーーーーーーーーっっ!!!

待ってましたあっ!!!


サーロイン 「とうとう入手したなっ!!」
三洲次 「やりましたね!!
 これは超ラッキーですよっ!!」
ロース 「ほら!第三玄室まで来るようにして、正解だったでしょ?」
サーロイン 「あぁ、ロースの言う通りにして、今回は大正解だっな!」
ロース 「ね!」
ランプ 「で、誰が持ちますか?」
サーロイン 「そうだなぁ………三洲次にしよっか」
三洲次 「へ? なんで、俺?」
サーロイン 「これはバンパイアが持っていたものだからな。
 バンパイアと言えば三洲次、三洲次と言えばバンパイア」
三洲次 「意味分かんねぇよっ!!」
サーロイン 「それにお前、奇襲でよくダメージを喰らうじゃないか。
 今日だって、奇襲で何度もやられてだろ?」
三洲次 「ロインだって、よくダメージを喰らうじゃないか!」
サーロイン 「俺は『聖なる鎧』の加護があるからな」
ブリスケット 「三洲次っち、イヤなんすか?」
三洲次 「え? いや……まぁ……断る理由は無いけど……」
ランプ 「では……」


ランプ 「……これは、三洲次へ」
三洲次 「あ、ども……」
ロース 「これで奇襲でやられても、もう治療呪文を使わずに済むわね」
ブリスケット 「呪文の節約になりやすぜ」
三洲次 「しかし、これってバンパイアが持っていたものだろ?
 なんか心象が悪いなぁ……」
サーロイン 「そう言うなって。
 これで一歩ごとにH.P.が1ずつ回復するぞ!」
三洲次 「むしろ一歩ごとにレベルが1ずつ下がったりしねぇだろうな……」
ランプ 「意外とまだ引きずってますね……」




残るアイテムは2種類!!

・守りの盾
・破邪の指輪


「115.ちょっと待てや」へ



名前 LV H.P. コメント
サーロイン 13 107 18 17 16 17 15 12 1 0 相変わらずチームで一番のノロマだな、お前。
三洲次 13 107 18 18 18 18 18 18 5 4 村正、手裏剣、回復の指輪....恵まれてるな。
17 157 18 18 17 18 17 18 0 0 2回目のパーフェクトに期待がかかる。
ロース 15 156 15 18 18 18 18 11 0 2 彼女が呪文を唱えれば、敵が消し飛ぶ。強いぜ。
ランプ 20 93 18 18 18 16 18 14 0 9 最近、鑑定以外であまり活躍していないな。
ブリスケット 14 113 15 17 18 16 17 13 3 4 最近、カルフォ以外に何かやってたっけ、お前?

 


【更新履歴】
2021年 5月22日:読むのにかかる所要時間(目安)を掲載しました。
2021年 3月21日:次ページへのリンクを設定。
2021年 3月 7日:新規公開。