112.ファイアードラゴン・フィーバー

【登場人物】  
サーロイン ローラーレンジャーズのリーダー。サーは敬称。
三洲次 元盗賊だった日本男児の侍。発音は「みすじ」。
元接近戦最強の少女。現在は盗賊。すぐキレる。
ロース こんな名前だが細身で美人なエルフの女魔法使い。
ランプ お金一筋のエルフの司教。パーティーの知恵袋。
ブリスケット 日本オタクのエルフの僧侶。あだ名は「ブリ助」。

読了時間 (目安):約10分
※ページが崩れる場合、本サイトのキャッシュをクリア願います。



現在、アイテム全種類入手を目標にプレイ中です。

そして現時点で未入手のアイテムは、次の3種類

・守りの盾
・回復の指輪
・破邪の指輪

この3種類を狙って、今回も頑張ってプレイしていきます!




──── ギルガメッシュの酒場 早朝....

三洲次  ポン ポン ポン ポン………
ブリスケット 「お早うっす。
 お? 三洲次っちが早いったぁ、珍しいっすね」
三洲次 「最近、『村正』の油を塗り替えてなかったの思い出したんで、
 ちょっと早起きして、冒険前に手入れを……」
ブリスケット 「なるほど」
ロース 「ねぇ、三洲次?
 刀をポンポン叩いているその白くて丸いの、それで何を付けてるの?」
三洲次 「逆です」
ロース 「え?」
三洲次 「付けてるんじゃなく、取ってるんです。
 これは『打ち粉』と言って、刀身に付いてる古い油を取る作業なんです。
 正確には、これで取れる訳じゃないですが」
ロース 「ふ~ん……」
ブリスケット 「日本刀の手入れは、ザックリ言いやすと、刀身が錆びないように油を塗り替える作業っす」
三洲次 「さすがブリ助、よく知ってるな(ポン ポン…」
ブリスケット 「まぁ、あっしも一度ぐらい『村正』を使ってみたかったっすね。
 結局『カシナートの剣』さえ持たずに、侍を止めちまいやしたが」
サーロイン 「当時はどちらも1人分しか手に入らなかったからな」
ロース 「それに『村正』が手に入ったのも大分遅かったしね。
 だから桃でさえ、『村正』を使ってた時期は短かったわ」
ランプ 「あの頃、もっと早くからレアアイテムを持っているモンスターを狙っていたら、
 手に入ってた装備も違ってましたかね?」
ロース 「どうかしら。
 だって今そうしてるけど、『村正』はいまだに1本だけよ」
ブリスケット 「では、レアアイテムを持ってるモンスターの中でも、さらに絞ってはどうっすか?」
サーロイン 「すると、狙い目は?」
ランプ 「やはりドラゴンでしょう。
 ドラゴンは宝の護り神とも言いますから」
ロース 「じゃぁ、地下10階なら、ファイアードラゴンね」
サーロイン 「では、ファイアードラゴンを積極的に狙っていくことにするか?」
ランプ 「いいですね!
 そうすれば、もしかしたら……レアアイテムがガッポガッポ……?
 うぅ……考えただけで、よだれが……」
ロース 「やだ!汚いわね!」
サーロイン 「そうと決まったところで、さっそく出発したいが……」
ブリスケット 「桃っちが、また遅刻っすな」
   
「………うぃ~す………」
   
ブリスケット 「噂をすればなんとやら、ですぜ」
三洲次  ポン ポン ポンン……
「ん~……?
 何してんだぁ……三洲次ぃ?」
三洲次 「日本刀の手入れだ。
 『村正』を持ってたお前が知らない、とは言わせないぞ」
「日本刀の手入れぇ……?
 あ~……そういやぁ……なんか細かい作業が多くてよぉ………面倒くせぇから、したことねぇやぁ……」
三洲次 お前ぇっ!? 貴重な『村正』持ってたのに、何だとおっっ!!?
使
   



………………………………


………………………


………………


………


──── 地下10階 某所....
     上級魔術師協会(4代目) 本部

LV10メイジ 「会長、先日雇った教官による戦闘訓練が終わりました」
アーチメイジ 「え? もう?!」
LV10メイジ 「えぇ、迅速な育成がウリと言ってましたから」
アーチメイジ 「大丈夫なのか?」
LV10メイジ 「そうですねぇ……、
 この地下10階で、我々以外にも戦闘技術を指導しているそうですし、まぁ、信頼はして良いかと」
アーチメイジ 「ふ~ん………」
LV10メイジ 「金も払ってますし、訓練の成果を見てみませんか?」
アーチメイジ 「確かにそうだな。
 では、訓練を終えた奴らをさっそく向かわせろ」

………


………………


………………………


………………………………


──── 地下10階


前回、グレーターデーモンとの激戦を制し、意気揚々と地下10階を進むローラーレンジャーズ


──── 第一玄室(1周目)


サーロイン 「では今回も、未入手のアイテムを持っているモンスターを狙っていくぞ!」
ランプ 「さっそくいきましょう!」



ゴーゴンやらシーフやらをやり過ごしていると......


....ファイアードラゴンが登場。

ランプ 「いきなり来ましたぁーーっ!!
 ファイアードラゴンですっっ!!!
サーロイン 「よし! 戦うぞ!!」

まぁ......、


....ロース(魔法使い)ティルトウェイト(最強の全体攻撃呪文)で、あっさりと勝利したけど。


ブリスケット 「カルフォ!………ガス爆弾っすね」
サーロイン 「桃の見立ては?」
「ん~~…………そうっぽいな」
   
ランプ 「…………………………」
三洲次 「…………………………」
ランプ 「ん? ……なんですか?」
三洲次 「そう言えばランプって、最近 レッツ・オープンとか言わなくなったよな」
ランプ 「らしくないですか?
 では………桃!!
 レッツオーーーープンッ!!
三洲次 「言わなくていいよ」
ランプ 「なんなんですか、いったい………」
   
サーロイン 「よし、ガス爆弾で解除してくれ」
「うぃっす」


「む~~~…………」

今回は......


....珍しく......


....開けるまで......


....かなり苦戦したが......、



....なんとか無事に解除。
桃もじらすこと覚えちゃってぇ~。

ブリスケット 「えぇと………剣と………」
ロース 「……短刀が入ってるわね」
サーロイン 「ランプ、鑑定を頼む」
ランプ 「では………」


ランプ 「短刀は『盗賊の短刀』です!!」
三洲次 「おー!
 やっぱりドラゴンは良いアイテムを持ってるなぁ!」
ロース 「そういえばファイアードラゴンって、3種の神器の1つ、『聖なる鎧』を持っていたこともあったわね」
ブリスケット 「おぉ、そういやありやしたね」
ランプ 「それなら『悪の鎧』だって、他ならぬこのファイアードラゴンから手に入れましたよ」
サーロイン 「さすが宝の護り神だな」
三洲次 「もうファイアードラゴンだけ狙ってもいいのでは?」
ランプ 「すると………もしかしてレアアイテムが……ガッポガッポ……?
 うぅ……よだれが……」
ロース 「ちょっと、またなの!? 早く拭いてよ!」
サーロイン 「では、やはり積極的にファイアードラゴンを狙っていくとするか」
ブリスケット 「えぇ!そうしやしょう!!」
ランプ 「テンション上がってきましたよぉー!!」


──── 第二玄室(1周目)


ランプ 「では今回も、出来ればファイアードラゴンを狙っていきましょう!」
ブリスケット 「突撃しやすぜ!」
サーロイン 「あまり調子に乗るなよ」

バンッ!        ← 扉を蹴破った音


??? 「獲物が来たぜええぇぇぇっ!!」
??? 「教官から教わった戦闘訓練の成果を見せてやるっ!!」
サーロイン 「え?」


シーフA がぶぅっ!がぶっ!がぶぅっっ!!
ブリスケット いでっ!いでっ!いでぇっすっ!!
   
三洲次 「噛むな、噛むな………手に持ってるのは何だ?」
ランプ 「でも、噛むだけでマダルト並みのダメージって、何気にすごいですね……」
   
シーフB 「ん………あれ?
 あーーーーっ!!
 こいつら、例の『ローション』レンジャーズって奴らじゃねぇのか?!」
サーロイン 「………こいつら、まさかマスターシーフの配下の……?」
シーフB 「やべぇ! 逃げろ!!」
シーフA 「え?! お、おい?!」


シーフA 「待ってくれよ!?」


シーフA 「えぇと……………」
サーロイン 「…………………………」
三洲次 「どうします?」
ランプ 「まぁ、アイテムが期待できないですし……」
サーロイン 「じゃ、撤退するか」

バタンッ!        ← 扉から出た音

シーフA 「…………………………」


ブリスケット 「いちちち………」
サーロイン 「だから調子に乗るなと」
ブリスケット 「あやつ、噛む力すごかったっすよぉ………いちち……っ!」
ランプ 「戦闘訓練がどうとか叫んでましたが、それですかね?」
三洲次 「噛みつく訓練って、何だよ、それ………」
ロース 「なんか聞き覚えのある訓練ね……」
サーロイン 「とりあえず、入り直そう」

バンッ!


??? 「標的が来たぞおおおぉぉぉっ!!」
ブリスケット 「え?! またっすか?!」
??? 「教官から教わった戦闘訓練の成果を見せてやれっ!!」
三洲次 「え…? そこも、また??!」


ビショップA きええぇぇええっっ!!
三洲次 いでっっ!!


ビショップB がぶううぅぅぅっ!!
ブリスケット いだだだだだっっ!!


ハイウィザード がぶううぅぅぅっ!!
三洲次 いでぇっ!いでぇっって!!!


ブリスケット 「いたたた………また噛まれたっす……!」
三洲次 「いちちち………俺なんて引っ掻かれたよ………」
サーロイン 「お前ら、本当に奇襲に弱いな……」
   
ハイウィザード 「はははははっ!!
 我こそは6代目副会長……」
三洲次 てめええぇぇっっ!!!
 人に噛みついておいて、なに呑気に自己紹介してやがるぅっっ!!!
ハイウィザード 「は?」


ハイウィザード うぎゃあああぁぁっっ!!!
三洲次 「攻撃ってのは、こうやんだっ!!」
ロース 「後ろのザコは任せて!!」


ビショップ達 「「ふぎゃあああぁぁぁっ!!」」
ロース 「楽勝ね!!」
サーロイン 「今回もあっさりだな………」


三洲次 「いててて………噛んだり引っ掻いたりって、ヒデェなぁ………」
ブリスケット 「あいてて………最近はそういう訓練が主流なんすかね…?」
ランプ 「そんなバカな………」
ロース 「ねぇ、噛んだり引っ掻いたりする訓練って、なんか聞き覚えない?」
サーロイン あ!!思い出した! それって……

──── 上級魔術師協会(4代目) 本部

アーチメイジ 地下5階にいるダメ教官どもかあああぁぁっ!!!
   (参考) 第71話「戦士たちの訓練所」
LV10メイジ 「ご存知なのですか?」
アーチメイジ 「ソードマンやファイターを相手に、剣の使い方を教えもせず、
 ひたすら引っ掻いたり噛み付いたりする指導をしている奴らじゃ!!!
 あいつらのせいで、ロクに剣を使わない奴が増えて、この迷宮のファイターの質が低下しておるんじゃっ!!」
LV10メイジ 「確かにこの迷宮のファイターって、他に比べてやたら弱いですけど、そういうことですか…」
アーチメイジ 「あいつら、こんなところまで営業に来おったのかっ!!」
LV10メイジ 「なんか中間フロアってあまり冒険者が来なくて守衛の入れ替えがほぼ無いから、
 訓練の指導じゃ儲からないって、ここまで…」
アーチメイジ 今すぐ追い返せぇぇっっ!!!

………


………………


………………………


………………………………


──── 場面は再び第二玄室内......


サーロイン 「では、宝箱を開けよう」
ブリスケット 「カルフォの結果は毒針っす」
「ま、そんな感じだな」
サーロイン 「よし、毒針で解除してくれ」
「うぃ!」


ロース 「あら!指輪が入ってるわ!」
サーロイン 「今度こそ『回復の指輪』が来たか?!」
三洲次 「………その前に、また解除に失敗してんだけど………」


あ......指輪を見つけたロースに、」記号(回復マーク)が付いていない
ってことは「回復の指輪」じゃない、ってことか。
残念。

むしろ、桃にマイナス記号が........


サーロイン 「だが、まだ『破邪の指輪』という可能性も!!」


ランプ 「『宝石の指輪』です」
サーロイン 「またか………」
「なぁ、毒を治してくれねぇかな?」
三洲次 「『回復の指輪』と『破邪の指輪』って、全然出ないですね」
ロース 「簡単に手に入れる方法とか無いのかしらね?」
なあ! 毒を治してくれよ!
ブリスケット 「ま、やはりここは、ファイアードラゴンを狙っていくべきですぜ」
ランプ 「えぇ、そうですね!!」
あたいの毒、治してくれってっ!!


第二玄室まで来たので、一旦地上に戻り......


....戦果を売って金にする。




では、2周目です。


──── 地下10階 第一玄室(2周目)


バンッ!



ブリスケット 「またまた来やしたぜ!
 ファイアードラゴンっす!!」
ランプ 「おおおぉぉ!!
 アイテムの方からやって来ましたよっ!!」
サーロイン 「よし!戦おう!!」
三洲次 「じゃ……(スラッ!)」


三洲次 楽勝!
サーロイン 「ま、1匹だけだったから、経験値が大して手に入らないけどな」
ランプ 「今はアイテム優先!!」


ブリスケット 「メイジブラスターっすね」
「むぅ~~………そうっぽいぜ」
サーロイン 「では、開けてくれ」



ブリスケット 「お、剣が入ってやすぜ!」
ロース 「それに、今度は杖も入っていたわ!!」
サーロイン 「2個入っていたか。
 これは期待できそうだな」
ランプ 「ではでは、さっそく鑑定をっ!!」


ランプ 「おぉ!!
 杖の方は『炎の杖』ですよ!!」
三洲次 「またまたファイアードラゴンから、レアアイテムをゲットかよ!!」
ブリスケット 「なんすか、なんすか!
 ファイアードラゴンちゃん、マジで良い物ばかり持ってんじゃねぇっすか!!」
ロース 「さすが宝の護り神だけあるわね!!」
三洲次 「これ、連続でファイアードラゴンを倒せば、連続でレアアイテムをゲットできるんじゃね?!」
ランプ 「そうすれば……レアアイテムが……ガッポガッポ……!!
 うぅ……よだれが……」
ロース 「やだ! いい加減にしてよ!!」
サーロイン 「では、次もファイアードラゴンを狙っていくか?」
ランプ 「もちろんです!!」
三洲次 「ひと狩りいこうぜっ!!」


──── 第二玄室(2周目)


バンッ!


ランプ 「あー、君たちじゃないです!君たちじゃ!!」
ニンジャA 「え? 何が?」
ブリスケット 「忍者にゃ用は無ぇっす!!」
ニンジャB 「おい、どういう意味だ?!」
三洲次 「気にしなくていいですよ。
 じゃ」
ランプ 次!


ランプ 「あーーー! 惜しい!!
 ちょっと違う!!」
ジャイアントA 「ハ? ナニガ?」
三洲次 「ジャイアントじゃないんだよ!
 ドラゴンなんだよ!!」
ジャイアントA 「ダカラ ナニガ ダ??」
ランプ 「もう、次いきましょう!!」


ランプ 「うわぁあ! 悪化したぁ!!」
マーフィーA 「ア? ナニガ?」
三洲次 「おまえらってさぁ、こういうシチュエーションの時、なんで必ず出てくるんだ?!」
マーフィーB 「コウイウ ッテ ドウイウ…??」
ブリスケット 「アイテムを持ってねぇ奴は論外でっせ!!」
ランプ 「無視して次いきましょう!!」


ランプ きたーーーーーーーっっ!!!
三洲次 「よーーーしっ!!
 ファイアードラゴンが連チャンしたぞっ!!」
サーロイン 「4匹か……では、ロース、ティルトウェイトだ」
ロース 「オッケー!!」



ロース 「楽勝ね!!」
ランプ さぁ、さぁ!! 宝箱はどこですかぁっ?!


三洲次 「あった!こっちだ!!」
ランプ 「うっひょーっ!!
 レアアイテムが入った箱は、こちらでございますかぁ!!」
サーロイン 「おい、あまり調子にのるなって」
ランプ 「いえいえ、サクッと開けて、サクッとゲットですよ!!」
ブリスケット 「では………カルフォ!!」


ブリスケット 「ガス爆弾っすね」
「まぁ……そうっぽいな」
ランプ では、桃!!
 レッツオーーーーープンッッ!!
「ぅ~~……(カチャカチャ…」
ランプ 「さぁ、さぁ! 早く、早くぅ! 早…


ランプ 「…え?!

ボォォォオオォォォンッッ!!!


ランプ 「げほっ! げほぉっっ!!」
三洲次 「がはっ! ……桃……お前、本当にガス爆弾の解除がヘタだなぁ……」
「あ~……悪ぃ…………」
サーロイン 「だから調子に乗るなと……」


ブリスケット 「ぐほっ! ……し……しかし、杖が入ってやしたぜ!」
ロース 「こほっ! …それって……また『炎の杖』かしら?」
ランプ 「けほっ! ……で……では、さっそく鑑定を!!」


ランプ 「『力のメイス』…………」
ロース 「えぇ~………微妙ぉ………」
サーロイン 「ま、いつも良いアイテムを護ってるとは限らない、ってことだな」
三洲次 「せっかく連チャンしたのに……」
ブリスケット 「短いフィーバーでやした………」
サーロイン 「では、第二玄室まで来たし、城に戻るとしよう!」
 ロ
サーロイン 「ん?」



 



名前 LV H.P. コメント
サーロイン 13 107 18 17 16 17 15 12 1 0 何気に罠の被害に遭わない方だよな、お前って。
三洲次 13 107 18 18 18 18 18 18 5 4 お前がスタナー苦手だった頃が懐かしい。
16 156 18 18 17 18 16 18 0 0 で、どうやら桃は、ガス爆弾が苦手っぽいな。
ロース 15 156 15 18 18 18 18 11 0 2 罠の被害者ナンバーワン。
ランプ 20 93 18 18 18 16 18 14 0 9 あれ? お前ってブラスター喰らったことない?
ブリスケット 14 113 15 17 18 16 17 13 3 4 プリーストブラスターってメイジ〃ほど出ない?

 

──── ギルガメッシュの酒場 夕食時....

酒場の片隅には、冒険を終えた戦士・魔法使い・盗賊・司教......等々、
今宵も大勢の冒険者たちがブリスケットを取り囲み、芸が始まるのを待っていた。

ブリスケットの前にはテーブルがあり、そのテーブルの上には、
カシナートの剣と鞘から抜いた状態の村正が1本ずつ置かれている。

   ………

   ………………

ロース 「毎晩、大勢の観客が来るわね」
サーロイン 「この酒場って、けっこうブリ助のファンがいるらしいぞ」
ロース 「へぇ~、さすがね」
ランプ 「あのテーブルの上にある村正とカシナートって、もしかして…?」
三洲次 「俺の村正と……」
サーロイン 「俺のカシナートだ……」
「ガツガツガツガツガツッ!!

   ………………

   ………

ブリスケットは手持ちの袋から独楽(こま)を2個取り出すと、
1つをテーブルに置き、1つを右手に持った。

ブリスケット 「こちらに取り出しましたるは『江戸独楽』と言いやして、
 長いと10分は自力で回り続ける、日本のろくろ職人が作ったコマでやす」
客たち 「「へぇ~………」」

ブリスケットは右手で独楽を1回だけグルンッと振るように回したら、左手の手の平の上に独楽を置いた。
すると独楽は既に回転しており、手の平の上で垂直に立って回り続けた......

客たち 「「おぉ~~」」

   ………

   ………………

ロース 「え?! あんな振るだけで、コマって回るものなの?!」
三洲次 「あれは独楽芸人に伝わる特殊な回し方らしいですよ。
 素人には無理かと」
ランプ 「ブリ助って、本当にどこでああいうのを身に付けたんですかね?」
 …ひょい、パクッ!ひょい、パクッ!ひょい、パクッ!… 
三洲次 桃ぉっ!! それ、俺が注文したもんだぞぉっ!!

   ………………

   ………

ブリスケット 「それでは今宵は、この独楽を剣の上で回す『刃渡り』という芸をご覧にいれやす」
客たち 「「…………………………」」

ブリスケットは右手でカシナートの剣を手にすると、 左手に乗せていた独楽を手の平の上でゆっくりと横移動させ、
カシナートの中央にある剣先に移していく。
そして独楽が剣先に移った瞬間、左手をパッと離すと、独楽はカシナートの剣先に立ったまま回転し続けた!

客たち 「「おおぉーーーっ!!」」

次にブリスケットは、空いた左手でもう1つの独楽を手に取ると、
先ほどと同じ様に振って独楽を回し、それをテーブルの上に置いた。
テーブルの上で、もう1つの独楽が回り続ける......

ブリスケット 「続きまして、村正の剣先でも独楽を回しやす」

そう言うと、ブリスケットは左手で村正を手にすると、
村正の剣先をゆっくりとテーブルの上の独楽の根元に入れ、すくうように剣で独楽を持ち上げた。
すると、村正の剣先でも独楽が直立して回転し続けた!

客たち 「おーー!!」「ヒュー!ヒュー!」

ブリスケットは両手の剣2本で独楽を回し続けながら......

ブリスケット 「本日はカシナートがありやすので、せっかくなんで、
 カシナートも回転させやしょう!」

....右手の柄にあるボタンを押すと......、

グルグルグル....!

....カシナートも回転を始めたので、独楽2つカシナート計3つグルグルグル...ッ!!

ブリスケット 「はいっ!
 本日はいつもより多く回しておりやすー!!」
客たち 「「はははは!パチパチパチ!)」」

   ………

   ………………

三洲次 「ねぇ、ブリ助の朝の発言、覚えてます?」
ロース 「村正もカシナートも使ったことない、ってやつ?」
三洲次 「あいつ、どう見ても、村正も……」
サーロイン 「カシナートも……」
サ&三 「「俺たちより巧く使ってるよな」」
ランプ 「使い方、違いますけどね」
「げっぷ!」



(お断り)実際の「刃渡り」はその名の通り、独楽を剣の刃の上で移動させる芸です。


「113.唱えよ、早く」へ


【更新履歴】
2021年 8月21日:一部の表現を見直しました。
2021年 5月29日:読むのにかかる所要時間(目安)を掲載しました。
2021年 2月28日:上級魔術師協会本部の表記を見直し。次ページへのリンクを設定。
2021年 2月21日:新規公開。