66.ベテランと初心者

【登場人物】  
サーロイン ローラーレンジャーズのリーダー。サーは敬称。
三洲次 元盗賊だった日本男児の侍。発音は「みすじ」。
元接近戦最強の少女。現在は盗賊。すぐキレる。
ロース こんな名前だが細身で美人なエルフの女魔法使い。
ランプ お金一筋のエルフの司教。パーティーの知恵袋。
ブリスケット 日本オタクのエルフの僧侶。あだ名は「ブリ助」。

読了時間 (目安):約8分



前回、5人が転職を完了したローラーレンジャーズ。
これから転職組の経験値稼ぎが始まるのですが......


──── 街外れ....

ロース 「それで、どう進めていくの? ロイン?」
サーロイン 「……サーって付けてくれないのかよ……」
ロース 「え~…サー・ロインって、なんかよそよそしいわ。
 それに、もうロインって呼ぶのに慣れてるし」
ブリスケット 「あっしらの仲ですし、今まで通りで良いんじゃねぇっすか?」
サーロイン 「オーケー、分かった。
 今まで通りでいいよ」
ロース 「で、どうするの?」
サーロイン 「地下10階で経験値を稼ごう!!!」
三洲次 「ちょっ!
 いきなりそれは無謀でしょ?!」
サーロイン 「何を言う!!
 我々には村正があるし、俺は今でもティルトウェイト(最強の攻撃魔法)が使える!!
 覚えているだろ!?
 地下10階の魔物とて、もはや我々の敵ではないことをっ!!
 我々は充分強くなった!!
 ゆえに、恐れを知らず、どんな手強い魔物にも勇猛果敢に挑む、
 そんな我らのモットーは!?」
ブ&ラ&三 「「安全第一!!」」
サーロイン 「………迷宮の中で工事でもするの……?」
三洲次 「あのさぁ、村正があるって言うけど、
 俺はまだ村正で戦ったことないんですよ?!
 村正を使いこなせるまで、もっと安全な場所で修行を積まないと!」
ブリスケット 「あと、全員の素早さが大幅に下がってやすから、
 強敵との戦闘は、甚大な被害を受けるリスクがありますぜ?」
ロース 「それは至極まっとうな意見ね」
サーロイン 「……う~ん…………」
ランプ 「それに、最初の冒険でいきなりバンパイアにでも奇襲されたら、
 前衛でロストする人が出ますよ?」
三洲次 「ちょっ?! それだけは勘弁っ!!」
サーロイン 「……分かったよ………。
 じゃ、一歩譲って、地下9階で」
ブリスケット 「ナイトストーカーやライフスティーラーが居やしたぜ」
サーロイン 「じゃぁ……地下4階のコントロールセンター」
ランプ 「シェイドに遭ったことあります」
サーロイン 「ぇえ~~…?!
 じゃぁ、地下3階?」
三洲次 「俺たちレベル1だから、忍者に奇襲されたら、
 あっさり首を刎ねられますよ?」
ロース 「おまけに生命力が低いから、そのままロストするかもよ?」
サーロイン 地下1階しかないじゃんっ!!!
 ちょっと待てよ!!!
 なんでティルトウェイトも使えるパーティーが、地下1階で戦うのが限界なんだよ?!」
ブリスケット 「まぁ…そう言われると、微妙っすね……」
ロース 「そうね……じゃぁ、いいわ。
 レベル1でのドレインは即ロストだから、これだけは絶対に避けるとして、
 ギリギリ地下3階は?」
ランプ 「まぁ、そこが妥当なラインですかね」
サーロイン 「オーケー、では地下3階で経験値を稼ごう」




....ってな訳で、とりあえず地下3階で経験値稼ぎをします。
稼ぎ場所は、お馴染みの固定戦闘ポイントにしましょう。


では、転職後、最初の地下迷宮へ!!


隊列は....、

 サーロイン(君主)
 三洲次(侍)
 ブリスケット(僧侶)
 桃(盗賊)
 ロース(魔法使い)
 ランプ(司教)

 

....にしました。


ロイン(君主)リーダーであり、前衛職に転職したこともあり最前列へ。

やっぱりリーダーは、先頭に立ってチームを率いるべきですよ!!

.......なんか昔書いたことと正反対なことを書いた気もするが、
気にしたら負けである。


そして、三洲次(侍)前衛職なので、その次に。

3番目は、ブリスケット(僧侶)と桃(盗賊)でちょっと悩んだが、
ここはブリスケットを前に。
「最強の短剣」や「盗賊の短刀」より「力のメイス」の方が、
若干だがダメージが大きいので。

なお、僧侶を前衛にすると、奇襲を受けて麻痺や石化するリスクがあるが、
今はロース(元僧侶)やランプ(司教)が治療できるので、そこは問題無し。


ロース(魔法使い)とランプ(司教)は完全に気分の問題で、
女性がシンガリってのは男としてどうだろう?って、だけです。

いや....、説明書には、3人2列って説明があったので、
先頭とかシンガリとか見当違いなのは分かっているけど、
画面の絵的に......ちょっとね......。


で、隊列が決まったら、次は常駐魔法を。


とりあえずブリスケット(僧侶)が成長するまでは、
今まで通り元僧侶のロース(魔法使い)に唱えてもらう。

さすがスーパー魔法使いを目指すキャラだけあり、
いきなり魔法のスペシャリストとして役に立ってくれてる。
頼もしいぜ!


さて、準備ができたら、
いよいよ地下3階へと向かいます。





─── 地下3階......



地下3階の、お馴染みの玄室前まで到着。
しばく来ていなかったから、なんか懐かしいな。

また、お邪魔しまーす!


バンッ!!     ← 扉を蹴破った音



懐かしい敵のご登場だ!

さて....敵の数が多いが、転職で使用回数が減ったマカニト(Lv7以下の魔物を消す呪文)
ギリギリまで温存したいので、一旦カティノ(催眠魔法)を織り交ぜて倒すことに。


カティノは、転職せずに使用回数が多いランプに唱えてもらう。

いざ!


いきなりランプがカティノを唱えて、侍たちは全員おネンネに!!!

そうか!
ランプは転職していないから、素早さが18のままなので、素早いのかっ!!!

では、前衛による攻撃ですが....


ちょっ!!!

いきなり、本プレイ過去最高の200オーバー!!!

すげぇ!
やっぱり村正ってすげぇよ!!!!


三洲次 「お……俺……、才能あるかも……」
サーロイン 「いきなり……すごいな……」
ロース 「ま、相手は寝てるけどね」
三洲次 「お前……、本当にかわいくないな……」

よーーーしっ!!
この調子で、バンバンと敵を倒していくぜっ!!

次は、ブリスケット!!


おい!!
寝てる相手に外すなよ!!
それでも、元前衛かよ!!

ってか........、



おおおおおぉぉぉいっ!!!

サムライたちが根こそぎ爆睡してるのに、
ブリスケットの攻撃が一発も当たらないよ!!!

どういうこったいいいぃぃっっ!!

さすが魔法職が適職エルフ!!
転職した途端、前衛として全然戦力にならねぇ!!!

ブリスケット 「………………………………」
ロース 「相手………寝てるんだけど………」
三洲次 「どうやったら、一発も当たらないんだ…?」
ランプ 「本当に元前衛だったんでしょうか……?」
サーロイン 「5年間の僧侶の訓練で……、だいぶ腕が落ちたな……」

........隊列間違えたかな?



とりあえず、他の前衛が敵を倒していき....、


.... 危なげなく戦闘に勝利

レベル2に必要な経験値は1,000~1,300なので、
アッという間に半分以上も稼いでしまった


では、次は宝箱を開けましょう。


桃の盗賊としての初舞台です。

三洲次 「桃?大丈夫か?」
「う~…まず、どうすんだっけ?」
三洲次 「お前……訓練所で5年間、何を学んできたんだ……?
 罠を調べるに決まってるだろ……」


「んあ?こうだっけ?(ガタガタガタッ!)」
三洲次 だあああぁぁぁっ!!!
 罠のかかった箱を手荒く扱う奴があるかあああぁぁっ!!!


しらべる」をポチ!



「調べる」だけで、
いきなりいぃぃ??!


桃おおおおぉぉぉぉっっっ!!!


「が………は………おぉ………!」(←麻痺して口も動かせない)
三洲次 「…………………………」
ロース 「はい!ディアルコ!(麻痺治癒の呪文)
 ちょっと、桃!
 いくらなんでも、あれはないでしょ?!」
「はぁ……はぁ………、
 い…、意外と難しいな……」
ブリスケット 「難しいとか以前の問題に見えやしたが…?」
サーロイン 「三洲次、頼むからベテランのお前が、
 ちゃんとサポートに入ってくれないか?」
三洲次 「へい……」


宝箱の中は「小型の盾」。
まぁ、地下3階なら、こんなものか。

さて、いよいよ......、


...良い意味でも悪い意味でも、お世話になってきた固定戦闘ポイントへ。


バンッ!




では、戦ってみましょう。


ランプ、早っ!!!

しかもレベルが高いから、呪文の効きも問題無し!!!

転職してないランプは、ベテランらしい働きをしており、
実に素晴らしい!!

そして、次に動いたのは....


ランプが素早くて助かったわ!!

彼を転職させなかったのは、正解だったな!

サーロイン 「ランプは全然変わってないな」
三洲次 「優秀な能力を維持したままで、助かりましたね!」
ブリスケット 「あっしらも、負けてられませんぜ!!」
サーロイン 「うむ! ブリ助、三洲次!!
 新しい前衛の実力を、見せてやろうじゃないかっ!!





ブリスケット 「…………………………」
サーロイン 「…………………………」
三洲次 「…………………………」
ロース 「……新しい前衛の実力ねぇ………」


2ターン目!


だからランプ、早っ!!!

これ、すごい助かるわ!!!

呪文を封じるモンティノと、ほとんどの敵の動きを封じるカティノを、
両方とも最大回数唱えることができ、かつ一番早く動けるのって、
すごい助かるって!!!

ランプは転職させなくて、大正解だったよ!!!


うーん......ブリスケットは、かつての前衛としての頼もしさが、
まったく無くなってしまったな......。



とりあえず、サーロインと三洲次が1匹ずつ順番に倒していき、勝利

レベル1とは言え装備は強力なので、当たれば......当たればだが......問題無く倒せるな。


では、引き続いて......、


...... 宝箱を。

サーロイン 「三洲次、さっき言ったように、ちゃんと桃をサポートしてくれ」
三洲次 「はいはい。
 じゃぁ、桃。罠の調べ方を教えるからな」
「カルフォ(罠識別の呪文)でいいじゃねぇか……」
三洲次 「今後のためにも、早く技術を身に付けてくれよっ!!」
「ぅ~~……」
三洲次 「いいか?
 まず、軽く箱を叩く。軽く…だぞ?
 それで高い音色の金属音がしたら、罠は『警報』だ」
「なんでだよ?」
三洲次 「音が鳴る形で金属を使った罠は、警報だけだからな」
「鎧とかの音かも知んねぇだろ?」
三洲次 「いいところを突くな。
 でもな、武器や防具は大抵 布や麻に包まれてるから、音が低音なんだ。
 まぁ、音の違いは、数をこなして覚えてくれ」
「む~~…」
三洲次 「次に、箱の上蓋と本体との隙間に、この薄い金属の板を入れて中を調べる。
 訓練所でもらっただろ?」
「……まぁな」
三洲次 「板を挿れてスライドさせ、紐がひっかかったら、それは爆弾系の罠。
 ゴムがひっかかったら、それは石弓の矢だ。
 とは言え、紐とゴムを感触で区別するのは、場数がいるけど」
バカが居るだとおっ?!
三洲次 ば・か・ず!!
 ちゃんと話しを聞けって!!
 これらの罠は、金属の板のこっち側の端にある刃の部分で、紐やゴムを先に切ってしまえば解除できる。
 ただ、切ろうとして間違って引っ掛けてしまうと、紐やゴムが伸びて罠が作動してしまう。
 爆弾の暴発は、この切断時のミスが一番多いんだ」
「なんか面倒臭くなってきた…」
三洲次 「早いなぁ! いいから、聞けって!!!
 爆弾には、通常の爆弾とガス爆弾があるよな?
 どうやって見分けると思う?」
「開けて見てみる」
三洲次 んな訳あるかああぁぁっ!!!
 お前、訓練所で何を学んで来たんだぁあっ??!
 いいか!? 爆弾とガス爆弾の区別も、箱を叩いて調べるんだ。
 爆弾は爆薬が底にあるから音がこもるが、
 ガス爆弾は気体で軽いから、叩いた音も軽いんだ」
「んなもん、宝の中身で変わるだろ?」
三洲次 「お前、ちょいちょい突くとこ突くな……。
 実は浅い階は爆薬の量が少ないから、意外と区別が難しいんだよ。
 逆に深い階ほど量が多いから、むしろ音がハッキリとこもるんだ。
 ほら、俺って地下10階の方が、爆弾の識別は正確だったろ?」
   
サーロイン 「なんか……聞いてると、思ったよりは論理的だな……」
ロース 「もっと勘に頼ってやってるのかと思ってたわ……」
   
三洲次  ……………………
 ………………
   …………
   ……

そして、三洲次の講義が一通り終わると....、

三洲次 「じゃ、やってみようか」
「むぅ~…」


「えぇと…………、ん~~…………、
 ぬ~~……………、ぐむむ……………」
三洲次 「…………………………」


もう、いいや!!
 罠は無いっっ!!!
三洲次 今、『もう、いいや』って言ったかっ?!!
うっせぇなぁっ!!!!
 無ぇって言ったら、無ぇんだよっ!!!
三洲次 適当な判定するなよっ!!!
なんだぁ!?文句あんのかぁっ!?
三洲次 あるよっ!!!
がるるるるるるっっ!!
三洲次 うぅ~~~~~っっ!!
ランプ 「犬かよ……お前ら……」
   
サーロイン 「ランプ、カルフォで調べてくれないか?」
ランプ 「では……、カルフォ!!



三洲次 「…………………………」
「…………………………」
三洲次 ほら見ろ!!!
 罠がかかってるじゃないかっ!!!
「カルフォってさぁ、5%の確率で間違えんだろ?」
三洲次 お前が間違える確率の方が、絶対高いわっ!!
 ガス爆弾だから、さっき教えたみたいに、紐を切るんだよ!!
「うっせぇなぁ………(スルスル……)、
 紐なんて無かっ……あ!
三洲次 『あ!』じゃねぇよっ! ! !
「お……おかしぃなぁ………」
三洲次 「いいから、その紐を切れって!!」
「むぅ~……。
 これを……切ると……」



「えいっ!」


「お! 開いた!
 うーしっ! あたい、すごい!」
三洲次 「………『罠は無い』とかほざいてた奴が、
 何を言ってるんだ………」
ブリスケット 「あやうく、全員毒にやられるとこでしたぜ……」
サーロイン 「で? 何が入っていたんだ?」
「あたいが頑張って開けたんだ!!
 『切り裂きの剣』ぐらい入ってただろ!?
ランプ 「えぇと……………」


なまくらな剣


「…………………………」
三洲次 「…………………………」
サーロイン 「ま、そんなもんだろう。
 次、行くぞ」


....桃のダメっぷりから、今後にすごい不安を感じるのだが......。




──── 固定戦闘ポイント(2回目)


本日2回目は、レベル5メイジ3人。

で、戦闘を開始した途端、いきなり....


ランプ、やっぱり早っ!!!
1人は転職させないで残しておいて、本当に正解だった。

呪文を封じたので、後は前衛の打撃だけで十分でしょう。
ブリスケットの攻撃は相変わらず全然当たらないが....、


サーロインと三洲次の2人で全員倒し、被害無く勝利!

で......、


....問題の宝箱だ。

三洲次 「じゃ、桃。調べてみようか?」
「ぅ~~…………………」

ただ、今回の宝箱......、
問題があったのは桃........ではなく
プレイヤー自身であった!!

この時、地下10階を探索していた頃のが出て、
最初に『カルフォで調べよう』としてしまったのだ。

でも、今は転職後で呪文回数も限られており、
なるべく盗賊を使った方が良いため、
慌てて「あぁ、違う、違う」と、キャンセルボタン連打したら、
ボタンを連打し過ぎて......、


....そのまま宝箱のシーンを抜けてしまった........。


おぅ........。


なんか俺って、この手の『以前の操作の癖』が出て、失敗をするケースがあるな。

過去にも、メインパーティーから救助隊に切り替えた時に、
盗賊の位置が変わっていて、間違ったキャラに「調べる」をさせたことがあったし....。
(参考)第42話「タイムショック作戦」


こういうのって、ゲーム内の世界だと、
どういうことが起きているんだろうか......


「むぅ~…………、ん~~…………」
三洲次 「…………………………」
「…………ぅぅぅ…………???
三洲次 「…………………………」
ええええぇぇいいいっっ!!!
 こんなものがあるから
 罠の解除が絶えないんだああああぁぁっっ!!!(ポーーイ!
三洲次 だあああああぁぁぁっっ!!!
 宝箱を投げ捨てやがったああああぁぁっっ!!!
   
サーロイン 「………………………………」
ランプ 「………こんなんで………やっていけますかね………?」



張り切って転職し、生まれ変わったパーティーで冒険を再開したけど......、

前衛3人、さらにはプレイヤー自身と........、

全方位で不安しかない幕開けであった........。

 

「67.混迷渦巻く修行」へ



名前 LV H.P. コメント
サーロイン 1 102 8 8 5 8 8 9 0 0 攻撃が当たらねぇ…。
三洲次 1 153 8 8 5 8 8 9 1 3 村正が当たらねぇ…。
1 141 8 8 5 8 8 9 0 0 罠の判定が当たらねぇ…。
ロース 1 142 7 10 10 6 9 6 0 2 彼女は役に立ってる。
ランプ 17 81 18 18 17 16 18 12 0 8 彼はメチャクチャ役に立ってる。
ブリスケット 1 133 7 10 10 6 9 6 1 4 何一つ役に立ってない。

 


【更新履歴】
2021年 7月 3日:読むのにかかる所要時間(目安)を掲載しました。
2020年 3月29日:呪文名に意味を追記。次ページへのリンクを設定。
2020年 3月22日:新規公開。