69.三洲次と桃
【登場人物】 | |
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サーロイン | ローラーレンジャーズのリーダー。サーは敬称。 |
三洲次 | 元盗賊だった日本男児の侍。発音は「みすじ」。 |
桃 | 元接近戦最強の少女。現在は盗賊。すぐキレる。 |
ロース | こんな名前だが細身で美人なエルフの女魔法使い。 |
ランプ | お金一筋のエルフの司教。パーティーの知恵袋。 |
ブリスケット | 日本オタクのエルフの僧侶。あだ名は「ブリ助」。 |
読了時間 (目安):約12分
──── ギルガメッシュの酒場 早朝
ロース | 「おはよ~…」 |
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サーロイン | 「おはよう。ふぁあ~~……」 |
ロース | 「どうしたの? 大きな欠伸なんかして?」 |
サーロイン | 「え……? あぁ……ちょっと昨晩、夜更かししてて……」 |
ロース | 「ふ~ん…、あなたが寝不足って珍しえ?!」 |
サーロイン | 「ど、どうした?」 |
ロース | 「こんな朝早くから、なんで桃と三洲次がバックヤードに居るのよ?! 嵐でも来るんじゃないの?!」 |
サーロイン | 「三洲次の実力がまだまだだから、桃が早朝特訓に付き合っているんだ」 |
ロース | 「へぇぇ……」 |
........ 酒場のバックヤード ........
桃 | 「あのな、日本刀はこっちの剣と違って刀身が薄いから、 刀筋を立てないと使い物にならねぇんだ」 |
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三洲次 | 「刀筋を立てる?」 |
桃 | 「刃の方向と力の方向を揃えて、敵に垂直に当てんだよ。 そうすれば、刀の『一番厚さのある部分』が『一番力が入った状態』で敵に当たるから、 一番破壊力が出るんだ」 |
三洲次 | 「でも、敵って動き続けてるから、そんな風に斬り続けるなんて、無理じゃね?」 |
桃 | 「基礎もできてねぇ奴が、ゴチャゴチャ言うんじゃねぇよっ!!! トンカチの使い方も知らねぇ奴が、まともな家や城なんて建れるかっ??! とにかく、まずは太刀筋の練習からだぁっ!! 最初は唐竹斬りぃっ!」 |
三洲次 | 「か、からあげ?」 |
桃 | 「誰がいつ喰いもんの話しをしたああぁぁっ!! 敵を上から一刀両断にするんだよっ!!」 |
三洲次 | 「は、はいっ!」 |
桃 | …………………… |
三洲次 | ……………… |
………… | |
…… |
ロース | 「賑やかを通り越して、うるさいレベルの指導ね……」 |
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ブリスケット | 「お互いの職業が逆んなったんで、師弟も逆ってぇ訳っすね」 |
サーロイン | 「なかなか面白いコンビだよな、あいつら」 |
ランプ | 「命がかかってるから、面白いとかで済まさないでほしいんですが……」 |
さて、今回も地下3階で経験値稼ぎをします。
──── 地下3階
稼ぎポイントは、例の固定戦闘ポイント。
そこに続く最初の玄室のドアを蹴破ると....、
....出てきたのはカピバラ。
慌てふためいて逃げ出すカピバラを、容赦なく切り刻むローラーレンジャーズ。
こいつらって、本当に善のパーティーなのだろうか......?
とりあえず敵を蹴散らし....、
....最近問題の宝箱へ。
三洲次 | 「どうだ?」 |
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桃 | 「う~ん……紐が2本ある……」 |
三洲次 | 「(コンコン…)この軽い音なら……」 |
桃 | 「ガス爆弾か…?」 |
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三洲次 | 「うん……、それっぽいな。 よし!いってみよう!」 |
桃 | 「む…………うりゃ!!」 |
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桃 | 「うーしっ!」 |
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三洲次 | (……もしかしたら……こいつ……!!) |
桃 | 「どうだ?」 |
三洲次 | 「そうだな…、そろそろ俺の指導も要らないかな?」 |
桃 | 「ま、この天才盗賊のあたいに、後は任せんだな!」 |
三洲次 | 「………そう言われると、やっぱり不安なんだが………」 |
次は固定戦闘ポイント。
こちらの先制となる。
桃 | 「ほら!ちょうど狙いやすい状態だ! あたいが教えた通りに、やってみろ!」 |
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三洲次 | 「よし! うりゃああああぁぁぁっっ!!!!」 |
サーロイン | 「おぉ!久しぶりに、3桁のダメージが出たな!!」 |
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三洲次 | 「ふぅ…」 |
桃 | 「まぁまぁだな」 |
三洲次 | 「お前の要求レベル……高そうだな……」 |
サーロイン | 「三洲次の指導は、このまま桃に任せて良さそうだな」 |
先制中にスピリットを倒し....、
....残ったのはガーゴイルだけなので、ひたすら叩っ斬って殺す。
そして....、
.... 宝箱。
三洲次 | 「では、調べ…」 |
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桃 | 「もう、あたいを信用して、任せろって」 |
三洲次 | 「じゃぁ、黙ってるぞ」 |
三洲次 | (……こいつ『無い』ばっかじゃん!) |
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桃 | 「じゃ、普通に開け…(バシュッ!)」 |
ロース | 「ちょ……あ………や………」 |
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桃 | 「あ……ロース、悪ぃ………」 |
三洲次 | (……やっぱり………) |
次。
せっかくだからロースにも、そろそろ魔法使いらしい仕事をしてもらおうか。
余裕!
うん。
今後は機会があれば、ロースにも攻撃魔法で活躍してもらおう。
そして、戦闘に勝利したら....、
.... 次は宝箱である。
さて、今回の桃の活躍は、Aボタンを押すごとに、
完全ノーカットでお送りします。
はい!
質問や意見のある方?!
「調べたんだから『罠はかかっていない』だろ?
画面写真が間違ってる!」
「これって2つの画面写真のあいだに、『罠を外す』が抜けてるだろ?
どこがノーカットだよ!」
えぇ、みなさん。
言いたいこと.....分かりますよ。
俺だって一瞬、リアルに「は?何が起きた?」と思いましたよ。
だって、罠を外すプロセスが消し飛んでいるのだから!!!
「時間」は消し飛び、「結果」だけが残る!!
さすがウィザードリィ!!!
実はJ○J○のスタンドまでも登場させていた......訳ねぇだろ。
桃 | 「えぇと……罠は………おっと(バカッ!)」 |
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三洲次 | 「え?!」 |
ロース | 「きゃああぁぁっ!! また、調べただけで、蓋が開いたわあぁっ!!!」 |
ランプ | 「うわあああぁぁぁっ!!! 爆弾かあぁっっ?!!毒ガスかああぁっ?!!!」 |
ブリスケット | 「……………………ん?」 |
サーロイン | 「………何………も………起きない……?」 |
桃 | 「あ………罠、無ぇや……」 |
三洲次 | 「はぁ?!」 |
つまり、調べただけで罠が発動したけど、
そもそもその罠が無かった......ということらしい。
罠は無いけど、調べただけで罠が動き出す、ってあるんだ。無いけど。
......なんか自分でもよく分からない文になった。
まぁ、おかげで被害無し。
桃 | 「ラッキーだったな!」 |
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三洲次 | 「俺……罠が無いのに罠に引っかかった奴……はじめて見たぞ……」 |
ランプ | 「下手とか、そういう次元じゃないですよ……もう、これ………」 |
マジで....桃は盗賊として、大丈夫なのだろうか....?
とりあえず、次の戦闘へ。
三洲次 | 「ぐわあっ!!」 |
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三洲次 | 「ぎゃあっ!!」 |
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三洲次 | 「ふんぬぅっ!」 |
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ロース | 「三洲次って……誰かさん以上に奇襲に弱いわよね……」 |
ブリスケット | 「誰のことっすか?」 |
ロース | 「ねぇ、ロイン? 三洲次はもっと鍛えるべきだわ。これじゃ、奇襲に弱すぎ…」 |
サーロイン | (毒) |
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ロース | 「あなたもよっっ!!!」 |
かつての救助活動中の悪夢が蘇るような大群での奇襲だったが、
さすがにこれだけH.P.があると、
もうこの階の奇襲は、あんまり怖くないかな。
しかし、集中攻撃されやすい三洲次、
攻撃が全然当たらないブリスケットと....、
本当に頼りない前衛たちである......。
とりあえず 反撃。
情けない前衛とは正反対に、ランプの頼りがいのあること!あること!
いきなりマカニト(Lv7以下の魔物を消す呪文)!!
素早いランプのおかげで、低レベルのメンバーばかりなのに、
本当に不安なく戦闘ができる!!
さて....、
....宝箱。
三洲次 | 「じゃ……」 |
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桃 | 「ちっ、ちっ、ちっ……。 もう、天才盗賊のあたいに任せなって!」 |
三洲次 | (さっきもそう言って、調べただけで罠が発動したばかりなのに……) |
桃 | 「ぐほっ!………が………は………」 |
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三洲次 | 「またかっ?!! また、調べただけで罠が暴発したかっ!!! お前、どんだけ調べるの下手くそなんだよっ!!!」 |
桃 | 「……お………ご………ほ………」 |
罠を「調べる」の失敗、3連発っ!!!
マジかよっ?!
おい!
いくらんなんでも「調べる」での失敗が多過ぎないかっ?!!!
戦闘は問題無い。
問題は宝箱だが......、
ダメだ!!!
桃!!!
こいつ、盗賊の才能まったくねぇ!!!!
ブリスケット | 「ごはっ!…い…いくらなんでも…、ひど過ぎでっせ!!」 |
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ランプ | 「ぐはっ!…いい加減に……こほっ…して下さいよっ!!」 |
三洲次 | 「桃おおぉぉっっ!! お前、どんだけ調べるの下手クソなんだよおおぉぉっ!!!」 |
桃 | 「…………ぅ~…………」 |
ロース | 「ラツモフィスが切れたわ」 |
ランプ | 「私も、あと1回だけです」 |
三洲次 | 「一応、今も毒消しの薬は持ち歩いてますが、3個までですよ?」 |
サーロイン | 「う~ん……またガス爆弾にかかったりするとやばいから、 もう城に戻るか?」 |
ブリスケット | 「マジっすか? 地下に下りて来て、まだそんなに経ってねぇですぜ?」 |
ランプ | 「攻撃呪文はまだたくさん使えるのに、もったいないですね……」 |
桃 | 「…………………………」 |
サーロイン | 「そうだなぁ……じゃぁ、宝箱無しでも経験値が稼げる、 地下4階のコントロールセンターで戦うか? そこなら、もっと安全に修行できるだろう」 |
桃 | 「……………………」 |
ってな訳で、戦場をコントロールセンターへ移し、
警報を鳴らしては敵を倒していくことにした。
──── 地下4階 コントロールセンター
戦闘開始とともにランプが敵を一掃してくれるので、楽勝である。
もうランプ様々ですよ!!
それに、そのランプの呪文が数少なくなってきても、
他のメンバも攻撃呪文をいろいろ使えるし....、
....呪文を使うまでもない敵は村正で一撃だし、
もう楽勝、楽勝!
前衛3人は攻撃と呪文の両方ができて便利だし、
後衛も攻撃呪文を幅広く使えるので、戦闘はまったく問題無し!!
って言うか、宝箱が無いと、なんと快適な修行なことかっ!!
まぁ、つまり、盗賊の桃だけ、もう何の役にも立ってない訳だが......。
サーロイン | 「うむ、順調だな」 |
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ランプ | 「戦闘だけにしたら、一気に修行が快適になりましたね!」 |
ロース | 「この階の魔物なんて、もう私たちの敵じゃないわよ!」 |
ブリスケット | 「ランプはんやロースはんばかりに手柄は取らせませんぜ! あっしも、ここでメイスの腕前を上げますぞ!」 |
サーロイン | 「では、攻撃呪文を使い切るまで、このままここで修行をしよう!」 |
ブ&ロ&ラ | 「「おぉ!!」」 |
桃 | 「………………………………」 |
三洲次 | 「……………………」 |
………………………………
………………………
………………
………
…
.
地下4階の修行から戻ってきたら、
パーティーメンバーが続々とレベルアップ!!
●サーロイン(君主)
なかなか良い成長ぶり。
やっとマニフォ(麻痺魔法)やモンティノ(魔法封じの呪文)を習得。
●三洲次(侍)
全能力がアップ!
やるな!
●桃(盗賊)
重要な生命力が落ちてしまったが、
まぁ、盗賊としては悪くない内容かと。
彼女は、転職後は全体的にボチボチな成長ぶりだなぁ。
●ロース(魔法使い)
なんか気付かない間に、知恵がもう17になっていた。
転職組の中では、一番成長ぶりが良いかも。
まぁ、モグレフ(防御力アップ呪文)だけいまだに覚えてないけど....。
モグレフってレベル1呪文だぜ?
使わないから 別にいいけどさ....。
●ブリスケット(僧侶)
続々と能力アップ......力以外は.......。
かつての前衛の頼もしさは、いったいどこへ....。
あと、レベル4呪文も習得し始めたが、誰かさんのことがあるから、
ラツモフィス(解毒呪文)を先に覚えてほしかったなぁ...。
●ランプ(司教)
分かってる。
………………………………
……………………
…………
……
その日の夜 遅く........
──── ギルガメッシュの酒場
桃 | 「………う~…………ぅいっく………」 |
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三洲次 | 「珍しいな……桃が一人で飲んだくれてるなんて」 |
桃 | 「あ~~っ?! うっせぇなぁ!……あっち行けよっ!!」 |
三洲次 | 「よいしょっと」 |
桃 | 「なんで座んだよっ!! 一人で飲ましてくれよっ!!……ぅ~……」 |
三洲次 | 「……………………」 |
桃 | 「……う~………なぁ、三洲次ぃ! ………職業変わってくれよっ!!」 |
三洲次 | 「なんだ?盗賊をやっていくのが、イヤになったのか?」 |
桃 | 「あたいにゃぁ、向いてねぇんだっ!! どうせ、あたいはダメダメなんだ!!! もう……誰も……あたいの腕なんて、信用してねぇんだっ!!! あたいなんて居いない方が、皆のためなんだっ!! てめぇもそう思ってんだろっ?!!」 |
三洲次 | 「………………………………」 |
桃 | 「…………ぅ~…………」 |
三洲次 | 「なぁ………、この迷宮に潜り始めた頃さ………、 俺が爆弾の罠を外す時に、お前は真っ先に壁の陰に隠れてたよな? その時……、俺がどんな気持ちで罠に向かっていたか………、今なら分かるだろ?」 |
桃 | 「……!」 |
三洲次 | 「あの頃……、俺が罠の解除に失敗すると、みんなが文句を言い、罵声を浴びせてきた。 …………正直、ものすごく悔しかった…………」 |
桃 | 「………………………」 |
三洲次 | 「逆に罠の解除に成功した時には、誰も褒めてなんてくれなかった。 ロインだけは一言声をかけてくれてたけど、 他は誰一人俺に声なんてかけず、すぐに箱の中の宝物に夢中になっていた。 ずーっと、それの繰り返しだった」 |
桃 | 「………………………」 |
三洲次 | 「他の皆は、強力な魔物を倒したら褒め称えてもらえる。 大量の敵を一掃したら、その仕事ぶりを絶賛してもらえる。 でも………俺だけは違った…………」 |
桃 | 「………………………」 |
三洲次 | 「俺にかけられる声は………、 失敗した時の罵声だけだった………」 |
桃 | 「………………………」 |
三洲次 | 「今だから言うが………虚しかった………悔しかった………、 ……なんで俺だけ、こんな扱いなんだ………って……」 |
桃 | 「………………………」 |
三洲次 | 「………………………………」 |
桃 | 「………………………」 |
三洲次 | 「だからさ………、桃を見ていたら……、 桃もきっとすごく悔しくて、つらいんだろうな……って、思ってさ。 それで気になって………来たんだ」 |
桃 | 「………………………………」 |
三洲次 | 「皆に迷惑ばかりかけてるとさ………、 仲間から見限られるかも、って思えてきてさ………、 …………つらいよな…………」 |
桃 | 「………………ん…………」 |
三洲次 | 「だよな………、俺もそうだったよ………」 |
桃 | 「………………………………」 |
三洲次 | 「………………………………」 |
桃 | 「………………………」 |
三洲次 | 「でもな………………」 |
桃 | 「…………?」 |
三洲次 | 「………別にそれは、俺や桃だけじゃないんだ。 盗賊はな……みんな、そうなんだよ」 |
桃 | 「………………………」 |
三洲次 | 「誰もが、盗賊は『どんな罠でも解除できて当たり前』と思っているんだ。 だから、罠を間違えたら、文句を言われる。 罠を解除するのに失敗したら、怒られる。 でも、罠をちゃんと解除しても、誰も褒めてくれない。 解除できて当たり前………と思われてるからだ。 罠の解除に、100%成功なんて無いのに………」 |
桃 | 「………………………」 |
三洲次 | 「怒られることはあっても、褒められることはない。 それが『盗賊』という職業なんだ」 |
桃 | 「………………………」 |
三洲次 | 「盗賊全員が背負わなければいけない……『性(さが)』なんだ」 |
桃 | 「………………………」 |
三洲次 | 「だからな………、桃…………」 |
桃 | 「………………………」 |
三洲次 | 「……………………………」 |
桃 | 「………………………」 |
三洲次 | 「………桃は、別に悪くないんだよ」 |
桃 | 「…………………………………………」 |
三洲次 | 「………………………」 |
桃 | 「でも………あたいは……、三洲次みてぇに才能なんて無ぇから………」 |
三洲次 | 「お前、いまレベル8だったな?」 |
桃 | 「あ?」 |
三洲次 | 「罠を間違えた時に失敗するのは当たり前として……、 罠が正しかった時に、解除に失敗したのって……お前これまで何回あった?」 |
桃 | 「失敗が多すぎて、覚えてねぇよ……」 |
三洲次 | 「逆だよ」 |
桃 | 「は? え?」 |
三洲次 | 「お前、これまで失敗したことないぞ」 |
桃 | 「へ?!」 |
そう!!
実は桃は正しい罠の解除だけは、なんと全て成功しているのである!!
盗賊の罠解除のパターンは、ほぼ下記の4パターン。
(A) | 罠を調べる → 失敗して罠が暴発 |
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(B) | 罠を調べる → 罠を間違える → 罠を解除 → 間違った罠の解除で失敗 |
(C) | 罠を調べる → 罠を正しく判定 → 罠を解除 → 解除に失敗 |
(D) | 罠を調べる → 罠を正しく判定 → 罠を解除 → 解除に成功 |
で、桃の失敗って、全部 (A) か (B) だけなんです!
つまり桃のミスは全部「調べる」だけ!
(C) のパターンの失敗を、これまでしたことないんですよ!!
これまで、罠の解除シーンをいろいろ書いてきましたが、
これまでに紹介してこなかった宝箱では......、
....などなど、正しく罠を判定した挙句、
なんと全ての罠の解除に成功してきていたのです!!
もはや奇跡!!
三洲次 | 「レベル8になるまでに、正しい罠の解除を一度も失敗したことがない盗賊なんて、 これまで聞いたことないぞ。 俺だって、スタナーだけで何度失敗したか……」 |
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桃 | 「………………………」 |
三洲次 | 「そういや、そん時にお前『面倒くせぇ、ロストさせてやる!』とか言って襲いかかって来たの、 今でも覚えてるからなっ!」 |
桃 | 「あ~~………や~~………」 |
三洲次 | 「………………………………」 |
桃 | 「………………………」 |
三洲次 | 「なぁ………、桃?」 |
桃 | 「………………………」 |
三洲次 | 「世間の盗賊なんて、罠を正確に当てても、何十回も解除に挑戦したら、みんな一度は失敗するもんだ。 経験が浅いんだから、まぁ、それが普通だよ。 でもな……、レベル8になるまで、解除に一度も失敗しなかった盗賊なんて、実は世の中に居ないんじゃないか? なのに、桃はそれをやってのけてるんだ」 |
桃 | 「………………………」 |
三洲次 | 「才能が無ければ、できないことだよ……それって」 |
桃 | 「………………………」 |
三洲次 | 「他のメンバーはどこまで気付いてるか知らないけど、 俺は元盗賊だし、側でずーっと見てきたからな。 だから気付いてたよ……俺が見てきた盗賊の中で、 桃……お前は最高の腕を持った盗賊だって。 だからもっと自信を持てって!!」 |
桃 | 「……………………………………」 |
三洲次 | 「……………………………………」 |
桃 | 「………………三洲次?」 |
三洲次 | 「ん?」 |
桃 | 「…………ありがとうな」 |
三洲次 | 「あ~~……、えーー……、 桃にお礼を言われることがあるなんて……、なんて言うか……」 |
桃 | 「おかげで……、気持ちが軽くなったよ……」 |
三洲次 | 「……………良かった。 もしそうなら、ここに来たかいがあったよ。 じゃぁ、明日からも頑張れるな?」 |
桃 | 「なぁ、三洲次? 明日からもサポートしてくれないか?」 |
三洲次 | 「横に居て、うるさく感じなければ」 |
桃 | 「な!頼むよっ! あたいの傍で教えてくれよっ!!」 |
三洲次 | 「あ……あぁ……、分かった。 ま、その……明日も早いから、俺は帰るけど、 お前も適当に切り上げろよ」 |
桃 | 「また明日な!頼んだぞ!!」 |
三洲次 | 「あぁ………じゃ、また明日……」 |
桃 | 「……………………………………」 |
………………………………
……………………
…………
……
…
名前 | 職 | LV | H.P. | 力 | 知 | 信 | 生 | 早 | 運 | 吸 | 死 | コメント |
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サーロイン | 君 | 7 | 108 | 12 | 11 | 11 | 11 | 12 | 11 | 0 | 0 | バランス型の成長だが、飛び抜けた能力も無い。 |
三洲次 | 侍 | 7 | 159 | 12 | 9 | 10 | 11 | 12 | 12 | 1 | 3 | 彼が一番成長ぶりが悪いかも。 |
桃 | 盗 | 8 | 148 | 13 | 14 | 11 | 11 | 13 | 13 | 0 | 0 | 転職組で一番力がある。やっぱり前衛向きだ。 |
ロース | 魔 | 8 | 149 | 12 | 17 | 16 | 11 | 15 | 8 | 0 | 2 | 1人だけ驚異的な成長を遂げてる。 |
ランプ | 司 | 17 | 81 | 18 | 18 | 17 | 16 | 18 | 12 | 0 | 8 | 最高速での攻撃が、本当に頼りになってる。 |
ブリスケット | 僧 | 8 | 140 | 9 | 15 | 13 | 10 | 11 | 10 | 1 | 4 | 相変わらず魔法使いかと思う能力。 |
…………
……………………
??? | 「てやあああぁぁぁっっ!! む! こ、これだっ!! で………できたぞっ!! やはりこれは、着ている者の力とスピードを瞬間的に増幅させて、 驚異的な力を繰り出すことができるようになるんだ!! 俺はとうとう、こいつの力を引き出すことに成功したぞぉぉぉっ!!!」 |
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【更新履歴】
2021年 7月 3日:読むのにかかる所要時間(目安)を掲載しました。
2020年 4月19日:次ページへのリンクを設定。
2020年 4月12日:新規公開。