37.青は藍より出でて藍より青いか?

【登場人物】  
三洲次 元盗賊だった日本男児の侍。発音は「みすじ」。
トライチップ 悪パーティーのリーダーを務める悪徳神官。
テール 金の為にはあらゆる悪事を躊躇わない悪徳司教。
心々 人々を護ることを志す用心棒チームのリーダー。
沙賀里 用心棒チームの1人。心々の幼馴染の変な巫女。
ネック 冒険に巻き込まれた気弱な呪文マニアのエルフ。

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━━━━ ギルガメッシュの酒場
     店の片隅で...

テール 「ご神官様、新しい悪事を考えて参りました」
トライチップ 「考えて来るのはいいが、先生を蘇生しなきゃならんのだから、
 ただ稼ぐのではなく、早く、そして沢山稼げる悪事にしてくれ」
テール 「はい、その点、重々承知しております。
 そこで今回は、絶対にこれまで以上に稼げる悪事を考えて参りました」
トライチップ 『絶対に』だな!?
テール 「はい、『絶対に』、『これまで以上に』…です!」
トライチップ その言葉、忘れるなよ!!
 もし間違っていたら、今回こそ打ち首にするからなっ!!
テール 「どうかご安心下さい。
 今回は完璧でございます」
トライチップ 「じゃあ、なぜ稼げるのか?…も含めて、説明をしてもらおうか」
テール 「はい。
 今回の悪事は『ブルセラ・ショップ』でございます」
トライチップ 「サラッと未知の単語を出すの止めてくれる?」
テール 「知らない単語がありましたか?」
トライチップ 「『ブルセラ・ショップ』って何だよ?」
テール 「おや…?
 『ブルセラ』をご存知ない?」
トライチップ 「知らん」
テール 「では、ご説明致しましょう」

 

天使には階級があり、その中で最上位の天使は『セラフ』(熾天使)と呼ばれている。

このセラフ達の中には、目の冴える様な青色の衣を纏った美しい女性の天使達がおり、
彼女たちはその鮮やかな青さから『ブルー・セラフ』……略して『ブルセラ』と呼ばれていた。
その美しさは筆舌に尽くし難く、数多の天使や人間たちを魅了し、多くの者が彼女達を求めたほどであった。

しかし、一部のセラフは天界で過ちを犯し、かつてのルシファーの如く地獄に堕とされた。
そしてその中には、ブルー・セラフ達も含まれていた。

地獄の沙汰も金次第……ブルー・セラフ達は地獄で生き抜くため、金を工面しようと思案していた。
すると大勢の鬼や悪魔たちが、その美しい肢体に密着した青い衣を求め、大金を出すことに気付いた。
そこでセラフ達は青い衣を一度身に付け、それを売って金を稼ぎ、生き抜いたのであった。

現代でも女性が着ていた服を売る店を『ブルセラ・ショップ』と呼ぶが、
名前の由来がこの神話に基づくことは大変有名である。

─── 珍明書房『天使たちの後光』より


トライチップ 「嘘くせぇ……」
テール 「気のせいです」
トライチップ 「マジで…?」
テール 「事実、天界から追放されたセラフの一部は、例のル'ケブレスの迷宮にも逃げ込んでいるそうです」
トライチップ 「いや、そっちじゃなくて、そんな変な性癖の奴なんているか?」
テール 「このリルガミンにブルセラ・ショップは無いですが、
 遠いアジアの国などには存在するらしいので、我が国にも潜在的には需要があると思われます」
トライチップ 「ホントかよ……」
テール 「どちらにせよ、今回は『ブルセラ・ショップ』でいきますぞ」
トライチップ 「しかも、それで儲かるの?」
テール 「儲かりますとも!
 想像して下さい!
 例えば皮の鎧の売値は通常100G.P.でございますが、
 それが若くて美しい女性が装備していた物だったら、120G.P.でも買いたいと思いませんか?」
トライチップ 「帯じゃなくて?」
テール 「帯…??」
トライチップ 若くて美しい女性の装備と言えば、はやり帯だろ!!
 腰に巻いた帯を引っ張るのは極上の行為!!
 その時の『ア~レ~』という声こそ至高!!
 逆に言やぁ、帯以外に興味など無い!!
 あと、帯を付けてない女にも興味は無い!!
テール 「そんな性癖の人の方がいない気がしますけど……?」
トライチップ 「ここにおる。
 ってな訳で、帯じゃないなら、その皮の鎧は100G.P.だ」
テール 「話しが進まないので、一般論で進めさせて頂きます」
トライチップ 「そんなマイナーだった?」
テール 「一般的には、先のブルセラの神話にもある通り、
 若くて美しい女性が肌身に付けた物ならば、通常より高く売ることができます。
 つまりどうせ売るならば、若い女性が身に付けた物を売ることで、普段より多く稼げるのです!」
トライチップ 「待て、待て。
 仮にそうだとしても、疑問点が2つある」
テール 「何でしょうか?」
トライチップ 「1つ目。
 女性が身に付けていた品物なんて、どこからどうやって手に入れるんだ?」
テール 「我々のパーティーに2人おるではないですか」
トライチップ 心々と沙賀里のこと?!
テール 「はい」
トライチップ 装備を売ったら戦闘に支障が出るだろ!!
 論外だ、論外っ!!!
テール 「ご安心下さい。
 そこはちゃんと考えてございます。
 代わりの装備を手に入れれば良いのです」
トライチップ 「まさか……(汗)
テール 「迷宮に行けば、タダで装備が手に入ります。
 そしてこれまで装備していた品物を売れば、利益率100%で金を手にすることができます」
トライチップ なんでどんな悪事も迷宮へ行くことになるの?!
 おかしくない!?
テール 何を仰ってるのですか!!
 元はと言えば、ご神官様が迷宮を冒険したという事実を作るためで、
 そこで金を稼ぎたいと仰ったのは、ご神官様自身でしたぞ!!
トライチップ いや……まぁ……そうだったかも知れんけど……」
テール 「それよりも、もう1つの疑問は何でしょうか?」
トライチップ 「2つ目。
 店はどこに開いて、客をどうやって集めるんだ?」
テール 「どうぞご安心下さい。
 その点もちゃんと考えてございます」
トライチップ 「アイデアがあるんだな?」
テール 「はい。
 自分たちで店を運用していては迷宮に入る暇が無くなりますので、
 店はボルタックに任せて、我々は迷宮に入り続けます」
トライチップ まさかの丸投げ!!
テール むしろ我々が売り手になり、ブルセラ・ショップとなったボルタック商店へ売れば良いのです!!
トライチップ 待て!待て!待て!!
 ボルタックをその手の店にするなんて、実現性が無さ過ぎるだろ?!
テール 「ご安心下さい。
 このテールに抜かりはございません」
トライチップ さぁ、抜かりの始まりだあっ!!
テール 「悪事とは文化です」
トライチップ なんかテキトーな格言が出てきましたあっ!!
テール 「悪事とは常に時代を切り拓いてゆくもの。
 現行の法律の裏をかき、既存の常識を塗り替え、未知の市場を開拓する……、
 この様に絶え間なく変化し、新しい社会の影を創造していくもの……それこそが悪事でございます」
トライチップ 何言ってんのか1ミリも分かんねぇっ!!!
テール 「つまりボルタック商店にブルセラ商品が利益を生み出すことを理解させ、
 ブルセラ商品を売り出します。
 そうすれば隠れていた需要が姿を現し、新しい流行が生まれるのです。
 後は我々がブルセラ商品をボルタックへ売り続ければ、大儲けができます
トライチップ あのボルタックがそんな話しに乗るとは思えん!!!
テール 「いえいえ、売れると分かれば何でも買い取るあのボルタックですぞ?
 需要があると分かれば、簡単に陥落致します」
トライチップ そもそもその需要が眉唾だろっ!!!
 説得できる訳がないっ!!!
テール 「ご安心下さい。
 そこがこのテールの腕の見せどころでございます」
トライチップ そこが一番信用できないっ!!!
テール 「心配はご無用。
 必ずやこれまで以上に稼いでご覧にいれます」
トライチップ 無理だと思う!!!!
テール 「ま、机上でアレコレ言い合ってもしょうがありません。
 何事もまずは実践でございます。
 とりあえず迷宮へ行きましょう」
トライチップ 失敗が目に見えてるから絶対にイヤだっ!!!
テール 「そんな駄々をこねられましても……」
   
三洲次 おーい、君たちー!
 こっちに来てくれー!
   
テール 「おや?
 大先生が呼んでますぞ?」
トライチップ 「何事だ…?」


トライチップテール三洲次の側まで行くと、
そこには沙賀里ともう1人、男性のエルフが立っていた。

トライチップ 「どうしました、大先生?」
沙賀里 「デートのお誘いだそうです」
三洲次 違うっ!!!
トライチップ 「では、何の用件で?」
三洲次 「君たちのディスペルが全然なってないから、
 今後の不死系との戦闘が不安でしょうがない。
 だから特訓をする」
トライチップ 「特訓…?」
三洲次 「そうだ。
 そこで講師に来てもらった。
 ブリ助!!」
ブリスケット 「どもども、お初にお目にかかりやす。
 ブリスケットと申しやす」
トライチップ 「あ、どうも、トライチップと申します。
 ってか、大先生?
 この方はどなたで?」
三洲次 「俺のパーティーにいる僧侶で、長年この道をやっているプロだ」
テール 「ちなみにレベルの方は?」
ブリスケット 「レベル7っす」
トライチップ
& テール
「「レベル7!?」」
ブリスケット 「へい」
トライチップ
& テール
「「『教祖様』と呼ばせて下さい!!!」」
ブリスケット 「別に宗教団体は開いてねぇっすが……」
三洲次 「そういうアダ名を付けるの好きなだけだよ」
ブリスケット 「はぁ……」
沙賀里  そっ……
ブリスケット 「何すか…?」
沙賀里 「やはりカルト教団の教祖ともなると、
 『夜露娘美(よろこび)組』とかを作って女性をはべらせていらっしゃるので?」
ブリスケット 誰がカルト教団の教祖っすか!?
沙賀里 「わらわもハーレム生活に加わらねばならぬのですか?!」
ブリスケット なんでやねん!!!
 ってか、三洲次っち、何なんすか、この人?!
三洲次 「いちいち気にしてると身が持たないから、気にしない方がいいよ」
ブリスケット 「いや……そう言われやしても……」
三洲次 「とりあえず、この3人のディスペルが全然なってないから、指導してほしんだ」
ブリスケット 「じゃあ、まずは皆さんのディスペルのやり方を見せて下され。
 それを見て、どう矯正するか考えやしょう」
三洲次 「なるほど。
 では、まずは僧侶の2人からいこう。
 1人目はこの沙賀里。
 彼女は一応ディスペルできるんだけど、やり方がどう考えても普通じゃないんだ。
 とりあえずブリ助に見せてくれる?」
   
沙賀里 幽霊バスターズっ!!
 ♪ズチャンジャ ジャンジャン!
 ♪ズチャンジャ ジャンジャン!
   
ブリスケット 「……………………………………(汗)
   
沙賀里 ♪理解できないモノを見たのなら、
  誰に連絡をすればいいのかな?
  幽霊バスターズっ!!」
   
ブリスケット 「理解できないモノを見てるんで、連絡先を教えてもらえやすか……?」
三洲次 「沙賀里、もういいよ……」
沙賀里 「あら、まだ始まったばかりですわ」
三洲次 「だからダメなんだよ……長過ぎるんだ……」
ブリスケット 「ってか、なんで歌ってたんすか……?」
三洲次 「じゃ、次はトライチップだ」
   
トライチップ 悪霊退散っ!!
 悪霊退散っ!!
 悪霊退散っ!!
 悪霊退散っ!!!
   
ブリスケット 「叫んでるだけじゃねぇっすか……」
三洲次 「彼はそもそもディスペルの仕方を知らないらしい」
ブリスケット 「なんで訓練所を卒業できたんすか……?」
三洲次 「じゃ、最後は司教のテールだ。
 彼はお経を唱えるらしい」
ブリスケット 「ほぉ、懐かしいっすな。
 日本に居た頃によく聞きやしたぜ」
三洲次 「期待するなよ」
ブリスケット 「どういう意味っすか?」
三洲次 「テール、聞かせてやれ」
   
テール 「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、
 沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を表す」
   
ブリスケット 「それ『平家物語』ですぜ……」
   
テール 魔人は暇人!!
 笑って頼朝!!
   
ブリスケット 「平家物語ですらなかったっす……」
三洲次 「矯正できそう?」
ブリスケット 「そうっすねぇ………、
 まぁ、今から全く違うやり方を覚えるのも大変っすから、
 僧侶のお2人さんのセリフと歌、
 そして司教さんの古典をそのまま活かして、
 3つを合体させやしょう!」
三洲次 合体!?
 悪魔合体にならない?!
ブリスケット 「ま、ここはあっしにお任せあれ」
三洲次 「すげぇ不安………」
トライチップ 「では、教祖殿!!
 ご指導のほど、よろしく頼みますぞ!!」
沙賀里 「素晴らしき『夜露娘美組』を目指し、夜な夜な特訓に励みますわ!!」
ブリスケット 何の特訓やねんっ!?
三洲次 「頑張ってね………」

 



【目次】
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1.防具は美女より出でて……

2.防具は宝箱より出でて……

3.防具は野郎より出でて……




1.防具は美女より出でて……


━━━━ 迷宮 入り口......


三洲次 「修業は終わった?」
トライチップ 「まぁ、なんとか」
沙賀里 「信じられませんでしたわ。
 肉体を昇天させるテクニックではなく、魂を昇天させるテクニックでしたので」
三洲次 「それで正しい」
テール 「ま、修業の成果は、機会が来ればバッチリお見せ致します」
三洲次 「じゃあ、その時を楽しみにするとして、
 今回はどんな悪事をするの?」
テール 「『ブルセラ・ショップ』でございます」
三洲次 「さも誰でも知ってるかのように未知の単語を出してくるの、止めてくれる?」
テール 「どこが未知でしたか?」
三洲次 「『ブルセラ』って何だよ?」
テール 「おや、ご神官様と同じで、ご存知ないのですね。
 それでは、ご説明致しましょう。
 珍明書房の本にもあります通り……かくかくしかじか……というモノです」
三洲次 「おまえはランプか?
 ってか、司教ってみんな変な本を読むの……?」
テール 「どこか変でしたか?」
トライチップ 「多分全部」
三洲次 「まぁ、いいよ。
 とりあえず女性が身に付けていた装備をボルタックに売るんだな。
 すると、1つ質問がある」
テール 「何でございましょう?」
三洲次 「仮に宝箱から防具が出てきたとしても、それが女性が装備していたかどうかは、どうやって鑑定するんだ?」
テール 「何を仰ってるのですか?
 確実に女性が着ていたと分かる装備が、ここに2人分あるではないですか?」
心々 「…へ?」
沙賀里 「あら…」
三洲次 「え…??
 ってことは……」
テール 「そうです、迷宮で新しい装備をゲットして、代わりに今来ている装備を売るのです」
三洲次 ちょっと待って!!
 つまり防具が出てくるまで宝箱を漁り続けるの?!
 しかも今より弱い装備じゃダメだろ?!
 運任せ過ぎるよ!!
 実現性が無さ過ぎない?!
テール 「どうぞご心配なく。
 時代が……このリルガミンが、ブルセラ・ショップの誕生を待っております!!
 運命が味方を致します!!
三洲次 「実現性を聞いてるのに、平然と運任せの発言をするの、止めてくれる?」
テール 運命とは自らの力で切り拓くもの!!
 進めば分かります!!
 さぁ、出発です!!
三洲次 「とりあえずいつも通りってのは分かったよ……」
トライチップ 「いつも通り『いつも通り』か………」


ま、出発です。


ただ、今回は全然敵が出て来ず......。


ガチャッ...!        ← 扉を開けた音


バラック内の個室は全部空振り。


結局、バラックを抜けて南側のエリアへ。


三洲次 「倉庫の中を見てみよう」


ガチャッ...!


??? ……シュウゥゥッ……
   
三洲次 「む…!」
心々 「何かいるな……」


心々 「あのシルエットはダスターだぜ」
三洲次 「よし!!
 さっそく修行の成果を見せる時が来たぞっ!!
 聖職者3名!!
 奴らをディスペルするんだっ!!!」




トライチップ 「ついにわしらが…」
テール 「…真の実力を見せる時が来ましたな!!」
沙賀里 特訓の成果をお見せ致しますわ!!


では、いってみましょう!!


テール 「あらゆる困難が魔法で解決するこの中世の時代、
 人々の閉ざされた心の闇にはびこる魑魅魍魎が存在していた。
 魔法の力ではどうしようも出来ないその奇怪な輩に立ち向かう、
 神妙不可侵にて胡散臭い男と女……、
 その名はトライチップ、沙賀里、テール。
 そう!!
 人は彼らを、聖職者と呼ぶっ!!


三洲次 「は……??」


トライチップ
& テール
& 沙賀里
退
   悪退
   怨
   解
   す
   
三洲次 待て待て待て待て待て!!
 何が始まった?!
   
トライチップ
& テール
& 沙賀里

  
  
  
   
三洲次 (;゚゚)………………………………
   
トライチップ 死してなお、この世に未練残せしは、
 モンスターと成り果てるその悪しき血を、
 清めるが僧侶の道!
沙賀里 ♪人の~~~世~~~に~~~、
  生~~~まれし悪を~~~、
  闇に~~~へと~~~
  葬れや~~~~
   
三洲次 (;゚Д゚)………………………………
おぼろな姿A (;゚Д゚)………………………………
おぼろな姿B (;゚Д゚)………………………………
おぼろな姿C (;゚Д゚)………………………………
おぼろな姿D (;゚Д゚)………………………………
   
トライチップ
& テール
& 沙賀里
退
   悪退
   
   解
   
   
三洲次 「こ……この3人に何を教えたのか……、
 戻ったらブリ助をタップリと問い詰めてやる……っ!!」
   
トライチップ
& テール
& 沙賀里

  
  
  
   
三洲次 「ってか、いつまで続くんだよっ!!!
 もう普通に攻撃するっ!!!」


さっそく三洲次が1匹倒す!!

三洲次 「ネック!!
 残りはカティノ(催眠呪文)で足止めするんだっ!!」
ネック  ((\(;゚□。)/))ツカテノォ!!



相変わらず不死系だと力を出し切れないなぁ......。


三洲次 ぅおわっ?!(ぴょんっ!)


寝なかった1匹が攻撃してきやがった...。

三洲次 「おいっ!!
 ディスペルはまだなのかっ?!」
   
トライチップ
& テール
& 沙賀里

   レ
   
   せ・い・しょ・く・しゃ
   
三洲次 どんだけかかってんだああぁっ!!!
   
トライチップ
& テール
& 沙賀里






トライチップ
& テール
& 沙賀里

   
三洲次 遅いっ!!!



ってか、トライチップテールやっとディスペルに成功した!!


このままずーーっとできないままかと不安だったよ......。

沙賀里 「いかがでしたか?」
トライチップ 「わしの悪霊退散と、
 テールの古典と、
 沙賀里の歌を合体させた、
 『レッツゴー・聖職者』は?」
三洲次 やっぱり悪魔合体だった!!!


テール 「そんな事より、宝箱を開けましょう」
三洲次 切り替えが早過ぎるっっ!!
テール 「ささ、心々、こちらへ」
心々 「うぃ~す」


心々 「これはガス爆弾だな。
 間違いねぇ」
三洲次 「じゃあ、後は解除に失敗しなければ大丈夫だな」


新喜劇のスピード感


心々 なははははははっ!!
トライチップ おまえ、マジで笑ってごまかすようになったなっ!!
三洲次 「そして、解除の腕も桃とそっくりだな……」
テール 「で、中には何が?」
三洲次 「おまえはマイペースだよな……」


トライチップ 「防具が入ってたぞ」
テール 「拝見しましょう」


テール 「ふむ……、
 プレートメイルにも使われている金属製の板が胸の部分を覆っている鎧……、
 これは……」


テール 「…『胸当て』でございます」
トライチップ 「防御力は高いの?」
テール 「この『胸当て』は、沙賀里が現在装備している『皮の鎧』よりも優れた防具でございます」
トライチップ 「ってことは……」
テール 「はい、沙賀里にはこの『胸当て』を装備してもらい、
 これまで装備していた『皮の鎧』を売るのがよろしいかと」
トライチップ 「まさか……」
テール そうです!
 さっそくブルセラ販売ができると言う訳です!
トライチップ 「マジでやるの……?」
テール 「もちろんですとも!
 『皮の鎧』の買い取り価格は通常50G.P.ですが、
 より高い金額で売りたいとは思いませんか?」
トライチップ 「そりゃ、思うけど……ホントにできるの?」
テール できますとも!!
 不詳テール、このアイテムが出てきたことで確信を致しました!!
 時代が……リルガミンがブルセラショップを待っているのです!!
 間違いありません!!
トライチップ 「間違いであってほしい……」



「胸当て」により沙賀里のAC2下がった
これは大助かりだ。

三洲次 「ところで、アイテムの話しですっかり忘れていたけど……」


三洲次 「…俺ら全員毒だったな」
心々 「ネックとテールのH.P.がちょっと心許ねぇけど、
 まぁ、歩いて戻れる範囲じゃねぇか?」
三洲次 「そうだな、このまま地上へ戻って回復するか」



町へ戻ります。
敵に遭遇しないことを祈りつつ......



途中で回復を挟みつつ......、



...無事に町まで帰還



━━━━ リルガミン......


テール 「では、ボルタック商店のブルセラショップ化を始めます」
トライチップ 「どうやって?」
テール 「まず、ブルセラショップなら今より儲かる……と、ボルタックを説得致します。
 ここがこの計画の一番重要な部分でございます」
トライチップ 「どう説得するんだよ?」
テール 「そこは口先八丁、あれやこれやと言いくるめて納得させます」
トライチップ 「一番重要な部分が一番アバウト過ぎる……」
テール 「では、沙賀里、ボルタックを説得して売ってきて下さい」
トライチップ 「しかも、まさかの丸投げ……」
沙賀里 「エロい客に高値で売れる商品だとアピールすれば良いのですね?」
テール 「その通りです」
トライチップ 「要点を纏めるのは上手いな……」
テール 「では、任せましたぞ」




━━━━ ボルタック商店


店員の男 「いらっしゃいませっ!!
 『ボルタック商店』へようこそ!!
 豊富な凶器のラインナップであなたにピッタリの殺し方をご提案致します!!」
沙賀里 「豊満な胸囲のボディラインであなたにズッポリのくわえ方をご提案します…?」
店員の男 言ってない!!!
沙賀里 「エロを扱うお店とは好都合ですわ。
 大変良い商品がございますのよ」
店員の男 エロなんて扱ってません!!!
沙賀里 「では、どういうお店ですの?」
店員の男 うちがやっているのは、
 武器などの売買です!!
沙賀里 「フェラなどのパイパイです…?」
店員の男 言ってねぇぇぇぇ!!!
沙賀里 「やはりエロいお店でしたのね!
 それでしたら、これからの時代はブルセラでございますわ!」
店員の男 「ブルセラ……?
 何ですか、ブルセラって…?」
沙賀里 「付加価値のある防具のことですの」
店員の男 「付加価値……?
 毒への耐性が付くとか?」
沙賀里 「違います。
 よくお聞きになって。
 世の中には女性が着ていた衣類に興奮する殿方がおりますの。
 で、そういう殿方にとって女性が装備していた防具は、価値が大変アップしますのよ」
店員の男 「それが付加価値ってことですか…?」
沙賀里 「その通りですわ。
 つまり同じ鎧でも、男性よりも女性が着ていた鎧の方が高く売れますの」
店員の男 「はあ……」
沙賀里 「ご理解頂けましたか?」
店員の男 「一応分かりました」
沙賀里 「それは大変結構ですわ。
 では、わらわが着ていた防具を、是非高値で買い取って下さい」
店員の男 「イヤです」
沙賀里 なぜですの?!
店員の男 「装備は全てクリーニングします」
沙賀里 「前戯は全てクンニします?」
店員の男 「だから性別に関係無く、買取の値段は全て同じです」
沙賀里 「だからセンズリに関係無く、カリのNTRは全てオナニーです…?」
店員の男 一言も言ってないっ!!!
沙賀里 早くイッて下さい!!!
店員の男 何の話しっすか??!
沙賀里 これを高値で買うと早く言って下さい!
店員の男 だから買取価格は一定だと言ってるでしょ!!
 買い取った商品は全てオーバーホールするので!!
沙賀里 オナホにするのですか?!
店員の男 オナニーホールじゃないっ!!
 オーバーホールっ!!!
沙賀里 どうしても高値で買ってくれないのですか?!
店員の男 店の規則で価格は決まってるんです!!
 規則で一定なんです!!
沙賀里 亀頭でEDなんです
店員の男 違ーーーーう!!!
沙賀里 「インポなら仕方ありませんわねぇ……」
店員の男 なんでそうなる??!
沙賀里 「しかも、きっと包茎なのですね。
 なんて可哀そうな方……」
店員の男 それこそなんでそうなるううぅぅ!!?
沙賀里 「では、もう慈悲心で、これはそちらの言い値でお売り致しますわ」


沙賀里 「包茎のあなたにピッタリ、『皮の鎧』です」
店員の男 意味深な言い方しないで下さいっ!!
沙賀里 「これを着て、頭と目だけ出せば完璧ですわ!
 まさに『皮』の鎧」
店員の男 なにがっ??!
 ってか、僕は絶えぇぇっ対に違いますぅぅぅ!!!
沙賀里 「そこまで否定すると、逆に怪しいですわよ」
店員の男 ムキィーーー!!!



とりあえず50G.P.で売却。



━━━━ 街中


沙賀里 「売ってきましたわ」
テール 「高値で売れましたかな?」
沙賀里 「可哀そうだったので、言い値で譲りました。
 店員がインポで……」
テール 「はい…??」
トライチップ 「皮の鎧を売りに行って、店員がインポという情報をゲットしてくるって、
 どういう会話をしたらそうなんるんだ……?」

 











つづきは2025年10月25日(土)公開予定。



【更新履歴】
2025年10月18日:第1節まで公開。