32.広き迷宮は鞘鳴り

【登場人物】  
トライチップ 悪パーティーのリーダーを務める悪徳神官。
テール 金の為にはあらゆる悪事を躊躇わない悪徳司教。
心々 人々を護ることを志す用心棒チームのリーダー。
沙賀里 用心棒チームの1人。心々の幼馴染の変な巫女。
羅無市 用心棒チームの1人。剣の道に生きる男。
ネック 冒険に巻き込まれた気弱な呪文マニアのエルフ。

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━━━━ ギルガメッシュの酒場
     店の片隅で...

テール 「ご神官様、新しい悪事を考えて参りました」
トライチップ 「今度は何だ?」
テール 「『地上げ』でございます」
トライチップ 「なんか悪事のレベルの上がり方が急激で、眩暈がしてくるな……」
テール 「大丈夫でございますか?
 お医者様までお連れしましょうか?」
トライチップ バカ! モノの喩えだ」
テール 「これは失礼を」
トライチップ 「それよりも、おまえに言いたいことが2つある!」
テール 「何でしょう?」
トライチップ 1つ目!
 『地上げ』は目的ではなく手段だっ!!
テール 「はぁ……」
トライチップ 「いいか?
 普通は新しいお店を建てるとか、他の街との間に交易路を造りたいとか、
 そういう事業の目標や国の政策などがまず最初にあって、
 その目的を実現するための手段の1つとして、『地上げ』が出てくるんだ」
テール 「ほぉ……」
トライチップ 「なのに、おまえの言いっぷりは何だ?
 『とりあえず地上げをやってみよう!』って感じじゃん」
テール 「はい」
トライチップ 『はい』じゃねぇよっ!!
 なんだよ?!
 『とりあえず地上げ』って?!
テール 「なんだと言われましても、地上げは地上げでして……」
トライチップ アホかっ!!
 他人が住んでる土地を衝動買いするのか?!
テール 「その通りでございます」
トライチップ あり得ねえぇよっ!!
 そもそも、そんな理由で地上げをされたら、された方だってたまったもんじゃないだろ!!
 おまえが逆の立場なら、そんな地上げ屋が来たら、どう思う?!
テール 「世の中にはそんな奴もいるのかと…」
トライチップ いねぇよっ!!!
 てか、おまえのことだよっ!!!
テール 「これはこれは、一本取られましたな」
トライチップ 取ってねぇよっ!!
 ってか、土地を手に入れてどうするつもりか考えてない、ってことか?!
テール 「はい」
トライチップ ほら見ろっ!!
 目的も無く手段だけ提案してんじゃねぇかっ!!
テール 「何を仰います。
 土地を手に入れるというのは、男の夢でございますぞ」
トライチップ じゃぁ、普通に売りに出ている土地を買えば良いじゃねぇかっ!!
テール 「それでは悪事にならぬではありませんか」
トライチップ そういう問題かよっ?!
 だいたい土地を手に入れたって、固定資産税とか毎年払うの大変なんだぞ!!
テール 「まぁ、メンドーな時は売ってしまいましょう」
トライチップ じゃぁ、なんで地上げしたんだよっ!?
 もう意味が分からねえよっっ!!
テール 「何を仰います、ご神官様。
 土地を安く買って高く売る……これは土地の売買の基本ですぞ」
トライチップ それは『地上げ』ではなく『土地転がし』って言うんだ!!
テール 「まぁ、似た者同士ですって」
トライチップ 『似た者同士』ってこういう時に使う言葉だっけ??
テール 「それよりも、もう1つは何でしょうか?」
トライチップ 2つ目!
 おまえは地上げにどれだけ金が必要か分かってるのか?!
 そんな資金、どこにあるんだよ?!
テール 「そこはご安心を。
 このテールに抜かりはございません」
トライチップ さっきから抜かりまくってるけど?!
テール 「ちゃんと対策を考えてあります」
トライチップ
 資金調達のメドがあるのか?
テール 「発想が逆です」
トライチップ 「は?」
テール 「タダで土地を手に入れれば良いのです」
トライチップ 「どうやって??」
テール 「持ち主不明の土地を我らのモノと主張すればよろしいのです。
 持ち主が居ないのですから、金を払う必要も無ければ、抵抗されることもありません」
トライチップ 「………そんな土地、どこにあるんだ?」
テール 「迷宮内です」
トライチップ なんとなくそうだとは思ったけどさぁっ!?
テール 「意見が一致しましたな」
トライチップ してねぇよ!!
テール 「まぁまぁ。
 タダで土地を手に入れれば、後は活用次第で大金が手に入ることは約束されたも同然です。
 ま、何はともあれ、まずは現地の視察から始めましょう」
トライチップ 「視察…??」
テール 「はい。
 候補となる土地を事前に調査し、入手するのに相応しい場所を選ぶのです」
トライチップ 「めんどくせぇ……」
テール 「と言う訳で、さっそく迷宮へ向けて出発ですぞ!!」
トライチップ 「迷宮へ行くより市役所へ行った方が早くない?
 登記簿謄本とか見れるよ?」

 



【目次】
リンクは公開範囲まで

1.土地を味見

2.おまえが晩御飯

3.失敗の餌食

4.事故物件は喰えぬ




1.土地を味見




━━━━ 迷宮 入り口......


心々 「それで、今回は何をするんだ?」
テール 「『地上げ』でございます」
心々 「……………………………………」
テール 「……………………………………」
心々 「……………………………………」
テール 「……………………………………」
心々 は??
テール 「なんですか、その反応は?」
トライチップ 「それが一般人の反応だと思うぞ」
心々 「どこの土地を地上げすんだよ?」
テール 「特に決めてません」
心々 「……………………………………」
テール 「……………………………………」
心々 「……………………………………」
テール 「……………………………………」
心々 は??
テール 「何かおかしな事を言いましたかな?」
トライチップ 「言ってる」
心々 「地上げをする時ってさぁ、普通は欲しい土地が先に決まってねぇか?」
テール 「何事にも例外はございます」
トライチップ 「普通じゃないことは認めるんだ」
心々 「言ってる意味が分からねぇ……」
テール 「ま、ともかく本日は土地を探しに行くのでございます」
心々 「じゃぁ、今日は迷宮には入らないで、町でも散策するか」
テール は??
心々 「おめぇの『は??』が、は??…だよ」
テール 「土地は迷宮で探すのでございます。
 迷宮の土地ならば、タダで手に入りますからな」
心々 「へぇ~……、その発想は無かったなぁ……」
トライチップ 「普通は無いよ……。
 だいたいそれが通用するなら、もうこの山自体の所有権を主張した方が早いだろ?」
心々 「とりあえず出発すっか」
テール 「はい」
トライチップ 「わしの発言って時々無視されるけど……なんで……?」


心々 「とは言え、どこに行けば良いかな?」
テール 「今回もバラックに致しましょう。
 バラックならば賃貸する部屋に転換しやすく、手に入れた土地をすぐにでも賃貸業として活用できますぞ」
心々 「モンスターが跋扈してるのに、どう活用すんだよ?」
テール 「それはもう色々な用途で」
心々 「例えば?」
テール 「商店を開くとか…」
心々 「海賊が押し入り放題だぜ」
テール 「…他のフロアへの階段を作って通行料を取るとか…」
心々 「殺されてタダで使われるだろ」
テール 「…落とし穴を掘って罠に嵌めるとかです」
心々 「最後のは何がしてぇんだよ?」
トライチップ 「片っ端から否定されてやんの」
テール 「まぁ、まぁ、使い道は無限大。
 ともかくバラックへ行きましょう」
心々 「しょうがねぇなぁ……」
トライチップ 「しょうがないか……?」



心々 「とりあえバラックの居住区まで来たけど……、
 部屋を1つ1つチェックしていくか?」
テール 「良いですな。
 土地の視察と参りましょう」
トライチップ 「この前も見たけどな……」


ガチャッ...!        ← 扉を開けた音


中は住居用の相部屋だったようで、壊れたテーブルや椅子など多くの家具があちこちに散乱して砂ボコリを被っていた。
(この描写はほぼ第3話のコピペです)

テール 「ふむ、家具も揃っていますし…」
心々 「全部壊れてるぜ」
テール 「…ちょっと清掃すれば、賃貸として使えそうですな」
心々 「ちょっとじゃ済まねぇだろ」
トライチップ 「なぁ、テールや?」
テール 「はい?」
トライチップ 「それって『地上げ』じゃなくて、『リノベーション』って言わない?」
テール 「それだと事業のようではないですか。
 我々は悪事をしに来たのですぞ?」
トライチップ 「おまえの発言が悪事らしくないんだよ……」
テール 「仮にリノベーションをするにしても、大前提として地上げによる土地の入手があります。
 悪事を遂行することに変わりはございません」
トライチップ 「…………………………………………」
テール 「ご理解いただけましたか?」
トライチップ 「フと気付いたんだけどさぁ……」
テール 「はい?」
トライチップ 「『地上げ』自体は悪事じゃなくね?
 『地上げのやり方』が悪事になるんじゃねぇの?」
テール 「細かい事を気にしてはいけません。
 この調子で土地を視察していきますぞ」
トライチップ 「わしって、そんな細かいこと言ってる……?」


廊下に戻り、さらに扉の中を1つ1つチェックしていく。
パーティーの会話からは分かり難いですが、実際はブランド・エンカウント(玄室戦闘)を狙ってます。


ガチャッ...!


ここも特に仕切りの無い部屋ではあったが、大勢が寝泊まり出来る広さをしていた。
しかし中は荒れ果てており、衣類の端切れや割れたコップが床に散乱し、どれもホコリを被っていた。
(やっぱり第2話をほぼコピペ)

テール 「なかなかの広さの部屋ですな。
 ここならパーティー会場とか、色々な用途に使えるかと」
トライチップ 「場違い過ぎるだろ……」
心々 「色々って、他に何があるんだよ?」
テール 「イベント会場とか、セレモニーホールとか、リルガミン・ビッグサイトとか」
トライチップ 「最後の何?」
テール 「吟遊詩人を招いての大規模コンサートなどいかがでしょう?」
トライチップ 「そもそも客がこんな所まで来るか?」
沙賀里 「それならば、女優を招くことで集客が見込めますわ」
トライチップ 「女優…??
 女性歌手じゃなくて?」
沙賀里 「いえ、ストリップショーをするので、女優で正しいですわ」
トライチップ
& 心々
テール 「なるほど、エロを絡めれば大勢の客を見込めるのですな。
 さすが沙賀里でございます!」
トライチップ 「納得すんなよ……」
テール 「まぁ、エロ系にするかはともかく、何か催し物を開催し、ここに人を集めましょう」
トライチップ 「ここに来るまでが命懸け過ぎるだろ……(汗)
テール 「有名な闘士を招いてのデスマッチなどどうですかな?」
トライチップ 「むしろここに来るお客のデスゲームになるだろ」
心々 「そう考えると、宝珠の探索自体が国を挙げたデスゲームだよな」
トライチップ 「それはちょっと違わないか……?」
テール 「遥か昔にトレボー王が試練場と銘打ったイベントがありましたが、
 あれこそデスゲームだったのではないでしょうか?」
トライチップ 「任意参加だし、それも違うだろ……」
心々 「まぁ、いいや。
 一通り見たんなら、次へ行くぞ」



ガチャッ...!


次の部屋も住居用の相部屋で、大勢で寝泊まりができるほどの広さであった。
そして、ここも長く使われていない為、砂ぼこりが堆積した汚い部屋で、
床には衣類の切れ端割れた皿などが散乱し、壁にはクモの巣が張っていた。
(これに至っては完全にコピペ)

テール 「ここも悪く無い部屋ですな」
トライチップ 「どこも同じに見えるけど……?」
テール 「ここはレストランとか酒場などに最適はございませんか?」
トライチップ 「どこをどう見てそう判断したの…??」
心々 「ここだと客なんて海賊しか来ねぇぞ。
 しかも酔って暴れて、店をメチャクチャにするぜ」
トライチップ 「それ以前に、ジャイアントスラグやアナコンダが餌を求めて押し入って来るだろ」
テール 「いえいえ、ここなら千客万来、商売繁盛ですぞ」
トライチップ 「魔物万来、商売壊滅な気がする」
心々 「だいたい街中に酒場があるのに、
 危険な迷宮内にある酒場にわざわざ来る奴なんていねぇだろ」
テール 「では、何かウリが必要ですな……」
沙賀里 「それならば、同じ酒場でもオッパブはどうでしょう?」
トライチップ
& 心々
沙賀里 「ノーパン酒場も良いですわ」
トライチップ
& 心々
テール 「なるほど、エロを絡めれば大勢の客を見込めるのですな。
 さすが沙賀里です!」
トライチップ 「だから納得すんなって……」
テール 「やはり酒場は有力な候補でございます」
トライチップ 「だから迷宮の中って時点で、酒場には絶対向いてないだろ……」
心々 「ま、酒場に向いている場所は後で紹介してやるよ」
トライチップ 「え? そんな場所があるの?!」
心々 「あぁ。
 しかも2ヶ所ほどあるぜ」
トライチップ 「マジで!?」
テール 「さすが心々、やはり土地勘のあるガイドがいると助かりますな」
沙賀里 「ノーパン酒場に1歩前進ですわ」
トライチップ 「それよりも、酒場に向いた場所ってのが気になるのだが……?」
心々 「ま、順番に見て行こうぜ」


次の部屋へ。


ガチャッ...!


この中も住居用の大きな相部屋で、これまでと同様に砂ボコリを被った家具やガラクタが転がっていた。
(ってか、毎回以前の文のほぼコピペだから、
 残りの描写ももう全部コピペだけでいい気がする...)

テール 「ここもなかなか良い感じですぞ」
トライチップ 「さっきから、どこがどう良いのかサッパリなんだが……?」
テール 「ここはバラックらしく、兵舎にするのはどうでしょう?」
トライチップ 「なんだよ、その何のヒネリも無いアイデアは?」
沙賀里 「なんですか、その何のヒネリもできそうも無いアイデアは?」
トライチップ 「おまえは黙ってろ」
テール 「いえいえ、兵舎ということは、ビジネスの相手は国になります。
 ヘタなBtoCやBtoBに比べれば金払いが確実ですので、手堅く儲かりますぞ」
トライチップ 「BtoCとかBtoBって何…?」
テール 「この土地を我々のモノにして、兵舎として国に貸し出しましょう!」
トライチップ 「おまえ、『悪事』が何か理解できてる?」
テール 「ここなら軍隊が喜んでやって来ますぞ!」
トライチップ 「おまえを逮捕しにな……」
テール 「まぁ、国に貸し出すことに問題があるのなら、民宿や宿屋でも構いませぬ」
沙賀里 「ラブホでございますね!」
トライチップ 話しが変な方へ行く前に、ここを出るぞっ!!
心々 「じゃ、次だ」




トライチップ 「一番奥まで来たな」
心々 「また、ここに来ることになるとはなぁ……」
トライチップ 「何かあったのか、ここで?」
心々 「この部屋は、うちの人生を変えた場所だ」
トライチップ 「人生を変えた…?」
沙賀里 「運命の人に出逢った場所なのですね!?」
心々 「そうだけど、そうじゃねぇよ」
トライチップ 「どっち?」
心々 「うちが用心棒稼業を始める決意をした人達と会ったのが、この部屋なんだ」
沙賀里 「そういう話しですか、残念……」
トライチップ 「いったい何があったんだ?」
心々 「海賊団から脱走した時にこの部屋へ逃げ込んだんだけど、
 追手がそれを嗅ぎ付けてよ……この部屋までやって来たんだ」
トライチップ 「ほぉ……それで?」
心々 「その時、たまたまある冒険パーティーもこの部屋に来ててさ……、
 その冒険パーティーが追手を返り討ちにしてくれて、命拾いしたんだ」
トライチップ 「そんなことがあったのか」
心々 「分かるか?
 殺されて魔物の餌にされるかも知れねぇ状況から、
 一転して生き永らえて、自由を手にできた嬉しさって?」
トライチップ 「まぁ、なんとなくな」
心々 「その時、自分もこんな感動を人に与える人間に成りたいと思ってよ……、
 それで用心棒稼業を始めたんだ」
トライチップ 「なるほど。
 確かに運命を変えた部屋だな」
心々 「あぁ」
沙賀里 「しかし、心々の運命を変えた人とは、どの様なお方たちなのでしょう…?
 きっとハンサムな殿方がいるに違いありませんわ!」
心々 「沙賀里がうるせぇから、もう入るぞ」


ガチャッ...!



コピペ

   
テール 「奥の方にあるだけあり、なかなか良い雰囲気ですな」
トライチップ 「どこが…??」
心々 「この部屋に来ると、あの時の事が昨日の様に思い出されるなぁ……。
 あの人たち、元気にしてっかな?」
テール 「ふむ……ここが心々の思い出の場所ならば、
 他人には使わせず、我々が使った方が良いでしょうな」
トライチップ 「おまえにそういう繊細な心配りをする神経なんかあったの?」
心々 「うちらが使うったって、ここを何に使うんだよ?」
テール 「ここを我らの『秘密基地』にしては如何でしょうか?」
心々 「秘密基地ぃ…??」
テール 「はい。
 稼いだ金貨の山をここに隠したり、手に入れた武器を仕舞い込む武器庫などに使うのです」
トライチップ 「秘密基地か……それは男の夢だな」
テール 仰る通りです!
 秘密基地は男の夢・男のあこがれ・男の浪漫でございます!!
トライチップ その通り!!
心々 「おまえらって、そういうの好きそうだな……」
トライチップ 「テールや、今回ばかりはおまえの提案に賛同だ」
テール 「ありがとうございます」
トライチップ 「しかし……だ」
テール 「はい?」
トライチップ 「その為には、ここを『俺たちの土地だ』と人々に認めさせる必要がある。
 そこはどうするのだ?」
テール 「ご安心下さい。
 今回は地上げをするのですから、その点も抜かりなく考えてあります」
トライチップ 「ほぉ……聞かせてもらおうか」
テール 「入り口に表札を付けるのです」
トライチップ 「表札?」
テール 「はい。
 入り口にでっかく、
 『ようこそ!!
  チップとテールの秘密基地へ!!』
トライチップ 「秘密とは……?」
心々 「それだと、普通に人が入ってくるだろ……」
テール 「心配はいりません。
 警告文も付けるので、何の問題ありません」
トライチップ 「どんな?」
テール 「大きく赤い文字で、
 『財宝及び武器の保管庫。
  部外者は立ち入り禁止!』
 と書いておけば100%安心です」
トライチップ 「100%ダメだと思う」
テール 「有力な土地を見付けましたな」
トライチップ 「後半で台無しだったけど……?」
心々 「ま、ここはこのぐらいにして、次へ行くか」


ガチャッ...!

通路に戻ります。


心々 「さっき、酒場に向いてる場所があるって言ってたの、覚えてるか?」
トライチップ 「あぁ」
心々 「それが、この中だ」
テール 「ほぉ、では早速視察致しましょう」


ガチャッ...!


中はこれまでより広く、壊れた長机椅子が乱雑に倒されていた。
床には割れた皿の破片がいくつも散らばっており、壁にはコップをかけるフックが幾つも並んでいる。

トライチップ 「ここは……?」
心々 「このバラックが造られた当時、食堂として使われていた場所だ」
トライチップ 「こんな場所があったのか」
テール 「なるほど、居抜き物件と言う訳ですな」
心々 「あぁ。
 ちなみに、あの扉の奥はキッチンだぜ」
テール 「素晴らしい!
 これなら設備や内装を再利用することで、初期費用を抑えて営業を開始できますぞ!」
トライチップ 「なぁ、テールや?」
テール 「はい?」
トライチップ 「やっぱり、それって『地上げ』じゃなくて『リノベーション』だよね?」
テール 「細かい事を気にしてはいけません」
トライチップ 「細かいかな……?」
テール 「ここで酒場を営業すれば、商売繁盛間違いなしでございます!」
トライチップ 「だからここだとジャイアントスラグとかが入って来るって」
テール それは素晴らしい!!
トライチップ なんで?!
 食事中にナメクジなんて現れたら最悪だろ!?
テール 「いえいえ!
 それこそがこの酒場のウリになります!!
 それをアピールするキャッチフレーズも決まりましたぞ!!」
トライチップ 「どんな?」
テール 『飲めて経験値が稼げる店』!!
トライチップ 「『飲めて歌える店』みたいに言うな」
テール しかも支払いが足りない客には渡りに船っ!!
トライチップ 「発想が前向き過ぎる………」
テール 「これは大ヒット間違いなし!
 店の中が人々の賑わいで埋まるのが目に見えるようでございます!!」
トライチップ 「店の中が人々と魔物の阿鼻叫喚で埋まるのが目に見えるようだ……」
心々 「一応、キッチンの方も見てみようぜ」


ガチャッ...!


テール 「ほぉ……調理台と棚、そして窯に……換気用の通気口まであるではありませんか。
 これなら居抜きとして申し分ありません」
トライチップ 「床に血糊の付いた包丁が落ちてるのが気になるんだが……(汗)
心々 「誰の血なんだろうな?」
テール 「いやいや、ここまで設備が揃っている場所があるとは予想外でした。
 これなら完璧でございます」
心々 「満足したか?」
テール 「はい」
心々 「じゃ、廊下に戻ろうぜ」



ってか、敵が全然出て来ないので、ひたすら歩き回っているだけである......。

テール 「どの土地を手に入れるか、悩ましいですな」
トライチップ 「どの土地も朽ち果てて、特に欲しくないんだけど……」
テール 「迷宮である以上、それはそういうものだと受け入れるしかないです」
トライチップ 「めっちゃ泥や土ボコリで汚れてたぞ?
 どうすんだよ?」
テール 「まぁ、清掃業者を雇って清掃するのが定石ですが…」
トライチップ 「業者が迷宮の中に来れるの…?」
テール 「それよりも、このテール……今はやる気に満ち溢れておりますので、
 汚れやダストなど自分1人で片付けてみせますぞ」
トライチップ 「じゃあ、おまえ1人に任せるよ」
心々 「ところで、この後はどうする?
 まだ他にも見て回るか?」
テール 「他にも候補地が?」
心々 「後は、懲罰房と倉庫だな」
トライチップ 「懲罰房……?」
心々 「兵舎だからな。
 まぁ、兵隊向けだったのか捕虜向けだったのかは知らねぇけど」
トライチップ 「今まで一番酷そうな場所だな」
テール 「それで、倉庫の方は?」
心々 「その懲罰房のすぐ側にある。
 かなり広い場所だぜ」
テール 「では、その2ヶ所も見て回りましょう」
心々 「じゃ、付いてきな」



ガチャッ...!


心々 「あの奥に見える2つの扉の内、
 左側にあるのがかつての懲罰房で、
 一番奥にあるのが倉庫だ」
テール 「では、手前から順番に見て行きましょう」


心々 「じゃ、入るぜ」


ガチャッ...!


部屋の中は個室で、壁はこれまで以上に酷い土ボコリで汚れており、
何か刃物で削ったような跡も見て取れた。

テール 「懲罰房だっただけあり、かなり酷い有様ですな」
トライチップ 「ぶっちゃけ、これまでと大差無くね?」
テール 「いえいえ、この部屋はこれまでで最も汚い部屋でございます」
トライチップ 「どこがどう違うの?」
テール 「例えば、部屋の奥に灰や土ボコリなどの塊があります」
トライチップ 「まぁ……それは確かに、酷い汚れだが……」
テール 「しかもモゾモゾ動います」
トライチップ 「まぁ……それも確かに酷いけど……」
   
??? 「「……シュィィィィッ……」」
   
テール 「その上、何か威嚇する声を発してます」
トライチップ 「まぁ……そこまでくると確かに最も酷いかも知れないけど……」
テール 「…………………………………………」
トライチップ 「…………………………………………」
テール 「…………………………………………」
トライチップ 「なぁ、テールや……?」
テール 「はい?」
トライチップ 「灰や土ボコリって動くっけ?」
テール 「何を仰ってるのですか?
 灰や土ボコリが動く訳がありません」
トライチップ 「灰や土ボコリって威嚇してくるっけ?」
テール 「何を仰ってるのですか?
 灰や土ボコリが威嚇してくる訳がありません」
トライチップ 「…………………………………………」
テール 「…………………………………………」
トライチップ 「何を言ってんだ、おまえ?」
テール 「ご神官様こそ、何を仰ってるのですか?」
トライチップ 「…………………………………………」
テール 「…………………………………………」
   
??? 「「……フシィィィィッ……」」
   
トライチップ 「じゃあ、あれは何?」
テール 「何でしょう?」
トライチップ 「困った時のガイドだな。
 心々、ゴミの塊りが動いたり声を出してる様に見えるけど、あれって何?」
心々 「ゴミの塊りだ」
トライチップ 「やっぱりゴミの塊りが動いたり声を出しているらしいぞ」
テール 「ご神官様、常識で考えて下さい。
 ゴミの塊りが動いたり声を出すとでも?」
トライチップ 「おまえにだけは常識がどうとか言われたくないんだけど……」
心々 「以前も言っただろ、迷宮じゃぁ外の世界の常識なんて通用しねぇって」
トライチップ 「じゃぁ………あれ………ゴミの塊りなの……?」
心々 「あぁ」
   
??? 「「シャアアアァァァッ!!!」」



トライチップ マジで?!
 マジでぇっ?!
心々 「だからゴミの塊りだって言ってんだろ。
 土ボコリや塵が生命を宿した『ダスター』ってモンスターだ」
トライチップ おいっ!!
 テールっ!!
 あれってやっぱりダストらしいぞっ!!
テール 「それは驚きですな」
心々 「じゃ、テール、おめぇに任せるぜ」
テール え??
心々 「おめぇの『え??』が、え??…だよ」
トライチップ 「テールや、おまえさっきこう言ったよな?
 『ダストなど自分1人で片付けてしまいますぞ』って」
テール え??
 …?!
トライチップ 敵はたった2匹だっ!!
心々 おら、行けって!!
テール いや、そんな、押さないで下さいっ!!
トライチップ 早く行けって!!
心々 とっと片付けて来いよ!!
テール いやいやいや!!
 ってか、心々!?
 こういう時の用心棒じゃぁないのですかあぁっ??!!
トライチップ 武士に二言は無い!!
心々 男なら言ったことは守れ!!
テール 止めてぇっ!!!
 押さないでええ!!!


まぁ、とりあえずちゃんと戦闘しましょう。



戦術としては、攻撃主体のキャラは直接攻撃

そして、不死系の魔物なので...、


...僧侶の沙賀里にはディスペルさせる。

そう考えると...、


...悩ましいのはトライチップ(僧侶)だな。

普通なら当然ディスペルをさせるんだけど、
キャラの設定上「用心棒に任せて自分は何もしない」って体なので、
これに従えば「みをまもる」になるんだよなぁ。

まぁ、2匹程度だから、今回は加勢しなくても大丈夫だろう。

なので設定に従って「みをまもる」で。
おまえは働かなくてイイよ。


テールも「みをまもる」。
戦わずに済んで良かったな。


魔法使いのネックはカティノで支援。


では、初の不死系の魔物との戦闘です!!

いってみましょう!!

心々 ネックっ!!
 まずはカティノで…」
ネック  (((;つm⊂))) ……………………………………
心々 今度は何だよぉっ!!!
ネック  (((;つД⊂)))「あああののの…… 
        ぼぼぼぼ僕くくく……、
        おおお化けがががが
        ににに苦手でででで………」
心々 それはつまり『不死系』全般ダメってことかっ??!
ネック  (((;つД⊂)))「ははははいいいい………」
心々 今後の戦闘どうなっちまうんだよっ!!!
ネック  (((;つД⊂)))「そそそう言われてももも……
        ダダダダメメメなものは
        ダダダダメメメでででで………」
心々 もう目を覆ったままで良いから、
 カティノを唱えてくれええぇぇっっ!!
ネック  (((;つO⊂)))「カカカカティノノノノ…ッ!!」
心々 ビビりながら唱えるなあぁっ!!!


いきなりネックのカティノが飛ぶ!!



が、1匹呪文を邪魔して、寝たのは片方のみ

トライチップ 「ビビッて力を出し切れてないんじゃないのか、あれ……?」
心々 「ネックの実力なら、あんな奴らチョロいはずなんだけどなぁ……」
トライチップ 「どうすんだよ?」
心々 大丈夫だっ!!
 沙賀里っ!!
沙賀里 「何でございましょうか?」
心々 ここは神職の出番だっ!!
 あいつらを成仏させてくれっ!!
沙賀里 「お任せください」
心々 任せたぞっ!!


2番手は沙賀里のディスペル!!!

沙賀里 ♪ダスタ~~~~や!
  ダスタ~~~~!
   
心々 なんだ、そりゃあっ?!
テール 「あれは2人でやるものでは?」
トライチップ 「むしろ魔物が元気になったりしない……?」


沙賀里 「あら……ダメなのですのね………」
心々 頼りにならねえ!!!
   
ダスターA シュオオォッ!!
   
心々 「…!?


羅無市 「くっ……!」
   
心々 先生っ!?
   
羅無市 「物の怪め……!」


ダスターA ボォワアアァッ!!!
          ぜろもんじ
羅無市 「無名流……逆・零文字返し……!!」
   
トライチップ 「おぉ!!
 飛びかかって来たダスター相手に切り返しおった!!」
心々 「しかも一発で倒すなんて……さすがだな」
トライチップ 「いや、心々、おまえも戦ってくれよ……」
心々 「お、そうだったな!
 後は寝ているあいつだけだから、任せな!」
トライチップ 「それで気付いたけど、塵や灰の塊がなんで寝るんだ……?」


心々 「ありゃ……?」
トライチップ 「……………………………………」
心々 「えぇと……」
トライチップ 「まぁ、おまえの場合、当てただけでも御の字だ……」
心々 「それ、褒めてんの……?」



─── 2ターン目


1ターン1匹しか倒せなかったが、仕方無い。
このターンで片付けましょう。

心々 「沙賀里は先生の治療をしてくれ」
沙賀里 「分かりましたわ」
心々 「おめぇはディスペルできないと分かったからな」
沙賀里 「心々!!
 それは酷くありませんか?!」
心々 結果を出してから言ってくれっ!!!
沙賀里 ダスターは昇天させられませんでしたが、
 心々なら絶対に昇天させてさしあげますわ!
心々 黙れぇっ!!!
 両刀使いっ!!!
トライチップ 「じゃあ……後は直接攻撃で倒すの?」
心々 「何言ってんだ?
 今度はおめぇがディスペルするんだよっ!!」
トライチップ え?!
 わしが…!?
心々 「そうだ!
 ちゃんとディスペルできる奴が居ねぇと、今後の不死系との戦闘がボロボロになるからな!」
トライチップ 「………え?
 わし………雇い主なんだけど………?」
心々 死にたくなきゃ、ちょっとは手伝ってくれ!!
トライチップ 「えぇ~~……」


僧侶沙賀里治療に回るので、
もう1人の僧侶トライチップディスペルをさせる。

たまには働きたまえ(朝令暮改)


では、いってみましょう!!

1番手は先生っ!!


ダスターA フォギャアッ!!
羅無市 「む………この物の怪………!?」
   
トライチップ 「おいおい……先生が倒し損ねたぞ……」
心々 「相手が人間じゃねぇから、打ちどころがまだ分かってないのかも知れねぇな」
トライチップ 「そうか……」
心々 「ってな訳で、やっぱりあいつをディスペルしてくれ」
トライチップ え?
心々 「『え?』じゃねぇよ。
 早くしてくれよ」
トライチップ 「えぇと………」
心々 「『えぇと……』……??」
トライチップ 「あ……あああ……悪霊退散っ!!
 悪霊退散っ!!
 悪霊退散っ!!
 悪霊退散っ!!
 悪霊退散っ!!
心々 「それで通用すんのか……?(汗)


沙賀里 「心々ったらひどいんですよぉ!
 まるで人が使いモノにならないみたいに言って!」
羅無市 「…………………………………………」
心々 おめぇは愚痴ってねぇで、真面目に治療しろよっ!!!
トライチップ 悪霊退散っ!!
 悪霊退散っ!!
 悪霊退散っ!!
 悪霊退散っ!!
 悪霊退散っ!!
心々 おめぇはおめぇで、それでちゃんとディスペルできんだろうなあぁっ!??
ネック  (((;つm⊂))) ガクガク…ブルブル…
心々 おめぇはビビッてねぇで、早くカティノ唱えろよっ!!!
テール 「暇ですなぁ……」
心々 このパーティーどうなってんだぁっ?!!
   
ダスターA フシャアアァァァッ!!
   
心々 襲ってくるぞっ!!
 ネックっ!!
 目を瞑ったままでいいから、とにかくカティノを唱えてくれっ!!!
ネック  (((つ>Д<)))つ)) 「カカカティノノノ…ッ!!」


ネック  (((;つm⊂))) 「どどどどうでしょう…??」
心々 「よし!!
 あいつ、眠ったぞ!!」
ネック (;゚▽゚) パァッ! 「ホホホ……ホントですか……?!」


目の前にダスター......

ネック  う~~ん……> ┓┓⌒3 パタンッ!
心々 それはもういいって!!!
トライチップ 悪霊退散っ!!
 悪霊退散っ!!
 悪霊退散っ!!
 悪霊退散っ!!
 悪霊退散っ!!
心々 ぇなあぁっ!!!
 本当にディスペルできるんだろうなぁっ??!


心々 うるせぇだけじゃんっ!!!
トライチップ 「やっぱテキトーじゃダメかぁ……」
心々 テキトーだったんかよっ!!!
 おめぇは訓練所で何を学んできたんだあぁっ??!!
トライチップ 「講義なんか興味無いから、何も聞いてなかった」
心々 今後の不死系との戦闘、
 本当にどうなっちまうんだあぁっ!!??
トライチップ 「叫んでばかりいないで、おまえは用心棒の仕事をしてくれよ」


心々 「……………………………………(汗)
トライチップ 「おい……!」



本当にどうなっちまうんだ.........

 

───まさかの3ターン目


ダスターA シュウゥッ……」
   
心々 「ちっ…!
 もう起きてきやがった!」
トライチップ 「どうするんだよ?」
心々 「ディスペルできねぇなら、もう直接攻撃で倒すしかねぇなぁ……」
沙賀里 「心々!」
心々 「あ?」
沙賀里 「わらわにもう一度をチャンスを下さい!」
心々 「同じことやっても、同じ結果になるだけだろ?」
沙賀里 「ディスペルの方法は1つだけではありません」
心々 「そうなの…?」
沙賀里 「どうかご安心下さい。
 今度こそあいつを昇天させてみせますわ」
トライチップ 「『ご安心下さい』って発言、このパーティーではダメの前振りな気がする……」
心々 「じゃあ、ディスペルは沙賀里に任せるとして、
 チップ、おめぇが代わりに先生を治療してくれ」
トライチップ 「なぁ、わしにももう1度チャンスをくれたり…」
心々 しない!!
トライチップ ソッコー拒否られた………


心々 「おい! 起きろ、ネック!(バシッ!バシッ!)
ネック 「…いたっ?! …いだっ!?」
心々 「カティノだ!
 カティノを頼むぞ!」


では、3ターン目、いってみましょう!!

沙賀里 神聖なる巫女の本領!!
 今度こそ見せてさしあげましょう!!
トライチップ
& 心々
   
沙賀里 ♪イア・イエ、
  ハオラ~~~!
  ウハ・エ・カ
  ダスタ~~ヤ~~!
   
心々 それ、本当にディスペルかっ??!
テール 「今度は知る人しか知らない様なものが出てきましたな……」
トライチップ 「だから、逆に敵が元気になったりしないの…?」


心々 このパーティー、ディスペルが一切できねぇのかよっ!!!
 マジかよっ?!!



マジかよ.........




羅無市 「くっ…!(ささっ!)
心々 「ネックっ!!
 早くカティノをっ!!」


ネック  (((;つ皿⊂)))「カカカカティティティノノノノ…っ!!」
心々 それで本当に効くのかよっ?!


心々 「効くんだ………」
トライチップ 「すごいな………」
心々 「何気に一番仕事をしてるのって、ネックだよな……」
トライチップ 「おまえも仕事しろよ」
心々 「…………………………………………」
トライチップ 「…………………………………………」
心々 なはははははっ!!
トライチップ 笑ってごまかすなっ!!!


心々 どうだっ?!
 倒したぞっ!!
トライチップ 「相手が寝たから、外すかと思った……」


最後は先生を治療して......、


...無事に勝利!!!

トライチップ 「なんとか片付けたか……」
心々 「ゴミ掃除完了だな」
テール 「いやぁ~~、ディスペルが全く通用しないので、
 一時はどうなることかと思っておりましたぞ」
トライチップ
& 心々

  
テール 「いやぁ…、まぁ…、ダストはダストでも生きてないダストのことを言ってたのであって、
 生きてるダストはダストにあらずなのですが、
 そう言えば不死系だからやはり生きてないダストだったのかも知れませんけど、
 でも死んだのでやっぱり生きてるダストと言えなくもなきにしもあらずと言いますか……」
トライチップ 「何を言ってんだ、おまえ……?」
テール 「えぇと………」
心々 「まぁ、いいや。
 金貨が無いか、探そうぜ」
トライチップ 「え?」
テール 「金貨…?」
心々 「あぁ。
 ダスターって、死体を取り込むこともあるんだ。
 だから冒険者の死体を取り込むと、そいつが持っていた金貨とかが体内に残るんだぜ」
トライチップ 「マジ…?!」
心々 「見てみようぜ」


テール 「おぉ!!
 ご神官様!!
 1人頭17G.P.もの金貨が出てきましたぞ!!」
トライチップ 「こういう時、割り勘の額で報告するかな、普通……?」
テール 「清掃代ですな」
トライチップ 「じゃ、何もしなかったおまえだけ、無賃な」
テール 「え?」
トライチップ 「『え?』じゃねぇよ。
 働からざる者、食うべからず…だ」
心々 「1人頭17G.P.ってことは、総額は102G.P.か?
 それなら5人で分けて1人頭20G.P.だな」
トライチップ 「可哀想だから、端数の2G.P.だけはテールにくれてやれ」
テール 「そ、そんなっ…?!
 あんなに頑張ってリノベーションのアイデアを出しましたのにっ?!」
トライチップ それが戦闘にどう役だったんだ?!







まだレベル1なので、これで帰還しました。

 

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つづきは2025年5月24日(土)公開予定。

 


【更新履歴】
2025年 5月17日:第1節まで公開。