26.チャンスは目の前にして逃げ出す

【登場人物】  
サーロイン ロイヤルレンジャーズのリーダー。サーは敬称。
三洲次 元盗賊だった日本男児の侍。発音は「みすじ」。
接近戦最強のくノ一。でも細かい事は大嫌い。
ロース こんな名前だが細身で美人なエルフの女魔法使い。
ランプ 財宝一筋なエルフの司教。パーティーの知恵袋。
ブリスケット 日本オタクのエルフの僧侶。あだ名は「ブリ助」。

読了時間 (目安):約25分(動画無)約36分(動画込)
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━━━━ ガリアン海賊団
     ハイコルセアの部屋.....

キャプテンA 「いけぇ!!
 赤だ!! 赤に入れ!!」
キャプテンB 「ダメだ!!
 青だ!! 青に入れ!!」


部屋の中では2人ガリアンキャプテンが、丸い円盤数枚の金貨を前に大声を上げていた。
円盤には4色の凹みが外周に沿って交互に並び、その周りのフチを小さな銀色の玉が転がり続けている。
銀色の玉は転がるスピードを少しずつ落としていき、遠心力を失うと、黄色の凹みに転がり落ちた。

キャプテンA 「あぁ!!
 外れたっ!!」
キャプテンB 「2人とも外れだ。
 キャリーオーバーだな」
   
ハイコルセア 「よぉ」


そこへ、この部屋の主のハイコルセア・通称レッドが入って来た。
彼はロイヤルレンジャーズに命を狙われていると考えており、
パーティーが砦に侵入した時は、大事を取って砦の外へ避難をしているのだった。
そして今、時間を置いて戻って来たところである。

キャプテンA 「あ、戻られましたか」
キャプテンB 「お帰りなさい」
ハイコルセア 「扉の外まで声が聞こえていたぞ。
 何をやってるんだ?」
キャプテンA 「賭けです」
キャプテンB 「暇潰しですよ」
ハイコルセア 「そうか。
 それで、爆弾を次々と爆発させてる例のパーティーは帰ったのか?」
キャプテンA 「はい」
ハイコルセア 「まさか、またアンケートも取っていたのか?」
キャプテンB 「いえ、今回は取っていなかったようです。
 ただ……」
ハイコルセア 「ただ……?」
キャプテンA 「あいつら、今回は倉庫に侵入したそうで」
ハイコルセア 「なに?!
 そういや、あいつら俺らの財宝を片っ端から奪ってたな。
 あいつら、倉庫から何を盗っていったんだ?」
キャプテンB 「メイスが1本無くなっているのは確認しましたが、
 それ以外は無事な様です」
ハイコルセア 「メイス1本だけか?」
キャプテンA 「はい」
ハイコルセア 「なんでメイスだけ?」
キャプテンB 「さぁ…?」
ハイコルセア 「あいつら、何がしたいのかよく分からんな……」
キャプテンA 「えぇ、まったくです」
ハイコルセア 「どうせまた侵入して来るだろうから、
 念のため、倉庫にある物は別の場所へ移しておけ」
キャプテンB 「分かりました」
キャプテンA 「じゃ、勝負はお預けだな」


2人のガリアンキャプテンは人手を集めるため、さっそく部屋から出て行った。

その後ろ姿を見送ると、ハイコルセア・レッドは残された円盤に視線を落としつつ、1人愚痴た........。

ハイコルセア 「あいつらの狙いは………本当に何なんだ……?」













━━━━ ギルガメッシュの酒場
     早朝.....

サーロイン 「いけぇ!!
 赤だ!! 赤に入れ!!」
ランプ 「ダメです!!
 青です!! 青に入るんです!!」
ブリスケット 「いんや、黄色っす!!
 黄色に行きやがれっす!!」


大きな円形のテーブルの上には丸い円盤と幾つかの金貨が積み重なっており、3人がその前で大声を上げていた。
その円盤には4色の凹みが並び、その周りを銀色の玉が転がっている。
そしてスピードが落ちた玉は、緑色の凹みに落ちていった。

サーロイン 「あぁ!!
 外れたっ!!」
ランプ 「3人とも外れですね」
ブリスケット 「じゃ、キャリーオーバーっすな」
ロース 「おはよう。
 店の外まで声が響いてたわよ。
 何をやってるの?」
サーロイン 「おはよう」
ランプ 「BRGY(ブーギー)です」
ロース 「ブーギー?」
ブリスケット 「玉を転がして、どの色に玉が落ちるか当てるゲームっす」
ロース 「ブーギーってどういう意味?」
ランプ 「4つの色の頭文字です。
 Blue、Red、Green、Yellow ……で、BRGYって訳です」
ロース 「ふ~~ん」


遅れてが酒場に入って来た。

「うぃ~~す………、
 ん~…?
 何してんだ?」
ランプ 「BRGYです。
 お金を賭けて色を当てるゲームです」
「ふ~~ん」
ランプ 「桃もやりますか?」
「いや、興味無ぇからいい」
ランプ 「そうですか?
 面白いんですがね」
サーロイン 「ま、キャリーオーバー中だし、このままのメンバーで進めよう」
ブリスケット 「じゃ、もう1勝負っす!」


3人はテーブルの上の金貨の山に、さらに1人1枚ずつ金貨を重ねた。

ランプ 「それでは、私は今回も青に」
サーロイン 「俺も同じく赤のままだ」
ブリスケット 「じゃ、あっしは緑にしやすぜ」
ランプ 「勝負!」


ランプが玉を投げると、玉は勢い良く円盤の外周を回り始めた。
しばらくは勢いを失うことを知らないかの様に回っていた玉だが、
徐々にスピードが落ちてくると、3人は息を潜めて玉の行方に集中した。

そして、ついに勢いを失った玉は、外周から凹みの中へ倒れ込もうとした........


青色の凹みへ......

ランプ 「よ~~しっ!」
サーロイン&
ブリスケット
「「ああぁぁ……」」



………………………………


……………………


…………


━━━━ ガリアン海賊団の砦
     倉庫内.....

倉庫の中では、ガリアンキャプテンたちガリアンガードたちに荷物の移動について説明していた。

キャプテンA 「……と、言う訳で、まずは南側のエリアの各居住区と、入りきらない分は通路に運び込むんだ」
キャプテンB 「ただ、運び込んだら箱に罠は仕掛けておけよ。
 タダで奴らに渡す気はないからな」
ガードA 「罠は何を?」
キャプテンA 「なんでもいい」
キャプテンB 「あっさりと罠に引っ掛かるらしいから、何でもいいぞ」
キャプテンA 「あいつらの罠の解除の担当者は…」
キャプテンB 「…相当なバカらしいからな!!」



…………


……………………


………………………………


「へっくしょん!!ガタッ!
ロース 「……?」


がクシャミをした途端、その勢いでテーブルが揺れ、
振動で円盤の上のが飛び跳ねて......

ランプ 「え?」


...青色の凹みを飛び越え、その先の赤色の凹みに転がり込んだ!!

サーロイン 「やった!!」
ランプ 「え?
 ウソ!?」
サーロイン 「俺の勝ちだな!」
ランプ 「ちょっと待って下さい!!
 今のは桃のクシャミで結果が変わりましたよね!?
 ノーカンです!!」
サーロイン 「何を言う。
 悪意を持ってやったのならノーカンも分かるが、今のは違うだろ」
ランプ 「いえいえ、どう見ても今のは青色でした!!」
サーロイン 「往生際が悪いぞ。
 こういうアクシデントも含めて、出た結果を受け入れるのが賭けだ」
ランプ 「そんな………勝ちを目の前にして………、
 も……!?」
「あ?」
ランプ 「桃が……桃がクシャミさえしなければっ!!」
「ぁあっ?!
 あたいのせいだって言うんかっ!?」
ランプ 「そうですよっ!!
 桃がクシャミをしたから、結果が変わったんじゃないですかっ!!」
てめぇ、ふざけんじゃねぇぞっ!!
 クシャミで変わった結果が、てめぇが賭けた色に入っていた場合にゃぁ、
 どうせノーカンとか言わねぇんだろっ?!
ランプ 「そ……それは………、その時はですねぇ……その……、潔く身を引いてですねぇ………」
ウソがバレバレだああぁっ!!!
 てめぇみたいな奴は、負けた時だけ文句を言ってくるんだっ!!
ランプ 「いや、その……(汗)
   
ブリスケット 「実に的確な反論ですな」
ロース 「ランプなら充分あり得るわね」
   
なめんじゃねぇぞっ、てめえぇぇっ!!
 あたいを敵に回したらどうなるか、ハッキリと分からせてやるっ!!!
ランプ ちょっ?!
 暴力反対ぃぃっ!!!
今さら遅いぃっ!!!
ランプ ごめんなさいいぃぃっ!!!
   
ブリスケット 「こいつぁは………」
ロース 「ご愁傷さまね………」
   
   
   
  ぎゃああああぁぁぁぁ......! ! !
   
   
   
三洲次 「おはよぉ~……、
 店の外まで絶叫が響いてたよ。
 何があったの?」
   
ランプ み、三洲次ぃぃっ!!
 助けてえええぇっ!!!
まだまだああぁぁっ!!!
ランプ ひぃえええぇぇぇっ!!!
   
三洲次 「え……?
 何が起きてるの……??」






サーロイン 「では、そろそろ出発するか」
ランプ 「いててて……こ、今回はですね、あの倉庫にまた行きましょう!」
ブリスケット 「木箱がたくさんあった倉庫っすね」
ランプ 「そうです!
 あれだけたくさんの木箱があったのですから、
 探せば良い武器の1つや2つが入っているはず!」
ロース 「これまで海賊達の宝にロクな物が無かったから、あんまり期待できないわよ」
ランプ 「何を仰います。
 重要な物は手元に置いておくものです。
 本拠地の倉庫となれば、今までの宝箱には無かったアイテムが、きっと期待できます!」
ブリスケット 「さてさて、そいつぁは吉と出るか凶と出るか……」
三洲次 「ま、出発しましょう」



と、その前に........




前回ブリスケット(僧侶)のレベルアップを紹介しましたが、
同時にロース(魔法使い)レベルアップしていたので、紹介致します。


レベル7になり、魔法使い呪文レベル4習得開始!!


ついにラハリト(マハリトの上位呪文)を習得!!!

素晴らしい!!

これなら今のフロアの敵なんて、全て一発で倒せるぜ!!

 

いや、これって......、


1階で遊んでる時間が長過ぎるのでは......?

 



【目次】

1.チャンスを手に入れるべく向かう

2.チャンスは目の前にして逃げ出す




1.チャンスを手に入れるべく向かう


(※) 動画は1.~2.までノンストップです。



いつまでも1階でウダウダしていてもしょうがないので、
もう今回はハイコルセアをぶっ倒して次のフロアへ行っちゃいましょう!!!

 


........行けるといいけど。

 


━━━━ 迷宮 入り口.....


では、出発です!!





げっ?!


だああああぁぁぁっ!!!

初っ端から、なんて運が悪いっ!!!




......ん?



おおおおっ!!

いいぞ! いいぞっ!!

片っ端から敵の攻撃を避けてるっ!!!


サーロイン 「よっと!(ひょい!)
三洲次 「おっと!(ぴょん!)
「へっ!(さっ!)
   
ブリスケット 「器用に避けやすな」
ランプ 「さすがにこいつらの行動パターンも熟知してきましたね」
ロース 「すごいわっ!!」
   
Vサイン!


ぐぎぃっ?!
   
ブリスケット 「桃っちって……」
ランプ 「油断すると……」
ロース 「すぐこれね……」


全避けするかと思ったら、最後の最後に1発喰らいやがった。

惜しい......。



戦ってもロクなことが無いので、逃走する。

サーロイン 撤退だっ!!
てめえらああぁぁぁっ!!!
 根こそぎ刈り切ってやるぅぅっっっ!!!
三洲次 「はいはい、桃、逃げるぞ(ずるずるずる…)
放せえええぇぇっ!!!
 こいつら根絶やしにしてやるぅぅぅっ!!!(ずるずるずる…)


バタンッ!


無事に逃走成功

しかし、今回は幸先が悪いな......。


入り直すとあいつらはどっかに行ったので、そのまま通してもらう。



海賊の砦まで到着。

サーロイン 「またモートモンスター達がいるだろうから、
 見つけ次第倒しながら進むぞ」


砦の入り口までに、2回ほどモートモンスター戦がありますが......、




...どちらも特に問題無く......、




...倒して突破。

モートモンスターって面白い攻撃が無いので、
特にネタにならないんだよな。

なので詳細は割愛し、さっさと......、


...に突入したいと思います。

サーロイン 「今回も見張りは居ないのかな?」
「あぁ、特に気配は感じないぜ」
ロース 「相変わらず不用心な砦ね」
三洲次 「これじゃ、入って下さい、と言ってるようなものですよ」
ブリスケット 「ま、ありがたく入らせて頂きやしょう」


ガチャッ...!        ← 扉を開けた音


………………………………


………………………


………………


………






━━━━ 砦の中の倉庫

そこでは2人ガリアンキャプテンの指揮の下、倉庫の物を砦の別の場所へ移す作業が進んでいた。

キャプテンA 「ほら、グズグズするな!」
キャプテンB 「そっちの箱も準備出来たから、とっとと運び出せ!」
ガードA 「キャプテン、棚の一番上にけっこう貴重な武器が残ってましたぜ」
キャプテンA 「本当か?」
ガードA 「ほら」
キャプテンA 「本当だ」
キャプテンB 「これは入手困難な品だから、奴らには盗られたくないぞ」
ガードA 「どうしますか?」
キャプテンA 「通路に置くのはヤバイなぁ………」
キャプテンB 「もうボスの部屋に置かせてもらおう。
 後で報告へ行く時に持っていけば良い」
キャプテンA 「そうだな」
ガードB 「キャプテン、南側のエリアが一杯になって来ました」
キャプテンB 「早いな。
 それじゃ、残りは食堂とかにでも置いておけ」
ガードB 「食堂って、もう2回も盗られてますよ?」
キャプテンB 「他に場所が無いんだろ?
 仕方ねぇよ!」
ガードB 「分かりました」


こうして、倉庫の中の品を運び出す作業は着々と進んでいった......。


………


………………


………………………


………………………………


━━━━ 砦の中 パーティー側.....


中に侵入したパーティーは、砦の中央部へ向かって進んでいた。



特に敵とは遭遇せず、順調に進んでいく。

そして......、


ロース 「今日も『ガリアンメイジがお届けする本日の職業占い』が掛かってるわ」
ランプ 「今回も見ていきましょう」
三洲次 「意外と当たってるから、侮れないんだよな」
ロース 「じゃ、読むわね。
 えぇと『本日のラッキー職業』は………ジャジャン!『ガード』です!」
ブリスケット 「え?」
ランプ 「ガードって………」
三洲次 「ガリアンガードのことじゃん……」
ブリスケット 「いや、ここに住む海賊向けの占いなんで、間違っちゃぁいねぇっすが……」
ランプ 「むしろ今までの『君主』とかの方がおかしかっただけで……」
三洲次 「ただ、俺たちにはこれっぽっちも面白くない結果だな……」
サーロイン 「ちなみに、何がラッキーなんだ?」
ロース 「『お仕事いっぱい』」
三洲次 「それはラッキーなのか……?」
ブリスケット 「ブラックな職場っすなぁ……」
サーロイン 「ま、アンラッキーの方も見てみよう」
ロース 「じゃ『本日のアンラッキー職業』の方は………『ごめんなさい、司教です』!」
ランプ 「え?
 司教って2回目ですよ?!」
ブリスケット 「3回見て2回もアンラッキーたぁ、それだけで充分アンラッキーっすよ」
ランプ 「この占いを書いてるガリアンメイジって、司教に恨みでもあるんですか?」
サーロイン 「で、何がアンラッキーなんだ?」
ロース 「『チャンスを目の前で逃すでしょう』」
ランプ 「この占いって、なんでこんなに当たるんですか……」


先へ進みます。


サーロイン 「また、この食堂に来たな」
ブリスケット 「毎回ガリアンガードどもが集まってる場所っすね」
ロース 「場所がら、今回も居るんじゃない」
サーロイン 「じゃ、まずはコッソリ覗いてみよう」
三洲次 「では……」


キィィィィ......




食堂の中ではガリアンガードが数人テーブルに座り、開いた扉には気付かず、
全員が酒と食事を片手に談笑していた。

サーロイン 「中の様子はどうだ?」
三洲次 「中にはガリアンガードが1人、2人……こちらと同じ6人。
 こっちには気付かず、食事をしています」
サーロイン 「よし、チャンスだな。
 一気に雪崩れ込んで半数を片付けよう。
 そうすれば、勝てたも同然だ」
三洲次 「了解」


三洲次が扉をそのまま静かに開け切ると、
前衛3人はなるべく音を立てない様に食堂の中に走り込んだ!




そして、あっと言う間に、扉の近くに居た3人をぶっ倒した!!


─── 通常ターン.....


ガードA 「くそっ!!」
ガードB 「こいつら、例の侵入者だ!!」


残った海賊達は慌てて近くに置いてある武器を手にしようとするが......、

サーロイン 「気付くのがワンテンポ遅い!!」


...その後手の動作で後れを取り......、




...こちらもあっと言う間に倒されたのであった!!


余裕の勝利!!

サーロイン 「目論見通り、あっさり片付けられたな」
ランプ 「さぁ、早く倉庫に行きましょう!」
サーロイン 「いや、ここにも宝箱があるかも知れないから、まずはここを探索しよう」
ランプ 「倉庫に行けばもっと良いアイテムがあるかも知れないですから、
 こんな場所は、もうすっ飛ばしましょう!」
三洲次 「それに、もうここには宝箱は無いでしょうし」
サーロイン 「え?
 なんで?」
三洲次 「俺たちって、ここでカウンターの裏にあった宝箱を2回も奪ってますよ?」
サーロイン 「それが?」
三洲次 「あいつらの立場に立って考えてみて下さいよ。
 2回も取られて憂き目を見ているのに、それをこれっぽっちも学習をしないなんて、
 そんなバカがいますか?」



………………………………

……………………

…………

キャプテンB 「はっくしょんっ!!」
キャプテンA 「……?」


…………

……………………

………………………………


ロース 「ねぇ!!
 カウンターの裏に、また宝箱があったわよ!!」



三洲次 「……………………………………(汗)
サーロイン 「……………………………………(汗)
三洲次 「いるんだ……(汗)
サーロイン 「いるんだな………(汗)


………………………………

……………………

…………

キャプテンB 「ひぃーーくしょん!!」
キャプテンA 「どうした?
 風邪か?」
キャプテンB 「いや、なぜか鼻がムズムズして……」


…………

……………………

………………………………



「む~~……」


「これは毒針だな」
サーロイン 「よし、解除してくれ」
「うぃ」



「あ………」


「外し損ねただけだ。
 いちいちビビんなって」
サーロイン 「いや、これまでその台詞の後に何があったと思う……?」
三洲次 「ビビるって……」


まぁ、でも、このメッセージが出たってことは、「毒針」で正解ってことだ。

後はちゃんと外せるかどうか......?


「ほい、外れたぜ」


お見事


ブリスケット 「短刀が入ってやした」
ランプ 「どれ、見せて下さい」


ランプ 「一番安い『短刀』ですね」
サーロイン 「まぁ、いつも通りだな」
ランプ 「やはり今回の大本命は、このすぐ先にある倉庫です!」


サーロイン 「それでは……」
ランプ 「それでは!!」
「カウンターの裏の食材を……」
三洲次 「行くぞ(ずるずる…)
「お肉ぅ(ずるずるずる…)


サーロイン 「隣の通路に出るぞ」


ガチャッ...!



ヒュウウウゥゥゥ......ゥゥ......ゥゥ........


サーロイン 「……………………………………」
三洲次 「……………………………………」



ヒョオオオォォォ......ォォ......ォォ........


ブリスケット 「……………………………………」
ロース 「……………………………………」




………………………………


………………………


………………


………


━━━━ ハイコルセアの部屋.....

ガードA 「レッドっ!!
 トラブルですっ!!」
ハイコルセア 「どうした?」
ガードA 「運んでいたアイテムが奪われました!!」
ハイコルセア 「なに?!
 あいつらが来たのか!?」
ガードA 「あいつら……?」
ハイコルセア 「あいつらじゃないのか?
 例の爆弾を次々と爆発させてる奴ら」
ガードA 「いえ、違います」
ハイコルセア 「じゃ、あいつら以外にも俺たちの宝を奪う奴が現れたのか?!」
ガードA 「はい」
ハイコルセア 「なんてことだ……、
 悩みの種が増えやがった………」
ガードA 「……………………………………」
ハイコルセア 「それで、それは誰なんだ?」



………


………………


………………………


………………………………



ホオオオォォォ......ォォ......ォォ........


ランプ 「なんで………」



サーロイン 「こんな………」


三洲次 「ところに………」



ロース 「ポルターガイストが………」
ブリスケット 「この砦、呪われてるんでは………?」
サーロイン 「ただ、通路で良かったな。
 さっきの部屋にこいつらが居たら、やばかったぞ」
三洲次 「食堂のことですか?」
サーロイン 「あぁ。
 椅子を飛ばしてくるだろうし……」
ランプ 「確かに」
サーロイン 「壁に刺さったナイフを飛ばしてくるだろうし……」
ロース 「壁に刺さった…?」
サーロイン 「目が描かれた絵画が襲ってくるだろうし……」
ブリスケット 「そんな絵、ありやしたっけ……?」
サーロイン 「最後は天井からキャンドルホルダーが落ちて来るだろう」
三洲次 「何の話しですか……?」


………………………………

……………………

…………


━━━━ ハイコルセアの部屋.....

ハイコルセア 「はあ?!
 ポルターガイストぉ?!」
ガードA 「えぇ」
ハイコルセア 「で、そいつらが現れて、どうしたんだ?」
ガードA 「なんか箱を目掛けて襲って来たので、慌てて逃げました」
ハイコルセア 「箱を目掛けて……?」
ガードA 「はい
ハイコルセア 「なんだ、そりゃ……?」
ガードA 「分かりません」
ハイコルセア 「そのポルターガイストって、宝箱を運搬していた仲間が例のパーティーに殺されて成仏できず、
 いまだに箱を守ろうと彷徨っているだけでは?」
ガードA 「運搬中の箱を見つけて、守ろうと近付いて来たってことですか?」
ハイコルセア 「まぁ、想像だがな……」
ガードA 「う~~ん………」

…………

……………………

………………………………


(再掲)

ランプ 「あ!
 ポルターガイストのすぐ下に箱があります!!」
サーロイン 「あの箱を守っているのかな?」
ブリスケット 「ってか、箱に夢中になって、こっちに気付いてねぇですぜ」
三洲次 「ポルターガイストがこっちに気付いてるかどうかって………どこで分かるの?
 背中とか無いから、違いが分からないんだけど……」
ブリスケット 「そりゃ、あっしら聖職者はプロっすから」
三洲次 「そういう問題なの……?」
ランプ 「あの箱を頂いちゃうためにも、奴らには消えてもらいましょう」
ブリスケット 「あっしらプロの出番っすな」
サーロイン 「よし、あいつらを消すのは任せたぞ」
ランプ 「はい!」
ブリスケット 「お任せ下され!」


ブリスケット 「はいはい、そこ、邪魔っす!」
   
ポルターガイストA  フホォォオオォ…??
   
ランプ 「どっか行って!」
   
ポルターガイストB  ヒョホオオォォォ…!?
   
三洲次 「プロ……?」




ランプ 「消えました」
ブリスケット 「もう大丈夫っす」
サーロイン 「うむ、さすがプロだ」
三洲次 「マジか………」


プロの出番だな!!
三洲次 「イヤな予感が………」


三洲次 しかも桃の苦手な『ガス爆弾』!!!
サーロイン 「大きな声を出すな」
三洲次 「あ、俺、ちょっと忘れ物を思い出したので……」
「はいはい、そこ、離れんな(ガシッ!)
三洲次 「ふほぉぉぉおおぉ…?!(ずるずる…)
「こっちに来いって(ずるずる…)
三洲次 「ひょほおおぉぉぉ…!?(ずるずる…)



「外れたぜ。
 もう大丈夫だ」
サーロイン 「うむ、さすがプロだ」
三洲次 「ぜぇぜぇ………マジかぁ………」


ロース 「斧が入っていたわ」
ランプ 「どれどれ、見せて下さい」


ランプ 「いつも通り、一番安い『斧』ですね」
ロース 「ポルターガイストが、なんで斧なんかに興味を持っていたのかしら?」
サーロイン 「ま、考えても分からないから、次へ行こう」



ランプ さぁ!!


ランプ 「やって参りましたっ!!
 本日のメインイベント!!
 お宝一杯の倉庫ですっ!!
サーロイン 「じゃ、入ろう」


ガチャッ...!


…………………………………………


………………………………


……………………


…………


━━━━ ハイコルセアの部屋.....

ガリアンキャプテン2人大きな箱を運びながら、部屋の中へと入って来た。

ハイコルセア 「なんだ? その箱?」
キャプテンA 「倉庫にあった貴重なアイテムです。
 迂闊な場所には置けないので、ここに保管させて下さい」
ハイコルセア 「構わないが……」
キャプテンA 「じゃ、置かせてもらいますよ」
キャプテンB 「うんしょっと」


2人ガリアンキャプテンは持って来たを部屋の真ん中へ置いた。

ハイコルセア 「倉庫からの退避は、これで終わりか?」
キャプテンA 「まだ少し残っていますが、ほぼ終わりです。
 ま、次にあいつらが倉庫に入り込む頃には、中は空っぽですよ」
ハイコルセア 「よし、いいぞ。
 倉庫に入った奴らの悔しがる顔が目に浮かぶな!」
キャプテンB 「あいつらの顔をご存知なので?」
ハイコルセア 「いや、知らないけど………その、なんて言うか……、細かいことツッコむなよ………」
キャプテンB 「すいません」
ハイコルセア 「ま、久々の白星を前に、前祝いといこう」


ハイコルセアは絨毯の上にあるラム酒の瓶を手に取り、3つのショットグラスに酒を注ぐと、
2人ガリアンキャプテンに1つずつ手渡した。

そして残ったグラスを手にして、ニヤリと笑うと......、

ハイコルセア 「チャンスを逃して悔しがる奴らの泣きっ面に……」


...そう言ってグラスを顔の前に持ち上げた。

3人 「「乾杯!!」」


3人はショットグラスを一気に飲み干すと、部屋中に響き渡る声で笑い合った。

 



2.チャンスは目の前にして逃げ出す


パーティーが倉庫に入ると、中では......




...ガリアンガード達が、倉庫の品を箱の中へしまう作業をしていた。

ガードA 「ん? なんだ、てめぇら?!」
ガードB 「こいつら、例の盗賊パーティーだっ!!」
ガードC 「また倉庫の品を盗りに来やがったな!!
 返り討ちにしろっ!!」
サーロイン 「やれやれ、血の気の多い奴らだ」





まぁ、こいつらはもうザコなので、特に問題無く倒して、勝利!!


サーロイン 「こいつら、倉庫の品をしまっていたようだな」
ブリスケット 「こいつも頂いちゃいやしょう」
ランプ あぁっ!!
サーロイン 「ん?」
ロース 「どうしたの?」


この倉庫は左右の壁に棚があり、前回来た時は棚一杯に木箱が置いてあったが、
今は全く無くなり、空っぽであった。

ランプ 「倉庫の中にあった物が、根こそぎ消えてます!!!」
三洲次 「ホントだ」
ブリスケット 「前回あっしらが倉庫からメイスを持っていったんで、
 また取られねぇように、他へ移動したんじゃねぇっすか?」
ロース 「前回はあんなに木箱があったのに、これじゃ何も取れないわね」
ランプ 「そ……そんな………」
ランプ そんなあああぁぁぁっ!!!


サーロイン 「すると、これが最後の梱包だったんだな」
三洲次 「ま、これだけでも貰っていきましょう」
サーロイン 「桃、頼むぞ」




「ほい、開いたぜ。
 中は……(ゴソゴソ…)……斧だな」
ランプ 「じゃ、それだけでも……」


ランプ 「識別する前から結果が分かり切ってる気が……」
ブリスケット 「さっきのとソックリっすな……」


ランプ 「ですね………」
ブリスケット 「ですな………」



サーロイン 「空っぽの倉庫に用は無いから、もう次へ行こう」
ロース 「この倉庫、まだ奥へ行くことが出来るわ」
三洲次 「ランプ、もしかしたら奥にはまだ残ってるかもよ」
ランプ 「希望はまだ潰えてませんねっ!」
サーロイン 「じゃ、入ろう」


ガチャッ......!


隣の部屋に入ると、ここも何も無い棚があるだけの、空っぽの倉庫であった。

ランプ ぇぇ……」
ブリスケット 「こりゃ、根こそぎ運び出してやすな」
三洲次 「完全に後手じゃないか」
ブリスケット 「占いの結果通りっすね」
ランプ 「そんなぁ………、
 あぁ……アイテムがぁ………」
ロース 「諦めないで、まだ奥があるわよ」
サーロイン 「じゃ、さらに入っていこう」


ガチャッ......!


次の部屋も倉庫だったが、ここの棚には木箱が大量に残っていた。

ランプ 「お!?」
三洲次 「ランプの目に輝きが戻ったぞ」
ロース 「まだ全部は運び出してなかったようね」
サーロイン 「よし、中を調べよう!」
ランプ 「はいっ!!」


6人は手分けして、木箱の中身を確認し始めた。

ランプ この中は………リンゴ?」
三洲次 「こっちは乾パンだ」
ブリスケット 「こっちは塩漬けのニシンっす」
ロース 「人参やキャベツ……これは野菜ね」
「香辛料もあるぜ」
サーロイン 「どうやらここは食糧庫のようだな」
ランプ 「はぁ……アイテムは期待できないですね……」
ロース 「人参でも持って行く?」
ランプ 「いえ、いいです」


ブリスケット 「まだ奥があるっすよ」
ランプ 「一縷の望みを賭けて、行きますか……」
「お、ソーセージがあるぜ!」
三洲次 「桃、行くぞ(ずるずる…)
「お肉ぅ(ずるずるずる…)


ガチャッ......!


そこは倉庫の並びの一番最後の部屋で、棚には大量の酒瓶が並んでいた。
それ故、部屋の中はアルコール特有の香りが全体に漂っていた。

ロース 「ここはお酒の貯蔵庫ね」
サーロイン 「この砦は新鮮な水が期待出来そうもないから、これらが命の水って訳だな」
三洲次 「ラム酒とか長持ちしますからね」
ランプ 「つまり、アイテムは完全に無し……って訳ですか」
ブリスケット 「ま、人間、諦めが肝心でっせ」
ランプ 「はぁ………」
サーロイン 「では、倉庫の探索はこれぐらいにして、元の通路に戻るか」


行き止まりだったので、ここで来た道を戻りました。


…………………………………………


………………………………


……………………


…………


━━━━ ハイコルセアの部屋.....

部屋の中では、ガリアンキャプテン2人ハイコルセアが酒を飲みながら談笑を続けていた。

ハイコルセア 「ところで、例のなんとかレンジャーって奴らが倉庫ではなく、
 もしもこの部屋に向かって来たら、どうするんだ?」
キャプテンA 「心配はいりません。
 そのケースも想定して、既に返り討ちの準備をしております」
ハイコルセア 「ほぉ、どんな?」
キャプテンB 「この部屋の前の通路の入り口に守衛所を設けました」
ハイコルセア 「守衛所?」
キャプテンA 「はい。
 そこには腕っこきのガードたちを大量に集めてあります」
キャプテンB 「いくら凄腕のパーティーと言えど、奴らはたかだか6人。
 それを上回る数のガードならば、軽く返り討ちにするでしょう」
ハイコルセア 「そうか。
 指示無しでもちゃんと備えておくとは、さすが俺の片腕たちだ」
キャプテンA 「ありがとうございます」
キャプテンB 「常に大勢の仲間があなたを護っております。
 どうぞご安心下さい」
ハイコルセア 「うむ、頼りにしているぞ」



…………


……………………


………………………………


…………………………………………

 


サーロイン 「では、次は隣の扉に入ってみよう」


ガチャッ...!




その部屋の中では、大勢のガリアンガードが待機をしていた。

三洲次 「おぅ……」
ランプ 「これまた大人数で……」
ガードA 「ん…?
 誰だ?!」
ガードB 「こいつらだっ!!
 こいつらが例の侵入者だっ!」
サーロイン 「あっさりバレたな」
ブリスケット 「そりゃ、海賊とは全然違う身なりをしてりゃぁ……」
ガードC 「ついにここまで来やがったか!!」
ガードD 「だが、ここは絶対に通さねぇぞっ!!」
ガードE 「たかだか6人だっ!!
 ぶっ殺せっ!!!
サーロイン 「ロース、戦いは数じゃないってことを教えてやれ」
ロース 「オッケー!!」


ガードF 「あいつら、魔法を使う気だっ!!」
ガードG 「そうはさせんぞっ!!」


前列の海賊達が一斉に襲って来るが...!!


ガードA うぎゃあああぁぁぁっ!!
そうは問屋が卸さねぇぜっ!!
   
ガードB 「くそっ!」
   
サーロイン 「ブリ助、ランプ、マハリトまでの繋ぎで、
 奴らを足止めするんだっ!!」
ブリスケット 「御意にっ!!」
ランプ 「任せて下さい!!」



サーロイン 「う~~ん、半分ってとこか?」
三洲次 「こいつらシラフっぽいから、マニフォの効きが悪いのって、
 やっぱりラム酒とか関係無く、ブリ助の呪文が弱いだけでは……?」
ブリスケット 「相変わらずヒデェこと言いやすなぁ……」



ランプ 「カティノは後ろ4人全員に効きました」
サーロイン 「よし!
 じゃ、ロース、前列の5人を殲滅しろ!!」
ロース 「任せて!!」


ガード達 「「ふぃぎゃあああぁぁぁっ!!」」
   
ロース 「余裕ね!!」
サーロイン 「見事だ!」


で、残った敵3人は......、




...前衛が着実に倒していき......、


...見事、勝利!!


ブリスケット 「ここ、宝箱が置いてありやすぜ」
ロース 「倉庫にあった箱を、ここら辺に移動させたんじゃないの?」
ランプ 「それなら、さっそく見てみましょう!!」
サーロイン 「桃、頼むよ」
「うぃ~~す」




「開いたぜ」
ランプ 「どれどれ!
 見せて、見せて!!」



ランプ 「ただの『段平』……」
三洲次 「結局、そのレベルか……」



サーロイン 「この殺風景な部屋は何だろう?」
ロース 「壁に担当表があるわ。
 えぇと……これは警備の担当表ね」
ブリスケット 「っつぅことは、ここは警備室とか守衛所って訳っすか?」
三洲次 「それでガードが大勢待機していたのか」
サーロイン 「すると……この奥には、海賊達にとって何か大事な施設があるのか?」


ランプ 「奥の扉に入りますか?」
サーロイン 「うむ」


ガチャッ...!




三洲次 「こっちもガードが守っています」
サーロイン 「軽く蹴散らすぞ」

 


………………………………


………………………


………………


………


━━━━ ハイコルセアの部屋.....

キャプテンA 「ところで、ボスもBRGYをどうです?」
ハイコルセア 「いいぜ。
 久しぶりに俺の運の良さを見せてやる!」
キャプテンB 「そう来なくては!」
キャプテンA 「さっそく始めましょう!!」


3人は絨毯の上にある円盤の前に座ると、金貨を置いて賭け事に熱中し始めた......。


………


………………


………………………


………………………………



ガードA うぎゃぁっ!!


ガードB ぐはぁっ!!


ガードC げほぉっ!!


サーロイン 「他愛も無い相手だな」
三洲次 「こいつらも、もう余裕ですね」
ブリスケット 「壁際に宝箱がありやしたぜ」


サーロイン 「よし、桃、頼むぞ」
「うぃ~す」


「ん~~………」

 

………………………………

……………………

…………


━━━━ ハイコルセアの部屋.....

ハイコルセア 「よし!
 2連勝だ!」
キャプテンA 「外したかぁ~」
キャプテンB 「俺はこれで2連敗だ」
ハイコルセア 「ところで、もしもの話しだが……」
キャプテンA 「はい?」
ハイコルセア 「仮にあいつらが守衛室を突破した場合は、どうするんだ?」
キャプテンA 「その様な場合にもしっかりと備えてあります。
 先日も言いました通り、この部屋の前の通路に爆弾を仕掛けておきました。
 奴らは爆弾があると、必ず引っ掛かりますからね」
ハイコルセア 「あぁ」
キャプテンA 「ですので、例えやつらが守衛室を突破した場合でも、
 その先にある爆弾に引っ掛かって爆発音で接近が分かる……という寸法です」
ハイコルセア 「なるほど。
 あいつら、俺の命も狙ってるかも知れんからな。
 接近が分かり次第、俺は外へ避難するぞ」
キャプテンB 「はい」
キャプテンA 「ま、逆に言えば、爆発音がしていない間は安全と言うことですよ」
ハイコルセア 「そうだな。
 では、さっそく次のゲームといくか」
キャプテンB 「今度は勝ちますぜ!」



…………

……………………

………………………………


━━━━ ハイコルセアの部屋の前の通路.....


「これは爆弾だな」
サーロイン 「爆弾って……」
三洲次 「失敗ばかりの罠じゃん」
ぁああ?!
 なんだって!?
三洲次 「いや、だって事実だろ……」
「天才盗賊だったあたいの腕を疑うってのか?!」
三洲次 「おまえ……ここに来る都度、解除に失敗してるの忘れたの……?」
「じゃ、爆弾の紐を切る刃物の切れ味が落ちてねぇか、まずはてめぇで試してやる!!」
三洲次 「止めろって………じゃ、見事解除したら、今晩の晩飯は奢ってやるよ」
「………………………………………」
三洲次 「………………………………………」
「マジで?!」
三洲次 「あぁ、マジだ」
「う~~しっ!!
 あたいの芸術的な腕前を見せてやるぜっ!!」


「む~~~………」
   
 そろそろそろそろ......
   
「んん~~……」
   
   
 そろそろそろそろ......
   
   
「う~~………」
   
   
 そろそろそろそろ......
   
   
てめぇらぁっ!!
 どういう意味だ、その行動はっ?!


よぉぉっっしゃぁっ!!
 楽勝ぉっ!!!
三洲次 「え……?!
 マジで………?」
あたい、天才盗賊ぅ!!!
三洲次 「なんで………?」
ブリスケット 「食いモンが賭かると、桃っちは集中力が変わるっすな」
三洲次 「えぇ………」
晩飯っ!!
三洲次 「いや……」
晩飯っ!!!
三洲次 まさか……」
晩飯っ!!!!
三洲次 「分かった!!
 奢りますから、許してっ!!」 



で、中身は...?


「金しか入ってねぇぜ」
ランプ 「え……、そんな………」
サーロイン 「この箱だけ、倉庫から持って来た物じゃなかったんだな」
ランプ 「そんな……肩透かしな………」
ブリスケット 「ま、被害が無かっただけ、良かったと思いやしょう」
ロース 「そう考えると、今度から毎回三洲次がご飯代を賭けたらどうかしら?」
三洲次 「俺の財布が持ちそうもないから、勘弁して……」


………………………………


……………………


…………


━━━━ ハイコルセアの部屋.....

ハイコルセア 「よし、赤に入ったぞ!
 また俺の勝ちだな!」
キャプテンA 「またですかぁ……」
ハイコルセア 「今日はツイてるぜ!」
キャプテンB 「しかし、爆発音が聞こえないと、安心できますね」
ハイコルセア 「うむ、あいつらが来ていない証拠だからな。
 心置きなくゲームができる」
キャプテンA 「じゃ、ガンガンいきましょう!」
キャプテンB 「今度は負けませんぜ!」



…………


……………………


………………………………


━━━━ ハイコルセアの部屋の前の通路.....


サーロイン 「長い廊下だな」
ブリスケット 「相変わらず窓の無ぇ廊下って、どこか陰気っすな」
ロース 「でも、ここって他の所と比べて、床も壁もすごい奇麗だわ」
ランプ 「手入れが行き届いてますね。
 この先に何があるのでしょう?」
サーロイン 「進んでみよう」



サーロイン 「で、また扉か」
三洲次 「この扉も、砦の中の他の扉に比べるとですが、奇麗に手入れされてますね」
ロース 「中は何があるのかしら?」
ブリスケット 「ま、入ってみりゃぁ、分かりやすよ」
サーロイン 「念のため、そーっと開けてみてくれ」
三洲次 「はい」


キィィィ........


サーロイン 「どうだ?」
三洲次 「けっこう広い部屋ですよ。
 真紅の絨毯もあって、なんか豪勢ですね」
サーロイン 「ほぉ」
三洲次 「しかも、絨毯の上に人がいます」


サーロイン 「誰がいる?」
三洲次 「えぇと………ガリアンキャプテンが2人と………あと1人、誰だろう?
 見たことが無い服装をしている男が居ます」
サーロイン 「新しいタイプの敵かな?
 それで、何をしている?」
三洲次 「BRGYっぽいです」
サーロイン 「は?」
三洲次 「ほら」
   
ハイコルセア 「いけぇ!
 赤だ! 赤に入れ!!」
キャプテンA 「ダメだ!
 青だ! 青に入れ!!」
キャプテンB 「いいや、緑だ!
 緑に入れっ!!」
   
サーロイン 「本当だ……」
三洲次 「ゲームに夢中で、こっちに気付いてないです」
サーロイン 「これはチャンスだな。
 今の内に接近してみよう」


6人は静かに部屋の中へ入ると、音を潜めながら海賊たちの居る場所まで近づいて、
彼らの真後ろから円盤を覗き込んだ。

ハイコルセア 「赤だっ!!」
キャプテンA 「青だっ!!」
キャプテンB 「いや、緑だっ!!」


玉はスピードが落ちて止まると、黄色のマスに入った。

海賊たち 「「ああぁぁ~~っ!!
  外したぁ~~っ!!」」
ハイコルセア 「よし、もう1ゲームだ!!
 俺は今回も赤にするぞ!!」
キャプテンA 「俺は黄色だっ!!」
キャプテンB 「緑にするぜ!!」
ランプ 「私も緑で!!」
ブリスケット 「あっしは黄色っす!!」
サーロイン 「俺は青だっ!!」
ハイコルセア 「よーーし、赤色は俺だけだな!?
 今日の俺はツキまくってるからなっ!!」
 次は赤色に入って俺の総取りだぜっ!!」
キャプテンA 「では、いきますっ!!」


ガリアンキャプテンを投げると、全員が見守る中、円盤の周りを勢いよく転がりだした!

ハイコルセア 「……………………………………」
サーロイン 「……………………………………」
キャプテンA 「……………………………………」
ランプ 「……………………………………」
キャプテンB 「……………………………………」
ブリスケット 「……………………………………」
ハイコルセア 「………………なぁ?」
キャプテンA 「はい?」
ハイコルセア 「今、3人ほど多くなかったか……?」
キャプテンA 「多かったですね」


ハイコルセアが円盤から顔を上げると、正面に立っているサーロインと目が合った。

ハイコルセア 「……………誰だ、おまえ?」
サーロイン 「あぁ、自己紹介が遅れました。
 私、ロインと申します。
 この国での爵位は準男爵ですが、母国では侯爵を務める正式な君主です」
ハイコルセア 「はぁ…」
サーロイン 「そして『ロイヤルレンジャーズ』のリーダーを務めています」
海賊たち 「「なにいぃぃいっ!!?」」


ハイコルセアガリアンキャプテン2人は慌てふためきながら立ち上がると、
壁際まで走り、立てかけているを手に取ってパーティーと向き合った。

ハイコルセア お、おまえらぁっ!?
 ど、どこから入って来たっ?!
サーロイン 「そこの扉から」
ハイコルセア 「……………………なに?」
サーロイン 「そこの扉」
ハイコルセア 「……………………………………」
サーロイン 「……………………………………」
ハイコルセア 「爆弾は?」
サーロイン 「爆弾……?
 あぁ、通路の途中にあった宝箱に仕掛けてありましたね」
ハイコルセア 「そう、それ!!
 その爆弾はどうした?!」
サーロイン 「解除しました」
ハイコルセア 「……………………は?
サーロイン 「解除しました」
ハイコルセア 「……………解除できるの?」
サーロイン 「できますよ」
ハイコルセア うそぉ~~~?!
サーロイン 「うそぉ~って言われても………」
ハイコルセア 「おい!!
 話しが違うぞっ!!」
キャプテンA 「いや、そう言われましても……」
サーロイン 「そんな事より、あなた達は誰なんですか?」
ハイコルセア 「なに?!
 俺が誰かも分からず、ここに入って来たのか?!」
サーロイン 「え……?
 いや……、その……何かすいません。
 ただ、本当にどちら様か知らなくて……」
ハイコルセア 「よく聞け!!
 俺こそがこのガリアン海賊団を束ねる……」


ハイコルセア ハイコルセアだっ!!


とうとう来た!!

1階のボスキャラ「ハイコルセア!!!


サーロイン 「ハイコルセア……?」
ロース 「誰よ? ハイコルセアって?」
ランプ 「海賊団の首領ですね」
ロース 「え?
 じゃぁ、あいつが船長なの?」
ランプ 「ここ、船じゃないので船長はおかしいですが、
 まぁ、同じ立場ですかね」
   
ハイコルセア だが、俺もこの海賊団のトップ!!
 むざむざと殺されたりはしねぇからなっ!!
   
サーロイン 「なんか戦わないといけなっぽいな」
ブリスケット 「まぁ、海賊とは敵対してんで、いずれはこうなる運命でっしゃろ」
   
ハイコルセア ちょえええぇぇぇっっ!!


ハイコルセアは手に持ったシミター(半月刀)を振り上げると、
問答無用で前衛の3人に襲い掛かった!!

サーロイン 「やれやれ……」


サーロインは素早く段平を抜くと、軽く相手の刀を切り返し......、


ハイコルセア ぐぼわっ!!


...ハイコルセアを突いて、突き放した!!

ハイコルセア まだまだぁっ!!


後ろに怯んだハイコルセアだが、すぐに刀を振り上げると、次に三洲次へ襲いかかった!!

が......、


ハイコルセア ぐふぁぁっ!!


...三洲次もあっさりとハイコルセアを突き返した!!

ハイコルセア ぐぅおぅっ!!
キャプテンA 「レッド!!」
キャプテンB 「大丈夫ですか?!」
ハイコルセア 「あ……あぁ……、大丈夫だ………」
   
サーロイン 「剣の腕は大したことないが……」
三洲次 「俺たちの攻撃を連続で喰らって倒れない奴は、初めてですね」
ブリスケット 「さすがボスっすな」
   
ハイコルセア 「ここの荒くれ者たちを束ねる俺だ……、
 こんな奴らに殺られるほど落ちぶれちゃいねぇぜ!」
   
サーロイン 「こんな奴らで悪かったな」
三洲次 「桃、もうトドメを刺してやれ」
「え?
 別に放っとこうぜ、こんな奴」
三洲次 「へ?」
「さっきの動きで、弱いのが丸分かりだ。
 こんなに弱い奴、戦う気も起きねぇよ」
三洲次 「そんな………」
   
ハイコルセア 「どうした……?
 来いよ!」
   
「いいよ、見逃してやるよ」
   
ハイコルセア 「なに?」
   
「あんなヘボい腕じゃぁ、戦う気も起きねぇよ。
 今日は特別だ。
 見逃してやるから、とっととどっかに逃げな」
   
サーロイン 「桃が生かして逃すなんて珍しい……」
ロース 「天変地異の前触れね」
ブリスケット 「あっしら、天変地異が起きて呼ばれたんすけど……?」
   
ハイコルセア 「ふ……ふふ………、
 変わったパーティーだな。
 キャプテンを片っ端から殺す様な凄腕もいれば、
 爆弾に引っ掛かりまくる大バカも…」


誰が大バカだあああぁぁっ!!!
ハイコルセア ぐぃぎゃあああぁぁぁっっ!!!
   
キャプテン達 「「レッドオオォォーーーッ!!」」
   
三洲次 「桃が見逃してくれるなんて、100年に1度あるか無いかなのに……」
ランプ 「せっかくのチャンスを逃しましたね……」
ブリスケット 「口は禍の元っすな……」
   
キャプテンA 「お、おい?
 どうすんだよ?!」
キャプテンB 「ど、どうする、って言われても……」
   
サーロイン 「ロース、残りは呪文で片付けてくれ」
ロース 「え?
 たった2人よ?」
サーロイン 「あんな奴らでもこの海賊団の首脳部だ。
 せめて全力で倒してやるのが、俺達なりの"はなむけ"だろ?」
ロース 「じゃ、マハリトじゃなくて、覚えたてのラハリトで…」
サーロイン 「あ、それは勿体ない!!
 この後も何があるか分からないし、ここはマハリト程度で……」
ロース 「なによ、格好いいコト言っといて、セコいわねぇ」


キャプテン達 「「ぐはあああぁぁぁっっ!!!」」


敵の数が少なかったこともあり、初のボス戦はあっさりと勝利!!


ランプ 「部屋の中に宝箱があります!!
 ボスの部屋にあるのなら、これは期待できますよ!!」
サーロイン 「よし、桃!!
 さっそく調べてくれ!!」


「む~~………」


「スタナーっぽいな」
サーロイン 「どう思う?」
三洲次 「どう思うって?」
サーロイン 「罠はスタナーだと思うか?」
三洲次 「まぁ、このフロアならありがちな罠かと」
サーロイン 「よし、スタナーで解除してくれ」
「うぃーす」




「あ…………」


ジリリリリリリリリリィィッ!!!

罠を間違えていやがったあああぁぁぁっ!!!


??? 「ボスの部屋から警報だ!!」
??? 「急げ!!」
   
サーロイン 「え…?」


警報音を聞きつけて、背後の扉から大勢の海賊が突入して来たっ!!

??? やはり侵入者だっ!!
??? こいつら、例の盗賊パーティーだなっ!?
   
サーロイン 「し……しまった!?」
   
??? あ!?
 ボスが倒れてるぞっ!!
??? 早く助けるんだっ!!
??? いや、あれはもう手遅れだ!!
??? せめて貴重なアイテムだけでも確保しろっ!!
   
ランプ 「え?」


サーロイン 「なにっ!?」


海賊達は一斉に部屋の中の宝箱の方へ走り出すと......、

??? 「「おめぇらにアイテムは渡さねぇぜっ!!」」
「お?」


...箱の中のアイテムを取って逃げ出した!!

ランプ ああぁっ!!
 あいつ、なんか立派な剣を持って逃げたああぁぁっ!!!
サーロイン 「へ?」
   
ガードA これも渡すかあぁっ!!


ランプ ああぁぁっ?!
 なにか高価そうな鎧をおぉっ!!!
 ちょっと待ってええぇぇっ!!!
   
キャプテンA これも頂きだっ!!


ランプ あっ!? あ?!
 そ、その袋は何ですかああぁぁ?!!
 ちょっと、三洲次ぃっ!!!
 早く奴らを止めてっ!!!
三洲次 「くそっ!だっ!
キャプテンB ちょこざいなっ!!


三洲次 ぅおわっ?!
ランプ ロインも、ボケッと立ってないで、タックルで止めてっ!!!
サーロイン ええぇぇいっ!(ばっ!)
ガードB そうはいくかっ!!


サーロイン うわっ?!
ランプ だ、誰か止めてえええぇぇっ!!!
三洲次 くそぉーっ!!(ばっ!)


キャプテンC 邪魔だああぁぁっ!!!
三洲次 ぐほぉっ!!



ランプ 待ってえええぇぇっ!!
 アイテムを持って逃げないでえええぇぇぇっ!!








サーロイン 「はぁ…はぁ…
三洲次 「ぜぃ…ぜぃ…
ランプ ロインも、三洲次も、早く追い駆けて下さいっ!!


キャプテンB 「おっと、ここは通さねぇぜ!」
キャプテンC 「てめぇらに貴重なアイテムを渡す訳にゃぁいかねぇよ!!」
ランプ 「そ、そんなぁ………」
サーロイン 「残ったのは4人か……、
 カティノで眠らせて、カタを付けよう!」



サーロイン 「よし!」





「最後の1人も片付けたぜ」
サーロイン 「ご苦労」


サーロイン 「とりあえず片付いたな……」
ランプ 「で……でも……、今の宝箱の中身って………、
 明らかに見た事が無いアイテムが入っていました………」
ブリスケット 「まぁ、もうしょうがねぇっすよ」
ランプ 「新しいアイテムをゲットするチャンスを……目の前にして逃すなんて…………、
 も……ぉっ!?
「あ?」
ランプ 「桃が……桃が罠を間違えさえしなければっ!!?
ぁあっ?!
 あたいのせいだって言うんかっ!?
ランプ そうですよっ!!
 桃が罠を間違えたから、こうなったんじゃないですかっ!!!
ざけんじゃねぇっ!!!
 てめぇだって、昔、カルフォでちょいちょい間違えてたじゃねぇかっ!!!
 それを棚に上げて、人の失敗だけ取り上げて殴ろうなんざ、いい度胸じゃねぇかっ!!!
ランプ 「な……『殴ろう』??
 い、いや、いやいや、そこまでは言ってな…」
なめんじゃねぇぞっ、てめえぇぇっ!!
 あたいを敵に回したらどうなるか、ハッキリと分からせてやるっ!!!
ランプ ちょっ?! 暴力反対ぃぃっ!!!
今さら遅ぃぃっっ!!!
ランプ ごめんなさいいぃぃっ!!!
   
ブリスケット 「こいつぁは……」
ロース 「ご愁傷さまね……」
   
   
 
ぎゃああああぁぁぁぁ........
   
   


ランプ 「いでででで……
ロース 「ねぇ、倒したキャプテンが持っていた短剣だけでも持って行く?」
ランプ 「もう……どっちでもいいです………」
サーロイン 「さて……」


サーロイン 「…この部屋を探索しよう」
三洲次 「とりあえず左側に扉が2つと……」
ブリスケット 「…奥にも1つ扉が見えやす」
サーロイン 「右側は…?」


ロース 「一番手前にある扉は入って来た扉だから、
 それ以外に3つの扉が見えるわ」
サーロイン 「つまり入って来た扉以外に、6つも扉があるのか」
三洲次 「扉だらけですね」


サーロイン 「いきなり6択か……」
ブリスケット 「左側は以前ランプはんがアナコンダの死体を拾った部屋と隣接してんで、
 多分そんなに広くねぇかと」
サーロイン 「そうか。
 じゃあ、左側から順番に入っていくか」


三洲次 「では、まずはこの扉から……」


ガチャッ...!


中に入ると、そこは衣類がたくさん吊るされた部屋であった。
現代風に言うと「ウォーキング・クロゼット」が近いイメージである。

ブリスケット 「服が仰山あるっすなぁ」
ロース 「あいつ、意外とお洒落だったのね」
ランプ 「でも、種類はたくさんありますが、どれも安物ですね」
三洲次 「そうなんだ」
ランプ 「あまり価値は無いです」
サーロイン 「じゃ、ここはもういいだろう」


部屋を出ると......、





三洲次 「ハイコルセア達の死体を嗅ぎつけて、さっそくあいつが来てるんだけど……」
ブリスケット 「ここ、砦の一番奥でっせ?
 どっから来たんすか……」
ロース 「神出鬼没ね……」
サーロイン 「部屋を探索するのに邪魔だな」


サーロイン 「これでいいだろう。
 じゃ、次だ」


三洲次 「先ほどの隣にある扉です」
サーロイン 「入ろう」


ガチャッ...!


こちらも個室で、中には焦げ茶色のテーブルとイスがあり、
テーブルの上には幾つかの紙片と羽ペンが置かれていた。
壁際には戸棚があり、そこにはたくさんの書物が並んでいる。

三洲次 「ここは書斎かな?」
ランプ 「海賊のトップだけあり、高級そうなテーブルを使っていますね」
ブリスケット 「本も仰山あるっすな……えぇと………、
 『退屈な会計記録』、『上級外注管理』、『砦からスライムを駆除する簡単な3ステップ』……」
ロース 「スライムよりジャイアントスラグを駆除する本を買った方がいいと思うわ」
ブリスケット 「まぁ、大した本は無ぇっす」
サーロイン 「じゃ、ここはこのぐらいだ」


特に何も無いので、元の部屋へ戻る。
上の本の元ネタが Wizardry 8 と分かる人はどのぐらいいるのか...?


サーロイン 「次は、あの手前の扉だな」
三洲次 「入って来た扉とちょうど相対する位置にある扉ですね」


ロース 「ねぇ、ここってボスの部屋だから清掃が行き届いているけど、
 この扉ってその中でも特に奇麗に手入れがされてない?」
サーロイン 「確かに汚れ一つ無いな……」
ランプ 「この先は何か特別なエリアなのかも知れません」
ブリスケット 「もしや、いよいよ階段のあるエリアに来たんじゃねぇっすか?」
三洲次 「砦の中に階段があるのなら、十分あり得ますね」
サーロイン 「よし、ではさっそく入ってみよう」


ガチャッ...!


扉を開けると、6人はサーロインを先頭にハイコルセアの部屋から廊下へと出て行った。








彼らが去った後の部屋はハイコルセア達の死体だけが残り、全ての物が静止した静寂の世界が広がっていた。



円盤の周りを回っていた銀色の玉は既に転がるのを止めており、
赤色のマスの上で無機質に光を反射させていた........

 

 




━━━━ ハイコルセアの部屋の裏の通路.....


パーティーが廊下に出た途端、
通路全体にが響き渡った! ! !

 



ル'ケブレスが言葉、しかと聞くがよい

  この先、良き者のみにても、
  悪しき者のみにても、
  勝利を得ることは無い!

 

サーロイン 「………何? 今の?」
三洲次 「さぁ……」
ロース 「『ル'ケブレス』って、お城でベイキ女王達から聞いた名前よ」
ランプ 「宝珠を護っている龍でしたね」
サーロイン 「今のって、そのル'ケブレスの声?」
ブリスケット 「そいつぁはなんとも……」
サーロイン 「なんで海賊の砦の中なんかで?」
三洲次 「さぁ………」
サーロイン 「あと『勝利』とは……?」
ランプ 「女王陛下から聞いた話しと総合すると、
 まぁ、宝珠を手にする、ということかと」
ロース 「そう言えば、善と悪の両方のパーティーが必要とか言っていたわね。
 今の言葉が、その根拠なのかも」
サーロイン 「なんか……唐突だったな………」
ブリスケット 「そうっすね……」



さて、プレイヤーは過去に途中までプレイしたことがあり、
ここからパーティー行けるフロア(階数)が分かれることを知っています。
今のメッセージは、それへのヒントにもなっているのでしょう。

ま、やっと上のフロアへ行く階段のある場所まで到達しました!!

後は2つある扉の中から、善パーティー用の階段を当てるだけです!!


................2つ?


あれ?


この時点で、既に3つあるんだけど......?


サーロイン 「とりあえず、この廊下を調べよう。
 左右はどうなっている?」
三洲次 「左手は……」


三洲次 「…扉が2つあります」
「右は……」


「…扉が1つだけだ」
サーロイン 「つまり正面のと合わせると、4つの扉があるのか」
ランプ 「いきなり4択ですね」

4つ?


4つもあったっけ??


2つ上へ登る階段で間違いないとして、後の2つは何




........................ダメだ、全然覚えてない。




ブリスケット 「雰囲気的に、この中に宝珠のあるフロアへ近付く階段があるっぽいっすが……」
ロース 「どれがどれだか全然分からないわね」
三洲次 「どうします?」
サーロイン 「しょうがない。
 もう順番に入っていこう!!」
ロース 「どっちから?」
サーロイン 「では……」


サーロイン 「…砦に入った時と同じ、北側からだ!


三洲次 「この扉ですね」
サーロイン 「うむ」
三洲次 「では……入ります!


ガチャッ...!


は?

 


え............?

 


いや........最初「バグった??」かとビビッたよ。

 

これ、ディロマトの魔術師の部屋と同じ、ってことか......。


つまり城へ強制送還ってやつだ。


ハズレはこうなるのかああぁぁ....っ!!!




サーロイン 「………………………………(汗)
三洲次 「なんで町に居るんだよ、俺たち……」
ロース 「町に戻るワープ地点だったのね……」
ランプ 「どうして海賊の砦の中にそんな物が………」
ブリスケット 「まぁ、ハズレってぇ訳ですな………」
サーロイン 「つまり……」
   

 


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「27.クリスマスソングは死を招く」へ



名前 LV H.P. コメント
サーロイン 6 47 18 18 18 16 18 16 0 1 小学生の頃に遊んだけど、やっぱり色々忘れているな…。
三洲次 6 50 18 18 18 18 18 16 0 1 町へのワープの仕方が唐突過ぎて、軽くビビッたよ。
6 42 18 17 18 18 17 18 0 0 ハイコルセアってボスの割に歯応え無さ過ぎる気がする。
ロース 7 40 18 18 18 18 18 12 0 0 ついにラハリトまで習得!H.P.も魔法使いとは思えない!
ランプ 6 22 13 18 18 13 18 17 0 0 ハイコルセアの宝箱って良いアイテムが出るのにぃ~(泣)
ブリスケット 7 56 18 18 16 18 18 16 0 0 あのワープって、上の階から戻る時に便利なのかな?

アイテム入手: 9/109


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2024年11月30日:本公開。