13.ホーンテッドバラック

【登場人物】  
サーロイン ロイヤルレンジャーズのリーダー。サーは敬称。
三洲次 元盗賊だった日本男児の侍。発音は「みすじ」。
接近戦最強のくノ一。でも細かい事は大嫌い。
ロース こんな名前だが細身で美人なエルフの女魔法使い。
ランプ 財宝一筋なエルフの司教。パーティーの知恵袋。
ブリスケット 日本オタクのエルフの僧侶。あだ名は「ブリ助」。

読了時間 (目安):約15分(動画無)約26分(動画込)
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━━━━ ギルガメッシュの酒場 夕方.....

壁際の丸いテーブルにロイヤルレンジャーズ6人が座り、
経験値稼ぎの合間に軽食で休憩を取りながら談笑をしていた。

ランプ 「映像共有水晶玉『YouBall』ってご存知ですか?」
サーロイン 「『YouBall』?」
ランプ 「えぇ。
 誰かが記録した風景なんかを何度も見ることができるんです」
ロース 「そんなこと出来るの?」
ランプ 「ほら、ワードナの迷宮で、ブルーリボンの部屋でトレボーの声が流れたり、
 地下10階でワードナの脅し文句が流れていたのを覚えていますか?」
ブリスケット 「そう言やぁ、毎回同じ音声が繰り返し流れてたっすね」
ランプ 「要はあれの進化形です。
 私たちの時代では音声のみでしたが、魔術が進歩して、
 この時代では映像も繰り返し流せるんだそうです」
サーロイン 「ほぉ…」
三洲次 「技術進歩ならぬ、魔術進歩ってやつですね」
ロース 「でも、どうやって?」
ランプ 「あれです」


そう言って、ランプは酒場の片隅に置いてある大きな水晶玉を指差した。

ランプ 「あの水晶玉を使うと、映像を繰り返し見ることができるそうです」
ブリスケット 「あの水晶玉、そげなことができたんすか。
 ずーっとただの飾りかと思ってやした」
サーロイン 「せっかくだから、ちょっと見てみよう」


6人はテーブルを立つと、水晶玉の周りに集まった。

ロース 「どうするの?」
ランプ 「水晶玉に見たい映像を話しかけると、その映像が映し出されるそうです」
三洲次 「見たいって言われても……そもそも何があるのか分からないんだけど?」
ランプ 「ここに記録があります」


そう言うと、ランプは水晶玉の横に置かれた巻物を手に取って広げ、
5人が見えるようにした。
それは映像の名前が書かれた目録であった。

サーロイン 「どれどれ……ほぉ、そこそこあるな」
ロース 「映像の名前と一緒に人の名前があるけど、これは何?」
ランプ 「『YouBaller』と言って、水晶玉に映像を記録している人です」
ブリスケット 「作者っすね」
ランプ 「YouBall という水晶同士で映像を転送できるらしいので、
 YouBaller は記録用の水晶玉で映像を撮り、
 それを酒場とかに置いてある水晶玉でみんなが見れる様にするそうです」
サーロイン 「へぇ~」
ロース 「人気のある映像とかあるの?」
ランプ 「一番有名な YouBaller は HIKA君 だそうです。
 彼の作った恐怖映像が人気があるんだとか」
サーロイン 「じゃ、それを見てみよう」
ランプ 「では……えぇと………この『呪いの館』ってのを映してみましょう」


ランプが映像の名前を水晶玉に語り掛けると、
6人は水晶玉の中に映りだした映像を覗き込んだ........


…………………………………………


………………………………


……………………


…………


ここで一旦時間を巻き戻し、場面はその日の昼間迷宮内へ。

前回から引き続き......、


...バラックでの経験値稼ぎの途中から再開します。




【目次】

1.そこのけそこのけ海賊が通る

2.ホーンテッドバラック

3.ホーンテッドバラック(おまけ)




1.そこのけそこのけ海賊が通る




前回、ダスター戦を終えたパーティーは、バラックの廊下に戻って来ていた。


━━━━ 1階 バラックの廊下.....


ランプ 「これで廊下に面した部屋は一通り入りました」
サーロイン 「じゃ、まだ呪文に余裕があるから、倉庫の方も回ってみるか」


三洲次 「倉庫の手前にある部屋の中も見ますか?」
サーロイン 「そうだな、ちょっと覗いてみよう」


ガチャッ!        ← 扉を開けた音


サーロイン 「相変わらず薄汚れた個室で……」
??? 「え?」
サーロイン 「え?」


??? 「ひぃ?!」
??? 「誰か来たぞっ!?」
サーロイン 「は?」


??? 「逃げろーーっ!!」
??? 「うわーーーっ!!」
サーロイン 「あ……ちょっと……?」
三洲次 「ここ、個室だから逃げるにはこっちに来ないと……」


海賊A 「そこ、どいてっ!!どいてっ!!」
サーロイン 「いや……その……」


サーロイン 「うおっと?!(ぴょんっ!)
海賊B 「どけっ!!どけぇぇっ!!」
ぁあ?!
 てめぇらぁ、逃げんのかぁあ!?
海賊B 「どかないなら実力行使だっ!!!」


ふぉごっ!!
   
三洲次 「なにやってんだよ……」
ロース 「桃って、すぐ油断するのが玉にキズよね……」
   
海賊C おらおら、どけええぇぇっ!!
てめぇぇぇらぁぁあ…っ!!


(さっ!)
海賊C 「……あれ?」


舐めくさるのもいい加減にしろやあああぁぁっ!!!
海賊C ぐぎゃあああぁぁぁっ!!
海賊D 「あれ?」
海賊E 「あれ?」
サーロイン 「じゃ、残りも片付けるか」
三洲次 「襲って来たのはそっちですからね、
 自業自得ですよ」



海賊D ぐひぃやあああぁぁっ!!
海賊E ひぎぃいいぃぃっ!!


サーロイン 「ま、こんなものだろう」
三洲次 「前から思ってましたが、ここの海賊、大して強くないですね」
ロース 「でも、こんなところで何していたのかしら?」
ランプ 「海賊達は時々宝箱を移動させていますから、
 箱を埋めたり掘り起こしていたのかも」
ブリスケット 「さもありなんっす。
 そこらに宝箱があるんでは?」
三洲次 「お!
 あそこにありますよ!」


サーロイン 「よし、桃、調べてくれ」


サーロイン 「……どう思う?」
三洲次 「どう思うって?」
サーロイン 「爆弾だと思うか?」
三洲次 「まぁ、妥当な範囲かと」
サーロイン 「そうか。
 じゃ、桃、爆弾で解除してくれ」
「うぃーす」


「お、こいつは簡単な罠だな。
 …………よっと!」


「外したぜ」
サーロイン 「おぉ!
 見事だ!」
三洲次 「久々の金星だな」
ロース 「桃、お疲れ。
 えぇと……」


ロース 「…『たんけん』が入っていたわ」
サーロイン 「ランプ?」
ランプ 「はいはい」



ランプ 「ごく普通の『短剣』ですね」
三洲次 「ま、そんなものでしょう」
ブリスケット 「しかし、海賊どもはあちこちに宝箱を隠してやすな」
サーロイン 「ま、確認が終わったのなら、次へ行こう」


こうして......、


...バラックでの経験値稼ぎが続きます。



前衛男性陣も戦い方に小慣れてきたのか......



...それなりに攻撃もヒットし始め......、



...安定した戦闘が続きます。

しかしクローリングケルプの出現率の高さは嫌がらせだろうか?

まぁ、今思い返せば、経験値にならないから無視しても良かったのだろうけど。


かくして......、


...ブリスケット(僧侶)が一足早くレベル4レベルアップ!!


......って、おまえ、僧侶のくせして3レベル連続で信仰心上がらずじゃないのか?

ふざけてんのか? おい?!


だが! !

H.P.が一気に16アップ!!

パーティー最大のH.P.キャラに成長!!

さすが#1の頃からH.P.の延びには定評のあるブリスケットである!!

しかも......、


...カルフォ(罠識別の呪文)をとうとう習得!!

これで桃のトンチンカンな罠判定から解放である!!!

いや、まぁ、呪文の使用回数に限りがあるから、当面は桃に任せるが、
1階なのに「テレポーター」とか言い出した時に、代替手段があるのは大助かりである。



全員好調なようで、なによりだ。



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さて、場面は再び冒頭の酒場に戻ります。

パーティーの6人動画共有水晶玉『YouBallを見ているシーンからです。


━━━━ ギルガメッシュの酒場 夕方.....

ランプ 「いよいよ恐怖映像『呪いの館』が水晶玉に映し出されますよ」
ロース 「どんなのかしら?」
三洲次 「心臓に悪かったらどうしよう……」


6人が水晶玉を覗き込んでいると、ひとりの男性が水晶玉の中に現れた。

HIKA君 「ぶんぶん!
 ハロー、YouBall!!」
HIKA君 「おはこんばんちは~!
 どうも、HIKA君です!
 ハイ、と言うことでですね、
 今日は『呪いの館』を見ていきたいな、なんて思うんですけども」
HIKA君 「そこで本日ご紹介するのは、こちらの館!!
HIKA君 「築150年の3階建!
 洋室12部屋の2LDK!
 バス・トイレ別!
 周囲を森林に囲まれた閑静な立地!」
HIKA君 「しかし、なんでこんな住みやすい館が呪われているのだろう?」
MARI様 「いい質問だわ」
MARI様 「今日はこの呪いの館について解説するわよ!」
HIKA君
  &  
MARI様
__
シテイッテネ


水晶玉の中には、先ほどの2人が団子の様な顔だけになって映し出された。

HIKA君 ( ゚゚)「じゃ、よろしくお願いするぜ(棒読み)」
MIRI様  (゚゚ )「あまりのホラーっぷりにビビるなよ(棒読み)」
MARI様 「館に入ると、ここの主人の幽霊があなた達を迎える。
 『紳士ならびに淑女の諸君、ホーンテッド荘へようこそ!』」
HIKA君 「館の名前がクールだぜっ!!」
MARI様 「この館には999体の幽霊が居て、あなたを1,000体目として迎えようと待ち構えている……」
HIKA君 「もしキリ番の幽霊になったら、館にある掲示板にメッセージを残すのがマナーだね!」
MARI様 「ではここで、この館に住むイカれた幽霊たちを紹介するぜ!!」
MARI様 「まずは番犬の『C.U.Later』……。
 この犬は死んだ後もゾンビとなって、館に近付く不審者を撃退している……。
 その毛並みは闇夜の様に真っ黒で……、暗闇の中に溶け込みながらあなたに近付いて……、
 一気に飛びかかり………」
MARI様 「…あなたの首に噛み付くのおおぉぉっ!!
HIKA君 「噛まれた人間はどうなるんだ?!」
MARI様 「噛まれた人間はみんな死んでしまうのよっ!!」
MARI様 「狂犬病で!!」
MARI様 「次はこの館のコックの『Paul』(ポール)
MARI様 「フルネームは『Paul Tergyst』(ポール=ターガイスト)
HIKA君 「名前がクールだぜっ!!」
MARI様 「ポールの存在を感じたら、すぐに逃げないとダメ。
 でないと、あなたの側に音も無く包丁が近づいて来て……
 …あなたに斬りかかってくるのおおぉぉっ!!
HIKA君 「今夜の晩餐会のメインディッシュは、血の滴る肉料理だな!!」
MARI様 「まだまだ紹介するわよ!!」
HIKA君 Yeahhh!!
MARI様 「次は館の番兵を務める『Ail B. Back』!」
I'll be back
MARI様 「侵入者を殲滅する彼の別名は『ターミネーター』……」
MARI様 「最終決戦は未来ではなく、現代で行われる」
HIKA君 「幽霊のターミネーターが生命の価値を学べるなら、
 我々も学べるはず……」
MARI様 「彼は闇に紛れて動く者……、
 彼はその姿を相手に掴ませぬ者……、
 あなたは彼の姿をハッキリと見ぬまま……、
 気が付いたら串刺しにされている……、
 痛みさえ感じぬ内に………」
HIKA君 「まさに、痛ーみ無ぇーたー
MARI様 「そして最後は…」
楽チンカードマアアアァァ!!
 おかげさまで楽チンカードはスゴイことになっているんです
 なななんと、今8秒に1人申し込んでるんです!!
 あ、また増えた!!
 くぅ~~…絶好調っ!!
 楽チンカードマアアアァァ!!
MARI様 「…この館のペットの……」
MARI様 「……謎の生き物。
 なぜなら、その正体を誰も知らないのだから……」
MARI様 「ただ分かっているのは、体は細長く、地を這う様に獲物に近付くということ……」
MARI様 「それゆえ皆はそれを『大きなへび』と呼ぶ」

  
MARI様 「このペットを甘く見てはいけないわ。
 噛みついてきたり、噛んできたり……」
MARI様 「斬りかかってきたり、突き刺してきたり……」
HIKA君 それホントにヘビ?!

  
HIKA君 ( ゚∀゚)「ホントにこの館は恐ろしいぜ(棒読み)」
MARI様  (゚∀゚ )「恐ろしいぜ(棒読み)」
HIKA君 「じゃ、今日はこのぐらいで!」
HIKA君 「この映像が気に入ったら、水晶玉の前で是非『グッド!』ポーズをしてね!!」
HIKA君 「ファンレター投稿もよろしくお願いします!!」
HIKA君 「それでは、HIKA君でした!
 バ~~イ!」



フッ......


   
サーロイン 「何だったんだ……今の……?」
三洲次 「さぁ……」
ブリスケット 「全然怖くなかったっす……以前に、意味不明でやした……」
ランプ 「一番意味不明だったのは楽チンカードマンですよ……、
 あれ、何だったんですか?」
ロース 「そもそも楽チンカードって何よ?」
サーロイン 「モルドールチャージみたいなカードかも……」

 



2.ホーンテッドバラック




━━━━ 迷宮内 バラック.....


サーロイン 「とりあえず、今日最後の経験値稼ぎに行こう」
三洲次 「しょーもない映像を見ていたら、すっかり夜になってしまいましたね」
ブリスケット 「夜と言やぁ、幽霊どもが活動を始める時間……、
 目覚めた幽霊が音も無く近付いて……、
 ロイン殿に襲いかかりやすぜええぇぇっ!!
サーロイン 「どうした、急に大声出して?」
ブリスケット 「いや……、ビビらせようかと………」
サーロイン 「さっきのが本当に恐怖映像だったらビビッたかもだが、
 あんな内容じゃなぁ……」
ブリスケット 「ダメっすかぁ~……」
ロース 「しょ~もないことやってないで、さっさと入りましょ」


こうして......、


...バラックの中へ入って行くと......、


サーロイン 「ん? 何か居るか?」
三洲次 「部屋が暗くて分かりにくいですが……」
ランプ 「…何かが近付いて来る音が聞こえますね」
ロース 「この音は……人間の足音じゃないわ。
 犬かしら……?」
ブリスケット 「ゾンビの犬の毛並みは闇夜の様に真っ黒で………、
 暗闇の中に溶け込みながらあなたに近付いて………」
サーロイン 「どうした、ブリ助…?」
ブリスケット 「…あなたの首に噛み付くのおおぉぉっ!!


サーロイン うわあああぁぁっ!!(ぴょんっ!)
   
三洲次 「ホントに犬のゾンビが噛み付いてきやがった……」
ランプ 「こんなことが出来るのはポルターガイストだけですね」
ロース 「空中にいるわよ!」


ふぎぃっ!!
   
三洲次 「もう1匹現れやがった……」
ランプ 「しかも、よりにもよって一番襲ってはいけない人を……」
   
なにしやがるっっっ!!!
ゾンビ犬 ヒィギャワンッ!!
   
ロース 「桃、そっちじゃないわ!
 天井の方にいるポルターガイストが本体よ!!」
   
ぁあ?!
 てめぇのせいかああぁぁっ!?


ポルターガイストA  …シュパパパパパパッ!!
あたいに舐めた真似をするとどうなるか、
 分かったかあああぁぁっ!!?
   
ランプ 「ほら………」
三洲次 「そう言えば、ロインを襲ってきたゾンビ犬は?」


ゾンビ犬 ガウッ!!ガウッ!!ガウゥッ!!
サーロイン ぎゃあああぁぁぁっ!!!
   
ロース 「ロインを引っ掻きまくってるわ……」
三洲次 「結局やられてんのかよ……」
ランプ 「本体をディスペルして、助けますか……」



サーロイン 「ぜぇ…ぜぇ……た、助かった……」
三洲次 「大丈夫ですか?」
ロース 「三洲次、とりあえずあなたも敵を倒してよ」
三洲次 「おっと、そうですね」



─── 2ターン目.....


サーロイン 「くそ……っ!」


ポルターガイストF  …シュババババババッ!!
サーロイン 「ビビらせるなって!!」

ロース 「これで片付いたわね」
三洲次 「なんだったんだ、今の……」
サーロイン 「ぜぇ…ぜぇ……」
「けっ…!」
ブリスケット 「お二方……ゾンビ犬に引っ掛かれたり噛まれた人間は……、
 …死んでしまうんすよぉぉっ!!
サーロイン 「もしかして、俺と桃は……狂犬病にかかったのか?」」
ブリスケット はいいいぃぃっ!!
ロース 「ブリ助、そろそろテンション戻してくれない?」
サーロイン 「ど……どうすりゃいいんだ?」
ランプ 「ディオス(レベル1の治療呪文)で治りますから大丈夫です」
サーロイン 「え? そうなの…?!」
ランプ 「えぇ、ワードナの迷宮に居た頃も、アタックドッグとかに噛まれても冒険者が無事だったのは、その為です」
サーロイン 「意外な効能だな……」
ランプ 「とりあえず、治しますよ」



ランプ 「全快しました」
サーロイン 「こんなあっさりと……」



とりあえず勝ちましたが......宝箱は無しですか........。



サーロイン 「じゃ、経験値稼ぎを続けよう」


バンッ!        ← 扉を蹴破った音


??? 「我が………名は………」
??? 「……ポール………」


ポール 「今日の………食材が………やって来た………」
   
三洲次 「人を鴨ネギみたいに言うな……」
ブリスケット 「ポールの存在を感じたら、すぐに逃げないとダメですぜ……、
 さもねぇと、あなたの側に音も無く包丁が近づいて来て……」
サーロイン 「また始めた……」
ブリスケット 「…あなたに斬りかかってくるのおおぉぉっ!!


サーロイン ぐぅわあああぁぁっ!!
三洲次 「器用に再現するな……」
ブリスケット うかうかしてると、今夜の晩餐の肉料理にされちまいやすぜぇ~!
ロース 「ブリ助、いつまでもふざけてると、怒るわよ!」
ブリスケット 「……すいやせん」
ロース 「さっさとディスペルして!」
ブリスケット 「へい」


ドカッ!ボカッ!
ブリスケット 「いだぁ!いでぇ!許してくだせぇ!!」





サーロイン 「やれやれ………」
ランプ 「ロイン、さっきから気になっているのですが……」
サーロイン 「…ん?」


ランプ 「宝箱が全然出て来ないんですけど……」
サーロイン 「ここら辺に隠されている宝箱は、あらかた見つけ出したんだろな」
ランプ 「ええぇぇ……そんなぁ………」
三洲次 「ま、根気強くいきましょう」



バンッ!


サーロイン 「ここには誰も居ないか……」
ブリスケット 「奴らは闇に紛れて動く者………」
サーロイン 「え?」


ブリスケット 「奴らはその姿を相手に掴ませぬ者……、
 そなたは奴らの姿をハッキリと見ぬまま……、
 気が付いたら………」


サーロイン 「なっ?!」



ふごぉっ!!
   
ブリスケット 「…串刺しにされている……、
 痛みさえ感じぬ内に………」
   
いだだだだだだっっ!!
   
三洲次 「メッチャ痛そうだけど……?」
ブリスケット 「えぇと…………(汗)
   
ざけんじゃねえええぇぇっっ!!!


ダスターA フギャアアアァァッ!!!
あたいを攻撃してきて、
 生きて帰れると思うなあああぁぁっ!!!
   
サーロイン 「あれで桃も鬱憤が晴れただろうから、
 ランプ、治療してやれ」
ランプ 「了解です」


サーロイン だから1は止めろと言ってるだろぉっっ!!!
ランプ 「いや、たまたま……たまたまです!」
三洲次 「ロイン、今度はこっちがあいつらを串刺しにしてやりましょう!」
サーロイン 「あぁ!
 痛みなど感じない内に、なっ!!


ダスターB 「…………!?(……ドタッ!


ダスターC ウゴオオオオォォォォッッ!!!(ゴロゴロゴロ…ッ!)
サーロイン (; ゚_゚) ………………………………
   
ランプ 「ダスターがメッチャ痛がってますよ……(汗)
ロース 「中途半端ってのが一番良くないのよ……(汗)



─── 2ターン目.....


三洲次 「とりあえず介錯しておきました」
サーロイン 「すまん………」





ランプ え?!
 また宝箱無しですかっ!?」
ブリスケット 「へい、影も形も無ぇですぜ……」
ランプ 「ええええぇぇ………



いや......マジで宝箱が全然出て来ないんだけど........、


.....どうなってんだ、これ?



サーロイン 「ま、次に期待して進もう」



━━━━ 次の戦闘.....


バンッ!


サーロイン 「………む?!」
三洲次 「どうしました?」


サーロイン 「敵の気配………」
三洲次 「え?」
ブリスケット 「奴らは細長く、地を這う様に獲物に近付く………」
三洲次 「…は?」


ブリスケット 「奴らを甘く見てはいけない!!
 なぜなら……」


ぎゃにゃっ!!
ブリスケット 「噛みついてきたり……」


サーロイン うわっと!(ささっ!)
ブリスケット 「噛んできたり……」


三洲次 ぐおぉっ!!
ブリスケット 「斬りかかってきたり……」



サーロイン ひええぇっ?!(あたふた…)
三洲次 ぅおわあぁっ?!(あたふた…)
ブリスケット 「突き刺してきたり………」
   
ランプ 「なんでヘビが斬ったり突いたりしてくるんですかね……?」
ロース 「多分考えたら負けなのよ……」
ランプ 「負け…? 何に…?」



─── 通常ターン


三洲次 「いててて……」
「いててて……」
   
ロース 「いつまで経っても奇襲でやられてばかりね……」
ブリスケット 「まぁ、こうやって経験を積んで成長していくんすよ………知らんけど」


サーロイン 三洲次、桃っ!!
 やり返すぞっ!!
三洲次 はいっ!!
ぶっ殺すっ!!!


大きな蛇A キィシャアアアァァッ!!!
サーロイン 人間様を襲った罰だっ!!


大きな蛇B フギュアアアァァッ!!!
噛み付く相手を間違えたらどうなるか
 分かったかああぁぁっ!!


三洲次 「…………あれ?」


三洲次 うひゃぁっ?!(ぴょんっ!)
   
ロース 「成長しないわね……」
ブリスケット 「いつも通りっすね……」



─── 通常2ターン目


アナコンダA ギィシャアアアァァッ!!
てめええぇぇもだああぁぁっ!!!
   
サーロイン 「桃ばかりに任せててはダメだ!
 三洲次、俺たちも激しくいくぞっ!!
三洲次 はいっ!!



サーロイン (; ゚o゚) ……………………………………
三洲次 (; ゚o゚) ……………………………………
   
ロース 「この2人、いつも通り絶っ不調ね……」
ブリスケット 「いつも通りってぇことは、
 むしろある意味 好調なんでは……?」


まぁ......、



...とりあえず順次敵を減らしていく。



サーロイン 「ぜぇ…ぜぇ……な、なんとか……」
三洲次 「はぁ…はぁ……こ、ここまで減らしましたね………」
サーロイン 「よ……よし、ブリ助、ランプ、余裕も出来たから、三洲次を治療してくれ」
ブリスケット 「御意」
ランプ 「了解です」



サーロイン おまえら、ふざけてんのかっ!!?
ブリ助&
ランプ
「「たまたまです!!
  たまたまですって!!!」」
   
ロース (このパーティーって全然成長しないわよねぇ……)


サーロイン 「倒したっ!!
 倒したぞおおぉぉっ!!!
ランプ 「さぁ、宝箱です!!
 宝箱を探すのですっ!!!


ランプ 無いんかいいいぃぃっ!!!



マジで宝箱が出ねぇ...........。



ブリスケット 「あっし、カルフォを覚えた意味あるんすかね?」
サーロイン 「おまえ、昔っから呪文を覚えるタイミングが悪いよなぁ……」



どいつもこいつも、昔っから全然変わってねぇなぁ!!



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かくして、ここでロース(魔法使い)ランプ(司教)レベルアップを果たす!


まずは、ロース(魔法使い)


知恵生命力素早さと、重要な能力が軒並みアップ!!

しかも魔法使いなのにH.P.もアップ!!

こっちでも優秀な成長ぶりなのは、さすがである!!


次に、ランプ(司教)


お!

何か呪文を覚えたようだぞ?

なんだ?


カルキ(パーティーの防御力向上)ミルワ(照明魔法)習得!


う~~ん........使わないな!


とは言え、習得した数だけ呪文の使用回数....特にディオス(治療呪文)の使用回数が増えたのは大きい!!


よしよし、なんだかんだで順調だな!!

 




…………………………………………



………………………………



……………………



…………

 

迷宮に巣くうガリアン海賊団は、労働力資金を得る手段として、
訓練所を卒業したばかりの若い冒険者たちを勧誘していた。

その手口は、海賊に加わった方が良い生活が出来ると甘言で誘い、
生活の保障や収入の分配を約束する代わりに、訓練所から支給される支度金を全て徴収していくものであった。
その上で、外様の新米冒険者には仲間が嫌がる過酷な労働敵対する者たちの討伐などをさせて、
仲間達のフラストレーションも解放し、一石二鳥を狙ったのである。

だが、その様な扱いに新米冒険者たちが納得するはずもなかった。


度重なる仲間のや絶え間ない負傷我慢も限界に達していた元新米冒険者たちは、
いつしか海賊団から脱けることを決意し始めていた。


だが........、


━━━━ 海賊の砦
     とある一室.....

心々 「ダメだ、やつら砦の出入口に見張りを立ててやがる」


元新米冒険者だった人たちが大勢集まっている部屋に、心々(しんしん)という日本人の少女が入って来た。

心々 「普段は見張りなんて居ねぇのにさ……」
キャプテンZ 「ハイコルセアに文句を言いに行ったのが逆効果だったか……」


心々の報告を聞いて、海賊団の中で元冒険者達を束ねている若いガリアンキャプテンが溜息を付いた。

キャプテンZ 「あれで奴らを警戒させてしまったんだな……。
 みんな、すまない………」
元新米冒険者A 「別にキャプテンのせいじゃないわ」
元新米冒険者B 「あぁ、その通りだ。
 あいつに文句を言いに行こうって全員で決めたんだ。
 誰のせいでもねぇよ」
元新米冒険者C 「もし悪い奴がいるとしたら、それはあのハイコルセアだっ!!」
元新米冒険者D 「その通りよ!!
 楽な生活ができるとか、嘘八百ぬかしたあいつが悪いのよ!!」
元新米冒険者E 「やつら、俺たちに過酷な労働や命懸けの討伐ばかりさせて、
 その上食事はロクなものを出さねぇときてる!」
元新米冒険者F 「これなら自由に遊べて、好きな酒が飲めた城下町の方が、
 貧乏だったとしても全然マシだぜ!!」


部屋の中は不満と不平の大合唱となった......。

心々 「なぁ、キャプテン?
 このままじゃ、いずれ誰かが耐えかねて、何かしでかすぜ」
キャプテンZ 「そうだな……。
 そうなったら、奴らに俺達を罰する口実を与えてしまう。
 きっと連帯責任とかで、大勢が処罰されるだろう」
心々 「そうなる前になんとかしねぇと……」
キャプテンZ 「とは言え……、いい知恵がある訳でもないが………」
心々 「……………………………………」



若いガリアンキャプテンと心々の2人は、部屋の中で膨らんでいく仲間たちの不満を、
成す術も無くただ見守るしかできなかった........。



…………………………………………



………………………………



……………………



…………



……

 



3.ホーンテッドバラック(おまけ)




さて、日をまたぎつつも、我がパーティーの経験値稼ぎは続きます。


━━━━ バラック 入り口.....


サーロイン 「じゃ、今日も修業をしに出発だ!」


バンッ!


??? 「「うわああああぁぁぁっ?!」」
サーロイン うわああああぁぁぁっ!?
??? 「「………え?」」
サーロイン 「………え?」


海賊A 「な、なんだよ……?!」
海賊B 「い……いきなり、驚かすなよぉ……」
サーロイン 「驚いたのはこっちの方だよ………」
ブリスケット 「どうしたんすか?」
海賊C 「いや、宝箱を運んでいたら幽霊が出て来てよぉ…」
海賊A 「で、そいつらが俺らを驚かしてきたんで、ビビッて逃げて来たんだ」
サーロイン 「幽霊…?」
ランプ 「最近、こんなんばかりですね……」
ロース 「でも、幽霊なんかが、なんて驚かしてきたのかしら?」
三洲次 「きっと脅し文句を言ってきたんですよ。
 幽霊が脅し文句を言うれい!」
海賊たち 「「…………………………………………」」
サーロイン 「……………どうしたんだ、おまえ?」
三洲次 「あ、いや……」
海賊B 「くっそぉ……、慌てふためいて財宝の入った箱を置いてきたのは失敗だったなぁ……」
海賊C 「仕方ないだろ、突然の出来事だったんだからよ」
サーロイン 「この迷宮で幽霊ごときでビビるとは……」
ロース 「なんかダスターにビビッてた誰かさんみたいね」
サーロイン 「…………………………(汗)
海賊A 「おい、代わりにこいつらをぶっ殺して、こいつらの物を奪えば、
 ボスには説明つくんじゃねぇか?」
海賊B 「なるほど、別のモンで穴埋めすりゃぁ、許してもらえるかもな」
ブリスケット 「また余計な浅知恵を………」
サーロイン 「やってるレベルが低い奴は、考えるレベルも低いってだけだ」
三洲次 「じゃ、俺たちに手を出したことを後悔させてやりますか!
 だって、海賊は『こうかい』が得意ですからね!」
海賊たち 「「…………………………………………」」
サーロイン 「……………本当にどうした? おまえ?」
三洲次 「あ、いや………」


戦闘開始!!


海賊A ぎひゃあああぁぁっ!!


海賊B ぐほわあああぁぁっ!!


海賊C 「……………………………………」
三洲次 「……………………………………」
   
ランプ 「三洲次がモロに攻撃を外してますよ?」
ロース 「ダジャレのレベルが低い人は、剣のレベルも低いのよ!」
ブリスケット 「それ、関係無くねぇっすか?」
ロース 「だって、どっちも”キレ”が重要だわ!」
海賊C 「……………………………………」
サーロイン 「……………本当に皆して、どうしたんだ?」
ロース 「あ、いえ………」
   
海賊C くっそおおおぉぉっ!!
 てめぇだけはぶっ殺してやる!!
三洲次 うわああぁぁああっ?!
   
サーロイン 「ランプ、眠らせろ」
ランプ 「はいはい」


ランプ 「眠らせました」
サーロイン 「ご苦労」
三洲次 「ふぅ……」



ロース 「三洲次、あなたが外した相手なんだから、あなたが倒してよ」
三洲次 「へいへい……」


やれやれ........。



ランプ 「やっぱり宝箱をどっかに置いて来たようで、彼らは持っていませんね」
ブリスケット 「ほんでも、身銭なら幾らかは持ってやしたぜ」
三洲次 「じゃ、それだけでも貰っていきますか。
 どうせ、こいつらにはもう不要なんだし」



ランプ 「せっかくだから、あいつらの言っていた幽霊を探しません?
 きっとそこに宝箱が残ってますよ!」
サーロイン 「なるほど……そうかも知れんな。
 久しぶりにアイテムを手に入れたいから、探してみるか」
三洲次 「えぇ!
 廊下に並んだ小部屋のどこかに居ますって!」
ブリスケット 「そうっすな!
 さっそく探しやしょう!」
サーロイン 「じゃ、隣のロビーを通って、まずは廊下まで行こう」


ガチャッ!



サーロイン 「隣に居たんだけど………?」
三洲次 「また、あっさりと……」
ロース 「あいつら、隣の部屋から逃げて来たばかりだったのね」
ランプ 「あ! 壁際に宝箱が転がってますよ!
 あれがあいつらの宝箱ですよ、きっと!!
 さっそく開けましょう!!」
サーロイン 「待て、待て、慌てるな。
 まずはこいつらを片付けてからだ!
 てりゃあああぁぁっ!!


サーロイン 「……………………………………」
   
三洲次 「……………………………………」
「……………………………………」
ランプ 「……………………………………」
ブリスケット 「……………………………………」
ロース 「…………………ある意味、絶好調ね」



ランプ 「ディスペルを……」
ブリスケット 「…しやした」
三洲次 「経験値が入らないけど……」
ロース 「……ま、仕方ないわね」



ランプ 「では!では!
 久しぶりの宝箱です!!」
サーロイン 「よし、桃、調べてくれ」
「めんどくせぇなぁ………」


サーロイン 「……どう思う?」
三洲次 「どう思うって?」
サーロイン 「ガス爆弾だと思うか?」」
三洲次 「まぁ、何度も喰らって……仕掛けられてるから、
 合ってるんじゃないですか?」
サーロイン 「そうか。
 じゃ、桃、ガス爆弾で解除してくれ」
「うぃーす」


「む~~……………」


「……………よっと!
 開いたぜ」
サーロイン 「お、成功したか」
三洲次 「2連続で成功は初ですね」
ブリスケット 「最近、桃っちは絶好調っすな」
ランプ 「さぁ、さぁ、この好調の波に乗って、
 新アイテムは何ですかぁ~?!


!!!

 


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名前 LV H.P. コメント
サーロイン 3 21 16 16 17 14 17 14 0 1 この感じだとレベル5までは今のヘボさが続きそう…。
三洲次 3 30 17 17 17 17 17 15 0 1 何気にバランスの取れた能力なんだな。成果はともかく。
3 19 17 17 16 17 16 17 0 0 今回は罠の解除の失敗無し。この調子でいってくれ。
ロース 4 24 15 16 18 18 18 12 0 0 前衛よりH.P.の高い魔法使い。でも肝心の知恵が…。
ランプ 4 16 13 18 18 13 18 15 0 0 相変わらず生命力が延びず。他は優秀なんだけどなぁ…。
ブリスケット 4 32 16 18 15 18 18 13 0 0 パーティー最大のH.P.に急成長!さすがだぜ!

アイテム入手: 7/109


【更新履歴】
2024年 6月15日:次ページへのリンクを設定しました。
2024年 6月 1日:本公開。
2024年 5月25日:プレ公開。