31.拾い物には福がある

【登場人物】  
トライチップ 悪パーティーのリーダーを務める悪徳神官。
テール 金の為にはあらゆる悪事を躊躇わない悪徳司教。
心々 人々を護ることを志す用心棒チームのリーダー。
沙賀里 用心棒チームの1人。心々の幼馴染の変な巫女。
羅無市 用心棒チームの1人。剣の道に生きる男。
ネック 冒険に巻き込まれた気弱な呪文マニアのエルフ。

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━━━━ ギルガメッシュの酒場
     店の片隅で...

テール 「ご神官様、新しい悪事を考えて参りました」
トライチップ 「うむ、聞こうか」
テール 「『盗品の転売』でございます」
トライチップ 「なぁ、テールや?」
テール 「はい?」
トライチップ 「おまえの言う悪事ってさぁ、どっちかと言うと、ただの犯罪では?」
テール 何を仰います!!
 悪事と犯罪は一心同体の関係!!
トライチップ 「そぉか…?」
テール 悪事とは、これすなわち犯罪であり、
 犯罪とは、これすなわち悪事でございます!!
トライチップ 「後者は違うよね?」
テール 「前者さえ合っていれば、先ほどの発言の正しさはご理解頂けるかと思います」
トライチップ 「どこら辺が……?」
テール 「ともかく、今回は盗品の転売で大金を稼ぎましょう」
トライチップ 「無理やり話しを自分のペースに持っていくなよ」
テール 「まぁまぁ、今回はそれほどリスクを伴わない悪事ですので」
トライチップ 「待て、待て。
 盗品の転売って、物を盗む点と、売り捌く点の2ヶ所でリスクを伴うよな?
 むしろ前回より難易度が上がってないか?」
テール 「心配はいりません。
 全て計算済みでございますので」
トライチップ 「そうなの?
 じゃぁ、聞くけど、まず何を盗むの?」
テール 「さぁ…?」
トライチップ 「…………………………は?
テール 「特に決めていません」
トライチップ 待て!待て!待て!
 言っている意味が分からない!!
テール 「そうでしょうか?」
トライチップ そうだよ!
 だって、盗む物が決まってなかったら、まず最初に何をするかも決まらないだろ?!
 どうすんだよ?!
テール 「ご安心下さい。
 このテールに抜かりはございません」
トライチップ 初手から抜かってる気がするけど?!
テール 「盗みをする場所は既に決めております」
トライチップ どこだよ?!
テール 「迷宮でございます」
トライチップ 「迷宮……?」
テール 「はい。
 迷宮内にはあちらこちらに海賊どもが宝箱を隠しており、
 その中には様々な武器や防具が入っておるそうです」
トライチップ 「それは有名な話しだな……」
テール 「ですので、それらの財宝を盗み出し、それを売り捌くのでございます」
トライチップ 「ってことは、売り捌く先は……」
テール 「ボルタック商店でございます」
トライチップ 「それって本当に悪事なの?」
テール 「なぜですか?」
トライチップ 「だって、迷宮に入って行く冒険者は、みんなやってるじゃん。
 悪事でも何でもないだろ?」
テール 「盗みとそれの転売……これは立派な悪事でございます。
 つまり、今は国家総犯罪者の時代なのでございます!!
トライチップ 「なんかムチャクチャなこと言ってない…?」
テール 「違いますか?」
トライチップ 「違うと思う。
 だって、それでパクられた奴、見たことないだろ?」
テール 「はい。
 つまり成功率100%の悪事と言うことです
トライチップ 「前向きに捉え過ぎだろ………」
テール 「ご神官様、よろしいですか?
 盗品はダタで手に入れた物なので、
 それを転売すれば、売り上げは丸々我らの利益となります。
 つまり利益率100%!!
 しかも絶対にパクられないので成功率も100%!!
 これほど美味しい悪事、他にはございません。
 だからこそ、全ての冒険パーティーが盗品の転売に手を染めているのでございます」
トライチップ 「無理やり他のパーティーを悪人にするなよ……」
テール 「ですので、今回こそ大金を手にすることをお約束致します」
トライチップ 「おまえさぁ、迷宮内でどれだけの数の冒険パーティーが行方不明になってるか、知ってるの?」
テール どの様な悪事にも失敗のリスクは伴います!!
 お覚悟をお決め下さい!!
トライチップ 「成功率100とは……?」
テール 「心配はご無用。
 このテールに抜かりはございません。
 さっそく迷宮に向けて出発致しましょう!!」
トライチップ 「どう考えても抜かりまくってる気がするけど……?」

 



【目次】
リンクは公開範囲まで

1.拾い物には新しさがある

2.拾い物には苦心の決断がある

3.拾い物には福がある

4.拾い物のどころの騒ぎじゃない




1.拾い物には新しさがある




━━━━ 迷宮 入り口......


では、今回も悪パーティーでプレイしていきます。

心々 「で、今回は何をするんだ?」
テール 「盗品の転売でございます」
心々 「盗品の転売……?
 何を盗むんだ?」
テール 「さぁ……?」
心々 「……………………は?
テール 「特に決めておりません」
心々 「言ってる意味が分からねぇ……」
テール 「ご神官様と同じ反応ではありませんか……」
トライチップ 「それが普通なんだよ」
心々 「何がしてぇんだよ、おめぇ?」
テール 「とりあえず迷宮内にある宝箱からアイテムを奪い、ボルタックに売り飛ばしたいのです」
心々 「それって、みんなやってんじゃん。
 別に悪事って訳でもないだろ」
テール 「片っ端からご神官様と同じ反応ですな……」
トライチップ 「だからそれが普通なんだって……」
心々 「まぁ、いいや。
 宝箱が隠されている場所に行けばいいんだな」
テール 「はい」
心々 「なら、良い場所を知ってるぜ」
テール 「それは頼もしい」
トライチップ 「どこだ?」
心々 「バラックだ」
トライチップ 「前回と同じじゃん……」
心々 「海賊どもは砦に入りきらない宝箱を迷宮のあちこちに隠していて、
 中でもバラックは砦に近いから、一番たくさん隠しているんだ。
 だからバラック内を漁れば、宝箱の1つや2つは簡単に見つかるぜ」
テール 「それは願ったり叶ったりですな。
 では、さっそくバラックへ向かいましょう」
トライチップ 「簡単に…って言うけど、その割に前回は宝箱なんて1つも見なかったけど……?」


とりあえず出発です。



心々 「じゃ、入るぜ」


ガチャッ...!        ← 扉を開けた音


心々 「ロビーを抜けて……」


ガチャッ..!


扉を開けると、部屋の中には......、



...宝箱を運んでいる海賊たちが居た。

海賊A 「う…!?
 なんだ…?!」
海賊B 「誰だ、おまえら?!」
   
テール 「これはこれは……おあつらえ向きですな。
 そのお宝、こちらに渡してもらいましょうか?」
   
海賊C 「はあ……??
 いきなり何だよ?」
海賊A 「これは俺たちの物だぞ!
 なんでてめぇらなんかに渡さなきゃならねぇんだよ?」
   
テール 「よく言うではないですか。
 『おまえのモノは俺のモノ、俺のモノも俺のモノ』」
トライチップ 「特定の1人しか言ってない気がする」
   
海賊B 「何言ってんだ、おまえ?」
海賊C 「寝ぼけたこと言ってないで、
 通行の邪魔だから、どいたどいた」
   
テール 「そちらがその気なら………力づくで頂くまでですな!!
   
海賊A なんだとっ?!
 大人しくしてりゃぁ、いい気になりやがって!!
海賊B そっちがその気なら、こっちは返り討ちにするだけだっ!!
   
テール 「では、先生方、お願い致します」
トライチップ 「だから相手を挑発するだけ挑発して、他人に振るなって………」


海賊たちと2回目の戦闘です。

相手は3人なので、低いレベルでも勝てる範囲でしょう。

なので戦うのですが、まだ出来る事は限られているので...、


...前衛は全員で攻撃し...、


...後衛は魔法使いカティノ(催眠呪文)を唱えさせる、というお馴染みのパターンで。

トライチップ 「わしは見てればいい……?」
テール 「はい、雇い主なのですから、それで結構でございます」


それでは、いってみましょう!!!

心々 これまでの恨み、たっぷり晴らしてやるぜっ!!
海賊A 「え…?」
海賊B 「あっ!
 こいつ、脱走した心々じゃねぇかっ!?」
心々 死ねえええぇぇぇっ!!


一番手は珍しく心々!!


海賊A うおぉわっ!!
心々 「ちっ…! 避けやがった…!」
   
海賊B 「おい!?
 脱走した腰抜けのくせに、襲ってきやがったぞっ!!」
海賊C 「なんだよ、あいつっ!?」


海賊A うおぉわっ!!(ドガッ!)
沙賀里 おほほほほほほっ!!(ブン!ブン!)
   
海賊B 「おい……なんか変なのが襲ってきたぞ……(汗)
海賊C 「なんだよ、あいつ………(汗)
   
トライチップ おい、テールっ!!
 前も聞いたけど、この用心棒たちで本当に大丈夫なのかっ?!
テール 「どうぞご安心下さい。
 彼らに全て任せておけば、何の問題もございません」
トライチップ 今リアルタイムで問題が起きてるけど??!
テール 「心配はご無用です。
 まだ先生がおられます」
   
   …さっ…!
   
海賊A 「ん…?」
   
羅無市 「無名流…………必殺っ!」


海賊A ぐぎゃあああぁぁっっ!!
   いちもんじ
羅無市 「一文字の太刀………!」
   
テール 「いかがですか?
 先生は頼りになりますぞ」
トライチップ 全員頼りになれよっ!!!
   
海賊B 「く……くそっ!!
 ふざけやがって!!」
海賊C 「てめぇら、ただで済むと思うなよっ!!!」
   
心々 「おめぇらの思い通りにさせるかってんだっ!!
 おい、ネックっ!!
   
ネック (;つ_⊂)……………………………………
   
心々 おおぉぉ!!!
   
ネック (;つo⊂)「あの……僕……血が苦手で………」
   
心々 分かったからっ!!!
 目を瞑ったままでイイから、早くカティノ唱えてくれってっ!!!
   
ネック (つ>o<)つ)) エイッ! 「カティノっ!!」
   
心々 !?
 おいっ!!
 その方向はうちらも居るって!?



テール 「見事、海賊を寝かせましたぞ」
トライチップ おいっ!!
 テールっ!!
テール 「はい?」
トライチップ あの2人もカティノの余波を受けてるけど?!
   
心々 「くっ……!
 うちらまで眠気が……(よろよろ…)
羅無市 「むぅ……(よろよろ…)
   
トライチップ あれで大丈夫なのかっ!?
テール 「どうかご安心下さい。
 なぜなら、まだ……」
   
沙賀里 おほほほほほほほっ!!(ブン!ブン!ブン!)
   
テール 「…沙賀里がおりますので」
トライチップ あれはなんで大丈夫なの??!


とりあえず相手が全員眠ったので、このターンはこれで終了。


─── 2ターン目


海賊B 「うぅ……っ!」
海賊C 「くそ…っ!」
   
テール 「海賊どもが、もう起きてきましたぞ。
 やはりカティノの方向が悪く、十分に効かなかったのですな」
トライチップ 「それよりさぁ…」
テール 「はい?」
トライチップ 「…戦闘の成り行きを見てて忘れてたけど、そもそも論として、
 わしらって『盗品の転売』をしに迷宮へ来たんじゃなかったっけ?」
テール 「その通りでございます」
トライチップ 「これって『強盗』って言わない?」
テール 何を仰いますっ!!
 『盗品の転売』と『強盗』は一心同体の関係!!
トライチップ 「絶対に違う」
テール タダで品物を手に入れるためには、これは必要不可欠なことなのです!!
トライチップ 「隠された宝箱を探すだけにしない?
 それなら無益な殺生をしなくて済むだろ?」
テール ご神官様、何を血迷っておるのですか?!
トライチップ 「血迷ってるの、おまえの方じゃね?」
テール 既に1人殺しておるのですぞ!!
 口封じのためにも、ここは全員殺すべきです!!
トライチップ 「もっと早くツッコむべきだった………」


とりあえず2ターン目も、ネックのカティノで足止めしつつ、
前衛全員で敵の殲滅を狙う!!

では、いってみましょう!!

羅無市 「うむ……(よろよろ…)


海賊B うごぉっ!
羅無市 「く……!
 力が入らぬ……(よろよろ…)
   
海賊B 「いだだっ……!
 ぶ…分が悪くなってきたぞ…!」
海賊C 「逃げようっ!」


心々 「に……逃げやがった……!(よろよろ…)
テール ネック、足止めをっ!!
トライチップ 「財宝が目当てなら、別に逃がしても良くない……?」
テール 何を仰いますか、ご神官様!!
 口封じをすべきと言ったではありませんか!?
トライチップ 「既に1人逃げてるけど……?」
ネック (つ>o<)つ)) エイッ!「カティノっ!!」
テール あ?!
 また微妙に先生方の方向に…!?


海賊B ZZZzz………」
心々 ちょ……っ(ふらふら…)
羅無市 うぬ……っ(ふらふら…)
   
トライチップ 「敵は寝たけど……先生たちも大分ヤバくないか?」
テール 「ヤバいですな……」


沙賀里 おほほほほほほっ!!(ブン!ブン!)
   
トライチップ 「あいつはあいつで、ヤバくないか……?(汗)
テール 「ヤバいですな……(汗)



─── 3ターン目


海賊B うぅ……(ふらふら…)
心々 く…そ……っ(ふらふら…)
羅無市 ぬぅ……っ(ふらふら…)
   
トライチップ 「あいつら、あんなんで大丈夫なの……?」
テール 「さぁ………」
   
沙賀里 おほほほほほほっ!!(ブン!ブン!)
   
トライチップ 「あいつは、なんで大丈夫なの……?(汗)
テール 「さぁ………(汗)


羅無市 「ふぬっ…!(ふらふら…)
海賊B 「おぉ(ふらふら…)


心々 「こんちくしょ…(ふらふら…)
海賊B 「ふぬ……(ふらふら…)

トライチップ 「グデグデだな……」
テール 「グデグデですね……」


沙賀里 おほほほほほほほほっ!!(ブン!ブン!ドガッ!)
海賊B ふぃぎゃあぁっ!!
   
テール 「元気な奴がいて助かりましたな」
トライチップ 「あいつ、さっきから『おほほほほ』しか喋ってなくね……?」


ちょっと攻撃の空振りが目立ったが、なんとか勝利!!

ネック (;>o<)「ど……どうなりました……?」
トライチップ 「おまえのせいで大分グデグデになったけど……」
テール 「…とりあえず敵は全て撃退しましたぞ」
ネック (;゚▽゚)パアッ!「ホントですか!?」


目の前に海賊たちの死体......

ネック  う~ん…… ┓┓バタンッ!
トライチップ 「もしかして、毎回このパターンなの……?」
テール 「先が思いやられますな……」


テール 「さてさて、兎にも角にも、これでこのお宝は我らのモノでございます」
トライチップ 「記念すべき初の宝箱だな」
テール 「億万長者への第一歩ですぞ」
トライチップ 「気が早いなぁ。
 まぁ、いい。
 では、さっそく開けてみよう!」
テール 「ご神官様、訓練所で習ったではありませんか?
 宝箱には罠が仕掛けられているかも知れないので、そのまま開けるのは大変危険でございます」
トライチップ 「そう言えば、そう習った気もするな」
テール 「気もする…?」
トライチップ 「いや……、講義中はずっと寝てたから……」
テール 「相変わらず不真面目ですなぁ。
 ま、ここは盗賊の心々の出番でございます。
 と言う訳で、心々、こちらへ」
心々 「うぃ~す……(よろよろ…)
テール 「目は覚めましたかな?」
心々 「ちょっと待ってくれ……。
 (ぱんっ!ぱんっ!)
 ↑顔を叩いて目を覚ましている。
トライチップ 「大丈夫か…?」
心々 「うっし!
 なんとか大丈夫だ」
テール 「では、宝箱の解錠をお願いしますぞ」
心々 「えぇ~~と……」


心々 「まずは罠を調べないとな……」
トライチップ 「どんな罠があるんだ?」
心々 「全員がダメージを喰らう爆弾とか、
 全員が毒になっちまうガス爆弾とか、
 呪文を使う奴を狙い打ちにするブラスターとか……まぁ、そんなのだ」
トライチップ 「わしらも巻き込まれるってこと?」
心々 「あぁ」
トライチップ 「マジかぁ……」
心々 「マジさ。
 だから罠の餌食になりたくなかったら、
 罠を解除せずにバカッ!
トライチップ ぃや?!
心々 「…って開けたりしちゃぁ、絶対にダメなんだぜ」
トライチップ 「び………びっくりさせるなって………。
 と……とりあえず頼むよ……」


では、罠を調べるキャラを選んで、Aボタンを......


...ポチッとな!


バカッ! ! !

心々 うわああぁっ!!!
トライチップ ぎゃああああぁっ!!!
テール 爆弾があぁっ!!
 毒ガスがあぁっ!!
 ブラスターがあ!!!




心々 「ぅ…………?」
トライチップ 「ん…………?」
テール 「ひ…………?」
心々 「あ………あれ………??」
トライチップ 「ど………どうなったんだ………?」
心々 「ん~~………、
 どうも罠が無かったっぽいな………」
トライチップ 「なにぃぃぃぃ……」
テール 「し………心臓に悪いですなぁぁぁ……」


なんと......調べるだけ罠が発動したが、
そもそもその罠が無かったので被害は出なかった.....ってことらしい。


いや........存在しない罠を発動させるとは........、


...さすが某ヘボヘボ盗賊2人の血を引く子孫だぜ!!


初っぱなっから見せてくれたよっ!!!



トライチップ 「いや……その……本当に罠は無かったのか……?」
心々 「…だと思うけど」
トライチップ 「中を覗き込んだら、バネ付きのパンチが飛んできたりしない?」
心々 「そんな罠、聞いたことねぇよ……」
トライチップ 「えぇと………、せ、先生?
 確認してもらえますか……?」
羅無市   すっ……
心々 「チップは臆病にもほどがあるだろ……」


宝箱の中身「オノ」

これまでの経験から、いつもの一番安い「オノ」ですね。

トライチップ 「おぉ、先生、ご苦労様です。
 じゃ、テールや、とりあえず確認してもらえるか?」
テール 「お任せ下さい」



テール 「ふむ………木製の柄の長さはおよそ80cmほど……、
 比較的長めの柄ですな……」
トライチップ 「……………………………………」
テール 「刃の質はありきたりな鉄製ですが、
 扇型の形をしており、こちらもかなりの大きさです……。
 つまり、これは……」


テール 「…『いくさオノ』でございます」



は?



なに、これ...???




メインパーティーがあれだけ長い期間アイテム集めをしていたのに、
こんなアイテム1度も出てきたことなかったんだけどっ??!!



どういうこと...?!



しかも、それを1発目の宝箱で引き当てたの??!!



こんな事ってある??!


テール 「ご神官様、なかなか良き武器をゲットしましたぞ」
トライチップ 「それ、もしかして強いの?」
テール 「今の我らが装備している中で一番強いのは、先生が持っておられる『だんびら』でございますが、
 その『だんびら』と同程度のダメージを、より安定的に出せる武器でございます」
トライチップ 「つまり、わしらが持ってるどの武器よりも性能が良い、ってこと?」
テール 「その通りでございます」
トライチップ 「マジか………」
テール 「これほどの品なら、きっと高く売れるに違いありません。
 億万長者への道の第一歩にふさわしいアイテムでございます」
トライチップ 「それって……売るより、装備して使った方が良くね?」
テール 「え?
 転売ならさないのですか?
 金を手にできませんぞ?」
トライチップ 「そこは今使ってる武器の方を売ればいいだろ?」
テール ご神官様、何を仰います!
 今使っている武器はボルタックで買ったものですぞ?!
 それは『転売』ではなく、ただの『売り戻し』になってしまいます!
トライチップ 「そこ、こだわる………?」


とは言え、誰に装備してもらうかなぁ...?

まず、俺の中で先生は剣以外はあり得ないので、先生は対象外である。

すると、他に装備でそうなのは......盗賊......?


心々(盗賊)に渡してみる。


アイテム名の前の「#」装備不可のマーク。
ダメか......。

まぁ、心々女性という設定だし、あんまりバトルアクスを振り回すイメージじゃないしな。


と、なれば、ここは沙賀里(僧侶)に持たせましょう!!

だって僧侶の武器と言ったら、やっぱりでしょ!!!


んな訳あるか。


じゃぁ、結局は......、


...先生(戦士)が装備する......?


俺的には無し!!!

先生の武器は、やはり剣以外はあり得ない!!


テール 「ご神官様、どうなさりたいんですか?」
トライチップ 「しょうがない、売るか……」
テール 「それが目的で、ここに来ておるのですぞ?
 なんでビミョ~に残念そうなのですか?」
トライチップ 「だって、良い武器だって言うからさぁ……、
 もったいないなぁ……と思って………」


ま、ボルタックへ売り飛ばしましょ!





町に帰還

 



━━━━ ボルタック商店


店員の男 いらっしゃいませっ!!
 あなたの近所の死の商人『ボルタック商店』へようこそ!!
テール 「なんてイヤなご近所さん……(汗)」
店員の男 ここで素敵なサムシングを見付けていって下さい!!
テール 「なんですか、その謳い文句……?
 そんなんで客が来るんですか……?」
店員の男 「もちろん来ますとも!
 むしろ武器やアイテムの売買に関しては、まるで当店以外に選択肢が無いかのように、
 皆さまここをご利用なさいます」
テール 「実際、ここしか無いのでは……?」
店員の男 「さぁ、どうなんでしょうね?」
テール 「独占禁止法の重要性を学べる貴重なお店ですな……」
店員の男 「ま、本題に入りましょう。
 本日はどの様なご用件で?」
テール 「そうそう、本日は貴重な上物を手に入れてきましてな」
店員の男 「え?
 上物…?」
テール 「へい」
店員の男 「も……、もももも……もしかして!?
 『村正』ですかっ!?
テール 「あ、いや……そこまでではないですが………」
店員の男 「あぁ、ビビッたぁ~~…。
 いや、まぁ、そうですよね!
 ちゃんと現実的な品だってのは分かってますよ、ダンナ!
テール 「それなら結構」
店員の男 『カシナートのつるぎ』なんでしょ!!
テール 「え~~と………ごめんなさい……、
 変にハードルを上げたこっちが間違っておりました……」
店員の男 「はぁ…?、
 ……じゃ、何ですか?」


店員の男 「ふむ……これは普通の『いくさオノ』ですね」
テール 「期待させてといて、そんな程度で申し訳ない」
店員の男 「別にいいですよ。
 最近は、王国が雇った凄腕らしいパーティーがよく来ていたんですが、
 まぁ、一番安い短刀とか盾とか、そんなのしか持って来なくて……」
テール 「へぇ、そんなパーティーがおるのですか……」
店員の男 「あの程度しか手に入れられないのに、どこが凄腕なんだか、って感じですよ」

━━━━ とある街角......

サーロイン 「へっくしょん…!」
ロース 「どうしたの?
 風邪?」
サーロイン 「さぁ……?(グズッ…)

━━━━ 再びボルタック商店

テール 「で、幾らで買い取りますかな?」
店員の男 ウチは明朗会計、明瞭清算!!
 全ての商品が一律店頭価格の半額!!
 と言う訳で、これは70G.P.になります!!
テール 「ん………?
 え……?
 これ、売ってるのですか…!?」


実はゲットした直後「初の非売品か?!」と勝手に思ってしまったのだが、
フツーーーに売っていたわ。

ま、いいけど......。


とりあえず70G.P.で売却です!!

 











つづきは2025年5月3日(土)公開予定。

 


【更新履歴】
2025年 4月26日:第1節まで公開。