24.相関はそう簡単に分かるのか?

【登場人物】  
サーロイン ロイヤルレンジャーズのリーダー。サーは敬称。
三洲次 元盗賊だった日本男児の侍。発音は「みすじ」。
接近戦最強のくノ一。でも細かい事は大嫌い。
ロース こんな名前だが細身で美人なエルフの女魔法使い。
ランプ 財宝一筋なエルフの司教。パーティーの知恵袋。
ブリスケット 日本オタクのエルフの僧侶。あだ名は「ブリ助」。

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━━━━ 迷宮 1階.....
     海賊の砦 ハイコルセアの部屋

ハイコルセア 「なにっ!?
 それは本当か?!」
キャプテンA 「はい、どうやら……」
ハイコルセア 「うぅむ……」


部屋の奥には大きな赤い絨毯があり、そこには海賊団頭領を務めるハイコルセアと、
彼の片腕のガリアンキャプテンが向かい合って座っていた。

その2人の前には黒パンの山、重ねられた塩漬けの牛肉、乱雑に切られたチーズなど、
お世辞にも奇麗とは言い難い色彩の朝食が並べられている。

ハイコルセアはそれらの朝食を前に、わざと腕を大きく回しながら両腕を組んだ。

ハイコルセア 「これはまずいな……」
キャプテンA 「えぇ、まずいですよ……」


ハイコルセアは黒パンを1個取ると、それを口にくわえ、半分に引きちぎってモシャモシャと食べ始めた。

ハイコルセア 「これは非常に……ングッ……まずいことになった」
キャプテンA 「えぇ」
ハイコルセア 「あの爆弾を次々と爆発させている奴らが、
 とうとうこの砦までやって来るとは………」
キャプテンA 「たまたま外を散策していたガードが見かけたそうですが、
 彼も目を疑ったそうで……」
ハイコルセア 「それで、奴らは何をしていたんだ?」
キャプテンA 「砦の入り口や外周の構造を調べていたようです。
 つまり、遅かれ早かれ、ここに乗り込んで来るつもりでしょう」
ハイコルセア なんてことだっ!!


ハイコルセアは再び大仰な仕草で、今度は神に訴えるかのように両手を天に挙げた。

ハイコルセア 「あいつら、下手すりゃ俺の首を狙ってるかも知れねぇんだぞっ!!
 どうするんだっ?!
 今までのパーティーと違って、あいつらは国王直属の部隊だそうじゃないかっ!!
 ってことは、これまでの奴らの様に賄賂とか交渉は通用しないってことだっ!!」
キャプテンA 「……………………………………」
ハイコルセア 「絶対に実力行使で押し入って来るに決まっている!!
 そうしたら、俺は終わりかも知れんのだ!!
 ちくしょうっ!!
キャプテンA 「……………………………………」
ハイコルセア 「くそっ!
 どうすりゃいいんだ?!」
キャプテンA 「とりあえず対策を考えましょう」



2人は朝食に手を付けるのを止め、今後の対応を検討し始めた........


………………………


………………


………





━━━━ ギルガメッシュの酒場 早朝.....

サーロイン 「なに!?
 それは本当か?!」
ランプ 「はい、どうやら……」
サーロイン 「うぅむ……」


酒場の窓際には大きな丸テーブルがあり、ロイヤルレンジャーズ6人
そのテーブルを囲う様に座っていた。

彼らのテーブルには、黒パンの山、重ねられた塩漬けの牛肉、乱雑に切られたチーズなど、
お世辞にも奇麗とは言い難い色彩の朝食が並べられている。

サーロインはそれらの朝食を前に、わざと腕を大きく回しながら両腕を組んだ。

サーロイン 「これまで長く呪文を使ってきたが、そんな話しは初耳だ」
ランプ 「まだ噂話ていどですが……」
サーロイン 「まさかカティノやマニフォへの耐性が付く酒が存在するとは……」


サーロインは黒パンを1個取ると、それを口にくわえ、半分に引きちぎって食べ始めた。

サーロイン 「なぁ、それは……ングッ……どんな酒なんだ?」
ランプ 「具体的な名前は伝わっていませんが、どうもごく普通のお酒のようです」
サーロイン 「だとすると、よくこれまで判明してこなかったな」
ランプ 「お酒を飲むと判断力や運動能力が落ちるので、冒険の前にお酒を飲むパーティーは少数派でしたから、
 実戦でそういう機会が無かったのでしょう」
サーロイン 「だとしてもなぁ……」
ロース 「何を話してるの?」
サーロイン 「いや、ランプが仕入れてきた噂なんだが、
 飲むとカティノやマニフォに耐性が付く酒が存在するらしい」
ブリスケット 「え? マジっすか?!」
ロース 「どんなお酒なの?」
ランプ 「まだそこまでは……」
「ガツッ!ガツッ!ガツッ!ガツッ!ガツッ!」
ブリスケット 「じゃ、そのお酒を特定できりゃぁ、大発見なんでは?」
ランプ 「なるほど……と、言う事は、学会で発表すれば、
 世紀の発見者として歴史に名前を残すことも夢ではないですね」
ロース 「学会…?」
ランプ 「あ、いや、それよりも………むしろ発見しても秘密にしておいて、
 『呪文に耐性ができるお酒』と銘打って販売すれば、大儲けができるかも……!」
三洲次 「それはどうかなぁ~?」
ブリスケット 「味でバレて真似されるんでは?」
ランプ 「すると、やはり先に発見者として名前を残すべきですかね。
 そうすれば、元祖として売り出せますから。
 いやいやいや……なんか夢が膨らんできましたよ!」
ロース 「まだ見付けてもいないのに、考えが先走り過ぎじゃない?」
サーロイン 「しかし、仮に原料に依るとなると、酒じゃなくても効果を見付けられたりしないかな?」
三洲次 「ジュースとかでもいけるってことですか?」
サーロイン 「例えば…だがね」
ロース 「試してみる?」
ブリスケット 「面白ぇっすね」
三洲次 「それじゃ、みんな手元にある飲み物を飲んで、ランプにカティノをかけてもらいましょう」
ランプ 「……え?
 私が?
 まぁ、いいですけど。
 じゃ、カティノをかけますので、みなさん、目の前にある飲み物を……」
ランプ 「いや、まだ呪文を唱えてないんですけど……」
酒場の店員 「会計いいかい?
 あれ?
 ランプさん以外みんな寝ちゃってんじゃん。
 じゃ、ランプさん、ひとまず全員分払ってもらえるかい?」
ランプ みなさん、狸寝入りしましたねっ!!!

 





さてさて、前回の冒険を終えて町に戻ると、
上級職のメンバーが続々とレベル6へレベルアップしました!!

そこでレベルアップの内容を順番に紹介しましょう!!


──── 三洲次(侍)

 

しょぼ........



──── ランプ(司教)


こいつも三洲次と大差無いじゃん......。

おまえ、生命力13なんだから生命力をアップしてくれよ!

後衛なんだから、なんて上げてもしょうがないだろっ!!

このままじゃ、LoLでも奇襲ブレスで死にまくるぞ、これ........。



──── サーロイン(君主)


おぉ!!

H.P.が10もアップ!!
そしてレベル2僧侶呪文を習得!!!

さすがリーダー!!
彼だけは良い感じだ!!!

で、覚えた呪文は......?


マツ(いわゆる防御力アップ)は必ず覚える呪文だから良いとして、
有用なマニフォ(敵を麻痺にする)モンティノ(敵の呪文封じ)習得!!

まぁ、サーロインってほぼ呪文を使わないから、あまり使う機会は無いけど。

それより覚えなかった呪文は......えぇと......カルフォ(罠の識別)か。

桃の盗賊技術がヘボいから、カルフォの方が使う機会があったかもなぁ。



で、その桃のレベルアップは...?



──── 桃(忍者)



うん....まぁ......忍者って本当にレベルアップが遅いよね。

 


【目次】

1.砦にはそう簡単に入れるのか?

2.侵入はそう簡単に分かるのか?

3.相関はそう簡単に分かるのか?




1.砦にはそう簡単に入れるのか?


(※) 動画は1.~3.までノンストップです。




ロース 「そう言えば、今日はどこに行くの?」
サーロイン 「今日は、いよいよ海賊どもの砦に乗り込むぞ!!」
三洲次 「え?! マジで!?」
サーロイン 「もちろん。
 まだ他の階へ行く階段が見付かっていないんだ。
 と、なれば、もう残すは海賊の砦の中しか無いだろ?」
ブリスケット 「階段って、湖の先にあるんじゃぁねぇっすか?」
サーロイン 「ボートの製造が制限されているってことは、
 湖を渡らなくても宝珠の探索が可能だと分かっているってことだろ?
 と言うことは、階段があるのは、もうの砦の中しかない、ってことだ」
ロース 「そんな所に階段があって、他のパーティーはどうやって冒険を続けていたのかしら?」
ランプ 「酒場で仕入れた情報ですが、一部のパーティーは海賊たちに通行料を払っていたそうです」
三洲次 「通行料…?
 それって、金を払えば海賊たちは砦の中を無傷で通してくれる、ってこと?」
ランプ 「そうです」
サーロイン 「なんだよ、ってことは、ランプは砦の中に階段があるのを知っていたんだ」
ランプ 「いえ、今日は砦に行くだろうと思い、昨晩情報収集をしてみて、それで知ったばかりの話しです」
サーロイン 「そういうことか」
三洲次 「じゃあ、階段は砦の中にあるので確定かぁ……。
 メンドクサイことになったなぁ……」
ブリスケット 「あっしらも金を払って入れてもらいやすか?」
ロース 「苦労して溜めたお金を、あいつらに渡すの?
 私はイヤだわ」
三洲次 「まぁ、迷宮で手に入れたお金の大部分は、元々はあいつらのですけど」
ランプ 「どうします?」
サーロイン 「我々は海賊団と全面的に対立しているんだ。
 金で話しが通じる状態じゃないだろ」
ロース 「それに、私たちは女王の下で動いているんだから、海賊相手に賄賂みたいなことは避けるべきよ」
ブリスケット 「ま、確かに」
サーロイン 「では、堂々と乗り込もうっ!!」


と、言う訳で、今日はいよいよ海賊の砦の中に入って行きます!!


バラックを抜け、海賊の砦に向かって出発!!




三洲次 「砦のエリアまで来ましたね」
サーロイン 「じゃ、先へ進もう」
ブリスケット 「また、あのモートモンスターどもが居るんすかね?」
ランプ 「暗い水の中に居るので、見付けにくいですよね」
ロース 「桃の敵を察知する能力に期待ね」
「~~♪」
三洲次 「おい、聞いてんのか?」








ほぉごっ!!
   
三洲次 「むしろ敵に察知されやがった……」
ブリスケット 「桃っちって、油断するとすぐこれっすね……」


てめえええぇぇっ!!!
 ザコのくせして、なめんじゃねええぇぇっ!!!
モンスターA ギギャアアアァァァッッ!!!
   
ランプ 「相変わらず、やられたらキッチリやり返しますね」
ロース 「なめてるのって、むしろ桃の方よね……」



見事、前衛が1人1匹ずつ倒して、あっさりと1ターンで勝利!


三洲次 「暗い水の中にいる敵を察知するのは、今のところ桃が頼りなんだから、
 もうちょっと集中して頼むよ」
「メンドくせぇ……」
サーロイン 「ま、先へ進もう」







「ん~~……」
三洲次 「どうした?」
「あそこ」
三洲次 「ん?」




ブリスケット 「お!
 例のモートモンスターの胴体が水中に見えやすぜ」
三洲次 「やっぱ、やれば出来る子なんだよな、桃って……」
ロース 「すぐに飽きて無関心になる性格って、どうにかならないかしら……」


サーロイン 「今回はこっちの先制攻撃だっ!!」
三洲次 「一気に3匹減らしましょう!!」
   
ブリスケット 「あ~……こいつぁは………」
ロース 「減らせるのは2匹までね……」




サーロイン (;゚_゚) ………………………………
   
ブリスケット 「やっぱ……」
ロース 「2匹までだったわね」
   
サーロイン (;TT) ………………………………


三洲次 「ま、残り3匹なら、このターンで終わりですよ!!


三洲次 (;゚_゚) ………………………………
   
ブリスケット 「あぁ~あ……」
ロース 「このレベルになっても、まだ半人前の仕事しか出来ないの!?」
   
サーロイン (;TT) ………………………………
三洲次 (;TT) ………………………………


ホントに、この2人は......!


それに比べて、桃のこの安定感!!

まぁ、1人だけ攻撃回数が多いから、ある意味当然なところもあるけど。



サーロイン 「これでどうだっ?!
 このターンはキッチリ決めたぞ!!」
ブリスケット 「いや……、寝てんじゃねぇっすか、相手………」
ロース 「むしろ倒せなくて、どうするのよ?」
サーロイン おまえら本当にへらず口が減らないなぁっ!!
ブリスケット 「だらか『減らず口』って言うんすよ」
サーロイン そんな解説要らんわあああぁぁっ!!!


とりあえず、ノーダメージで勝利!!

ノーダメージだったのは後衛のカティノが効果的に効いたからであって、
やっぱり優秀なのは後衛なんだよな。
あと、



そして......、


...いよいよやって参りました!!


海賊砦の正門です!!

三洲次 「扉が2つもあるんだけど?」
ロース 「何か違うのかしら?」
ランプ 「見た目は全く同じですから、さっぱり分かりませんね」
ブリスケット 「ロイン殿、どうしやすか?」
サーロイン 「特に差が見られないなら、もう近い方から入ってみるか。
 ところで、周りに見張りとか居ないか?
 あっさりと中に入れてくれるほど気前がいいとは思えないのだが……」
三洲次 「確かに。
 近くに門番が居てもおかしくないですが、全然居ないですね」
ブリスケット 「侵入者を迎撃する出窓も無ぇっすぜ。
 なんて名前か忘れやしたが……」
ランプ 「ペヒナーゼですね」
ブリスケット 「あぁ、それそれ、それっす」
ロース 「ねぇ、桃?
 周りに見張りとかが隠れてないかしら?」
「ん~~…………」
「いや………敵の気配は全然感じられねぇぜ。
 こりゃ、誰も居ねぇな」
サーロイン 「そうか。
 桃が言うなら確かだな」
ランプ 「意外と無防備ですね」
サーロイン 「ま、それならそれで、ありがたく入らせてもらおう」
ブリスケット 「とは言え、中に居る可能性は否定できねぇですぜ。
 こんだけ魔物が徘徊してんじゃ、守衛はむしろ中に居るんでは?」
サーロイン 「なるほど、それもそうだな。
 では、静かに開けて、まずは様子を見てみよう」
三洲次 「じゃ……」


ギィィィィ......ッ


6人はなるべく静かに扉を開けると、砦の中に足を踏み入れた........





2.侵入はそう簡単に分かるのか?


━━━━ 海賊の砦
     ハイコルセアの部屋.....

部屋の中では、ハイコルセアガリアンキャプテンの2人が
朝からロイヤルレンジャーズ侵入への対策を議論し続けていた。

キャプテンA 「入り口の扉に鍵を掛けて、入れなくしてはどうでしょう?」
ハイコルセア 「入り口に鍵なんて付いてたか?」
キャプテンA 「無いですよ」
ハイコルセア 「言ってる意味が分からない……」
キャプテンA 「だから新しく付けるんです」
ハイコルセア 「あぁ、そういう意味か。
 すぐに付けられそうか?」
キャプテンA 「えぇと……、業者を探して、ここに来てもらって、見積もりを取って……」
ハイコルセア そこからかよっ!!
 仲間にそういう事が出来る奴はいないのか?!」
キャプテンA 「いると思いますか?」
ハイコルセア 「あぁ~~、もぉ~~、ダメだなぁっ!!
キャプテンA 「では、もうほとぼりが冷めるまで、砦の外に避難してしまってはどうでしょうか?」
ハイコルセア 「砦の外に?!
 魔物が徘徊している外にか?!
キャプテンA 「はい、ボディガードは付けますので」
ハイコルセア 「待て、待て!!
 これだけ魔物が徘徊していたら、ボディガードだっていつまで持つか分からんだろ!!
 魔物に殺されては元も子もない!!」
キャプテンA 「しかし……」
ハイコルセア 「もし避難するにしても、せめてあいつらが来ている間だけだ!!」
キャプテンA 「そうなると、奴らがここに来たことを察知しないとダメですが、どうやって知るのですか?」
ハイコルセア 「え?
 えぇと………そうだなぁ………」


…………


……………………


………………………………



━━━━ 海賊の砦の内部
     入り口.....


の中に入ると、まずは受付と思われる小奇麗な部屋があった。
部屋の中は清掃が行き届いており、角にある小さな木製の机と椅子だけが6人を無言で出迎えていた。

ロース 「予想に反して、意外と小奇麗な部屋ね」
サーロイン 「ここは受付の様だが……なんで誰もいないんだ?」
三洲次 「訓練所と言い、なんか無防備な組織ですね」
ブリスケット 「ま、余計な手間をかけずに済んだと喜びやしょう」
ランプ 「机に目ぼしいものは………特に無いですね」
ロース 「左手に扉があるわ」


サーロイン 「では、もう中にお邪魔させてもらおう」


ガチャッ...!

サーロイン 「失礼しますよ」


扉の中は奥まで続く通路があり、天井が高いこともあって、まるで城か豪邸の中にある廊下の様にも見えた。
ただ窓が一切無いため、薄暗い雰囲気を漂わせている点が、ここが華やかな宮廷ではなく、悪賊達の住処であることを物語っている。

サーロイン 「なかなかしっかりした造りの廊下だな」


6人は両側の壁に何か無いかを確認しつつ、廊下を奥へと進んで行く。



サーロイン 「廊下はここまでか」
三洲次 「扉が3つ……」
ブリスケット 「どの扉も似たような感じで、中が何かサッパリ分からねぇっす」
ロース 「どうするの?」
サーロイン 「そうだな……まぁ、外周の方から調べていくことにするか」
ランプ 「すると……」


ランプ 「…この左側の扉からですね」
サーロイン 「うむ」
三洲次 「突撃します?
 ノックして入ります?
 それとも、そっと入ります?」
サーロイン 「やばかった時にすぐ戻れるよう、そっと入ってみよう」
三洲次 「じゃ……」


カチャ......ッ

6人は出来る限り静かにを開けると、中の様子を覗き込んだ。



部屋の中はこれまでと同じく石壁で囲まれた部屋で、壁際には小物箱が積まれており、
中央の床には数人が座れる大きさの青緑色の絨毯が敷かれていた。

そして今、その絨毯の上では、2人僧侶が......



...瞑想をしていた。

サーロイン 「ここは瞑想室かな?」
三洲次 「そんな感じですね」
サーロイン 「じゃ、瞑想の邪魔にならないよう、音を立てないでおこう」
ブリスケット 「しかし瞑想室って、ワードナの迷宮を思い出しますぜ」
ロース 「そう言えば、あそこの5階にも僧侶達の瞑想室があったわね」
ランプ 「ありましたね。
 あの時もロインが瞑想を『邪魔しちゃ悪いから』とか言いながら……」


サーロイン うりゃあああぁぁぁっ!!
プリーストA ひぃぎゃあああぁぁっ!!
   
ランプ 「…襲撃していましたね……(汗)」
ブリスケット 「ロイン殿、まったく変わってねぇっすね……(汗)」
ロース 「僧侶たちは瞑想だけど、この人は頭が迷走ね」



先制中にあっさりと勝利!!

ロース 「音を立てないようにするんじゃなかったの?」
サーロイン 「もちろん!
 音を立てずに敵を倒す……暗殺の基本だ!」
ブリスケット 「メッチャ叫んでましたぜ……?」


三洲次 「箱の山の中に宝箱がありましたよ」
ランプ 「それは素晴らしいです!!
 では、桃、さっそくお願いします!!」
「うぃ~~す」

 

………………………………

……………………

…………


━━━━ ハイコルセアの部屋.....

部屋の中では、ハイコルセアと片腕のキャプテンがロイヤルレンジャーズの侵入を察知する方法を検討し続けていた。

ハイコルセア 「入り口や廊下に見張りを立てよう。
 それなら奴らが来たことが分かるだろ」
キャプテンA 「そんなの殺して、黙って入って来ますよ?」
ハイコルセア 「じゃあ、扉に鈴とか鐘を付けてはどうだ?」
キャプテンA 「仲間が開けたって鳴りますよ、それ」
ハイコルセア 「あぁ、そうか………」
キャプテンA 「そもそも、奴らは知られないように侵入して来るのですから、
 簡単に分かる方法なんて無いかと……」
ハイコルセア 「むぅぅぅ……」



…………

……………………

………………………………



「これは爆弾だな」
サーロイン 「じゃ、いつも通り解除してくれ」
「うぃっす。
 あたいの華麗な技術で、あっさり解除してやるぜ」
   
三洲次 「なぁ、ロース?」
ロース 「なに?」
三洲次 「海賊どもの訓練所の時にさぁ……」
ロース 「何を言いたいか、分かったわ……」
三洲次 「桃が調子こいてる時って……」
ロース 「危ないのよね………」


「~~~♪(カチャカチャ…)
   
三洲次  そろそろそろそろ…… ← 静かに離れる
ロース  そろそろそろそろ…… ← 静かに離れる



………………………………

……………………

…………


━━━━ ハイコルセアの部屋.....

ハイコルセア 「なぁ、あいつらの侵入を知る方法って、本当に何か無いのか?」
キャプテンA 「あると思いますか?
 侵入ってのは、知られないように入ってくることなんですから」
ハイコルセア 「じゃぁ、あいつらが来ても分からないのか?」
キャプテンA 「えぇ、分かる訳がないですよ」



…………

……………………

………………………………



「あ………」
   
サーロイン 「『あ』……?」
   
三洲次
& ロース


ズガアアアァァーーーンッ!!!


………………………………

……………………

…………


━━━━ ハイコルセアの部屋.....


........ズガアアァァーーン........


ハイコルセア 「………………………………(汗)
キャプテンA 「………………………………(汗)
ハイコルセア 「爆弾が爆発した音だな………(汗)
キャプテンA 「そうですね………(汗)
ハイコルセア 「あの爆弾を次々と爆発させているバカたちが来たのかな……?」
キャプテンA 「来たっぽいですね………」
ハイコルセア 来たこと分かるんだっ!!!
キャプテンA 分かるんですねっ!!
ハイコルセア 「爆弾を仕掛けておけば、あいつら勝手に引っ掛かって自爆するんだな!!」
キャプテンA 「えぇ!
 爆発音、イコール、あいつらが来た、ってことですよ!!」
ハイコルセア 「いやぁ~、まさか悩みがこんな簡単に解決するとは思わなかった!!」
キャプテンA 「あいつらがヘボくて助かりましたね!!」
ハイコルセア 「よし!
 あいつらの侵入を知る方法が分かったところで、さっそく手を打つんだ!!」
キャプテンA 「お任せ下さい!!
 すぐにでもありったけの火薬を集めて来ます!!」
ハイコルセア 「あと、今なら爆弾で弱ってるだろうから、
 すぐにでもガード達を送り込めっ!!
 仮に倒せなくても、追い返すぐらいはできるだろ!?」
キャプテンA 「そこは大丈夫です。
 あれだけ大きな音がすれば、ガード達は言われなくても向かうはずです」
ハイコルセア 「そうか。
 じゃ、俺は念のため、今の内に避難しておこう」
キャプテンA 「はい」


…………

……………………

………………………………




「ふぇえぇぇ………」
ブリスケット 「桃っち、勘弁してくだせぇ!!」
ランプ 「被害が1~2ダメージだったのが、せめてもの救い……」
サーロイン 「あがが……」
ランプ 「…と、言いたいところですが、1人だけ8ダメージも受けてる人が……」
ブリスケット 「ロイン殿、大丈夫っすか?」
サーロイン 「あでで……」
   
三洲次 「嫌な予感が的中したな……」 ← 無傷
ロース 「あの人、ホントに鈍くさいわね」 ← 無傷



ランプ 「しかも中身はただの『杖』でした……」
三洲次 「それ、爆発でよく折れなかったな……」


ブリスケット 「とりあえず治療をしやしょう」


ひとまず治療は終了。

ランプ 「呪文を消費してしまったので、戻りますか?」
サーロイン 「まぁ、それほど被害が無くて、呪文の使用回数もたかが知れてたから、
 一旦このまま進もう」


ブリスケット 「今、右手に見えてる扉が入って来た扉っすから……」
ロース 「目の前の扉から次の部屋へ進めるわね」
三洲次 「じゃ、開けますよ」


ガチャッ...!


ドタドタドタドタドタドタドタドタ!!

サーロイン 「ん?」


パーティーが部屋に入ると同時に、反対側の扉が開き......、


...突如、この砦の衛兵であるガリアンガード達が雪崩れ込んで来た!!!

サーロイン 「な、なんだ…?!」
   
ガードA 侵入者を見つけたぞっ!!
ガードB こっちだ!!
   
サーロイン 「なにっ!?
 まさか侵入がバレたのか?!」
ロース 「派手に爆発音を響かせといて、何を言ってるのよ……」
ガードC 「てめぇらか!?
 この中で爆弾を爆発させたバカどもはっ!!」
ブリスケット 「別に爆発させたくて爆発させた訳じゃぁ……」
「あぁ!
 勝手に爆発しただけだぜ!!」
三洲次 「ウソつけ」
ガードD 「誰だ、てめぇらは?!」
サーロイン 「ロイヤルレンジャーズです」
ガードE 「へ?」
ガードF 「ロイヤルレンジャーズって……」
ガードG 「あの王国軍の……?」
ガードH 「俺たちの仲間を次々殺している……?」
サーロイン 「その通りです」
ガード達 「「………………………………」」


ガードI やべええぇぇっ!!!
ガードJ 逃げろおおぉぉぉっ!!!
サーロイン 「はあ…??」






三洲次 おおぉぉいっ!!
 こぞって逃げるんかいっ!!
ブリスケット 「何しに来たんすか……」
サーロイン 「まったく!
 少しは立ち向かって来る骨のある奴は居ないのか!?」


サーロイン ぅおわあぁっ!?
三洲次 「居て良かったですね」


三洲次 うひゃあぁっ?!
「何やってんだ、おめぇら……?」


うおっと!?(ひょい!)



─── 通常ターン.....


13人も居たのに、9人も逃げ出して4人になってしまった。

ただ、ノーダメージで済んだのは不幸中の幸いだったな。

サーロイン 「ま、度胸があることと無謀なことは別だと学習してもらおう!!」






サーロイン 「学習代は高くついたようだがな!!」


ロース 「ねぇ! この部屋にも宝箱があったわよ!」
ランプ 「やりましたね!
 さすが海賊の本拠地だけあります!!」
三洲次 「でも、ここって倉庫でもなさそうなのに、なんであるんだ?」
ブリスケット 「引き揚げてる宝を一時的に置いてるだけじゃぁねぇっすか?」
サーロイン 「あり得るな。
 とりあえず、桃、これも頼む」
「うぃ~す」



なんで爆発する前提なんだっ!?







ロース 「薬が入っていたわ」
三洲次 「罠の割にショボい中身だな……」


ランプ 「『傷薬』ですね」
サーロイン 「まだディオスの回数が限られているから、それは万が一に備えて持っておこう。
 ブリ助、持っててくれるか?」
ブリスケット 「へい」


さて......、


...先へ進みましょう。

三洲次 「また右手に扉があります」
サーロイン 「入ってみよう」


ガチャッ...!


次の部屋も、これまでと同じ造りと内装の部屋であった。

ブリスケット 「ここも瞑想とかに使えそうな部屋っすな」
ランプ 「でも、ここには宝箱は無いですね。
 残念……」
ロース 「そして、また右手に扉よ」
サーロイン 「右へ右へ右へ……と進んできたってことは……」


ガチャッ...!


サーロイン 「やはりグルッと回って、元の通路に戻って来たな」
三洲次 「奥の扉が入り口でしたね」
ランプ 「そして、右側の扉がさっき入った扉ですから……」
ブリスケット 「次は左側の……」


ブリスケット 「…この扉ですな」
サーロイン 「よし、入ってみよう」


ガチャッ...!


扉の中は先ほどと同じく、左右の壁が奇麗に磨かれた広い廊下がつづていた。

ロース 「結構大きくてしっかりした廊下だけど、窓が無いと陰気よねぇ」
ブリスケット 「まぁ、あったところで洞窟内っすから、明るくはならねぇっすぜ」
ロース 「でも、雰囲気ってものがあると思うわ。
 これじゃまるで監獄よ」



三洲次 「さらに奥へ行けますね」
サーロイン 「よし、進もう」


ガチャッ...!


ブリスケット 「お?
 ここで二手に分かれてやす」
三洲次 「作っている地図を見ると、手前の扉は砦の中心部へ向かいます。
 奥の扉はこのまま砦の外周を進んで、北東(右上)の方へ進めそうです」
サーロイン 「ま、外周から調べて地図を埋めていこう」


手前の扉を通り過ぎ......、


...さらに奥へと進んで行く。

ガチャッ...!


ランプ 「ここも二手に分かれていますね」
三洲次 「地図によると、あそこは砦の一番北東(右上)に位置します」
サーロイン 「そうか。
 とりあえず奥まで行こう」



サーロイン 「さて……」
ロース 「どっちから入る?」
サーロイン 「そうだな………、
 とりえあず外周に沿って進もうか」
三洲次 「では、左手の……」


三洲次 「…扉からですね」
サーロイン 「そっと開けて、中を見てみよう」
三洲次 「了解」




キィィィィ......

 



3.相関はそう簡単に分かるのか?


━━━━ 海賊の砦
     北東のエリア.....


扉の中の部屋は、先ほど通った瞑想室と同じぐらいの大きさだった。
しかし中の様子は全然違っており、壁際には薄汚れた敷布団などが詰まれ、床に敷かれた絨毯も茶色に汚れていて、
全体的に小汚い印象を与えていた。

三洲次 「なんですかね、この部屋?」
サーロイン 「多少なりと生活感があるところを見ると、海賊達の寝床かもな」
ブリスケット 「けっこう広いんで、共同生活してるんじゃねぇっすか?」
ランプ 「そんな感じですね。
 さっきの瞑想室っぽい場所も、ガリアンプリースト達が寝起きをしていた部屋だったのでしょう」
ロース 「でも、ここはさっきより大分汚いわ。
 不精な奴らが住んでるのね」


6人はザッと部屋の様子を観察した後は、壁際にある小物などを物色し始めた。

もう完全にただの空き巣ですが、日本のRPGでは日常の出来事なので、気にしたら負けです。

三洲次 「一通り見たけど、大した物は無いですね」
ロース 「それ以前に、どれもすっごい汚いから、何かあっても別に要らないわ」
ブリスケット 「ところで、さっきから気になってたんすが……」
ランプ 「えぇ、隣の部屋から延々と笑い声が聞こえますね」


ブリスケット 「酒盛りでもしてんすかね?」
三洲次 「そんな声だな」
ロース 「しかも大勢よ」
ランプ 「入ったら絶対に戦闘になりますね。
 どうします?」
サーロイン 「当然入る。
 漏れなく調べるのが、我々の方針だ」
ブリスケット 「多分、宴会の最中でっせ」
サーロイン 「チャンスじゃないか」
ブリスケット 「宴会中を襲って、ええんかい?」
サーロイン 「……………………………………」
ブリスケット 「……………………………………」
サーロイン 「入るぞ」
三洲次 「では、気付かれないように、そ~っと……」
ブリスケット 「少しはツッコんでくれても良くねぇっすか?」


キィィィィ......




ランプ 「見込み通り、ガリアンガード達が酒盛りをしていますね」
三洲次 「けっこう大勢居るなぁ……。
 えぇと、1、2、3、4………全部で13人か……」
サーロイン 「よし!
 一気に襲撃して、流れをこちらに向けるぞ!!」




サーロイン とりゃあああぁぁっ!!!
三洲次 でやあああぁぁっ!!
死ねえええぇぇっっ!!!
ガードA ふぎゃあああぁぁぁっ!!!
ガードB ぬほおおおぉぉっっ!!!
ガードC うわぁああぁっ?!
ガードD なんだ?! なんだっ!?

─── 通常ターン.....


ガードE 「な、なんだぁ……うぃ~?」
ガードF 「いきなり……ひっく……何をしやがる!?」
三洲次 「めっちゃ酔ってるな」
ブリスケット 「流れを作るまでもねぇっすぜ、これ」
ガードG 「や……野郎ども……うぃ!」
ガードH 「こいつらを……ひぃっく……ぶっ殺せっ!!」
サーロイン 「ランプ、ブリ助、呪文でこいつらの動きを止めるんだ!」
ランプ 「これだけ酔ってる相手なら、呪文で止めなくても余裕で勝てませんか?」
サーロイン 「念のためだ」
ブリスケット 「ま、ご指示とあらば……」




ブリスケット 「ありゃ?
 こ奴ら、マニフォが全然効かねぇっすぜ!!」
ランプ 「え?!
 もしや……これはっ!?」
サーロイン 「どうした?」
ランプ 全員ストップっ!!
 ストップです!!
?」
ガード達 「「へ?」」
ランプ 「只今より、調査を開始致します!!」


全員があっけに取られている中、ランプは海賊達の近くまで行くと、酒瓶を1個1個取って中を確認し始めた。

ランプ 「どれどれ……ふむ、この香りは……ラム酒ですね。
 実に海賊らしいお酒です。
 で、こっちは……」
   
サーロイン 「今、戦闘中なんだけど……?」
ロース 「ランプって、時々自分の世界に入って、周りが見えなくなるわよね」
   
ランプ 「これらは全部ラム酒ですね。
 それも、この色合いはダークラムですよ」
   
ガードI 「なんだよ、こいつ?」
ガードJ 「知らねぇよ……ひっく……」
   
ランプ 「カティノやモンティノに耐性のあるお酒とは、
 実はラム酒だったのですか!!」
   
ブリスケット 「今朝、話していた件っすね」
三洲次 「そんなの戦闘が終わってからにしろよ……」
   
ランプ 「こんな簡単に呪文と関係のあるお酒を見つけられるとは、実に予想外でした!!」
   
ガードK 「てめぇの存在が予想外だよ……」
   
ランプ 「いや……でも……ラム酒なら昔からあるから、ラム酒というだけで効果があるのだろうか?
 一般的にラム酒はどれもサトウキビの糖蜜から造るので、効果に差が出るとすれば原料ではなく、
 実は熟成期間が関係しているのでは……?」
   
ガードL 「こいつ、何をほざいんてんだ?」
ガードM 「頭がおかしいんじゃねぇか? ……ひっく」
   
ランプ 「よし!
 これは持って帰って調べることにしましょう!!」
   
ガードC 「あいつ……うぃ~……、俺らの酒を勝手に袋に仕舞いだしたぞ?」
ガードD 「マジでなんだよ、こいつ………」
ガードE 「なぁ、俺らの物を盗りまくってる例の盗賊パーティーって……うぃっく……、
 実はこいつらじゃねぇの?」
ガードF 「そうかも……」
ガードG 「ひっく……おい、おまえらぁっ!!
   
三洲次 「はい?」
   
ガードG 「おまえらが……うぃっ……何とかレンジャーってぇ盗賊パーティーかぁ?」
ガードH 「おまえらって、こんなに堂々と盗っていくの?」
   
三洲次 「そうです」
ロース 「違います」
   
ガードG 「ひっく………なんだって?」
ガードH 「そうだけど、違うそうです」
ガードG 「なに言ってんだ? おまえ?」
ガードH 「いや、俺じゃなくて、あいつらが……」
   
ランプ 「このラム酒の製法を特定し、それを書籍か論文にすれば、一躍有名人間違いなし!
 もし論文にするなら、タイトルは、
 『ダークラムの熟成期間とマニフォによる麻痺への影響の相関に関する研究』
 ですね!」
   
ガードG 「ひっく………なんだって?」
ガードH 「『ダークラムの熟成期間とマニフォによる麻痺への影響の相関に関する研究』」
ガードG 「なに言ってんだ? おまえ?」
ガードH 「いや、俺じゃなくて、あいつが……」
   
ランプ 「さて、論文を書くと決まれば、さらにデータを集めなければなりません!!
 と言うことで、さっそく追加のデータ収集です!!」



ランプ 「ふむふむ………やはりカティノへの耐性も付いてますね。
 とは言え、こちらは効果に差が……。
 これは追加調査をして、もっとデータを集める必要があります」
ブリスケット 「まだやるんすんか……」
ランプ 「それにカティノの件も書くなら、論文のタイトルも変えないと。
 えぇと……」
ロース 「それなら
 『頭のおかしい司教とその人物が取る行動の奇妙さとの相関に関する研究』
 にすれば?」 
ランプ 「何を意味不明なこと言ってるんですか?」
ロース あなたにだけは言われたくないわよっ!!
   
ガードI 「なぁ、あのうるせぇエルフの女……うぃっく……メッチャ美人じゃね?」
ガードL 「いいねぇ……ひっく……、
 姉ちゃ~ん、そんな頭のおかしい男なんて放っておいて、俺らと楽しもうぜぇ~!!」
   
ロース 『うるせぇ』だけ余計よっ!!!
 こっちに来たらぶっ殺すわよっ!!
   
ガードL 「いいじゃねぇかよぉ~……うぃ~」
ガードM 「なぁ、一緒に遊ぼぉぜぇ~!」


ガードたち 「「ひぎゃあああぁぁぁっっ!!!」」
   
サーロイン 「俺も論文を書こうかな」
三洲次 「どんな?」
サーロイン 「『女魔法使いの怒り具合とマハリトが出す火力の相関に関する研究』」
ロース 書いたら真っ先に私のところに持って来なさいっ!!!
 論文が正しいかマハリトで燃やして確認してあげるからっ!!!


まぁ、ともかく、敵の後列はマハリトで一掃し......、



...敵の前列は前衛が順次倒して......、


...問題無く勝利!!


ブリスケット 「あっしもラム酒貰っちゃお!!」
ランプ 「宝箱もありましたよっ!!
 これも頂いちゃいましょう!!」
「ガツガツガツガツガツガツッ!!
 宴会の料理って、うめぇなっ!!」
三洲次 「拾い食いみたいな真似をするなっ!!
 みっともないっ!!」
   
サーロイン 「これが……王の命令で任務を遂行する王家専属の戦闘部隊……?」
ロース 「ベイキ女王が見たら泣くわよ………」





宝箱も問題無く開錠。

「段平が入ってたぜ」


ランプ 「普通の『段平』ですね」
三洲次 「このフロアでは、もう新しい武器は期待できないんだな」



サーロイン 「さて、この部屋はこのぐらいにして、先に進むとしよう」
ブリスケット 「右手に次の扉がありやす」


三洲次 「開けますよ」


ガチャッ...!


サーロイン 「さらに右手に扉」
ロース 「こっちも右へ右へ進んで行くわね」
三洲次 「つまり……」


ガチャッ...!


三洲次 「ここもグルッと1周するだけでしたね」
サーロイン 「じゃ、もう戻ろう」


ガチャッ...!


サーロイン 「そう言えば、途中で二手に分かれていたな」
ランプ 「外周側は一通り見たので、次はあの扉に入ってみましょう」


ガチャッ...!


を通ると、中は左側に扉と...、


...右側に廊下がつづていた。


三洲次 「左手の扉は、なんかやたら汚ないですよ」
ランプ 「あまり良い扱いをしていないエリアってことですね」


ロース 「右手にある廊下は奇麗だわ。
 こっちは普段から使っているようね」
ブリスケット 「あの奥にある扉もかなりキレイでっせ」
サーロイン 「あの距離が見えるのか?
 相変わらず目がいいな」
三洲次 「とりあえず、次はどちらかの扉ですね」
サーロイン 「じゃあ、もう近い方から調べるか」


三洲次 「入りますよ」


ガチャッ...!


中は個室だったが、これまでと違って床一面に土や砂利が散乱し、壁も泥で汚れていた。

ブリスケット 「すげぇ汚ねぇっすな」
ロース 「しかも何か変な臭いがしない?」
三洲次 「これは人間が生活できるような場所じゃないですね」
サーロイン 「海賊達はアナコンダとかの危険な生き物を飼っているようだから、
 この臭いも加味すると、このエリアはそれらを飼ってる場所かもな」
ランプ 「とりあえず先へ進んでみましょう」


ガチャッ...!


ガチャッ...!


中は何重もので仕切られており、奥へ進むほど汚れが酷くなっていった。

そして、これらの扉の奥には......、




...ジャイアントスラグや......、





...アナコンダが閉じ込められていた。


サーロイン 「ふぅ……やはり生き物を飼ってるエリアだったな」
三洲次 「そのせいか、何も無いですね」
ロース 「すっごい臭いし、もう戻らない?」
ブリスケット 「賛成っす」
ランプ 「でも、手ぶらで出るのも癪(しゃく)ですから、
 そうですねぇ……このアナコンダの死体でも持って帰りましょう」
ロース 「止めてよ!! 気持ち悪いっ!!」
サーロイン 「何に使うんだ? そんな死体?」
ランプ 「せっかくラム酒を手に入れたので、ラム酒に入れてヘビ酒でも作ってみようかと」
ブリスケット 「絶対ぇまずいっすぜ、それ」
三洲次 「そもそも蛇酒に入れる蛇って、アナコンダでも良いんだっけ…?」
ランプ 「まぁ、他にも使い道があるかも知れないですし、とりあえず持って行きましょう」
ロース 「ヘビ酒がギリギリ使い道になるレベルなのに、他にどんな使い道があるのよ……?」



サーロイン 「次は、あの奥の扉に入ろう」


ロース 「あら……」


ふと、左手の壁に黒い板が掛かってるのが見えた。

ロース 「黒板があるわよ」
サーロイン 「何が書いてある?」
ロース 「『ガリアンメイジがお届けする本日の職業占い』だって」
ブリスケット 「面白そうじゃねぇっすか、
 見ていきやしょう!」
ロース 「えぇと……、
 『本日のラッキー職業』と、 
 『本日のアンラッキー職業』だって」
三洲次 「じゃ、ラッキーの方から」
ロース 「『本日のラッキー職業』は………『忍者』です!」
Vサイン!
ロース 「『思わぬ拾い物があるでしょう』」
「宴会の料理、うまかったぜ!!」
三洲次 「やっぱり拾い食いだったんじゃねぇか、あれ……」
ランプ 「では、アンラッキーの方は?」
ロース 「『本日のアンラッキー職業』は………『ごめんなさい、司教です』」
ランプ 「えぇ?!
 私ですか!?」
ブリスケット 「ってか、海賊の中にも忍者とか司教ってあるんすか?」
サーロイン 「まだ遭遇していないだけで、ガリアンニンジャとかガリアンビショップとかも居るのかもな」
ランプ 「それで、アンラッキーの内容は?」
ロース 「『嘘をつかれるでしょう』」
ランプ 「えぇ……」
サーロイン 「たかが占いだ、気にするな」
三洲次 「じゃ、一通り見たら、扉の所に行きましょう」
ブリスケット 「しかし、桃っちが当たってたのは面白かったっすな」



三洲次 「あれ?
 この扉、看板が掛かってますね」
サーロイン 「看板…?
 なんて書いてある?」
三洲次 「『光の輝き食堂』ですね」
ブリスケット 「これまた、海賊どもとは縁遠い名前のお店で」
ロース 「お店と言うよりも、ここに住む海賊達に食事やお酒なんかを提供している食堂じゃないの?」
サーロイン 「そんな感じだな」
三洲次 「どっちにせよ、さっきとは正反対に、すごくイイ匂いがしますよ。
 きっと中で食事やお酒を飲んでいる海賊が居ますね」
ランプ 「と言うことは、さっそくチャンスが巡って来たってことですね」
ブリスケット 「何のチャンスか想像は付きやすが……」
ロース 「…変なことはしないでよ」
ランプ 「分かってますって」


ガチャッ...!

ランプ お邪魔致します!!
   
三洲次 「すっげー堂々と入って行きやがった……」
ロース 「絶対分かってないわ……」




部屋の中は、20~30人が飲食できるバルの様な造りの場所だった。
その広い空間には鉄製のテーブルとイスが幾つか並び、奥には石造りで出来たカウンターも見て取れた。

そして今は、テーブルやカウンターで7人ほどのガリアンガードが食事をしながら談笑しているところであった。
だが、パーティーが中に入って行くと、ガード達はお喋りを止め、全員が一斉にパーティーの方を睨みつけた。

ランプ 「お食事中、失礼致します!
 ラム酒と呪文の相関に関する調査をしに参りました!
 皆さま、ご協力のほど、よろしくお願い致します!!」
   
ガード達 「「はあ??」」
   
ブリスケット 「やっぱ……」
三洲次 「全然分かってない……」


ランプは部屋にいる人々の反応など気にせず、近くのガリアンガード2人座っているテーブルまで歩いて行くと、
勝手にテーブルの上にあるグラスを取って物色を始めた。

ランプ 「ふむ……この香り、この色………まさにラム酒ですね。
 ちょうどイイです」
ガードA 「誰だよ、こいつ……?」
ガードB 「知らねぇよ……」
ランプ 「すみません、ちょっとアンケートにお答えいただけますか?」
ガードA 「え?」
ランプ 「まずは『お名前』からお願いします」
ガードA 「なんでてめぇなんかに教えないといけないんだ?」
ランプ 「そこをなんとか……」
ガードA 「やだね」
ランプ 「『ヤダネ』さん……と(カキカキ…)
ガードA 「アホか、おまえ?」
ランプ 「では、次の質問です。
 『ラム酒は何杯飲まれましたか?』」
ガードA 「2杯目の途中でてめぇに邪魔されてるわ」
ランプ 「2杯……と。
 次の質問で最後です。
 『今日、他に飲まれたお酒はありますか?』」
ガードA 「酒なんてしょっちゅう飲んでるから、いちいち覚えてねぇよ」
ランプ 「焼酎と……(カキカキ…)
ガードA 「人の話しちゃんと聞いてるか……?」
ランプ 「ご一緒のこちらの方もアンケートにご協力をお願いします。
 まずは『お名前』を」
ガードB 「人に名前を訊ねるなら、まずは自分から名乗るのが礼儀ってもんだろ?」
ランプ 「それもそうですね。
 私は司教のランプと申します」
ガードB 「じゃ、俺もランプだ」
ランプ 「同じ名前とは奇遇ですねぇ!」
ガードB 「おまえ、バカか?」
ランプ 「『ラム酒は何杯飲まれましたか?』」
ガードB 「じゃ、100杯」
ランプ 「100杯も?!
 ザルですねぇ!!」
ガードB 「ザルなのは、てめぇの調べ方だ」
   
三洲次 「めっちゃ……」
ブリスケット 「嘘を付かれてますな……」
   
ランプ 「最後の質問です。
 『今日、他に飲まれたお酒はありますか?』」
ガードB 「てめぇのアホな空気」
ランプ 「アンケートは以上になります」
ガードB 「今のでいいのかよ……」
ガードA 「終わったんなら、とっととどっかに行け」
ランプ 「あ、お待ち下さい。
 アンケートにご協力頂いた方には粗品を提供しておりまして」
ガードB 「粗品?」
ランプ 「こちらのアナコンダの死体を是非ヘビ酒に」
ガードA いらねぇよ!!
ガードB なんだよ、その使い道の狭い粗品は!?
   
ブリスケット 「あんな使い道があるんすね」
三洲次 「無いと思う」
   
ランプ 「では、さっそく実験を開始しましょう!!」
ガードA 「は?」
ガードB 「実験?」



ランプ 「ふむ、やはりカティノの効果は限定的ですね」
ロース 「なんで私があなたのアホな実験に付き合わないといけないのよ」
ランプ 「カティノが効かなかったのは……あぁ、あちらの100杯飲まれた方だ。
 えぇと……カティノへの耐性を付けるには、ラム酒を100杯飲まないといけない…と(カキカキ…)
三洲次 「その論文、審査で絶対に落ちると思う」


まぁ、そんなこんなで......



...この部屋にいるガリアンガードを1人ずつ倒していき......、



...あっさりと勝利!!



ロース 「ねぇ!!
 カウンターの裏に宝箱があったわよ!!」
三洲次 「なんでそんな所に……」
ブリスケット 「退避している宝箱を、あちこちに仕舞い込んでるんじゃねぇっすか?」
三洲次 「仕舞う場所がテキトー過ぎだろ……」


「これは毒針だな」
サーロイン 「じゃ、毒針で解除してくれ」



三洲次 「~~…っ!!(怒)」



「いててててっ!!」


ブリスケット 「薬が入ってやしたぜ」
サーロイン 「何の薬だ?」
ロース 「いてっ!いてっ!!」


ランプ 「『毒消し』です」
三洲次 「これまた、おあつらえ向きな……」
「いちちち…っ!!」
サーロイン 「さっそく使わせてもらうか」
ランプ 「その前に針を抜きましょう」



「ふひぃ~……」
ランプ 「これで大丈夫です」
   
??? 「おい、酒場の方で叫び声がしたぞ!!」
   
ロース 「…あら?」


桃の治療が終わって、キャンプを閉じた途端......、

ドタドタドタドタドタドタドタ…ッ!!


...新たな敵が部屋の中に突入してきた!!


ガードA 「誰だ、おまえらはっ?!」
ガードB 「名を名乗れっ!!」
サーロイン 「こいつらは……」
三洲次 「新しい……」
ランプ 「データです!!」


ランプ 「戦闘中、すいません!
 アンケートにお答えください!」
ガード達 「「は??」」
三洲次 「そういう自分も戦闘中だろ……」
ランプ 「まずは『お名前』からお願いします」
ガードA 「それを聞いてんのは、こっちだっ!!」
ランプ 「え?
 あなた方もラム酒と呪文の相関に関するアンケートを取られているのですか?」
ガードB 「なんだ、そりゃ?!」
ガードC 「てめぇ、酔ってんだろ!!」
ガードD 「どんだけ酒を飲んだら、そうなるんだ?!」
ランプ 「いえ、今日はラム酒は1杯も飲んでいません」
ガードE 「別にラム酒限定で聞いてねぇよ!!」
ランプ 「『ラム酒を何杯飲まれましたか?』って質問なのでは?」
ガードA 「んな訳ねぇだろっ!!」
   
三洲次 「ランプ、自分の世界に入り過ぎだろ……」
ロース 「あそこまでいくと病気ね……」
   
ガードB 「他にも酒はあるだろっ!!
 もう一度聞く!!
 何をどんだけ飲んできたんだっ?!」
ランプ 「あぁ、『今日、他に飲まれたお酒はありますか?』って質問ですね」
ガードC 「確かにそういう意味だけど、丁寧に言い換える意味が分からねぇよっ!!」
ランプ 「特に無いです」
ガードD シラフでそれかよっ!!
ランプ 「で、質問にお答えした粗品は何でしょう?」
ガードE 「なんでてめぇに粗品をやらねぇといけねぇんだあぁっっ!!!」
ランプ 「なにを言うんです!
 アンケートに答えた方へ粗品を提供するのは礼儀でしょうが!」
ガードA 「アンケートってなんだよっ?!」
ガードB 「もう意味が分かんねぇよっ!!!」
ランプ 「じゃあ、私の方の粗品を見せてあげます」
ガードC 「はあ…?」
ランプ 「こちらのアナコンダの死体を…」
ガードD おまえの粗品の定義ってどうなってんだっ?!
ガードE むしろ無礼だろっ!!
   
サーロイン 「って言うか、あれって……」
ブリスケット 「ただのゴミですぜ………」
   
ランプ 「会話にならないので、もうアンケート無しで調査を開始しましょう」
三洲次 「会話が成り立っていない原因が自分だって気付いてないの……?」



ランプ 「全員寝ちゃいました。
 みんなシラフで来たのですね」
ブリスケット 「ま、普通はそうっすけどね」
サーロイン 「ランプ、もう満足か?」
ランプ 「はい、データは取れたので十分です」
サーロイン 「では、消えてもらおう!!」


!!!
サーロイン (;TT) ………………………………


まぁ、そんなこんなで、今回も......、




...あっさりと勝利!!

「そんなこんなで」って、便利な言葉だよな。

サーロイン 「そんなこんなで、完勝だな!!」
三洲次 「その接続詞の使い方、合ってます……?」
ロース 「ねぇ、ロイン、カティノの残り回数が心許なくなってきたわ」
ブリスケット 「今日は大量に使ってやしたからね……」
サーロイン 「じゃあ、今日はここまでにするか」


と、いう訳で......、


...今回はここで帰路へとつきました。

いや、長かったな。






ランプ 「このアナコンダの死体も持って……」





ランプ 「是非アンケートに……」








 

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名前 LV H.P. コメント
サーロイン 6 47 18 18 18 16 18 16 0 1 やっと力が最高の18に到達。今後の攻撃は安心かな?
三洲次 6 50 18 18 18 18 18 16 0 1 レベルアップは能力低下が無かっただけ良かったのか。
5 33 18 16 18 18 16 18 0 0 相変わらず忍者はレベルアップが遅い。
ロース 6 33 17 18 18 18 18 12 0 0 マハリトの回数が遠出をするにはまだ若干不安である。
ランプ 6 22 13 18 18 13 18 17 0 0 頼むから生命力を上げてくれ!!マジで!!
ブリスケット 6 51 18 18 16 18 18 15 0 0 パーティー最大のH.P.を維持しているのはさすがである。

アイテム入手: 9/109


【更新履歴】
2024年11月16日:次ページへのリンクを設定しました。
2024年11月 3日:食堂の名前が未記入でしたので、訂正をしました。ステータス欄の桃のコメントにあった誤字を訂正しました。
2024年11月 2日:本公開。