33.悪銭身に付かず
【登場人物】 | |
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トライチップ | 悪パーティーのリーダーを務める悪徳神官。 |
テール | 金の為にはあらゆる悪事を躊躇わない悪徳司教。 |
心々 | 人々を護ることを志す用心棒チームのリーダー。 |
沙賀里 | 用心棒チームの1人。心々の幼馴染の変な巫女。 |
羅無市 | 用心棒チームの1人。剣の道に生きる男。 |
ネック | 冒険に巻き込まれた気弱な呪文マニアのエルフ。 |
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━━━━ ギルガメッシュの酒場
店の片隅で...
テール | 「ご神官様、新しい悪事を考えて参りました」 |
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トライチップ | 「今度は大丈夫なんだろうな?」 |
テール | 「はい。 前回の失敗を反省して、今回は現実的な悪事にしております」 |
トライチップ | 「ほぉ……珍しく殊勝な態度だな。 それなら大丈夫そうだ。 ちなみに、どんな反省を?」 |
テール | 「我らは数々の悪事に手を染めているとは言え、まだまだレベル1のヒヨッコ。 にも関わらず、前回は『地上げ』などと言う難易度の高い悪事をしようとしました」 |
トライチップ | 「うん、おまえのせいでな」 |
テール | 「しかし、スキルも実力も不足していたので、失敗して当たり前だったのです」 |
トライチップ | 「そういう問題じゃなかったよね?!」 |
テール | 「世の中には順序というものがあります。 小さな悪事から実績を積み重ね、少しずつスキルアップして、それから大きな悪事に取り組むべきなのです」 |
トライチップ | 「まぁ、その考え方自体は悪くないと思うぞ」 |
テール | 「ですので、今回は身の丈に合った悪事を考えてまいりました」 |
トライチップ | 「なるほど。 して、その身の丈にあった悪事とは?」 |
テール | 「『カツアゲ』です」 |
トライチップ | 「しょぼっ!!」 |
テール | 「やはり我らはまだまだ小物。 小物は小物らしい悪事をするべきかと」 |
トライチップ | 「悪事のレベルの落差が大き過ぎて、耳鳴りがしてくるな……」 |
テール | 「大丈夫ですか? 耳鼻科に行かれますか?」 |
トライチップ | 「バカ!! モノの喩えだと言ってるだろ!!」 |
テール | 「これは失礼を」 |
トライチップ | 「ってか、そもそもカツアゲは悪事じゃなくて、ただの軽犯罪だろ!!」 |
テール | 「何を仰られます!! 悪事と犯罪は紙一重の関係!!」 |
トライチップ | 「表現おかしくね?」 |
テール | 「悪事とはほぼ犯罪であり、犯罪とはほぼ悪事なのです!!」 |
トライチップ | 「何言ってんの……?」 |
テール | 「ゆえに犯罪ならば、それはもはや悪事と同義なのです!!!」 |
トライチップ | 「無理やり悪事にしようとしてない?」 |
テール | 「ご神官様はカツアゲの神髄を知らぬから、その様な発言をなさるのです!!」 |
トライチップ | 「神髄って何?」 |
テール | 「よろしいですか、ご神官様? カツアゲには悪事の基礎が全て詰まっております」 |
トライチップ | 「どこら辺に?」 |
テール | 「ご説明致しましょう。 まず、カツアゲをする場合、相手にナメられてはいけません。 ですので、 相手を威圧する態度、 相手を委縮させる睨み、 相手を震え上がらせる声、 そして相手を意のままに操る話術……、 ……これらが求められます。 これらはどの様な悪事においても求められるスキルなのです」 |
トライチップ | 「そうかなぁ…?」 |
テール | 「よってカツアゲを通して、悪事の基礎を習得することが出来るのです! これこそが、カツアゲが『トレーニング・オブ・悪事』と言われてる所以でもあるのです!!」 |
トライチップ | 「『トレーニング・オブ・悪事』って、今、初めて誕生した言葉だと思う」 |
テール | 「カツアゲが如何に重要な悪事か、ご理解いただけましたか?」 |
トライチップ | 「全然」 |
テール | 「そうですか。 まぁ、百聞は一見に如かず。 実践してみれば分かります。 と、言う訳で、さっそく迷宮に…」 |
トライチップ | 「やだ」 |
テール | 「え?」 |
トライチップ | 「カツアゲなんてショボ過ぎる。 それにそんな悪事、すぐにバレて、オヤジに叱られて終わるのが関の山だ」 |
テール | 「そこは心配ご無用です。 このテールに抜かりはございません」 |
トライチップ | 「これまで全部抜かってるけど?」 |
テール | 「ちゃんと対策を考えてあります。 悪事がバレることは絶対にあり得ません」 |
トライチップ | 「そうなの? どんな対策するの?」 |
テール | 「死人に口無し、相手を殺すのです」 |
トライチップ | 「いきなり悪事のレベルを爆上げしないでくれるっ?! しかも金品を奪って殺すって、以前やった『辻斬り』と大して変わらないじゃん!?」 |
テール | 「何を仰られますか?! 全然違うではありませんかっ!!」 |
トライチップ | 「どこがだよ?! 説明してみせろよ!!」 |
テール | 「よろしいですか? 辻斬りは、まず相手を殺し、その後に死体から金品を奪います。 今回のカツアゲはまず金品を奪い、それから口封じで相手を殺すのです。 順序が違います」 |
トライチップ | 「そういう問題?!」 |
テール | 「ご神官様、『結果より過程が大切』です」 |
トライチップ | 「その言葉の使いどころって合ってる?!」 |
テール | 「まぁまぁ、相手を殺すのはほんのおまけですので…」 |
トライチップ | 「おまけの方が明らかに重いんだけど?! ってか、バレたら縛り首だよ?! それならオヤジに怒られた方が何百倍もマシだわ!!」 |
テール | 「な~に、抵抗したから殺したと言えば、正当防衛になりますって」 |
トライチップ | 「どう考えても正当防衛は相手の方だろ?! カツアゲしなけりゃいいじゃん!! そうすりゃ相手は抵抗しないんだからっ!!」 |
テール | 「なんか話しがおかしくなってきてませんか?」 |
トライチップ | 「なってねぇよっっ!! わしが何か間違ってるとでも!?」 |
テール | 「あのですねぇ、そもそも悪事で金を稼ぎたいと言い出したのは、ご神官様ですよ?」 |
トライチップ | 「え……? いや……まぁ、そうだけど………」 |
テール | 「カツアゲでしたら、基礎的なスキルだけで金を稼げますので」 |
トライチップ | 「なんか……うまく言いくるめられてる気がする………」 |
テール | 「ともかく、今回はカツアゲで一財産稼ぎましょう」 |
トライチップ | 「カツアゲだけで一財産築いたら、それはそれでスゴイけどさ……」 |
テール | 「では、さっそく迷宮へ出発ですぞ」 |
トライチップ | 「迷宮内にカツアゲする相手なんているか? 海賊ぐらいしかいないだろ?」 |
テール | 「何を仰っているのです。 昆布やらアナコンダやら、いっぱいいるではありませんか?」 |
トライチップ | 「おまえ、カツアゲが何か、分かってる……?」 |
【目次】
リンクは公開範囲まで
2.宝箱を出しな
3.飛んでみな
4.跳んでみな
5.むしろ金が出ていく
1.金を出しな
━━━━ 迷宮 入り口......

心々 | 「今度は何をしに行くんだ?」 |
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テール | 「『カツアゲ』でございます」 |
心々 | 「しょぼ………」 |
テール | 「毎回ご神官様と同じ反応でございますなぁ」 |
トライチップ | 「だから、それが普通なんだって」 |
心々 | 「いい歳してカツアゲって、情けなくねぇか?」 |
テール | 「何を仰います! カツアゲは悪事の基礎!! カツアゲを知らずして悪事を知ること無し!!」 |
トライチップ | 「テキトーな格言をデッチ上げるの好きだよな」 |
テール | 「この迷宮で片っ端からカツアゲをして、大金をせしめるのです」 |
心々 | 「迷宮の1階って、海賊ぐらいしかいねぇけど? あいつらがカツアゲに応じる訳ねぇだろ」 |
テール | 「なぁ~に、命がかかっていると分かれば、素直に金を差し出しましょう」 |
心々 | 「命がかかってる……って、誰が脅かすんだ?」 |
テール | 「もちろん心々たちでございます」 |
心々 | 「うちらはボディガードだぜ? ボディガードの仕事を何だと思ってんだ?」 |
トライチップ | 「至極真っ当な反論だ」 |
テール | 「雇い主の指示に従い、相手を脅すのも用心棒の仕事では?」 |
心々 | 「ギャングの下っ端とゴッチャになってねぇか?」 |
テール | 「まぁまぁ、本当に斬り付けたりする必要はございません。 刃物をチラつかせるだけで十分でございますから」 |
心々 | 「じゃぁ、相手が金を出したら、そのまま逃がしていいんだな?」 |
テール | 「金を出した後は、口封じのために殺して下さい」 |
心々 | 「意味が分かんね」 |
トライチップ | 「わしもそう思う」 |
心々 | 「それだと以前やった辻斬りと変わらねぇし」 |
トライチップ | 「わしもそう思う」 |
心々 | 「ってか、うちらの仕事を何だと思ってんだ?」 |
トライチップ | 「わしもそう思う」 |
テール | 「さっきから、ご神官様はどちらの味方でございますか?」 |
トライチップ | 「どっちでもなく、ただ思ったままを口にしているだけだ」 |
心々 | 「まぁ、海賊どもなら、喜んでぶっ倒すけどな」 |
トライチップ | 「いきなり異論派をわし1人だけにしないでくれる?」 |
テール | 「では、話しもまとまったところで、出発でございますぞ」 |
トライチップ | 「出発前って、いつもわしだけ孤立するのは、気のせい……?」 |
━━━━ バラック......

トライチップ | 「結局、今回もバラックかよ」 |
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心々 | 「ここが入り口に近く、しかも海賊どもに遭いやすいからな」 |

心々 | 「じゃ、また部屋を1つ1つ回って行くか」 |
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トライチップ | 「なぁ、テールや?」 |
テール | 「はい?」 |
トライチップ | 「これって『カツアゲ』じゃなくて、やっぱり『押し込み強盗』って言わない?」 |
テール | 「前回の地上げで、ここら辺の部屋は誰のモノでもなく、国の所有地と分かりました。 いわば公道と同じございます」 |
トライチップ | 「同じ……か?」 |
テール | 「公道ですので、『押し込み強盗』とは違うのでございます」 |
トライチップ | 「なんか腑に落ちないけど……まぁ、一旦分かったよ」 |
テール | 「では、さっそく入りましょう」 |

ガチャッ...! ← 扉を開けた音


海賊A | 「む?! 誰だ!?」 |
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海賊B | 「え…?」 |
テール | 「さっそくカモを見つけましたぞ」 |
トライチップ | 「マジでやるの?」 |
テール | 「まぁ、ここはこのテールめにお任せを」 |
海賊C | 「なんだ、てめぇら?!」 |
テール | 「よぉよぉ、兄ちゃんたち、いいところで会ったな」 |
海賊D | 「は…?」 |
テール | 「なぁなぁ、金を持ってねぇかなぁ?」 |
海賊E | 「はあ??」 |
テール | 「ちょっとでいいからよぉ~、金を貸してほしんだけどよぉ~」 |
海賊A | 「なんだ、てめぇ?」 |
海賊B | 「ふざけたこと言ってんじゃねぇよ」 |
テール | 「いいから早く財布ごと寄越しなって!」 |
海賊C | 「なんだ? こいつ…?」 |
海賊D | 「頭がおかしいんじゃねぇのか?」 |
心々 | 「まともに取り合ってもらえてねぇんだけど……?」 |
トライチップ | 「あれのどこに悪事の基礎が詰まってるんだ……?」 |
海賊E | 「うぜぇから、どっか行きなっ!!」 |
テール | 「おいおい、そんなこと言っていいのかなぁ~?」 |
海賊A | 「あ?」 |
テール | 「素直に金を出さねぇと、イタイ目を見ることになるぞ」 |
海賊B | 「はぁ…?」 |
海賊C | 「いつまでもふざてると、てめぇの方こそイタイ目を見るぞ!」 |
テール | 「後悔しても、後の祭りだぜ?」 |
海賊D | 「いいから早くどっか行けって!!」 |
海賊E | 「しっ、しっ!」 |
心々 | 「全然相手にされなかったな……」 |
トライチップ | 「そして、何の成果も出さずに戻って来やがった」 |
テール | 「まったくもって聞き分けの悪い奴らですな」 |
トライチップ | 「悪事の基礎はどうした?」 |
テール | 「とは言え、ここまでは計算内」 |
トライチップ | 「どんな計算だよ……」 |
テール | 「カツアゲというのは、拒否されてからが本番でございます」 |
トライチップ | 「もうエンディングにしない?」 |
テール | 「この状態から如何に金を巻き上げるか……そこが腕の見せ所なのです」 |
トライチップ | 「おまえにそんな腕あるの?」 |
テール | 「それでは、心々、あいつらを痛めつけてやって下さい」 |
トライチップ | 「まさかの他人任せ」 |
心々 | 「仕方ねぇなぁ……」 |
トライチップ | 「仕方ないか…?」 |

海賊A | 「うごぉっ!!」 |
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海賊たち | 「「え…?」」 |
心々 | 「へっ…!」 |
テール | 「素直に金を出さないとイタイ目を見ると言っただろ?」 |
海賊B | 「こいつらふざけやがって!!」 |
海賊C | 「殺っちめぇっ!!!」 |

心々 | 「ふぎぃっ!!」 |
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テール | 「ひいぃぃっ!!?」 |

羅無市 | 「むっ…!?(ばっ!)」 |
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羅無市 | 「くっ…!?」 |
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羅無市 | 「無名流…………裏・扇風斬りっっ!!」 |
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海賊B | 「ぐほわあああぁぁっ!!」 |
ネック | 「ひいいいぃぃぃっ…?!」 |

沙賀里 | 「おほほほほほほほっ!!(ドガッ!)」 |
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海賊C | 「ぐほわあああぁぁっ!!」 |
ネック | ((\(>皿<;)/)) ワタワタ…「ひぃぃぃ…!」 |
沙賀里 | 「素直に金タ○を出さないと、イタイ目を見るわよぉ~~!」 |
海賊たち | 「「な、なんだ、こいつ…?!」」 |
トライチップ | 「なぁ、テールや?」 |
テール | 「はい?」 |
トライチップ | 「カツアゲって、こういうものだっけ……?」 |
テール | 「ちょっとイメージしていたのと違いますな」 |
トライチップ | 「これ、ただの乱闘になってない……?」 |
テール | 「なってますな」 |
トライチップ | 「なんで他人事なんだよ……?」 |
ネック | ((\(;>O<)/)) ワタワタワタワタ… |
トライチップ | 「わたわたしていないで、早くカティノ(催眠呪文)で場を鎮めてくれないかな?」 |

最後の最後にやっとカティノが飛ぶ。
珍しく遅かったな。
─── 2ターン目

海賊A | 「うぅぅ……っ」 |
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海賊D | 「むぅぅ……っ」 |
トライチップ | 「もう2人も起きてきたぞ……」 |
テール | 「では、またカティノで眠らせるだけですな」 |
トライチップ | 「カツアゲってそういうのだっけ?」 |
テール | 「その方が口封じがしやすいですので。 では、ネック、頼みますぞ」 |
ネック | 「カティノ!カティノ?!カティノっ!?カティノ!!(わたわた…)」 |

トライチップ | 「ネックがテンパってて、全然ダメなんだけど……?」 |
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海賊A | 「く……くそっ!! 引き揚げろっ!!」 |
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海賊D | 「て、てめぇらっ!! 覚えてろよっ!!」 |
トライチップ | 「しかも逃げ出しちゃった……」 |
テール | 「これがカツアゲの神髄でございます」 |
トライチップ | 「どこが…?」 |
テール | 「あれだけ強がっていた奴らが、運んでいた宝箱を置いて逃げましたからな」 |
トライチップ | 「おまえ……物事を前向きに捉え過ぎだろ………」 |
心々 | 「ちっ! 逃すかってんだっ!!」 |

心々 | 「ありゃ…?」 |
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トライチップ | 「完全に相手を逃しちゃってるよ……」 |
テール | 「ま、品物は頂いたので、あんな奴らにもう用はありません」 |
トライチップ | 「口封じはどこ行った……?」 |
─── 3ターン目

テール | 「先生、もう片付けてしまって下さい」 |
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羅無市 | 「寝ている者を襲うなど、悪党のやること………」 |
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トライチップ | 「それはもういいってっ!!!」 |
テール | 「カツアゲしている時点で、我らは立派な悪党でございますぞ?」 |
トライチップ | 「悪党と言うよりただのチンケな不良だわっ!!!」 |
心々 | 「ま、あいつはうちが片付けてやる」 |
テール | 「頼みますぞ」 |
心々 | 「海賊達には払っても払いきれねぇほどの借りがあるからなっ!!」 |

海賊E | 「ふぎゃあああぁぁっっ!!」 |
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心々 | 「正義は勝つ!!!」 |
トライチップ | 「正義だってよ?」 |
テール | 「海賊を退治する正義のパーティーとは仮の姿、 その正体はカツアゲで小銭を稼ぐ小悪党の集団……」 |
トライチップ | 「フツー逆だろっ!!!」 |

ま、勝利です。

テール | 「さて、カツアゲで手に入れたお宝を頂いてしまいましょう」 |
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トライチップ | 「カツアゲじゃなくて、先生たちの活躍のおかげだと思う」 |
テール | 「心々、頼みますぞ?」 |
心々 | 「うぃ~す」 |

心々 | 「ふ~~ん……毒針が仕掛けてあるな」 |
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沙賀里 | 「毒針……?」 |
トライチップ | 「何、それ?」 |
心々 | 「うかつに開けると、開けた者に毒が塗られた針が飛んで来るんだ」 |
沙賀里 | 「その毒は媚薬ですか?」 |
心々 | 「全然違うっ!!」 |
トライチップ | 「針は開けた人だけに……?」 |
心々 | 「あぁ」 |
トライチップ | 「じゃ、今回は安心して見てられるな」 |
沙賀里 | 「ここで応援しておりますわ!」 |
心々 | 「まぁ、判定が間違ってて、爆弾だったりするかも知れねぇけど」 |
トライチップ | 「頑張れー!」 |
沙賀里 | 「信じてますわよー!」 |
心々 | 「逃げ足早いなぁっ!? ってか、信じてる人間の取る距離じゃねぇだろっ!!」 |


心々 | 「む~~………(カチャカチャ…)」 |
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トライチップ | 「…………………………………………」 |
沙賀里 | 「…………………………………………」 |
心々 | 「うぉっと…!」 |
トライチップ | ビクゥ…! |

トライチップ | 「どうしたんだー!?」 |
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心々 | 「罠を外し損ねただけだ、心配すんな」 |
まぁ、これが出たってことは、罠は「毒針」で合っているってことだ。
さぁ、2連続での成功を目指して頑張ろう!!


心々 | 「よっしゃぁっ!!」 |
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お見事!!
2連続で罠の解除に成功!!!
最初の頃がボロボロだったから、ビクビクだったよ。

心々 | 「さてと、中身は……」 |
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トライチップ | 「えぇと……(ごそごそ…)」 |
沙賀里 | 「まぁ……わたしが取ろうとしましたのに……」 |
心々 | 「おめぇら、いつの間に戻って来た?!」 |
トライチップ | 「お! なんか武器が入っているぞ。 おい、テール、鑑定してくれ」 |
テール | 「お任せ下さい」 |

テール | 「ふむ……見た目は脱穀用の農具の様ですな……。 長いこん棒の先端に、鉄製の棒がぶら下がっております。 つまり、これは……」 |
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テール | 「…フレイルでございます」 |
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トライチップ | 「強いのか?」 |
テール | 「僧侶や司教向けの武器で、メイスよりも若干ですが強いです。 ただ、振り回して使う分、打撃力に安定性が無く、メイスよりもダメージが不安定でございます」 (※) フレイルの方が最大ダメージは1大きいが、ダメージの振れ幅がメイスよりも2大きい。 |
トライチップ | 「つまり長所短所があるってことか……」 |
テール | 「ちなみに、ボルタックでの買取価格は150G.P.でございます」 |
トライチップ | 「お、なかなか高値で売れるではないか」 |
テール | 「今使っているメイスと戦力的に大差が無いのでしたら、 売って資金にする方が良いかと存じます」 |
トライチップ | 「そうか。 じゃ、それは売って、金にしよう」 |
テール | 「かしこまりました」 |
トライチップ | 「150G.P.は、今の我々には大金だしな」 |
テール | 「如何にカツアゲが稼げる悪事か、これでご理解頂けましたでしょうか?」 |
トライチップ | 「カツアゲは全然効果無かった気がするけど…?」 |

ま、戦利品を手に、町へと帰還しましょう。

━━━━ ボルタック商店

けっこうイイ値段で売却。
まぁ、でも、前衛の沙賀里(僧侶)に装備させた方が良かったのかも知れないけどさ。
今さらだが......。
━━━━ 冒険者の宿......
さて、前回の心々、先生のレベルアップにつづき、
今回は僧侶の2人がレベルアップしました!!
─── 沙賀里(僧侶)

おぉっ!!!
続々と能力がアップし......ちょっと待てっ!!!
一番肝心な信仰心だけ下がってるじゃないかっ!!!
さすがエセ巫女!!!

呪文はカルキ(パーティーのACダウン)とミルワ(短時間の照明)を習得!!
どちらもほぼ使わないが、2つも覚えたことで、
ディオス(治癒呪文)の使用回数が+2回増えたことが大きい。
─── トライチップ(僧侶)

一瞬全能力アップかと思ったが、運の強さだけダウンしていた。
とは言え、悪くはないレベルアップであろう。
さすが一応リーダーである。

呪文はバディオス(攻撃呪文)を習得。
まぁ、今はディオスが生死を別ける重要な呪文なので、
バディオスを使う余裕はまだ無いけどね。

相変わらずトライチップがパーティー最大のH.P.をキープ。
さすが武闘派の僧侶である。
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つづきは2025年6月14日(土)公開予定。
【更新履歴】
2025年 6月 7日:第1節まで公開。