22.もう1つの訓練所

【登場人物】  
サーロイン ロイヤルレンジャーズのリーダー。サーは敬称。
三洲次 元盗賊だった日本男児の侍。発音は「みすじ」。
接近戦最強のくノ一。でも細かい事は大嫌い。
ロース こんな名前だが細身で美人なエルフの女魔法使い。
ランプ 財宝一筋なエルフの司教。パーティーの知恵袋。
ブリスケット 日本オタクのエルフの僧侶。あだ名は「ブリ助」。

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━━━━ ギルガメッシュの酒場
     早朝.....

いつも早起きなランプブリスケットの2人が、テーブルに座って会話をしていた。

ブリスケット 「多分『さいとう ひでろう』っすね」
ランプ 「へぇ~、そう発音するんですか」


そこへ、ロースが入って来た。

ロース 「おはよう。
 何をやってるの?」
ランプ 「おはようございます。
 これです」
ロース 「何、この紙?」


ランプは手に持っていたメモ用紙をロースに渡した。
その紙には日本語で......、

 『斎藤 英郎』

...と書かれていた。

ロース 「なに、これ?」
ランプ 「日本人の名前だとか」
ロース 「日本人の?
 誰の名前なの?」
ブリスケット 「海賊どもの剣術の先生らしいっす」
ロース 「海賊の!?
 それも日本人が?!」
ランプ 「えぇ」
ロース 「へぇ~~……、
 それで、これって日本の文字なの?」
ブリスケット 「そうっす」
ロース 「なんて読むの?」
ブリスケット 「多分『さいとう ひでろう』っす」
ロース 「多分?」
ブリスケット 「日本の文字は読み方が複数あるんで、正しいか判断出来ねぇんで」
ロース 「そうなの?」
ブリスケット 「えぇ。
 例えば『大』は『だい』とか『おおきい』、『小』だと『しょう』とか『ちいさい』とか、
 …まぁ、そんな感じで読み方が複数あるんす」
ロース 「ふ~~ん」
ブリスケット 「じゃ、1つクイズを出してあげやしょう。
 『豆』という字は『まめ』とか『ず』って読みやす。
 なので、例えば『大豆』は『大』と『豆』で『だいず』っす」
ロース 「なるほど」
ブリスケット 「では『小豆』は?」
ロース 「『大豆』が『だいず』だから……それは『しょうず』ね!」
ブリスケット 「『あずき』」
ロース 「なんでよっ?!」
ブリスケット 「では『小豆』島は?」
ロース 「当然『あずき』島!」
ブリスケット 「『しょうど』島」
ロース 「どうしてよっ!?」
ブリスケット 「どうしてって言われても困りやすが、そう読むもんなんす」
ロース 「意味が分からないわ……」
ブリスケット 「ま、それぐらい色々な読み方があるんで、
 初めて見る単語ってぇのは、読み方が分からねぇケースもあるって訳で」
ロース 「だから多分と言ったのね」


そこへ、今度はサーロインがやって来た。

サーロイン 「おはよう。
 何をやってるんだ?」
ロース 「あら、おはよう。
 ランプが海賊達の剣術の先生の名前を見つけだしたらしいわよ」
サーロイン 「海賊達の剣術の先生?
 この紙か?
 なんて読むんだ?」
ブリスケット 「多分『さいとう ひでろう』っす」
サーロイン 「どこで見つけてきたんだ?」
ランプ 「昨晩、酒場で別のパーティーの人がくれました。
 その人も別のパーティーから貰っただけだそうですが……」
サーロイン 「読み方は教えてくれなかったのか?」
ランプ 「えぇ、その人たちは日本語なんて読めないそうで」
サーロイン 「そうなんだ」
ロース 「でも、なんで海賊の剣術の先生が日本人なのかしら?」
ランプ 「海賊たちって、時々この街の人間をスカウトしているじゃないですか?」
ロース 「そう言えば、訓練所を出た人達とか勧誘していたわね」
ランプ 「その一環で、日本人街に住んでいる剣術の達人を師範として招いたそうです」
サーロイン 「日本人街なんてあったのか?」
ランプ 「えぇ、中心街からは少し離れていますけど。
 で、リルガミンらしいと言いますか、そこでは剣術の道場が流行っているそうです」
ブリスケット 「マジっすか?!
 どんな流派があるんすか?」
ランプ 「例えば、稲妻がシンボルマークの『威穏伝流(イオンでん流)』とか、
 速攻が売りの『慈恵斗鬼流(じぇっとき流)』とか、
 黒猫がシンボルマークの『大和仏流(やまとぶつ流)』とか…」
ロース 「微妙な名前ばかりね……」
ランプ 「実戦向きに特化した『無名流』なんてのもあるそうです。
 ただ、素質が無いと入門すらできないらしく、使い手は限られているそうですが」
ブリスケット 「それだけ妙にカッコイイっすな……」


最後の1つだけマトモですが、これは悪のパーティー再登場予定です。

サーロイン 「で、その海賊どもの先生はなんて流派なんだ?」
ランプ 「さぁ、そこまでは聞いてなかったです」
ロース 「でも、これまでの海賊達の剣の腕を見ていると、どうせ大した先生じゃないわよ」
ブリスケット 「噛み付き方とか教えてんじゃねぇっすか?」
ランプ 「それ、ワードナの迷宮にいたマイナーダイミョウですよ」
   
「うぃ~す………」
三洲次 「おはよぉ~……」
   
ブリスケット 「『とう』嬢と『さんしゅうつぎ』殿のご登場っす」
   
「…ふぁ?」
三洲次 「…へ? なんの話し?」


……………………

…………

三洲次 「ふ~ん、海賊たちの剣術の先生ねぇ……」
ロース 「この名前、三洲次だったらなんて読む?」
   
  『斎藤 英郎』
   
三洲次 『斎藤』は『さいとう』で間違いないとして、
 ……後ろは『ひでろう』かな?」
ロース 「あら、ブリ助と同じね」
ブリスケット 「でっしゃろ?」
三洲次 「ま、どこかで会ったら、本人に聞けばいいんじゃないですか?」
ロース 「海賊の関係者って、あんまり会いたくないんだけど……」
ブリスケット 「確かに。
 どうせロクでもねぇ奴っすよ」
サーロイン 「ま、その先生の話しはそれぐらいにして、今日の計画を検討しようじゃないか」
ランプ 「そうですね」
サーロイン 「それで、前回の探索でマップはどこまで埋まった?」
三洲次 「今、出しますね」




サーロイン 「右下のエリアは完全に踏破したな」
ロース 「冒険を始めて結構経つけど、まだ1階の半分も埋まっていないのね」
ブリスケット 「こいつぁ長期戦ですぜ」
ランプ 「残るは、右上の広いエリアと、左側の中央付近ですね」
三洲次 「次はどこを探索しますか?」
サーロイン 「そうだな………東へ7、北へ12のところが途中だから、
 ここの調査を再開するのはどうだろう?」
ロース 「以前レベル1の時に行ったけど、奥深くまで行きそうだったから引き返した場所ね」
三洲次 「桃がそのエリアに大勢の人が居ると言っていたのも、引き返した理由でした」


(参考) 第8話「開かない、行かない、進めない

ブリスケット 「そういや、あそこの通路、今でも人が往来している感じでしたぜ。
 何に使ってる場所なんすかね?」
ランプ 「海賊たちの訓練所らしいです」
ブリスケット 「へ?」
ランプ 「昨晩ちょうど、そのエリアの話しを他の冒険パーティーから聞いたところです。
 で、さっきの紙も、その時に貰いました」
サーロイン 「そうだったのか。
 丁度いい。
 海賊達なら簡単に蹴散らせるし、今日はそこを探索してみよう」
ロース 「えぇ~、あいつらとはもう関わりたくないんだけど……」
サーロイン 「まだ別の階へ行く階段が見つかっていないんだ。
 しらみ潰しに探すためにも、行くしかないだろ?」
ロース 「もぉ~…、しょうがないわねぇ……」
三洲次 「もしかしたら、その達人も居るかも知れませんよ」
ブリスケット 「それはそれで会いたいやら会いたくねぇやら……」
サーロイン 「ま、朝食を済ませたら、出発だ」



パーティーは食事を終えると、装備を整えて迷宮へ向かって出発した......。

 



【目次】

1.ガリアン3大剣術

2.恐怖の四十八手流剣術

3.四十八手流・究極奥義




1.ガリアン3大剣術


(※) 動画は1.~3.までノンストップです。



━━━━ 迷宮 1階 入り口.....


では、準備ができたら出発です。



バラックの扉をくぐり......、


...入ってすぐの通路で、右側の扉に入る。


ガチャッ...        ← 扉を開けた音


中は二手に分かれており、次は左側(南側)の扉に入る。


ガチャッ...


すると、長い一本道に出る。

ここは土ぼこりが床一面に広がっているが、それ故に、人が通った足跡が幾つも残っているのが見て取れた。

ブリスケット 「やはり今でも大勢が通ってやすぜ、ここ」
ロース 「冒険者以外でこのフロアを行き来するのって、もう海賊たちに決まってるわ」
三洲次 「すると、この先が海賊たちの訓練所ってことで、間違いなさそうですね」
サーロイン 「ま、行けば分かるさ」


次に、一番奥に見える扉に入る。


ガチャッ...


室内は以前と同じく、引き出しの付いた大きなテーブルが置かれているだけの部屋であった。

ブリスケット 「以前来た時と同じっすね」
三洲次 「引き出しはいずれも空でした」
ロース 「このエリアが海賊達の訓練所なら、ここは受付とかなのかしら?」
ランプ 「その割には誰もいませんね。
 部外者を入れない為にも、ここに誰か居てもおかしくないのですが……」
サーロイン 「今は誰も訓練していないのかも」
ブリスケット 「じゃ、ちょうど良いじゃねぇっすか。
 今の内にササッと中を調べやしょう」
サーロイン 「そうだな。
 では、左側にある扉から中に入ろう」


ガチャッ...


扉の先はさらに通路がのびており......、


ガチャッ...


...その先には、さらに通路と扉がある。


三洲次 「前回来たのは、この扉の前まででしたね」
サーロイン 「今回はこの先へ進んでみよう」


ガチャッ...


扉の先は右手(南側)に通路がのびていた。


三洲次 「かなり長い通路に出ましたよ」
ランプ 「扉が幾つか見えますね」
サーロイン 「とりあえず、この通路を行けるだけ行ってみようか」



三洲次 「ここまでですね」
ブリスケット 「あっしらが入って来た扉を除くと、扉が2つありやした」
サーロイン 「扉に何か特徴はあったか?」
ロース 「どっちの扉も特段の特徴は無かったわ」
サーロイン 「そうか。
 じゃあ、とりあえず入り口に近い方から調べるか」


サーロイン 「入るぞ」


ガチャッ...


サーロイン 「右手に次の扉……」


ガチャッ...


サーロイン 「今度は左手に通路がのびてる、と……」


サーロイン 「また扉だな」
ロース 「訓練所にしては通路だらけね」
ランプ 「でも壁を見ると、ここら辺にも剣で付いたと思われる傷痕が多数あります。
 迷宮での戦闘を意識すると、こういう場所でも訓練をしているのでしょう」


サーロイン 「じゃ、開けるぞ」


ガチャッ......




━━━━ 海賊たちの訓練所
     とある一室...


扉を開けて入ると、突如広い部屋が目の前に現れた。

中はこれまでと同じく土ボコリで汚れた場所であったが、
これまでとは違う点として、海賊同士が中で剣を交えている光景があった。



レイダーA 「む? 誰か来たぞ?」
レイダーB 「なに?!」


中に居た3人の海賊はそれまで振っていた剣を降ろすと、全員がパーティーの方を向いた。
湿気のせいもあり、3人とも全身が汗だくの状態であった。

レイダーC 「誰だ、おまえら?!」
レイダーA 「ここは俺達の施設だ!
 勝手に入って来るんじゃねぇ!!」
サーロイン 「なんだ、中に人が居るじゃないか」
ブリスケット 「見込みが外れやしたね」
三洲次 「ただ、この部屋の広さは……」
ロース 「ここは海賊達のトレーニングルームって感じね」
レイダーB 「おい、ちょうどいい。
 こいつらに練習相手になってもらおうぜ」
レイダーC 「そうだな。
 不法侵入した奴らなら、殺しても誰も文句は言わねぇだろう」
レイダーA 「ふふふ……俺たちの『ガリアン3大剣術』を実戦で試すいい機会だぜ!」
三洲次 「なんで迷宮内の訓練所に居る奴らって、いつも俺たちを練習相手にするんだ?」
サーロイン 「それより『ガリアン3大剣術』ってのが気になるな」
ランプ 「もしかして、その剣術を教えているのが斎藤と言う人では?」
レイダーB 「なんだ、おまえら、四十八手流の使い手・サイト教官を知っているのか?」
ランプ 「サイト教官?」
ブリスケット 「『さいとう』が訛ってやすな」
三洲次 「こっちの人たちの日本語の発音って、イントネーションが独特になりますよね。
 ただ、それよりも『四十八手流』って名前が気になるんだけど……」
ブリスケット 「名前の由来は相撲の方か、エロい方か…?」
ロース 「エロい方?」
ブリスケット 「あ、気にしないでくだせぇ」
ランプ 「まぁ、せっかくの機会ですから、その教官の名前の読み方も教えてもらいましょう。
 えぇと……フルネームは何でしたっけ?」
三洲次 「『さいとう・ひでろう』」
レイダーC 「逆だ」
三洲次 「え?」
レイダーC 「苗字と名前が逆だ」
三洲次 「あ、そうだった。
 日本とこっちでは苗字と名前の順序が逆だった」
ロース 「あら、そうなの?」
三洲次 「えぇ。
 だからこっちの順序で発音すると『ひでろう・さいとう』です」
レイダーA 「しかも名前が間違ってる」
三洲次 「あ、読み方が間違ってたんだ。
 じゃ、『英郎』ってなんて読むんです?」
レイダーB 「『エロ』」
三洲次 は?
ブリスケット 「またもイントネーションが訛ってやすな。
 多分『えいろう』でっしゃろ」
三洲次 「珍しい読み方だな……」
ブリスケット 「で、そうなりやすとフルネームの発音は……」
レイダーC 『エロ・サイト』!!

三洲次
  _, 、_
(; ゚゚) …………………………

ブリスケット
  _, 、_
(; ゚゚) …………………………

レイダーC
   、 ,
  (゚_゚ ) ………………………

三洲次
  _, 、_
(; ゚゚)「なぜだか分からないけど……」

ブリスケット
  _, 、_
(; ゚゚)「なんか嫌な予感がしてきやしたぜ……」

三洲次
  _, 、_
(; ゚゚)「ってか、四十八手流って……」

ブリスケット
  _, 、_
(; ゚゚)「エロい方で確定なんでは……?」



レイダーA 「よし!
 ここはトレーニングルームだし、対決は1対1の試合形式でいこう!」
サーロイン 「なるほど……1人ずつタイマンでの勝負か……、おもしろい!」
三洲次 「おもしろいかなぁ……?」
レイダーA 「では、まずは俺からだ!!
 おまえらからも誰か1人出しな!!」
三洲次 「どうするんです?」
サーロイン 「ジャンケンで決めるか?」
三洲次 「いや、そうじゃなくて、本当に試合形式でやるんですか?
 無視して一気に片付けません?」
サーロイン 「なんで?」
三洲次 「きっとヘンテコな技を順番に見せてきますよ?」
サーロイン 「さては臆したな、三洲次」
三洲次 「いや、そういう訳じゃないですけど……」
サーロイン 「よし!
 では、まずは俺から行こう!!」
三洲次 「頑張って下さい………」


(再掲)

レイダーA 「おまえ!!
 カリブの海賊のことを知っているか?!」
サーロイン 「え?
 まぁ、名前ぐらいなら………」
レイダーA 「では、教えてやろう!!
 カリブ海周辺は大量の金や銀、砂糖や煙草が摂れる地域で、西欧各国がこぞって植民地を作った海域だ。
 だからカリブ海から西欧へ行く貿易船は、海賊や私掠(しりゃく)船にとって魅力的な標的となった」
   
ロース 「私掠船…?」
ランプ 「それも要は海賊です。
 敵対国の貿易にダメージを与える為、国が合法的に認めた略奪行為を『私掠』と言います。
 つまりやっていることは海賊と同じです」
ロース 「ふ~ん…」
三洲次 「ってか、何の解説が始まったの?」
ブリスケット 「多分3大剣術にまつわる話しなんでは…?」
   
レイダーA 「一方でカリブ海は、各国が植民地を広げる為に紛争を続けた地域でもある。
 しかも西欧本国での戦争が長引くと、植民地には母国からの軍事的な支援が届かなくなってきた。
 そこで植民地の総督達は、海賊を傭兵として雇い始めたのだ。
 こうして海に陸にと海賊達が大活躍したのが、カリブ海なのだ!」
サーロイン 「なるほど」
レイダーA 「さて、傭兵として雇われた海賊は土地の警護もするが、
 巡回などは少人数でやるので、敵対する海賊達のターゲットになりやすかった。
 だからその地では、サイト教官が編み出した、独りで多くの敵を葬る技が活躍したのだ!」
   
三洲次 「予想に反して、まともな剣術っぽいんだけど……」
ブリスケット 「意外っすな……」
   
レイダーA 「その技は虎の如く勇猛果敢に飛びかかり、虎の如く獰猛に敵を倒す!!」
サーロイン 「で、その技の名前とは?」
レイダーA 「『独りで敵を屠(ほふ)る』、『虎の如く戦う』ことから、
 その技の名前は独屠虎武(どっとこむ)! ! !

三洲次
  _, 、_
(; ゚o゚)「あぁ~~……」

ブリスケット
  _, 、_
(; ゚o゚)「雲行きが怪しくなってきやした……」
   
レイダーA 「そして、その独屠虎武(どっとこむ)をカリブの海賊達が採用し、独自に発展させたのが、
 カリブ流の独屠虎武……、
 その名も『カリビアン独屠虎武(どっとこむ)』!!!

三洲次
  _, 、_
(; ゚o゚)「きっと出オチだろうなぁ……」

ブリスケット
  _, 、_
(; ゚o゚)「そうっすねぇ……」

(再掲)

レイダーA 『カリビアン独屠虎武』の凄さを見せてやろうっ!!
 いくぞぉっ!!!
 ひょおおおおぉぉぉっ!!!(バッ!)


レイダーA ぐぎゃあああぁぁぁっっ!!!
サーロイン 「勇猛果敢に飛びかかるのは結構だが、
 人は空中では動けないから、串刺しの的になるだけだぞ」

三洲次
  _, 、_
(; ゚゚)「恐ろしいほどに………」

ブリスケット
  _, 、_
(; ゚゚)「出オチだったっすね………」
   
レイダーB 「ほぉ……少しはやるようだな。
 では、次は俺が相手になってやろう!!
   
サーロイン 「じゃ、三洲次、次を頼む」
三洲次 「メンドくさいんで、とっと倒しちゃダメ?
 やっぱり解説とか聞くの?」
サーロイン 「死ぬ前の最後の晴れ舞台なんだ。
 少しは我慢して聞いてやれ」
三洲次 「うぜぇ…」
   
レイダーB 海原を制する者は海賊を制する!!
三洲次 「いきなりなんだよ……」
レイダーB 「おまえっ!!
 海原を制するとはどういう事か分かるか!?」
三洲次 「分からないし、特に分かりたいとも思いません」
レイダーB 「海原を制するとは、海と風を我が物にすることだ!!
 海の水と波、そして海上の風を制する者こそ、最強の海賊なのだ!!
 だからサイト教官は、水と風を自らの力にして戦う剣術を編み出した!!」
三洲次 「何がどう結びつくと剣術になるのかサッパリ分からねぇ……」
レイダーB 「では、おまえ!!
 水の力と風の力を自分のものにして戦うとは、どういう事か分かるか?!」
三洲次 「他力本願ですね」
レイダーB 「それは風の精霊と水の帝王の力を司ることだ!!
 見せてやろう!!
 サイト教官が編み出した風の精霊と水の帝王を司る剣術
 『風霊湊帝司(ぷれすてーじ)』を!!
   
ランプ 「なんでさっきから技の名前が日本語なんですかね?」
ブリスケット 「そりゃぁ教官が日本人だからじゃねぇっすか?」
ロース 「その割に、すっごく英語っぽい発音なんだけど……」
   
レイダーB まずは風の精霊の力からだっ!!
三洲次 「くるかっ…!?」
レイダーB 喰らえっ!!
 ロルトを生み出す、必殺・旋っ風ぅ剣っ!!
三洲次 「なに…っ?!
 ロルトだとっ!?」
レイダーB でやああああぁぁぁっ!!!
三洲次 「くっ…!?」
レイダーB 「……………………………………」
三洲次 「……………………………………」
   
   し~~~ん........
   
レイダーB 「……………………………………」
三洲次 「……………………………………」
   
   し~~~ん........
   
レイダーB 「むぅ…、
 MPが尽きていたか……」
三洲次 「おまえ、元々MP無いだろ……(汗)
 ってか、MP使うんかよ……(汗)
レイダーB 「今日はこのぐらいで許してやろう」


レイダーB ふぃぎゃあああぁぁっっ!!!
三洲次 おまえが許しても、こっちが許さねぇよっ!!
   
ランプ 「水の帝王の力が何か、ちょっと見たかったですね」
ブリスケット 「そんなの見てぇっすか……?」

レイダーC おのれっ!!
 最後は俺だ!!
 相手をするのは誰だ?!
   
サーロイン 「じゃ、桃、最後を頼む」
「うぃーす!」
   
レイダーC 「海賊の人生は、常に死と隣り合わせだ……」
「で、その技の名前は?」
レイダーC まだそこまで話してないだろっ!!
 いいか?!
 ウェールズの有名な海賊の船長ロバーツの言葉の如く、
 海賊の『人生は太く短く』だ!!」
「いいから、早く名前を言えよ」
レイダーC 少しは人の話しを聞けええぇぇっ!!
 故に、その死さえも操る……」
うっとおぉしいいぃぃっ!!
 言わねぇなら、もうぶっ殺してやるっ!!!
レイダーC 分かった!! 言うって!!!
 闇の世界へ誘う死の宣告と共に相手を斬る剣術、
 その名も、
 『訃闇斬(ふぁんざ)』!!
 いいか?
 おまえは今から10秒後に死…」


てめぇは0秒後に死ねやっ!!!
レイダーC ぐひぃやあああぁぁっ!!
宣告してる暇があったら、
 その間に殺した方が早ぇえよっっ!!!
   

三洲次
  _, 、_
(; ゚o゚)「太く短い対決だったな……」

ブリスケット
  _, 、_
(; ゚o゚)「太くもねぇっすけどね……」



サーロイン 完勝だな!!


ランプ 「皆さん!!
 訓練所の片隅に何か箱がありますよ!!」
ロース 「あら、本当ね」
ブリスケット 「そいつぁは訓練で使う道具が入ってんじゃねぇっすか?」
サーロイン 「念のため調べてみるか。
 桃、戦い終わってすぐで申し訳ないが、こっちも頼めるか?」
「うぃーす」
サーロイン 「連続で働かせて、すまんな」
「任せな。
 あたいの芸術的な技術で、あっさり解除してやるから」




  
ぁああっ!?
三洲次 「ただの道具が入っているかも知れない箱に、そんな罠仕掛けるかあ?!」
あたいが間違ってるとでも?!
三洲次 間違ってるとも!!!
サーロイン 「しょうがない、ブリ助、久しぶりにカルフォを頼む」
ブリスケット 「お任せくだせぇ」



ランプ 「まぁ、仮に罠があっても……」
ロース 「普通はその程度よね……」
サーロイン 「じゃ、桃、解除を頼む」




  
あたいが間違ってるとでもぉっ!!?
三洲次 間違ってるともぉっ!!!
ぁああっ!!!



…」
「ちっ…!」
三洲次 「なにが芸術的な技術だよ……」


「ほらよ、防具が入ってたぜ」
ランプ 「どれどれ……」



ランプ 「お!
 これは『鎧』ですね!
 我々が持っていない新装備ですよ!!」
ブリスケット 「マジっすか?!」
ロース 「それって訓練で着る鎧かしら?」
三洲次 「その割にはやたら奇麗だな。
 キズ1つ付いてないし」
サーロイン 「まぁ、ここの海賊達は全く鎧を着ないから、
 どっかの冒険パーティーから奪った物なんだろ」
ブリスケット 「あやつらが隠してる宝箱の1つだった訳っすね」
ランプ 「で、どうします?」
サーロイン 「新装備なら、さっそく使わせてもらおう」
ランプ 「誰が装備しますか?」
サーロイン 「前衛で桃だけACが1つ悪いから、
 桃に装備してもらうか」
ランプ 「では……」




むしろ最もAC(≒防御力)が良くなってしまった。

ま、前衛でH.P.が1番低し、この方がいいか。

サーロイン 「強敵3人との試合を制した優勝品だな!」
三洲次 「強敵…?」
ブリスケット 「優勝…?」
ランプ 「ところで、後は金貨とか入ってないんですか?」


ランプ 「あ、ほら、入ってるじゃないですか!
 全部頂いちゃいましょう!」
三洲次 「ランプのあの行為って、何て言うんだっけ?」
ブリスケット 「この場所にちなんで言やぁ、『海賊行為』っしょ」
ランプ 「失礼ですね!
 我々は王国から依頼され、認められて活動しているんですから、
 せめて『私掠』と言って下さい!」
三洲次 &
ブリスケット
「「要は海賊だな」」

 



2.恐怖の四十八手流剣術


━━━━ 迷宮1階
     海賊たちの訓練所.....


サーロイン 「では、邪魔者も消したところで、このトレーニングルームをもう少し調べるか」


ロース 「2×2マスの部屋で、南側に扉が2つあるわ」
サーロイン 「いきなり2択か……」
ブリスケット 「どうしやすか?」
サーロイン 「扉の向こう側がどうなっているか、何か分かる特徴とか無いかな?」
三洲次 「見てみますか」


「左側の扉は、向こう側からなんか生き物の音がするぜ」
サーロイン 「え?」
「少なくとも人間じゃねぇな」
ロース 「何かしら?」
ランプ 「訓練に使う猛獣とか閉じ込めているのでは?」
ブリスケット 「ワードナの迷宮にあったメイジ達の訓練施設を思い出しやすな。
 確か魔法の標的にするワータイガーとか閉じ込めてましたぜ」
三洲次 「そういやあったな、そんな場所……」
ロース 「もう片方の扉もそうなの?」
「ん~~……、こっちは特に何も気配は感じねぇけど……」
ランプ 「どうします?」
サーロイン 「いきなり連戦はちょっとな……。
 一旦さっきの長い通路に戻って、もう1つの扉の方を見てみよう」


と、言う訳で......


...歩いて来た通路を戻り......、


...先ほどの扉が3つあった通路で、残った最後の扉(画面写真の一番奥)に......、


...入ってみることにします。

三洲次 「じゃ、開けますね」


ガチャッ...


ブリスケット 「もう1つ扉がありやすぜ」
サーロイン 「進んでみよう」


ガチャッ...


ランプ 「目の前に扉と、右に通路がのびてますね」
サーロイン 「右側はどうなっている?」


ロース 「奥に扉があって、さらに右へ曲がっているわ」
サーロイン 「まずはこの通路の全貌を見てみるか。
 奥の右側へ行ってみよう」


三洲次 「すぐ行き止まりで、奥に扉があります」
サーロイン 「すると、合計で扉が3つか……」
ランプ 「どこから調べますか?」
ロース 「構造的に、一番奥の扉の中は行き止まりになっていそうね」
サーロイン 「じゃあ、まずはそこから確認するか」


サーロイン 「開けるぞ」


ガチャッ...




部屋の中はトレーニングルームになっており、ここでは大勢の海賊たちが乱取りをしていた。

ガードA 「む?
 誰か入って来たぞ」
ガードB 「なんだ、おまえら?!
 ここは俺たちガリアン海賊団のトレーニングルームと知っているのか!?」
サーロイン 「ここもトレーニングルームだったのか」
ガードC 「ちょうどいい!
 こいつらに稽古相手になってもらおうぜ!」
ガードD 「真剣でな!!」
三洲次 「さっきと同じじゃないか……」
ブリスケット 「しかし数が全然違いやすぜ。
 ロイン殿、どうしやす?」
サーロイン 「せっかくだ、こいつらに実戦の厳しさを教えてやろう!」
三洲次 「またやるのか……」
ブリスケット 「ま、あの教官の作った3大剣術とやらはさっき全部破ったんで、
 もう大丈夫でっしゃろ」
ガード達 「「サイト教官が編み出した四十八手流の技の数々、
  おまえらで試させてもらうぞ!!」」

  



ガードA 無から生み出した畏怖すべき呪詛の力で戦う剣術!!
 『無生出畏呪(むーでぃず)』!!


ガードA ぎひゃあああぁぁっ!!
   
ガードB おのれっ!!
 死ぬほど痛い威力の風を巻き起こす!!
 『叡風死威痛(えふしーつー)』!!


ガードB ぐほわあああぁぁっ!!
   
ガードC くそっ!!
 羽ばたく様に宙を舞い、鬼の様に人を狩る!!
 『羽宙鬼狩功(うちゅうきかく)』!!


ガードC ひぃぎゃあああぁぁっ!!
   
三洲次 「あまりにアッサリと返り討ちに出来て……」
ブリスケット 「どんな技かサッパリでっせ……」
サーロイン 「ランプ、残った前列の3人は寝かせてくれ」
ランプ 「はい」


ガードG 「前列の奴らが全員寝ちまった!!」
ガードH 「こいつら、意外とできるぞっ!!」
ガードI 「こうなったら……」
ガードJ 「我らの力を……」
ガード達 「「1つにする時っ!!」」
   
ランプ 「後ろの7人が何か始めましたよ」
サーロイン 「敵の後衛が?」
   
ガード達 「「7人の力を1つにする剣術!!
  SEVEN-ONE!!
  通称『S-1(えすわん)』!!」」
   
サーロイン 「ロース、一網打尽にしろ」
ロース 「もちろんよ!!」


ガード達 「「ぐぃぎゃあああぁぁっ!!!」」
   
三洲次 「何1つこっちに通用しねぇじゃん……」
ブリスケット 「サイト教官って、無能なんじゃねぇっすか……?」


ガードJ ぐふぅぉっ…!!
   
ロース 「あら、1人耐えたわ……」
サーロイン 「なに?!」
   
ガードJ 「き、貴様らっ!!
 このままで済むと思うなよ!!


ガードJ 覚えてろよっ!!
   
ロース 「あいつ、逃げたわ!!」
サーロイン 「逃げたものはしょうがない。
 他に集中しよう」



─── 2ターン目


ガードD 「うぅ……っ!」
ガードE 「おのれ……っ!」
   
ランプ 「2人気付きました」
   
ガードD 「くそっ!
 このままでは終わらんぞっ!!
 クリスタルの様に鋭い攻撃で敵を葬る!!
 『クリスタル鋭葬(えいぞう)』!!


ガードD ひぎゃあああぁぁっ!!
   
ガードE まだまだあぁぁっ!!
 『クリスタル鋭葬』の上位バージョン!!
 『ダイヤモンド鋭葬(えいぞう)』!!


ガードE ぐはあああぁぁっ!!
   
三洲次 「もう、なんなんだよ……」

ま、後は寝ている1人だけなので、楽勝ですな。


ガードF ふぎゃあああぁぁ!!


サーロイン 「おまえら、今日は良い訓練になっただろ!!」
ブリスケット 「みんな死んでまっせ?」


ランプ 「みなさん!!
 このトレーニングルームにも箱がありますよ!!」
サーロイン 「じゃ、桃、あれも頼む」
「うぃっす。
 今度こそ、芸術的なテクってやつを見せてやんよ」
三洲次 「嫌な予感しかしないんだが……」


サーロイン 「まぁ……」
ロース 「妥当な判定ね……」
三洲次 「あいつのことだから、またテレポータとか平気で言うと思ってたよ……」




「ほい、開いたぜ」
ランプ 「素晴らしいです!!
 まさに芸術的なテクです!!」
「だろ?」
三洲次 「これがフラグをヘシ折るってやつか…?」
「ぁ!?」
ランプ 「まぁまぁ。
 とりあえず箱の中を拝見致しますよ」


ランプ 「お、こっちの箱には盾が入っていました。
 えぇと、これは……」


ランプ 「『鉄の盾』ですね」
サーロイン 「前衛が装備しているのと同じか?」
ランプ 「えぇ、そうです」
サーロイン 「すると、もう要らないから売るか。
 で……」


サーロイン 「…ここはこんなものか?」
ロース 「そうね、他に目ぼしい物は見当たらないわ」
サーロイン 「じゃ、また廊下に戻ろう」



サーロイン 「まだ入っていない扉は、今見えている2つか……」
ブリスケット 「どっちから入りやすか?」
サーロイン 「手前にある右手の扉から見てみよう」


ガチャッ...


サーロイン 「さらに右手に扉……」


ガチャッ...


サーロイン 「なんだ、行き止まりか」
三洲次 「引き返しましょう」


元の廊下まで戻る。


サーロイン 「後は、あの右手の扉だけだな。
 入るぞ」


ガチャッ...


サーロイン 「また通路に出たな」
ランプ 「進みましょう」


サーロイン 「さらに扉……」
三洲次 「作っている地図を見ると、あの扉の向こう側って、
 さっきガリアンレイダー達が訓練をしていたトレーニングルームです」
ロース 「グルッと一周して来たのね」
サーロイン 「なるほど。
 じゃ、入ってみよう」


ガチャッ...



サーロイン 「確かにさっき戦った場所だ」
ブリスケット 「するってぇと、このエリアで残すは、先ほど入るのを止めた扉だけっすね」


サーロイン 「この扉だな」
ロース 「桃が何か生き物がいると言っていた部屋ね」
三洲次 「ま、もう入って正体を見てやりましょう」
ブリスケット 「さぁ~て、鬼が出やすか、蛇が出やすか……」


ガチャッ!




ランプ 「蛇でした」
ブリスケット 「さっきはモノの喩えだったんすけどね……」
ロース 「この蛇って……」
サーロイン 「…まぁ、訓練で使う獲物なんだろうな」
ランプ 「あ!
 部屋の奥に宝箱がありますよ!」
三洲次 「ってことは、箱を守る役も兼ねてるのかな?」
ランプ 「ま、さっそくお宝の方を…」
アナコンダ達 「「シャアアアァァッ!!」」
ランプ 「うわっ?!」
サーロイン 「素直に箱を取らせてくれないなら、
 申し訳ないが倒させてもらおう」



「楽勝だな!」
三洲次 「片付けました」
サーロイン 「ご苦労」





「ほいよ!
 開いたぜ」
ロース 「お疲れ、桃。
 えぇと……」


ロース 「防具が入ってたわ」
ランプ 「どれどれ、見せて下さい。
 また『鎧』かも知れませんから」


ランプ 「『皮の鎧』でした」
サーロイン 「そう簡単に新しい装備は手に入らないか」
三洲次 「ま、これでこのエリアは踏破ですね」
サーロイン 「そして……ここにも階段は無しか………」
ブリスケット 「ほんじゃぁ、このフロアで残ってんのは、湖の先と………海賊どもの砦ですぜ」
サーロイン 「もし海賊たちの砦の中に階段があるとしたら、非常に面倒くさいことになるな……」
三洲次 「最悪なパターンだ……」
ロース 「とりあえず、ここはもう引き揚げましょ」

 


 

 



3.四十八手流・究極奥義


━━━━ 海賊たちの訓練所の帰路.....


三洲次 「今日は疲れたなぁ~」
ブリスケット 「そうっすね。
 もうここには来たくねぇっすよ」
三洲次 「だよな」



??? 「こっち!! こっちです!!」
   
サーロイン 「………ん?
 何か声が……」
「なにかしら?」


??? 「あいつらをとっちめてくだせぇ!!」
   
三洲次 「おい……(汗)
ブリスケット 「あの声は……(汗)


三洲次 &
ブリスケット
「「まさか…!?」」


ガードJ 「あっ!!
 こいつらです!!
 こいつらが訓練中の俺らを襲ってきた奴らです!!」
三洲次 「やっぱり、さっき逃げたガリアンガードだ……」
ブリスケット 「まさか助っ人を連れて戻って来るところに遭遇するたぁ……」
ランプ 「帰り道が長い一本道だったのが、不運でしたね」
ガードJ 「こいつらをとっちめて下さい!!」
サーロイン 「あの人数で歯が立たなかったのに、
 たった2人連れて来たところで、まともな報復が出来るとでも?」
ガードJ 「てめぇ!!
 このお2人を知らないから、そんなことが言えるんだ!!」
サーロイン 「ほぉ……どんな2人なんだ?」
ガードJ 「この2人はサイト教官の剣術の中でも、
 究極奥義の使い手なんだっ!!」

三洲次
  _, 、_
(; ゚゚)「おいおい……」

ブリスケット
  _, 、_
(; ゚゚)「まだあるんすかぁ?」
   
ガードJ 「究極奥義の前に、おまえらは赤子の手を捻るように殺されるのだ!!
 てめぇらなんて、死んでしまえっ!!」


てめぇが死ねやああぁぁっ!!!
ガードJ ふぉがあああぁぁっ!!!
三洲次 「おいおい……」
ブリスケット 「気が早ぇっすな……」
ガードX 「ふん……気の短い奴同士のレベルの低い争いだな」
ぁああ?!
 てめぇも死にてぇかあぁっ!?
サーロイン 「桃、落ち着け。
 俺たちがこんな奴らに後れを取るはずがないだろ」
ガードY 「愚かな………例えおまえらが何人束になって襲い掛かろうと、我らの敵ではない」
サーロイン 「ずいぶん強気だな」
ガードX 「試してみるか?」
三洲次 「ロイン!!
 せっかくのお言葉です!!
 ありがたく全員で襲わせてもらって、一気に終わらせましょう!!」
サーロイン 「まぁ、待て、三洲次。
 むしろタイマンでも負けないってところを、見せてやろうじゃないか」
三洲次 「そんな悠長な……」
ガードY 「いいだろう。
 その身の程知らずを後悔させてやる!!」
三洲次 「そうですよ!!
 後悔させられますよ!!
 しょーもない技を見せられて!!」
サーロイン 「なんだ、そりゃ…?」
ガードY 「では、まずは俺から行こう。
 いいな?」
ガードX 「うむ」
ガードY 「では、おまえらは誰が来る?」
サーロイン 「じゃ、三洲次、頑張れ」
三洲次 「え?!
 俺!?」
サーロイン 「桃はキッチリ1人倒したぞ。
 おまえもちゃんと仕事するんだ」
三洲次 「ええぇぇ……」
ガードY 「よし、おまえ、前に出ろ!」
三洲次 「面倒くせぇ……」
   
ガードY 「我々海賊は、標的の船に飛び乗って襲う時、
 波で揺れる船の上でも確実に敵を倒す技量が求められる!」
三洲次 「聞いてないのに、勝手に解説を始めやがった……」
ガードY 「そこでサイト教官は、上下する甲板上で四方から襲って来る敵を確実に殺すため、
 歩きながら剣を振って大量の敵を乱切りにする剣術を編み出したのだっ!!」
三洲次 「色々編み出しますね、その人………」
ガードY 「この奥義は、荒れた海の波の如く剣を揺らしつつ、
 突風の如く剣を高速回転させるのが特徴だ!!
 そして不規則に剣を振る動きには、攻撃を読まれ難くくする効果もある!!」
三洲次 「いろんな意味でどんな技か読み難ぃよ……」
ガードY 「この技を使えば、たった1人で標的の船を制圧することも出来る、究極の剣術なのだ!!」
三洲次 「じゃぁ、もう、その技だけあれば良くないですか?」
ガードY 「受けてみるが良いっ!!
 『歩きながら』、『剣の刃』を『流れる』様に振る剣技!!
 究極奥義『歩流廼刃武(ぽるのはぶ)』を!!!


ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!

三洲次 「うっ…!?
 バカにしていたけど、究極奥義だけあって、これはヤバいかも……」
ガードY 「ふふふ…(てくてく…)← 前進


ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!

三洲次 「くっ…!(ととと…)← 後ずさり
ガードY 「どうした?!(てくてく…)← 前進


ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!

三洲次 「隙が無い…(ととと…)
ガードY 「くくく…(てくてく…)


ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!

三洲次 「まずいぞ…(ととと…)
ガードY 「手も足も出ないのか?!(てくてく…)


ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!

三洲次 「うぅ(ととと…)
ガードY 「それ!それ!(てくてく…)


ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!

三洲次 「どうすれば…?(ととと…)
ガードY 「疲れた……、はぁ…はぁ…」


ガードY ぐぅぼわあああぁぁぁっ!!!
三洲次 「ただのバカだった……」
   
ガードX 「ふっ……、やるな!!」
三洲次 「おまえらがやらな過ぎなんだよ……」
ガードX 「だが、俺の剣術はこれまでの奴らとは全く違うぞ!!
 さぁ、俺の相手は誰だ?!」
サーロイン 「では、最後は俺がいこう」
ガードX 「おまえ………さては君主だな?」
サーロイン 「え?
 なんで分かった?」
ガードX 「その佇まい、雰囲気……人の上に立つ者のオーラだ!」
   
三洲次 「ロインにそんなオーラってあるか?」
ブリスケット 「まぁ、母国では本物の領主っすから、自然とそういう立ち居振る舞いが出来てるんでは?」
ランプ 「昔から一緒に居る私達では気付かない何かがあるのかも知れませんね」
   
ガードX 「これは丁度いい。
 俺の剣術は、そういう者を相手にしてこそ本望だ!!」
サーロイン 「ほぉ……、それはどんな剣術なんだ?」
ガードX 「では、解説してやろう!!
 長きに渡る海賊の歴史の中に、百戦錬磨の戦績を残した伝説の海賊王がいた!!」
   
三洲次 「『伝説』って単語が、もう……」
ブリスケット 「嫌な予感しかしねぇっす………」
   
ガードX 「敵対する全ての海賊を殺し、あらゆる海戦で勝利してきたその海賊王……、
 その名は『ビデ王』!!
   
三洲次 「ビデ王のビデって、あのビデ?」
ブリスケット 「どういう王っすか、それ……?」
ランプ 「さっきからエロい発音が多いんですけど……」
   
ガードX 「この奥義は、その海賊王を自らの肉体に降臨させて、その力を身に付け、
 さらにその能力を極限まで引き出す!!
サーロイン 「それで、その奥義の名前は?」
ガードX 「ビデ王の力を極限(エクストリーム)の域まで引き出す剣術、
 『エクストリーム(eXtream)ビデ王』!!
 通称-ビデ王』!!
   
三洲次 「説明が無いと……」
ブリスケット 「とても剣術の名前とは思えねぇっす……」
   
ガードX 「伝説の王の力と、おまえらの君主の力……、
 どちらが強いか力比べだ!!
サーロイン 「……………………………………」
ガードX ビデ王よっ!!
 さぁ、我が肉体に宿るがよいっ!!
サーロイン 「……………………………………」
ガードX うおおおおおおぉぉぉ……っ!!
サーロイン 「……………………………………」
ガードX 来た、来た、来た、来た、来たあああぁぁっ!!!
サーロイン 「……………………………………」
ガードX 俺はビデ王だあああぁぁっ!!!
   
三洲次 「あれは剣術なのか?」
ブリスケット 「イタコっすな」
三洲次 「イタコにも失礼だろ」
   
ガードX 死ねえええぇぇぇっ!!!


ガードX うぎゃああああぁぁぁっ!!!
サーロイン This ビデ王 has been deleted!!
   
三洲次 「もう何がなんだか………」
ブリスケット 「訳が分かんねぇっす………」



勝利!!



三洲次 「ロイン、なんかすごく疲れたから、今日はもう帰りません?」
サーロイン 「そうか?
 じゃ、ちょうど帰り道だし、このまま城に戻るか」
ロース 「そう言えば、肝心の斎藤教官が居なかったわね」
ブリスケット 「居なくて結構っすよ……」
ランプ 「その内、どこかで出逢うかも」
三洲次 &
ブリスケット
「「ご遠慮しますっ!!」」
ロース 「きっと一番すごい剣術を見せてくれるわよ」
三洲次 &
ブリスケット
「「丁重にお断りしますっ!!!」」

 



 



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名前 LV H.P. コメント
サーロイン 5 37 18 17 18 16 18 15 0 1 今回、キャラ側の攻撃が珍しく全て安定していたので…
三洲次 5 49 18 18 18 18 18 15 0 1 …ネタにし難く、それで相手側をネタ扱いにしてみた。
5 33 18 16 18 18 16 18 0 0 登場した技は全部で9個。ネタ出しだけで約2週間。
ロース 6 33 17 18 18 18 18 12 0 0 解説はランプの読む本から出せば良かったかも…。
ランプ 5 20 12 18 18 13 18 16 0 0 なお、教官をいつ、どう登場させるかはノーアイデア。
ブリスケット 6 51 18 18 16 18 18 15 0 0 今思うと教官の名前はミ○ネが良かったかも。

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2024年10月 5日:本公開。
2024年 9月28日:プレ公開。