34.安物狩りの銭失い

【登場人物】  
トライチップ 悪パーティーのリーダーを務める悪徳神官。
テール 金の為にはあらゆる悪事を躊躇わない悪徳司教。
心々 人々を護ることを志す用心棒チームのリーダー。
沙賀里 用心棒チームの1人。心々の幼馴染の変な巫女。
羅無市 用心棒チームの1人。剣の道に生きる男。
ネック 冒険に巻き込まれた気弱な呪文マニアのエルフ。

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━━━━ ギルガメッシュの酒場
     店の片隅で...

テール 「ご神官様、新しい悪事を考えて参りました」
トライチップ 今度こそちゃんとした悪事なんだろうなっ!?
テール 「ご安心下さい」
トライチップ できない
テール 「まぁまぁ、まずはこのテールの話しをお聞き下さい」
トライチップ 「むぅ…」
テール 「我々は前回、『カツアゲ』を通して悪事の基礎を学んでまいりました」
トライチップ 「おまえにカツアゲのセンスが無いことしか学んでなかった気がするけど?」
テール 「『カツアゲ』については充分な経験を積みましたので、もう卒業しても良いでしょう」
トライチップ 「卒業じゃなく中退だろ」
テール 「そこで今日からは、『カツアゲ』を進化させた悪事を始めたいと思います」
トライチップ 「カツアゲを進化させた悪事……?
 何だ、それは……?」
テール 「『オヤジ狩り』です」
トライチップ 「『オヤジ狩り』……??
 イチゴ狩りの親戚?」
テール 「いえ、違います」
トライチップ 「じゃあ、どんな悪事なんだ?」
テール 「ご説明致しましょう。
 『オヤジ狩り』とは、そこらを歩いているオヤジを脅して、金品を強奪する行為です」
トライチップ 「え…?
 カツアゲと大して変わんなくね?」
テール 「いえ、カツアゲと比べると、オヤジ狩りはより優れた悪事になっております」
トライチップ 「どこら辺が?」
テール 「カツアゲは、ターゲットの年齢・性別などは問いません。
 一方のオヤジ狩りは、働き盛りのオヤジだけを狙っていきます」
トライチップ 「それのどこが優れた点なんだ?」
テール 「よろしいですか?
 若者とか女性とは違い、オヤジとはそれなりに地位と収入のある年齢層です。
 つまりオヤジならば高い収入が期待できるので、コスパに優れた悪事が可能です」
トライチップ 「こういう時にコスパって使うかな…?」
テール 「悪事においては、より効率的に金を稼ぐ方法があれば、それを選択しない手はございません」
トライチップ 「そうなの?」
テール 「故に今回は、アッと言う間に大金を手にすることをお約束致します」
トライチップ 「それはいいんだけどさぁ……」
テール 「はい?」
トライチップ 「…おまえのやろうとしている事って、やっぱり悪事じゃなくて、ただの軽犯罪だよね?」
テール ご神官様ともあろうお方が、何を仰ってるのですか?!
トライチップ 「何か変なこと言った?」
テール 悪事と犯罪は50歩100歩!!
トライチップ 「おまえこそ何を仰ってるの……?」
テール 悪事とは言わば犯罪であり、犯罪とは言わば悪事なのです!!
トライチップ 「毎回、無理矢理悪事にしようとしてない……?」
テール 悪事を遂行することは、これすなわち犯罪の遂行!!
 よって犯罪で当たり前なのです!!
 ですので、今回は『オヤジ狩り』でいきますぞ!!
トライチップ 「『ですので』の繋ぎ方がちょっとおかしい気がする……」
テール 「では、オヤジ狩りに出発を…」
トライチップ 「待て待て、ちょっと待て」
テール 「はい?」
トライチップ 「出発する前に確認したいことがある」
テール 「何でございましょう?」
トライチップ 「さっきの優位点だが、むしろ懸念点でもあるぞ」
テール 「どういうことでしょう?」
トライチップ 「いいか?
 オヤジは若者や女性と違って金は持ってるかも知れないが、
 一方で若者や女性とは違い、脅しには屈しない奴が多いだろ」
テール 「ご安心下さい。
 このテールに抜かりはございません」
トライチップ 「多分今回も抜かってる」
テール 「その点については、ちゃんと対策を考えております」
トライチップ 「どんな?」
テール 「殺してしまえば良いのです」
トライチップ 「うん、過去の経緯から、そんな気がしてた」
テール 「これなら問答無用で金品を強奪できます」
トライチップ 「でも、それだと『辻斬り』と同じじゃね?」
テール 違います!!
トライチップ 「どこが?!」
テール 辻斬りは相手を選びません!!
 しかしオヤジ狩りはオヤジだけを狙うのです!!
トライチップ 「それを50歩100歩って言わない…?」
テール 言いません!!
 よろしいですか!?
 女・子供を襲うのは無差別な犯行であり、それは無法者のやること!!
 しかし、女性や子供には手を出さず、オヤジだけを狙うのは、
 実に紳士的な行動ではありませんか!?
トライチップ 「カツアゲの時点で紳士からほど遠くね…?」
テール これはまさに『辻斬り』の上位バージョン!!
 あえて名付ければ『オヤジ斬り』と言えるでしょう!!
トライチップ 「あえて名付けてどうする……」
テール 「いかにオヤジ狩りが優れた悪事か、これでご理解頂けましたでしょうか?」
トライチップ 「どこに理解できるポイントがあったのか教えて」
テール 「ですので今回こそ、必ずや大金を手にすることをお約束致します」
トライチップ 「人の話しを聞けよ」
テール 「それでは今宵も獲物を求めて、迷宮へと出発致しますぞ!
トライチップ 「いつもそれじゃん。
 ここまでの会話、もうどうでもよくね?」

 



【目次】
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1.オヤジ狩り

2.泥んこオヤジ狩り

3.小汚いオヤジ狩り

4.若いオヤジ狩り

5.逆・オヤジ狩り




1.オヤジ狩り


━━━━ 迷宮 入り口......


心々 「今度は何をすんだ?」
テール 「『オヤジ狩り』でございます」
心々 「『オヤジ狩り』……?
 魔女狩りとか、そんな感じ?」
テール 「全然違います」
沙賀里 「私には分かりますわ!!
 ナンパのことですね!!」
心々 「なるほど!」
テール 「男がオヤジをナンパして何が面白いんですか……」
沙賀里 「見てる分には面白いですわ!」
心々 「だな!」
テール 「そっちが面白いだけではないですか……」
心々 「まぁ、1割冗談として…」
テール 「1割…?」
心々 「…実際は何をやるんだ?」
テール 「オヤジを脅して、金品を強奪するのでございます」
心々 「……………………………………」
テール 「……………………………………」
心々 「それってカツアゲのこと?」
テール 「なぜご神官様と同じ反応ばかりするのですか?」
トライチップ 「それが普通の反応だからだ」
心々 「要は今回もカツアゲなんだな」
テール 「違います」
心々 「どこが?」
テール 「よろしいですか?
 オヤジは他の奴より多くの金品を持っているので、効率的に金を稼ぐことができます。
 つまりターゲットをオヤジだけに絞るのです」
心々 「そういうのを50歩100歩って言うんだよ」
トライチップ 「同じこと言われてやんの」
テール 「いえいえ。
 オヤジ狩りなら効率的に金品を手に出来るので、今回こそアッと言う間に大金を稼いでみせますぞ」
心々 「まぁ、いいけど、また言うことを聞かない奴を痛めつける……と見せかけて、
 どうせぶっ倒せって言うんだろ?」
テール 「よくお分かりに」
心々 「毎回そうだからな」
トライチップ 「だよな」
テール 「それでは、張り切って出発致しますぞ!」
トライチップ 「たまには違う悪事をしてみてぇなぁ……」
テール 「何を仰られてるのですか?
 毎回悪事を変えてるではありませんか」
トライチップ 「その割に、なんでやってる事が毎回同じなんだ……?」



━━━━ バラック......


トライチップ 「なんで行く先が毎回バラックなんだ……?」
心々 「ここが一番いろんな魔物に遭遇しやすいからな」
トライチップ 「今回狙うのはオヤジなんだけど……。
 そう考えると、なんでわしは迷宮に居るんだ?」
心々 「今さら遅ぇよ」
トライチップ 「『引き返す』という選択肢は……?」
テール 「何を仰ってるのですか。
 さぁさぁ、入って行きますぞ」
トライチップ 「迷宮でオヤジを探すのって、非効率だよね……?
 町に戻って探した方が、絶対に効率が良いと思うけど……?」
テール 「効率ばかりが全てではございません」
トライチップ 「酒場で言ってたことと真逆じゃない?」


ガチャッ...!        ← 扉を開けた音


??? 「む…?!
 誰か来たぞ!?」
??? 「なに…?!」


テール 「さっそくカモのオヤジ共を見付けましたな。
 オヤジ狩りを始めますぞ」
トライチップ 「マジでやるの?」
テール 「まぁ、ここはこのテールめにお任せを」
   
ガードA 「なんだ、てめぇら?!」
テール 「よぉよぉ、おっさんたち、いいところで会ったな」
ガードB 「誰がおっさんだ……」
テール 「なぁなぁ、金を持ってねぇかなぁ?」
ガードC 「はあ??」
テール 「ちょっとでいいからよぉ~、金を貸してほしんだけどよぉ~」
   
心々 「前回と全く同じだな……」
トライチップ 「要はカツアゲだからな」
   
ガードD 「なんだ、てめぇ?」
ガードE 「ふざけたこと言ってんじゃねぇよ」
テール 「いいから早く財布ごと寄越しなって!」
ガードF 「なんだ? こいつ…?」
ガードG 「頭がおかしいんじゃねぇのか?」
   
心々 「あいつ、一度たりとも相手にされたことねぇよな」
トライチップ 「まるで成長していない……」
   
ガードA 「うぜぇから、どっか行きなっ!!」
テール 「おいおい、そんなこと言っていいのかなぁ~?」
ガードB 「あ?」
テール 「素直に金を出さねぇと、イタイ目を見ることになるぞ」
ガードC 「はぁ…?」
ガードD 「いつまでもふざてると、てめぇの方こそイタイ目を見るぞ!」
テール 「後悔しても、後の祭りだぜ?」
ガードE 「いいから早くどっか行けって!!」
ガードF 「しっ、しっ!」
   
心々 「今回も相手にされなかったな……」
トライチップ 「そして、今回も成果無しで戻って来やがった」
テール 「やれやれ、まったく相手になりませんな」
トライチップ 「基礎からやり直したら?」
テール 「とは言え、ここまでは予想通りです」
トライチップ 「まぁ、ある意味予想通りだけど」
テール 「抵抗は想定内のこと。
 それでは、心々、あいつらを軽く痛めつけてやって下さい」
心々 「しょうがねぇなぁ…」
トライチップ 「たまには拒否したらどう?」
心々 「まぁ、海賊どもなら、頼まれなくてもぶっ倒すけどな」
トライチップ 「それが事態を悪化させてる気がしてきた……」


心々 「やいやい、おめぇらっ!!」
ガードG 「え?」
心々 「素直に応じねぇなら、どうなるか見せてやるぜっ!!」
ガードA 「あ!!
 こいつ、脱走した心々じゃねぇかっ!?」
心々 覚悟しなっ!!
ガードA 「なに…!?」


ガードA 「ぬおっ…?!(ヒョイッ!)
心々 「ちっ…!
 避けやがった…!」
   
ガードB 「こいつ…!?」
ガードC おめぇら、殺っちめええぇっ!!
ガード達 「「おぉっ!!!」」

トライチップ 「ほら見ろ………」


心々 「うおっと?!(ぴょんっ!)
沙賀里 おほほほほほほほほっ!!(ぶん!ぶん!)
ガードD 「へ……?」


ガードD 「ひぇぇっ!!(サッ!)
ガードE 「な…なんだ、こいつ!?」

トライチップ 「そして、沙賀里がそれに拍車をかけるんだよ……」
テール 「また混迷してきましたな」
トライチップ 「元はと言えば、おまえのせいだぞ?」
ネック  ((\(;><)/)) ワタワタワタ……
トライチップ 「おまえは少し落ち着け」



トライチップ 「ってか、敵も味方も外しまくってね…?」
テール 「全部スカッてますな……」
ネック  ((\(>m<;)/)) ワタワタワタ……
トライチップ 「そろそろカティノ(催眠呪文)唱えてくれないかな……?」
ネック  ((\(;>O<)/))カティノ!カティノ!カティノ!!
トライチップ 「乱発するなって……」


トライチップ 「まぁ、相手が全て寝たからいいか」
テール 「それは、逆にまずいのでは?」
トライチップ 「なんで?」
テール 「なぜなら、まだ攻撃してないのは先生だけですので」
トライチップ 「あ………」


羅無市 「寝ている者を…」
トライチップ それはもういいって!!!



─── 2ターン目


トライチップ あのなぁ、先生っ!!
 何度も言うけどさぁ…!!
羅無市 「…………………………………………」
トライチップ  ガミガミ ガミガミ………
   
ガード3人 「「うぅ……、くそ……っ!」」
   
テール 「オヤジが3人ほど起きてきましたぞ」
トライチップ ェェェェッッ!!!
ネック  (/;>Д<)/)))カティノ!カティノ!!カティノ!!!



羅無市 「寝た者を…」
トライチップ なにを聞いてたんだぁっ!!!
テール 「こうなると、むしろ頼れるのは心々ですな」


心々 「ありゃ…?」
トライチップ 誰が頼れるって??!
テール 「すると、最後の砦は沙賀里ですが……」


沙賀里 おほほほほほほほほっ!!(ドガッ!)
ガードB うごぉっ!!
   
テール 「攻撃が当たりましたぞ」
トライチップ 当てただけかいっ!!?



─── 3ターン目


なんと2ターンかけて1人も倒せず......。

これが低レベル命中率ってやつか.........?

トライチップ こいつら、本当に用心棒としてやっていけるのか?!
テール 「ま、敵は全て寝ましたし、これで何とかなるかと……」
トライチップ 「何気に一番活躍してるのはネックだな……」



トライチップ 当てろよっ!!!


マジで攻撃が当たらねぇ......。


心々 「いや、ちょっと待てくれ」
トライチップ なんだっ!?
 言い訳か?!
心々 「うちらってカツアゲをしに来たんだよな?」
テール 「オヤジ狩りです」
トライチップ おまえは黙ってろ
心々 「あいつらが全員寝たんだったら、後は金だけくすねてトンズラすれば良くね?」
トライチップ 「あれ…?」
心々 「無理に殺す必要は無ぇだろ?」
トライチップ 「そ……そう言われると、そうだな………」



残念ですが、それは出来ません

なぜなら「リルガミンの遺産」には「ぬすむ」というコマンドが存在しないので。

オール・オア・ナッシング

全て倒して手にするか、収穫無しで去るかです。


頑張って倒せ。


テール ダメですっ!!
 奴らが訴えたら、我々は終わりですぞ!!!
心々 「海賊が訴え出る訳ねぇだろ。
 むしろ自分らが捕まっちまうのに」
テール 「分かりませんぞ。
 世の中には常識を持たぬバカもおりますので」
トライチップ 「おまえだ」
テール 『目撃者は全て消せ!』
 これは犯罪者の鉄則でございます!!
トライチップ 「犯罪によるだろ」
テール 「と言う訳で、奴らを生かして帰してはなりませぬ」
心々 「だってよ、先生?」
羅無市 「寝ている者に刃を立てるなど、卑劣漢のやること」
トライチップ あのさぁ、先生っ!!!
 毎回言ってるけどさぁ!!!
 生きるか死ぬかの戦闘に卑劣も卑怯もねぇんだよっ!!!
 変な騎士道精神なんか持たなくいいからっ!!!
心々 「騎士道精神じゃなくて、武士道精神だと思うぜ。
 武士道にそういうのがあるのかは知らねぇけど」
トライチップ どっちでもいいよ!!!
 いいか、先生?!
 戦闘ってのは殺るか殺られるかだ!!!
 分かったら、一撃必中でやってくれ!!!
羅無市 「だが………」
心々 「まぁまぁ、先生。
 チップはこれでも一応は依頼者なんだから」
トライチップ 一応って何だよ?!
心々 「ここは一発、きっちり倒してくれよ」
羅無市 「…………………………………………」
トライチップ 「本来ならおまえもだぞ、心々?」


ガードA ぐぅぼわあああぁぁっっ!!!
羅無市 「無名流………疾風の太刀!」
   
テール 「やっと1人」
トライチップ 「やりゃぁできんだから、先生もあれが無けりゃあなぁ……」



─── 4ターン目


ガードB 「な、なんだっ…?!(ガバッ!)
ガードC 「悲鳴が聞こえたぞっ…!?(ガバッ!)
   
テール 「今のでオヤジどもが起きてきましたな」
トライチップ 「やっぱり金だけくすめて逃げるのが正解だった気がしてきた……」
   
ガードD 「あっ!?
 仲間が殺されてるっ!?」
ガードE 「くそっ!!
 絶対に許さねぇっ!!」
   
トライチップ ネック!!!
ネック  \(;>Д<)/)))カティノ!カティノ!カティノ!!カティノ!!
トライチップ 「カティノって何発撃てるの……?」
心々 「連続で叫ぶ分には1回でカウントされるのかもな」


起きてきた奴らは、みんな再びおネンネへ。
やっぱりネック一番優秀だよな。




ガードB うぎゃあああぁぁっ!!
ガードC ぐぼわぉっ!!
羅無市 「無名流…………逆・突風刺し!」
ガードD ぐぎゃあああぁっ!!!
   
テール 「先生が働き始めましたな」
トライチップ 「ってか、"逆"って何……?」
心々 「逆手持ちのことかも……推測だけど」
トライチップ 「なんで逆手持ち?」
心々 「足元に倒れた敵に刀剣を突き刺す時って、
 順手持ちより逆手持ちの方が力を入れやすいからな」
トライチップ 「そうなんだ……」


ってか、やっと攻撃命中し始めた。


───おいおい5ターン目だぜ......


トライチップ 「もう贅沢は言わないから、1ターンで最低1人は消してくれねぇかなぁ……」




トライチップ 「なんかダメそう………」


ガードC 「覚えてろよっ!!」
   
心々 「1人消えたぜ」
トライチップ 逃げただけじゃんっ!!!



───もう6ターン目だよ......


トライチップ 倒せと言ってるんだっ!!!


トライチップ ちゃんと1人は消せよっ!!!


心々 「消えたよ」
トライチップ 人の話し聞いてた?!!
テール 「やはりカティノで足止めをすべきですが…」
ネック  (;◎□+)=3=3 ぜぇ…ぜぇ……
テール 「…ネックが限界っぽいですぞ」
トライチップ 「こんだけ戦闘が長引きゃ、弾切れも起こすだろ……、
 しょうがない、テール、おまえが唱えるんだ」
テール 「承知致しました」


テール 「全員寝かせました」
トライチップ 「やればできるじゃん」
テール 「金がかかっておりますからな。
 やる気が違います!」
トライチップ 「でも攻撃は外しまくるんでしょぉ?」


テール 「ちゃんと当てましたぞ」
トライチップ 「寝てんだから倒せよ……」


ガードF ぐほわあああぁっ!!
羅無市 「無名流・必殺………疾風刺し!」
   
テール 「倒しましたぞ」
トライチップ 「疾風刺しって、馬刺しみたいな名前だな」
テール 「少しは褒めたらどうですか?」



─── 7ターン目とかマジかよ......


ガードG 「くっ……(ふらふら…)
   
トライチップ 「残り1人か……、
 テール、もう1度眠らせろ」


テール 「いかがですか?」
トライチップ 「よろしい。
 さすがにこれで終わるだろ」




テール 「終わりませんでした」
トライチップ 「わし、あっちで昼寝してくる」



─── 8ターン目とかありえねぇ......


ガードG ひぃぎゃあああぁぁっ!!
沙賀里 おほほほほほほっ!!
   
テール 「いきなり沙賀里が終わらせましたぞ」
トライチップ 「人が寝ようとすると、そう来るんかい……」


何気に沙賀里が一番攻撃を当ててた気もする......。


テール 「では、身銭を頂きましょう」
トライチップ 「それが目的なら、やっぱり別に殺す必要はなかったのでは?」
テール 「先ほども言ったではありませんかっ!!
 『目撃者は全て消せ』!!
 悪事を遂行する者の鉄則でございます!!」
トライチップ 「2人ほど逃げたけど……?」


心々 「おーーい!
 あいつらが運んでた宝箱があったぜ!」
   
テール 「おぉ!
 これは思わぬ収穫!!
 やはり『オヤジ狩り』は効率的に稼げますな!!」
トライチップ 「カツアゲの時と変わらなくね……?」


心々 「ふ~~ん………、
 これ、罠は掛かってねぇな」
トライチップ 「ホント?」
心々 「あぁ、本当だぜ」
トライチップ 「違う可能性は…?」
心々 「ま、罠があっても50歩100歩だ」
トライチップ 「あの地獄を見たガス爆弾だったら…?」
心々 「最悪、生きて帰れねぇ人が出る」
トライチップ 「それって天と地の差って言わない?」


いや......これ.....信じていいのか......?


なんかヤバイ気もするなぁ~........。


まぁ、出された物は(ネタ的に)美味しく頂く方針なので、
ここは解除に挑戦してみよう。



心々 「万一に備えて、罠がある前提で開けてみるか……」
   
   
トライチップ 「頑張れー!」
沙賀里 「応援してますわよー!」
   
   
心々 「相変わらず信用無ぇなぁ……(カチャカチャ…)


さて、こういう時に解除に挑戦する罠は、
過去の経験からもう決まっている


ガス爆弾

これが一番被害が酷いので、これを回避できれば、後の罠はなんとかなる


なお、賢明な読者諸氏におかれましては、こういう時は
「開けずに立ち去る」を選ばれますよう、宜しくお願い致します。



心々 「む~~……(カチャカチャ…)
   
   
トライチップ 「……………………………………」
沙賀里 「……………………………………」
   
   
心々 あっ!
   
   
トライチップ  …ビクゥッ
沙賀里 「どうなさいましたぁー?!」



心々 「やっぱ罠は無かったわ!」
トライチップ 「なんだよ、驚かせるなって……」
沙賀里 「さっそく中を確認致しましょう」
心々 「いつの間に側に戻って来たんだよ……(汗)


トライチップ 「なんかオノが入ってたぞ」
テール 「さぁさぁ、オヤジ狩りの成果を見せて下され」



また「いくさオノ」! ! !


これで3本目だよ!!!

メインパーティーの時には1本も出てこなかったくせに、なんだ、これ?!



テール 「では、これは早速売り飛ばし、金に致しましょう!」
トライチップ 「それ、『盗品の転売』と同じじゃない?」
テール 「何を仰ってるのですか?
 これは盗んだのではなく、強奪したのですぞ」
トライチップ 「実質同じだろ……」



帰還します。




 



さて、ここで先生(羅無市(戦士))心々(盗賊)レベルアップ!!!


━━━━ 羅無市(戦士)


おぅ...前衛で大切な生命力が落ちてしまった......。

他はいいけど、これはちょっとイタイな。


━━━━ 心々(盗賊)


こっちも重要な素早さが落ちやがった!!!


このパーティー(いろんな意味で)大丈夫か?!

 










つづきは2025年7月12日(土)公開予定。

 


【更新履歴】
2025年 7月 5日:第1節まで公開。