14.恐怖!死を呼ぶ「呪いの井戸」

【登場人物】  
サーロイン ロイヤルレンジャーズのリーダー。サーは敬称。
三洲次 元盗賊だった日本男児の侍。発音は「みすじ」。
接近戦最強のくノ一。でも細かい事は大嫌い。
ロース こんな名前だが細身で美人なエルフの女魔法使い。
ランプ 財宝一筋なエルフの司教。パーティーの知恵袋。
ブリスケット 日本オタクのエルフの僧侶。あだ名は「ブリ助」。

読了時間 (目安):約20分(動画無)約28分(動画込)
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━━━━ キャッスル 夕暮れ時.....


パーティー6人は経験値稼ぎの合間に休憩をとるため、雑談をしながら酒場へと向かっていた。

ランプ 「『呪いの井戸』の噂って、聞いたことあります?」
サーロイン 「今度は何だって?」
ランプ 「『呪いの井戸』です」
サーロイン 「『呪いの井戸』……?
 何だ、それ?」
ランプ 「『呪いの井戸』を見た者はいずれロストしてしまう、ってやつです」
ロース 「またホラー話し?
 最近流行ってるのね」
三洲次 「井戸を見ただけでロストするの?」
ランプ 「噂でしか聞いたことがないので具体的なことは不明ですが、
 ともかくその井戸を見た者は不幸な目に遭い、簡単に死んでしまい、最後はロストしてしまうとか……」
三洲次 「ふ~~ん……」
ブリスケット 「どこにあるんすか、その井戸?」
ランプ 「分かりません。
 現実に存在する井戸って訳ではないらしいので」
サーロイン 「どういうことだ?」
ランプ 「夢の中とか鏡の中とか、そういう非現実的な空間に現れるそうです」
サーロイン 「なんて言うか、それはそれでホラーっぽいシチュエーションだな」
ロース 「ねぇ、誰か井戸の夢とか見たことないの?」
三洲次 「いえ」
ブリスケット 「無いっすね。
 まぁ、覚えてねぇだけかも知れやせんが」
サーロイン 「一口に井戸と言ってもたくさんあるからな。
 どれが呪いの井戸か分からないのなら、もし見たとしても気付かないだろ」
ロース 「じゃぁ、もしその井戸を見ても、結果論でしかないのね」
ランプ 「そう言われると、そうですが……」


………………………………


……………………


…………


━━━━ ギルガメッシュの酒場.....


夜に向けて少しずつ客が増え始めた店内に入ると、
6人は空いているテーブルを見付けて、思い々の場所に座った。

三洲次 「ふぅ……疲れたな………」
ブリスケット 「おやっさん!
 注文頼んますぜ!!」


そして注文を済ませると、再び雑談を始めた。

ブリスケット 「料理が来るまで、また『YouBall』でも見やせん?」
三洲次 「あのHIKA君っての以外なら……」
ロース 「人気があるって言われても、あの内容は無いわよねぇ」
ランプ 「横にある目録で、他に面白そうなのを探しましょう」


6人は料理が来るまでの時間潰しに、店の壁際に置いてある大きな水晶玉の所へ移動した。

ランプ 「これが目録です。
 どれを見ます?」
三洲次 「そうだなぁ……」
ロース 「ねぇ!!
 ちょっと!!
三洲次 「え?」
ロース 「水晶玉が…?!」


6人は一斉に水晶玉を覗き込んだ!!

すると何もしていないのに、水晶玉の中が墨をこぼしたように黒色に塗り替えられていった。

その真っ黒な映像に、針の先程の光の点が明滅し始めたかと思うと、それは徐々に膨らんで
右に左に飛び回り、やがて左の隅に固定された。
そして、枝分かれをし、先のほつれた光の束となり、ミミズのように這い回って複数の文字を形作り始めた。
それは真っ黒な紙に、白い筆で書かれたへたくそな文字の様であった。

それでもどうにか、こんなふうに読めた。


終いまで見よ


命令形である。

次に、その白色の文字はそのまま拡大し、水晶玉の中から黒い色を追い払ってゆく。
から乳白色へ、変化は単調であった。
さらに乳白色の色合いはゆっくりと薄くなり、水晶玉の中にモノクロの風景を浮かび上がらせた。


そこは高い木々に囲まれた林の中で、地面には何か木製の丸いモノが映っていた。



それは井戸であった。

 

ロース 「ね、ねぇ……、これって………」
サーロイン 「いや……、まさか………」

 


………………………………



……………………



…………



……



.

 



【目次】

1.成長していない成長

2.死を呼ぶ「呪いの井戸」(前編)

3.死を呼ぶ「呪いの井戸」(後編)

4.死を呼ぶ「オヤジギャグ」




1.成長していない成長




さて、時間は少し戻りまして、迷宮での経験値稼ぎです。

現在はレベル5を目標に経験値稼ぎをしています。
前回で基本職がレベル4になったので、他のメンバーもそろそろレベルアップの頃でしょう。

ってな訳で、今回もバラックで修行を続けます!


━━━━ バラック.....



三洲次 ぐほぉぉっ
ブリスケット 「三洲次っちって毎回ジャイアントスラグに狙われるっすね……」
ロース 「やっぱりナメクジには美味しそうに見えるんだわ」


サーロイン 「三洲次っ!!
 やられた分はキッチリやり返すぞっ!!
三洲次 「もちろんです!!
 俺を狙ったツケを払わせてやるぜっ!!



サーロイン
& 三洲次
「「う~~ん………」」
ランプ 「あの2人、毎回これですね……」
ロース 「まったく成長しないわよね……」


おらおらおらおらっっ!!
 死ねやあああぁぁっ!!!
スラグ グワギャアアアァァッ!!
   
ブリスケット 「敵を倒してんの、毎回ほぼ桃っちですぜ……」
ロース 「経験値が平等って、絶対におかしいわ……」




━━━━ バラック 別の部屋.....


サーロイン 「三洲次っ!!
 今度こそ前衛男性陣の真価を見せてやるぞっ!!
三洲次 「もちろんです!!
 俺たちだって、やれば出来ることを見せてやりましょうっ!!



サーロイン
& 三洲次
「「う~~む………」」
ランプ 「なんなんですかね………これ………?」
ロース 「あの人たち、経験値もらえる資格あるのかしら……?」


あたいらの前に出て来るたぁ、
 いい度胸じゃねぇかあああぁぁっ!!!
ドロドロしたモノ ギィヒャアアアァァッ!!
   
ブリスケット 「やっぱり毎回桃っちが倒してやすぜ……」
ロース 「前衛で経験値を得ていいの、ぜったい桃だけよね」
サーロイン (;T_T) ………………………………
三洲次 (;T_T) ………………………………



まぁ、そんなこんなで......



...この他にも敵を倒して戻ると、サーロイン(君主)三洲次(侍)レベル4レベルアップしました。


──── サーロイン(君主)




──── 三洲次(侍)


 

ロース 「あなたたち、あんな戦果しか挙げてないのに、
 何をもってレベルアップしたって言ってるの?」
サーロイン (;TMT) ……………………………………
三洲次 (;TT)……………………………………

 


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2.死を呼ぶ「呪いの井戸」(前編)




さて、場面は再び冒頭の酒場に戻ります。


━━━━ ギルガメッシュの酒場.....

パーティーが覗き込んでいる水晶玉怪しげな井戸が映りだしたのだが........

三洲次 「こ……これは………」
ランプ 「まさか……『呪いの井戸』………?」


6人水晶玉の映像を見ていると、突如、井戸の中からが一本出てきて、それは井戸の縁をガッチリと掴んだ。

さらにもう片方の井戸のヘリを力強く掴むと、穴からそいつの身体と思われるモノを持ち上げた。


それは映像の暗さをより引き立てるほどに真っ黒いモノであった。


ブリスケット 「な……なんすか……、あれ………?」
サーロイン 「分からん………」



よく見ると、その真っ黒いモノはの様にも見えた。

身体全体を覆うほどに長い黒髪........。

その黒い髪に覆われたモノは、井戸から外へと出ると......、


....ゆっくりとこちらに這い寄り始めた........。


ランプ 「こ……こっちに来ますよ……?」
ロース 「ねぇ……、逃げた方がいいんじゃないの……?」
サーロイン 「み……みんな落ち着け……、
 た………たかが映像だ…………」
ロース 「で、でも………」



そして、その黒いモノは水晶玉の鏡面の一番近くまで来ると........



………………………………



……………………



…………



 



━━━━ 迷宮内 海賊の砦
     ハイコルセアの部屋.....

砦の中で最も広いハイコルセアの部屋には燭台型のランタンが数多く設置されており、
部屋の中は煌々とした明かりに満ちていた。
その充分な照明の中、ハイコルセアはただ1人、真紅の絨毯の上に座って、厚手の本をゆっくりとめくりながら読書をしていた。

すると、部屋の扉がノックされ......、

キャプテンA 「失礼します」


...1人のガリアンキャプテンが中に入ってきて、
ハイコルセアの側までやって来た。

キャプテンA 「お呼びでしょうか?」


ハイコルセアは読んでいた本をパタンッ…と閉じると、
鷹の様に鋭い視線でガリアンキャプテンを真っ直ぐに見た。

ハイコルセア 「俺たちの財宝をバラック周辺から引き揚げる作業はどうなっている?
 最近報告に来ないから、進捗がサッパリ分からん」
キャプテンA 「思う様に進んでおりません。
 例の爆弾を次々と爆発させまくってるパーティーにかなり盗られた上に、
 徘徊している魔物たちが妨害になっています」
ハイコルセア 「ちっ………、
 魔物が徘徊しているから人が寄り付き難いと思ったのに、それが仇(あだ)になったか……。
 まぁ、そっちはもう仕方がない。
 それよりそのパーティーだが、なんとか片付けられんのか?」
キャプテンA 「なかなか手強い奴らのようで、まともにやり合うと分が悪いようです」
ハイコルセア 「弱ったな………、
 打つ手は無しか?」
キャプテンA 「ご安心下さい。
 既に手を打ってあります」
ハイコルセア 「ほぉ……どんな手を?」
キャプテンA 「呪いや祟りといった目に見えない力で奴らを脅します。
 人間離れした超自然的な力が相手と知れば、生身の人間なら手に負えないと考えて逃げ出すでしょう」
ハイコルセア 「なんだ、そりゃ?
 俺たちに呪ったり祟ったりする力なんて無いだろ?」
キャプテンA 「本当に呪ったり祟ったりする必要はありません。
 呪われたと『思わせる』だけで充分です。
 なぜなら『恐怖』は人を怯えさせ、萎縮させ、行動を制限します。
 だから恐怖さえ植え付ければ、目的は達成できるのです」
ハイコルセア 「ふ~~ん………。
 そこまでは分かったが、具体的にどうやるんだ?」
キャプテンA 「実はしばらく前から『呪いの井戸』の噂を酒場に流しています」
ハイコルセア 「『呪いの井戸』…?」
キャプテンA 「はい。
 『呪いの井戸』を見た人間は不運につかれ、容易く死に、そしてロストしてしまう……という噂です。
 もちろん作り話しですが……」
ハイコルセア 「で?」
キャプテンA 「しかし、ロストを回避する方法が1つだけある……とも伝えます」
ハイコルセア 「それは?」
キャプテンA 「死にやすい場所へ行くな………つまり、『迷宮に入らず、地上で大人しくしていろ』です。
 冒険パーティーにとってロストは絶対に避けたい事態ですから、
 これで奴らは迷宮に入るのを躊躇(ためら)うでしょう」
ハイコルセア 「そんなうまくいくかな?
 だいたいその井戸はどこにあって、どうやって奴らをそこに連れて行くんだ?」
キャプテンA 「連れて行く必要はありません。
 映像共有水晶玉『YouBall』を使って強制的に見せるのです。
 既に水晶玉を操れる2人のガリアンプリーストを酒場へ送り込んでいます。
 そこで例のパーティーが水晶玉に近づいたタイミングを見計らって、我々が作った井戸の映像を水晶玉に映します。
 水晶玉同士は映像を自由に転送できるので、それを利用して勝手に映像を流すのです」
ハイコルセア 「ふ~~ん……、手が込んでるな」
キャプテンA 「ま、作戦は問題無く進行中ですので、どうぞお任せ下さい」
ハイコルセア 「分かった。
 吉報を待ってるぞ」
キャプテンA 「はっ!」

 

…………


……………………


………………………………


…………………………………………



━━━━ ギルガメッシュの酒場.....

場面は再び酒場へ......、

店の片隅には、冒険者に変装したガリアンプリースト2人がテーブルに座り、
水晶玉を覗く6人を横目で観察していた。

プリーストA 「奴ら、わしらが送り込んだ映像を見て、ビビッておるぞ……」
プリーストX 「思う存分恐怖を味わうがいい……、
 殺された仲間の分までな……!!」
プリーストA 「殺された仲間……?」
プリーストX 「あぁ……、
 わしが仲間と共に宝箱を運んでいたら、奴らが襲って来てな………。
 わしだけは命からがら逃げて来れたが、
 その時の仲間はみんな奴らに殺され………宝までも奪われたのだ!」
 (参考) 第6話「ガリアン海賊団」
プリーストA 「その様なことが……」
プリーストX 「あぁ……、だからあの時の雪辱を、今こそ晴らしてやるのじゃ!!
 さぁ、わしの渾身の変装と迫真の演技で、タップリとビビるがよいっ!!」


2人のガリアンプリーストは店の隅から、再びパーティーの6人の動向を注視しはじめた........。

パーティーの6人が覗く水晶玉の中には、
床まで届くほど長い黒髪に覆われた人間らしき生き物が、井戸から出て来ると、
ゆっくりと6人の方へ這い寄って来ていた。

そして、ついに水晶玉の鏡面の一番近くまで来た途端......、

ロース 「ちょっと……手前まで来たわよ……!」
サーロイン 「だ……大丈夫……!
 しょ……所詮、映像だ………」


......水晶玉の映像がガラッと変わった!

HIKA君 ぶんぶん!
 ハロー、YouBall!!
 どうも、HIKA君です!!」


店の隅っこでは......

プリーストA 「え?? なんだ、これ?!」
プリーストX 「あ……ありゃ?
 HIKA君の映像を残そうとして、
 間違って……上書きしちゃった……?」
プリーストA 「なにぃぃっ!?」
プリーストX 「わ……わしの一番の熱演シーンが……」
プリーストA 「おまえ、どうすんだよっ!?」
プリーストX 「あ、で…でも別の映像を残そうとすぐ止めたから、
 映像もすぐ元に戻るはずじゃ」
プリーストA 「おいおい……」



6人があっけに取られていると、水晶玉はまた元の暗い映像に戻った。

既に井戸の映像は消えており、再びをこぼしたように全面が真っ黒であった。

そして、始まりと同じく、白い文字が浮き上がってきた。

ファーストシーンの文字はいかにもへたくそで、覚えたての幼児の書いた文字を思わせたが、
ラストのそれはいくぶんマシになっていた。

サーロイン 「今度は……何だ………?」


その文字は文章の一部のようで、数文字ずつ現れては消えていく......。

水晶玉 「この映像を見た者は……」
水晶玉 「いずれ……」
水晶玉 「ロストする運命にある……」
水晶玉 「消滅したくなければ……」
水晶玉 「今から言うことを……」
…」
水晶玉 「実行せよ……」
水晶玉 「すなわち……」
水晶玉 「迷宮に……」
楽チンカードマアアァァァン!!


プリーストA 「おい……まさか、こっちにも……?」
プリーストX 上 書 き し ち ゃ っ た か も………
プリーストA アホかあああぁぁっ!!
プリーストX 「で、でも、こっちもすぐに止めたから!」
プリーストA 「もう遅いわっ!!」


楽チンカードは皆さまのおかげでNo.2!
 ……ナンバァトゥゥゥゥ……
 13年連続 顧客満足度No.2!
 ……ナンバァトゥゥゥゥ……
 しかもリルガミンで2番目に利用されているカードなんです!
 ……ナンバァトゥゥゥゥ……
 今すぐお申し込みをっ!!
 楽チンカードマアアァァァンン!!
HIKA君 「おはこんばんちわ~!
 どうも、HIKA君です!
 今日はですね…」


そこで水晶玉の映像は元に戻り、先ほどの闇、そして最後の文字が消えた残像。
そしてザーッという雑音が入り、映像は終わったようだ。

サーロイン 「……なんだ?……こりゃ」


それ以外、一体なんと言ったらいいのか。

ランプ 「いや、今の映像って………絶対に『呪いの井戸』ですよ!」
ロース 「じゃ……じゃぁ、私たち……ロストするの?!」
ブリスケット 「し……しかし、助かる方法があるっぽいですぜ……?」
三洲次 「でも、楽チンカードマンが邪魔して、肝心の部分が………」
サーロイン 「だが見えた範囲から、助かる鍵はどうやら迷宮にあるようだな……」
ランプ 「ど……どうします?」
サーロイン 「迷宮に助かる可能性があるなら、うかうかしていられん!
 さっそく迷宮に行こう!!」
ロース 「でも、迷宮のどこに……?」
サーロイン 「それは…………分からんが、
 いずれにせよ行動範囲を広げるためにも、少しでも早く経験値を稼ごう!」
三洲次 「ロストまで、どれだけの猶予があるんだろう……?」
ブリスケット 「分かんねぇっすが、とにかく急ぎやしょう!」
サーロイン 「うむ、すぐに迷宮へ出発だっ!!」


パタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタ...


プリーストA 完全に逆効果じゃねぇかっ!!
プリーストX 「ありゃ~~……」



………………………………


………………………


………………


………



━━━━ 迷宮.....


サーロイン 「とにかく少しでも多く魔物を倒して、
 どんどん経験値を稼ごう!!」
三洲次 「はいっ!!
 バンバンいきましょうっ!!」




バンッ!        ← 扉を蹴破った音


三洲次 「ここに敵はいません!」
サーロイン 「次っ!」


バンッ!


ランプ 「ここにも居ません!」
サーロイン 「次っ!」


バンッ!


ブリスケット 「空っぽっですぜ」
サーロイン 「次っ!!」


バンッ!


ロース 「空き部屋だわ」
サーロイン 「次っ!!」


バンッ!


見つからねぇと思ったら大間違いだっ!!
 とっと出て来いやぁっ!!!
サーロイン 「桃……、居ないっぽいから、いいよ………」
三洲次 「って言うか………」



  

 


 


リルガミンの遺産」って、ちょっと敵が出なさ過ぎでは......?

 

…………………………………………



………………………………



……………………



…………


━━━━ 海賊の砦
     ハイコルセアの部屋.....

キャプテンA バカもーーんっ!!!
プリーストX 「ひぃ…!?」
ハイコルセア 「……………………………………」
キャプテンA 「あいつら、むしろ前より迷宮に来るようになったってことかっ?!」
プリーストA 「はい……」
キャプテンA 完全に裏目じゃねぇかっ!!!
プリーストX 「いやぁ~~………」
キャプテンA 「おまえらの失態だぞっ!!
 どうしてくれるんだっ?!
プリーストA 「ご安心下さい、
 既に手を打っております」
キャプテンA 「どんな?!」
プリーストX 「呪いの井戸の話しに、つづきの話しを付けて流してきました」
キャプテンA 「つづき?」
プリーストA 「はい。
 『現実で呪いの井戸を見たら、即座に呪い殺されてしまう』と……」
プリーストX 「あと、『助かりたければ、すぐに立ち去って、2度と迷宮に入らないこと』って」
ハイコルセア 「……………………………………」
キャプテンA 「それだと井戸に近付かなければいいだけじゃねぇかっ!!」
プリーストA 「いえ、撮影に使った造り物の井戸を迷宮に持って行って、奴らに見せます!」
プリーストX 「これで奴らは一目散に逃げ帰ること間違いなし、です!!」
キャプテンA もしうまくいかなかったら、てめぇら鞭打ちの刑だからなっ!!
プリースト達 「「ひぃっ?!」」
キャプテンA 今すぐ行って、奴らを追い返してこいっっ!!!
プリースト達 「「はいいぃぃっ!!!」」
ハイコルセア 「……………………………………」


ガリアンプリースト2人は逃げる様にハイコルセアの部屋から出て行った。

キャプテンA 「申し訳ありません、レッド。
 どうやら失敗したようです」
ハイコルセア 「……………………………………」


レッドという名のそのハイコルセアは、ガリアンキャプテンの謝罪にはすぐ反応せず、
手に持っている本のページを意味も無く何度もパラパラ…とめくった。

ハイコルセア 「……………………………………」
キャプテンA 「……………………………………」
ハイコルセア 「手が込み過ぎだな………」
キャプテンA 「え?」


ハイコルセアは手に持った本に視線を落としたまま、呟くように答えた。

ハイコルセア 「別に手の込んだことをやってもいいが、
 そういう時は精密な計画と周到な準備……、そして練習が必要だ………」
キャプテンA 「……………………………………」
ハイコルセア 「それをあんなドジな奴らに任せては、失敗したところで当然だろ」
キャプテンA 「すいません………」
ハイコルセア 「その上、何の反省も無く似た様なことを続けるだと?
 それじゃぁ、また失敗するに決まっている」
キャプテンA 「……………………………………」
ハイコルセア 「まぁ、例の奴らが迷宮に入り浸るようになったってことは、
 そいつらを倒す機会が増えた、ってこともであるな」
キャプテンA 「……………………………………」
ハイコルセア 「せっかくの機会だ、
 他にも討伐する奴らを迷宮に放て」
キャプテンA 「分かりました」


ガリアンキャプテンはそう返事をすると、
部下たちに指示を出すため、足早に部屋から出て行った。


1人残されたハイコルセアは、ページをいじる手を止めて本を床に放り投げると、
顎を手の平に乗せ、仲間の失態に呆れるように......深い溜息を1つ付いた......。


…………


……………………


………………………………


…………………………………………



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3.死を呼ぶ「呪いの井戸」(後編)




━━━━ 地上 迷宮へ続く道.....


ランプ 「例の『呪いの井戸』ですが、噂に続きがありました」
サーロイン 「続き?」
ランプ 「はい」
三洲次 「もしかして助かる方法とか?!」
ランプ 「いえ、むしろ逆です」
ブリスケット 「マジっすか……」
ロース 「それで、続きって?」
ランプ 「『呪いの井戸を現実で見ると、呪いの威力が強過ぎて即座にロストしてしまう。
  助かりたければ、すぐに立ち去り、2度と迷宮に入らないこと』」
三洲次 「結局ロストするんだ……」
ロース 「でも、今回は気にしなくて良さそうね」
ブリスケット 「なぜっすか?」
ロース 「だって、今行っているバラックには井戸が無いって分かってるじゃない?
 だから井戸を見ることなんて無いわよ」
サーロイン 「ロースの言う通りだな。
 バラックで経験値稼ぎをしている間は、気にしなくて良いだろう」
三洲次 「そうと分かれば、早くレベルアップして行動範囲を広げ、迷宮の中で助かる方法を見付けましょう!」
ランプ 「行動範囲が広がったら、むしろ井戸に遭遇する可能性が高まりません?」
サーロイン 「現実の井戸に関係無くロストするかも知れないのなら、
 助かる術が迷宮にある以上、迷宮内を頑張って探索すべきだ」
ブリスケット 「そうっすね。
 少しでも早くレベルアップし、頑張って助かる方法を見つけ出しやしょう!」



━━━━ 迷宮内 バラック.....


ともかく、引き続きバラック経験値稼ぎをします。

で、さっそく......


...通路に並んだ......


...扉の1つに入ると......、

ガチャッ.....      ← 扉を開けた音


...その部屋の中には........


...なんと..........



    ┏━┳━┳━┓
    ┣┳┻┳┻┳┫
    ┣┻┳┻┳┻┫
━━━━┻━┻━┻━┻━━━━



...井戸が存在していた!



.....えぇ、これは井戸です!

誰がなんと言おうと、上のAAは井戸なんです!



ロース 「ちょっと……!
 あれって……!?」
ブリスケット 「なしてここに井戸が?!」
サーロイン 「水晶玉に映っていたのと同じ井戸だな、あれ……」
三洲次 「ってか……先日まで無かったのに……?!」
ランプ 「超自然的なモノに……現実の物理的なルールは通用しないのかも………」
   
??? 愚かなる生者どもめ………」
   
サーロイン 「な……なんだ?!」
ランプ 「どこから声が…!?」
(………!)
ブリスケット 皆の衆っ!!
三洲次 「…え?」
ブリスケット 井戸の縁に手が…っ!?
サーロイン 「なにっ?!」


突如、井戸の中からが一本延びてくると、それは井戸の縁をガッチリと掴んだ!

さらにもう一方の井戸のヘリを力強く掴むと、穴からそいつの身体と思われるモノを持ち上げた!

三洲次 「あれは……」
サーロイン 「水晶玉に映っていた奴と同じだ………」


そう、それは水晶玉の映像で見たのと同じ、真っ黒い髪で全身が覆われたモノであった。

ロース 「ね……、ねぇ…!
 噂の通りなら、すぐに逃げましょう!」
ブリスケット 「そ、そうっすね!」
「待ちな!」
ブリスケット 「…え?」
ロース 「な、なによ、桃!?」
「逃げなくても大丈夫だぜ」
サーロイン 「なぜだ?! 桃!?」
「……………………………………」


その真っ黒いモノは穴から半身を出すと......、

....井戸から外へ出て来て........、

  ....ゆっくりと......ゆっくりとこちらへ.........


ジリ........ジリ........ジリ........ッ


    ....這い寄って来た.............。


三洲次 「こ………こっちに来るぞ……?!」
ブリスケット 「あ……あっしらを呪いの力で殺すつもりですぜ………!」
「そんな呪いなんて無ぇよ。
 まぁ、強いて言えば、あいつの動きがノロイぐらいだ」
ロース 「ほ……本当に大丈夫なの……?」
「大丈夫だよ」
サーロイン 「も……桃、……何を根拠にそんなことを……?」



そして、その真っ黒いモノはパーティーの側まで来ると........、


.....シャッ!



三洲次 ひいぃっ?!(ぴょんっ!)
ブリスケット 「うわぁっ!!」
ランプ 「ほら! 殺されますって!!」
「呪い殺すんじゃなかったのか?
 なんで刀で突き刺してくるんだ?」
サーロイン 「……え?」


真っ黒いモノの近くまで歩いて行くと、そいつの頭を左手で思いっ切り掴んだ!!

??? げひぃっ?!
「てめぇの声………聞き覚えがあるぜ………」
??? え?!
「あたいの記憶力をなめるなよ。
 おめぇ……死刑にしてやるとかほざいていたガリアンプリーストだろ?」
プリーストX 「え? …え?!
  (参考) 第6話「ガリアン海賊団
「偉そうなことを言っていた割に、あっさり逃げやがって……」
プリーストX 「うぅぅっ………(汗)
「そんなダセェ変装で、あたいらを騙せるとでも……?」
プリーストX 「う……うぅ………(汗)
「唸ってねぇで、何とか言えよ?」
プリーストX ……おお愚かなる生者め!!
 ななな何を勘違いしているのか知らんが、
 のの……呪い殺す力を持つわしを、みみみみくびるなよっ!!
 ……おおおまえなど、いいい一瞬でロストさせられるのだぞっ!!!
「へぇ~~……」
プリーストX ……せせせめてもの情けだっ!!
「………………………………」
プリーストX じゅじゅ10秒だけやるっ!!
 すぐに逃げるんだなっっ!!!


だが、桃は段平の刃先を相手の首元に突き立てると......

プリーストX 「ぎぃ?!」
「せめてもの情けだ。
 2秒だけやる、
 呪い殺してみな」
プリーストX 「ひぃ……ひぃ………」


プリーストX ひぃぎゃあああぁぁっ!!
   
   
「チンケな噂と同じ井戸をこいつらが用意してきたってことは……、
 その噂の出処も知れてるってことだ」
三洲次 「つまり……」
ロース 「…海賊たちの作り話しだったってことね!」
ランプ 「そうなると『2度と迷宮に入るな』って下りも、意図が見え透いてきましたよ」
ブリスケット 「幽霊の正体見たり、海賊ども…ってぇとこっすな」


突如、部屋の中のガラクタの陰から......

??? 「く、くそっ!
 完全にバレたぞっ!!」
??? 「こうなれば、実力行使じゃっ!!」
   
三洲次 「……ん?」
ランプ 「今度は、どこからか声が……?」
   
??? きょえええぇぇっ!!
   
ロース 「横の物影から…っ?!」」
ブリスケット 「ロイン殿、あぶねぇっす!!」
サーロイン 「な~に……、タネが分かってしまえば……(スラッ!)


海賊A 「ふぎゃあああぁぁっ!!」
サーロイン 「……もはや恐れるモノは無いっ!!
   
海賊B 「ひるむなぁぁっ!!」
海賊C 「全員でかかれぇぇっ!!」
   
三洲次 「…お?」
ブリスケット 「物陰から続々と……」
ロース 「思った以上に数がいるわ!」
サーロイン 「ランプ、ロース、動きを封じろっ!!



サーロイン 「うむ」



─── 2ターン目


三洲次 「桃の言う通り、ガリアンプリースト達だったかっ!!」
   
プリーストA 「うぅぅっ……!」
海賊B 「く、くそ……っ!」
   
ロース 「何人かは、もう起き出したわ!」
サーロイン 「よし、ブリ助!
 おまえがモンティノを覚えた意義が活きる時が来たぞっ!!」



ブリスケット 「お任せ下せぇ!!」
サーロイン 「後衛は起きてきた後列の海賊を、もう一度寝かせてくれ!!
 後は前衛全員で攻撃だっ!!」


戦闘続行っ!!

ブリスケット 「久々のモンティノですぜ!!」



ブリスケット 「おっと、1人しか封じられなかったっす」
サーロイン 「え? ……どっちを封じた?
 寝てる方? 起きてる方?」


ってのが分からないのが、このインターフェースの欠点だなぁ...。

まぁ、分かったところで、どうなるものでもないが......。

サーロイン 「まぁ、いい。
 三洲次、桃っ!!
 数を減らすぞっ!!
三洲次 「はいっ!!」
任せなっ!!


プリーストA うがあああぁぁっ!!


海賊B ぐぃぎゃあああぁぁっ!!


三洲次 「………あれ?」
   
ランプ 「どうしてロインと三洲次って、どっちかは必ず倒し損ねるんですかね……?」
ロース 「もうそういうものだと思いましょ」
ブリスケット 「それで良いんすか……?」
サーロイン 「ロースっ!!
 喋ってないで、おまえも呪文を唱えてくれ!!」
ロース 「はいはい……」


ロース 「後ろの2人は寝かせたわ」
サーロイン 「よし!」
プリーストB 「く………くそっ!
 わ……わしらをなめるなよっ!!」
三洲次 「こんな状況でも強がるのか」
ブリスケット 「ほんに口だけは偉そうっすな」
プリーストB 「き……貴様らなど、
 簡単に呪い殺すことができるんだからなっ!!
ロース 「まだ言ってるわ」
サーロイン 「さっき、何を学習したんだ?」
プリーストB ハッタリだと思ったら、大間違いだぞっ!!
ランプ 「はいはい……じゃぁ、やってみて下さい」


ランプ くほおぉっ!!
   
サーロイン 「バディオス(呪いの言葉で攻撃する呪文)だ……」
ロース 「一応それっぽいことは出来るのね………」
ブリスケット 「ってか、モンティノが効かなかったの、起きてた方なんすか……?」
三洲次 「意味無ぇ……」



─── 3ターン目


海賊C 「うぐぐっ……!」
海賊D 「む……むぅ……っ!」
海賊E 「お……おのれっ……!」
   
ブリスケット 「後ろの海賊どもが続々と起きだしたっすぜ」
三洲次 「じゃ、根こそぎ倒しますか」
ロース 「三洲次!」
三洲次 「はい?」
ロース 「さっき倒せなかったガリアンプリーストは、あなたが責任持って倒しなさいよ」
三洲次 「はい………」


まだまだ戦闘続行っ!!


プリーストC ひぎゃあああぁぁっ!!
三洲次 「よし、倒したぞ!」


もう永遠に寝むってなっ!!
海賊C ぐはあああぁぁっ!!!


サーロイン 「………あれ?」
   
ランプ 「だからなんで必ず片方は倒し損ねるんですか……」
ロース 「そういうものだと思って、諦めなさい」
ブリスケット 「どういうものっすか……?」
   
海賊D ええぇぇいっ!!
 喰らえええぇぇっ!!


「ほっと!(さっ!)
海賊C 「………あれ?」
   
海賊D 「ダメだっ! こいつら強すぎる!!」
海賊E 「くそっ……、逃げるんだっ!!」
   
ブリスケット 「あやつら、逃げる気ですぜ!」
ランプ 「逃しませんよ!」


ランプ 「………あれ?」


ロース 「なんであんな奴を逃すのよっ!?」
ランプ 「そういうものだと思って、諦めて下さい」
ブリスケット 「全然言い訳になってねぇですぜ………」



─── 4ターン目


サーロイン 「残り2人!」
三洲次 「よし!
 桃、一気にケリをつけるぞっ!!」
「うぃっす!!」



三洲次 「よぉーしっ!!」 ← ハイタッチ
「うっしゃー!!」 ← ハイタッチ


勝利!!


ブリスケット 「皆の衆っ!
 あやつらの隠れていた所に箱がありやしたぜ!!」
三洲次 「コスプレ道具とかを持ち運んでいたのかな?」
ランプ 「他にも何か入っているかも知れません!
 開けてみましょう!!」
サーロイン 「よし、桃、調べてくれ」
「メンドくせぇなぁ……」


「スタナーっぽいぜ」
サーロイン 「……どう思う?」
三洲次 「どう思うって?」
サーロイン 「スタナーだと思うか?」
三洲次 「前に一度だけ出て来ましたから、あり得るかと」
サーロイン 「解除出来るかな?」
三洲次 「いやぁ~、前回失敗しましたからねぇ」
サーロイン 「そうか……」
三洲次 「けど……」
サーロイン 「……けど?」
三洲次 「どうせ被害を被るのは桃だけですから」
サーロイン 「そっか。
 じゃ、いっか!」
三洲次 「いいでしょ!」
てめぇら、首をかっ斬られてぇか!!!



スタナーの解除、初成功!!

サーロイン 「なんだ………」
三洲次 「ちぇっ………」
てめぇら、ぶっ殺してやるううううぅぅっっ!!!


ブリスケット 「中には『オノ』が入ってやしたぜ」
三洲次 「あいつら、これも攻撃に使うつもりだったのかな?」
ロース 「そっちの方がよっぽどホラーだわ……」
サーロイン 「ランプ、鑑定を頼む」
ランプ 「はい」


ランプ 「ただの『斧』です。
 そう言えば、以前もガリアンプリーストの運んでいた宝箱に入っていましたね」
ロース 「プリーストと斧って、何か関係があるのかしら?」
ブリスケット 「そりゃぁ、僧侶の武器と言やぁ、やっぱ斧っしょ!」
三洲次 「んな訳あるか」
サーロイン 「ブリ助、その斧を装備するか?」


サーロイン 「じゃ、金貨の分配も終わったら、次へ行こう」


かくして、さらなる経験値アイテムを求めて、バラック内での戦闘が続きます......



サーロイン ぎゃあっ!?


サーロイン ぐほぉっ!!


サーロイン ぐわっ!!


サーロイン ふぉごっ!!



サーロイン 「ぜぇ…ぜぇ……」
ブリスケット 「ロイン殿、ちょっと……」
サーロイン 「ぜぇ…ぜぇ………え?」
ブリスケット 「こ奴らと戦っても得るもん少ねぇんで、もう戦うの止めやせんか?」
サーロイン 「はぁ…はぁ………そ、そうだな……、手強いし………」


まぁ、サーロインは一度殺されてるから。





三洲次 弱いなっ!!
弱ぇぜっ!!
サーロイン (T_T;)………………………………


...ってな感じで、コツコツと経験値を貯め続けていきます。

そんな中........


…………………………………………


………………………………


……………………


…………


……






━━━━ 海賊の砦 とある一室.....

心々 「なぁ、みんなっ!!
 聞いてくれっ!!


その部屋は、訓練所を出た元冒険志願者たちの中でも、今は海賊になった者たちが集まっている場所であった。
そこへ心々(しんしん)という、やはり訓練所を卒業した後、海賊に加わっていた日本人の少女が駆けこんで来た。

キャプテンZ 「どうした、心々?」


声を掛けたのは、元冒険志願者たちを束ねている20台後半の若いガリアンキャプテンだった。

心々 「迷宮に来たパーティーを片付けるために、討伐が目的の奴らを砦の外に次々と送り出してるぞ!」
キャプテンZ 「そうか。
 最近、また新しいパーティーがこの迷宮内を荒らしているらしいからな」
心々 「チャンスだ!!」
キャプテンZ 「チャンス?」
心々 「うちらも『討伐を指示された』って言えば、きっと出られるぜ!」
キャプテンZ 「なに?!」
元新米冒険者A 「おぉ!
 そいつはナイス・アイデアだ!」
元新米冒険者B 「俺らはいつも危険な討伐の仕事をやらされているから、
 その理由なら全然不自然じゃねぇな!」
元新米冒険者C 「キャプテン!
 心々の言う通りよ!
 ここから抜け出すチャンスだわ!」
キャプテンZ 「う~~ん………、
 そうだな、ちょうど堀に棲むモートモンスター達が寝ている時間帯でもあるし……、
 よし! 挑戦してみるか!」
心々 「そうこなくっちゃ!!」
元新米冒険者D 「そうと決まれば、善は急げだ!!」
キャプテンZ 「よし!
 おい、全員、こっから抜け出すぞ!!



その部屋にいた元冒険志願者たちは、彼らのリーダーであるガリアンキャプテンに率いられて、
全員砦の出口に向かって出発をした......

 

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ここまでの経験値稼ぎで、やっとレベル4レベルアップ!!


──── 桃(忍者)


H.P.アップ!!

ここまでH.P.が上がれば、1階ならばもう大丈夫でしょう!

だが......この段階で素早さが落ちるかっ!?


宝箱の罠の解除担当なのに、肝心の素早さ一番低いって、どういうこったい??!

ってか、素早さだけ転送直後の状態に戻ってるじゃん!!

罠解除の担当として全然成長してねぇってことかよっ! ! !




4.死を呼ぶ「オヤジギャグ」


(※) 動画は本文前の経験値稼ぎも含みます。
   本文のガリアンプリースト戦は1:06から。


まだまだ経験値稼ぎは続きます。


━━━━ バラック.....


ガチャッ.....


三洲次 「………ん?
 なんかガリアンプリーストたちが集まってますよ?」
サーロイン 「え?」


プリーストA 「奴らを倒して来いと言われたのはいいが、
 どうすりゃいいんじゃ?」
プリーストB 「なにか作戦はあるのか?」
プリーストC 「決まっておる!」
プリーストA 「決まっておる、とは……?」
プリーストB 「どんな作戦じゃ?」
プリーストC 「わしらは僧侶じゃ!
 だから……」
   
ブリスケット 「お喋りに夢中で、こっちに気付いてねぇっすぜ」
サーロイン 「よし! 先制のチャンスだ!!
 3人なら一気に片付けよう!!」


サーロイン とやあああぁぁっっ!!
三洲次 てやあああぁぁっっ!!


プリーストA げほぉっ!
三洲次 「う~~ん………」
   
ブリスケット 「相変わらず……」
ランプ 「イマイチですね……」
ロース 「情けない前衛よね……」


プリーストB 「うわっ?!(ヒョイッ!)
サーロイン 「………あれ?」
   
ブリスケット 「相変わらず……」
ランプ 「外しますね……」
ロース 情けない前衛ねっ!!


プリーストA ふぉがあああぁぁぁっ!!
「へっ!
 先制なら動かねぇ的だぜっ!!
   
ブリスケット 「相変わらず……」
ランプ 「攻撃が確実ですね……」
ロース 「動かない的だそうよ?」
サーロイン (;T_T) ……………………………………
三洲次 (;T_T) ……………………………………


...ってか、これが今シナリオでの初クリティカルヒットかも。


─── 通常ターン.....


プリーストB 「お……おまえらは……!?」
プリーストC 「例のここら辺を荒らし回っているパーティーだな!?」
サーロイン 「ああ、そうだ。
 そう言うおまえらはガリアンプリーストだな?」
プリーストC 「はい、そうりょ」
()
プリーストB 「……………………………………(汗)
プリーストC 「ここで会ったのが、お前らの運の尽きだ!
 おまえらはわしらが倒すっ!!」
サーロイン 「ほぉ……たった2人で、どうやって俺たちを倒すんだ?」
プリーストC 「決まっておる!
 総力戦だっ!!
サーロイン 「総力戦?」
プリーストC 『そうりょ』だけに『そうりょ』く戦…ってなっ!!
()
プリーストB 「え…? え…?!
 そんな理由で…!?」


サーロイン つまらんことを言うやつはっ!!
プリーストC ぐほおおぉぉっ!!


三洲次 こうしてやるっ!!
 こうしてやるっ!!!
プリーストC ぐぎゃあああぁぁぁっ!!!


てめぇもだぁぁっ!!!
プリーストB とばっちりじゃあああぁぁっ!!!


ブリスケット 「なんだったんすか、今の奴ら……?」
サーロイン 「知らん……」
ロース 「ねぇ、そろそろ夜になるし、今日はもう町へ戻って休まない?」
三洲次 「賛成……、なんか疲れたよ………」

 



今回の探索はここまで



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…………………………………………



………………………………



……………………



…………



━━━━ 海賊の砦
     ハイコルセアの部屋.....

部屋の中では、そこの主であるハイコルセアが武器のカットラス (舶刀)の手入れをしていた。
彼は布巾で刃を丁寧に拭き上げており、入念に拭き上げられたカットラスの刃は、部屋の中で白銀の輝きを放っていた。

そこへ、いつものガリアンキャプテンが入って来ると、彼はハイコルセアの側まで来て、膝を付いて顔を近付けた。

キャプテンA 「レッド、念のためですが確認したいことが……」
ハイコルセア 「どうした?」


レッドという名のハイコルセアは、刃を拭く手を止めずに答えた。

キャプテンA 「例の爆弾を次々と暴発させているパーティーを片付けるため、
 ガリアンプリーストたちを迷宮内へ送り出しましたよね?」
ハイコルセア 「あぁ、そうだな」
キャプテンA 「訓練所から勧誘してきた奴らも、その討伐に加えましたか?」
ハイコルセア はあ?!


ハイコルセアは刀を拭く手を止め、鷹の様に鋭い視線をガリアンキャプテンに向けた!

ハイコルセア 「おい、まさか……」
キャプテンA 「入り口のガードと話しをしたら、
 奴らが『例のパーティーの討伐へ行く』と言っていたので通した、と言ってまして……」
ハイコルセア あいつら、ふざけやがってっ!!
 そいつらガードを騙して脱走しやがったんだっ!!
キャプテンA 「やはり………」
ハイコルセア 「奴らを逃しては、俺たちの面子に関わるっ!!
 腕っこきのガードを集めて、そいつらを追跡しろっ!!
キャプテンA はっ!
 全員ひっ捕らえて、絶対に砦へ連れ戻します!!」
ハイコルセア 「うむ…………いや、待て!」
キャプテンA 「え?」
ハイコルセア 「奴らを連れ戻したところで、もはやトラブルの種にしかならん!!」
キャプテンA 「では……?」
ハイコルセア 「俺たちの掟では、脱走は重罪だ!!」


ハイコルセア・レッドは手に持っていたカットラスの刃をガリアンキャプテンへ向けると、
その刃先を振りながら......

ハイコルセア 捕まえたら、その場で処刑しろっ!!
キャプテンA 「処刑方法は?」
ハイコルセア 「本来なら処刑方法も決めているが………今回は、おまえらに任せる!
 女共も、おまえらの好きにしていいぞっ!!


その途端、ガリアンキャプテンの顔が卑しくニヤケた......

キャプテンA 「仲間のモチベーションも高まるでしょう!!
 絶対に捕まえて、全員に罰を与えてやります!!」
ハイコルセア 「どうせ奴らは町へ向かっているんだ!!
 すぐに追い駆けろっ!!!
キャプテンA はっ!!



ガリアンキャプテンはそう言うや否や部屋から出て行くと、配下のガリアンガードたちを集め、
脱走した元冒険志願者たちの追跡を始めたのであった!!!

 

「15.ハンティング・ラビリンス」へ



名前 LV H.P. コメント
サーロイン 4 22 17 16 18 15 18 15 0 1 力は一応ボーナスが付く範囲には入っているのだが…。
三洲次 4 31 18 18 18 18 18 15 0 1 実は能力がチーム内で最も優秀。後は運の強さだけ。
4 27 18 17 17 18 15 17 0 0 肝心の素早さがチーム内ワースト1。なぜだっ?!
ロース 4 24 15 16 18 18 18 12 0 0 肝心の知恵がチーム内ワースト1タイ。なぜだっ?!
ランプ 4 16 13 18 18 13 18 15 0 0 今回も……生命力が……生命力がぁ……。
ブリスケット 4 32 16 18 15 18 18 13 0 0 肝心の信仰心がチーム内ワースト1。揃いも揃って!!

アイテム入手:7/109


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2024年 6月15日:本公開。
2024年 6月 8日:プレ公開。