3.バラックの奥にて惨劇は起きる

【登場人物】  
サーロイン ロイヤルレンジャーズのリーダー。サーは敬称。
三洲次 元盗賊だった日本男児の侍。発音は「みすじ」。
接近戦最強のくノ一。でも細かい事は大嫌い。
ロース こんな名前だが細身で美人なエルフの女魔法使い。
ランプ 財宝一筋なエルフの司教。パーティーの知恵袋。
ブリスケット 日本オタクのエルフの僧侶。あだ名は「ブリ助」。

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━━━━ ギルガメッシュの酒場 早朝.....

まだ人がまばらな早朝の酒場は、夜の喧騒とはうって変わり、ところどころにいる冒険者同士のゆったりした会話と、
食器同士が時々当たる金属的な音のみが響いていた。

そんな店の窓際にある大きな円形のテーブルに、今はサーロインロースの2人が向い合せに座り、
テーブルに置かれた紅茶を口にしながら会話をしていた......

サーロイン 「この酒場が未来でも残っているのに驚きだな」
ロース 「ホントね」
サーロイン 「さすがに壁の飾りとかは変わっているが……」
ロース 「カウンターと奥の酒瓶の棚は、私たちの時代の物から変わってないわね」
サーロイン 「なんかむしろ昔に戻ったようで……不思議な感じだな」
ロース 「そうね、未来に来ているなんて、まるでウソの様だわ」
サーロイン 「しかし、メニューのバリエーションが逆に減っているのは予想外だったぞ」
ロース 「あ、やっぱり、そう思う?」
サーロイン 「天災の影響なのかな?」
ロース 「じゃないかしら…」
サーロイン 「ちょっと期待外れだったなぁ……」
ロース 「そうよねぇ~。
 私も未来の料理が食べれると思ったのに、ガックリだわ」


と、そこへ日本人2人が、ゆっくりした足取りで店内に入って来た。

三洲次 「うぃ~す……、遅れましたぁ~……」
「うぃ~す……、眠ぃ~……」
ロース 「遅いわよ」
サーロイン 「おまえら、寝坊癖は全然治ってないのか?」
三洲次 「えぇ……まぁ………、あれ?
 ブリ助とランプは?」
サーロイン 「ボートの調達を頼んだから、持って来るのに苦戦しているんだろ」
ロース 「先日見つけた湖を渡るためのボートね」
サーロイン 「今日はあの湖の先に行ってみよう」
三洲次 「その前に腹ごしらえしたいです」
サーロイン 「そうだな、食事を頼もう」


4人が朝食を注文してしばらくすると、ブリスケットランプが手ぶらで店に入って来た。

ブリスケット 「お疲れっすぅ~」
ランプ 「おはようございます」
サーロイン 「おぉ、待ってたぞ!
 ボートは外か?」
ブリスケット 「いやぁ~、一生懸命探したんすが、1個も売ってなかったっす」
サーロイン 「え?
 そんな事があるのか?!」
ランプ 「同じことを考える冒険パーティーが多くて、全部売れてしまっているそうです」
サーロイン 「だとしても、需要があるなら、供給だってそれなりにあるだろ?」
ブリスケット 「そんな簡単な話しじゃねぇっすよ」
ロース 「どういうこと?」
ランプ 「いえ、ロインの言う通り、確かにボートの需要に追い付くため、
 手頃な山で材料の木が伐採され続けたんです」
ブリスケット 「そしたら、この地方の天災の影響で大雨が降ったんすよ」
ランプ 「で、木を大量に切った影響で山が雨水を貯め込めず、
 土砂崩れが起きて、ふもとの町が一つ壊滅したんです」
ブリスケット 「ほんで同じ悲劇を起こさないため、今は木の伐採は必要最低限にするお布令が出てやして……」
ランプ 「そのせいで、ボートを作る為の木が市場に出回ってないんです」
サーロイン 「それでボートが品切れてるのか……」
ロース 「予想外の展開ね」
三洲次 「いや、待って下さい。
 あの迷宮を突破するのって、今は至上命題のはずですよね?
 なのにボートの製造が必要じゃないってことは、
 あの湖は渡る必要が無い…って分かっているってことですか?」
ブリスケット 「まぁ、そういう事じゃねぇっすか?」
サーロイン 「そうなのか……。
 それじゃ、とりあえず別の場所へ行くとするか」
ロース 「迷宮に入って北側の扉はまだだったわね。
 今日はそっちに行く?」
サーロイン 「う~~ん………、
 いや、例の『バラック』に行ってみよう」
ランプ 「大丈夫ですかね?」
サーロイン 「バラックなら個室が多そうだから、魔物もたくさん潜んでいるだろう。
 今は少しでも早くレベルアップしたいから、戦いやすい場所を見つけたい」
ランプ 「それはそうですが……」
ブリスケット 「ランプはん、それより あっしらも朝食にしやしょうや」
ランプ 「あぁ、そうですね」
ブリスケット 「おーい、おやっさん!!
 注文頼んますっ!!」
酒場の店員 「はいはい……。
 あ、こちらソーセージの6種盛りだけど、どなたの?」
三洲次 「俺です」
酒場の店員 「ほいよ」
三洲次 「今の朝の楽しみはこれだな!」
酒場の店員 「で、ご注文は?」
ブリスケット 「パンと野菜のスープに、あっしもソーセージの盛り合わせを」
ランプ 「じゃ、私もそれで」
酒場の店員 「了解、じゃ、すぐ持って来るな」
三洲次 「あ、ロース?」
ロース 「なに?」
    サッ!
三洲次 「フォーク取ってもらえる?」
ロース 「はい」
三洲次 「ありがと。
 では、さっそく………あれ?
 おーい! おやじさーんっ!」
酒場の店員 「なんだぁ?」
三洲次 「ソーセージが5本しか無いよぉ!」
    サッ!
酒場の店員 「よく見な!
 ちゃんと6本置いたよ」
三洲次 「いや、どう見てもこれ……あれ?!
 4本になってる!?
 むぐむぐ…
三洲次 「おやじさーんっ!
 5本じゃなくて4本だよぉ!」
酒場の店員 「減ってんなら、おまえが食ったんだろ!!」
    サッ!
三洲次 「いや、まだ口さえ付け…3本に減ったっ! ! !
 むぐむぐ……
三洲次 「………………………………」
 むぐむぐ……
三洲次 桃ぉ~?
「もぐもぐ……ん~?」
三洲次 おまえが取ったなぁ~?
「もぐ……んぐっ!
 証拠は?」
三洲次 たった今、おまえが証拠隠滅しただろっ!!
証拠も無しに人を犯人扱いすんじゃねぇよっ!!
三洲次 じゃぁ、おまえは注文した料理がまだ来てないのに
 その口には何が入っていたんだ!?
三洲次 言い訳がテキトーにもほどがあるわっ!!(ガシッ!)
ぐほっ!


三洲次の襟首を持って、隣のテーブルまで移動させた。

三洲次 「おまえが居ると油断も隙もありゃしない!!
 おまえはこっちで食え!!」
「んだよぉ~、一皿の半分ぐらい、いいじゃねぇかよぉ~」
三洲次 いい訳ないだろっ!!
酒場の店員 「あれ? テーブルを移るの?」
三洲次 「こいつの料理はこっちに置いて下さい!」
酒場の店員 「じゃ……」
「やっと来たぜ」
三洲次 「やれやれ……」


で、三洲次だけ4人の居るテーブルへ戻って来た。

三洲次 「あいつ、悪の性格になって以来、自己中に拍車が掛かってきたぞ……」
ブリスケット 「人のもんを取るんは、性格とはちぃと違う気もしやすが…」
三洲次 「性格が治るまで、あいつはしばらく別のテーブルにしましょう!」
ロース 「それってちょっと可哀想じゃない?
 桃も落ち込むわよ?」
三洲次 「あれ見ても、そう思う?」
   
「ガツッ!ガツッ!ガツッ!ガツッ!ガツッ!ガツッ!…うめぇ!!
   
ロース 「……………………(汗)
ランプ 「桃って1人でも気にしないタイプですから」
サーロイン 「ま、三洲次が桃を説得できるならな」
三洲次 「そーゆーのはリーダーの役割でしょ?」
サーロイン 「あいつのお目付け役はおまえだろ?」
三洲次 「いや、そう言われても………」


とりあえず朝食を摂ったら、いよいよ冒険に出発です。

サーロイン 「では、迷宮に向かうとしよう」
ロース 「桃、行くわよ!」
   
「ガツッ!ガツッ!ガツッ!
 ムグムグ…ふいほわっはらひくぅー!」
   
ロース 「え? なに? 頬張りながら喋らないでよ……」
三洲次 「『食い終わったら行く』」
ロース 「よく聞き取れたわね」
三洲次 「あれは分かるだろ?」
サーロイン 「桃!! 入り口で待ってるから、早くしろよ!」
   
「ガツッ!ガツッ!ガツッ!…ふぃー!」



…………………………………………


さて、いよいよ出発ですが、のキャラとのキャラは酒場で一緒に出来ないので、
まずは中立の5人だけで......



...先に迷宮へ入り......、


...入り口で待機してもらいます。
そして...、


...になって一人で満足するまで食事をしていたは遅れて......、


...迷宮に入り......、



...入り口で待機していた5人と......、


...合流しました。

まったく......手間のかかる奴だ。


とりあえず隊列を見直したら、いよいよ2回目冒険に出発です!




【目次】

1巡目:バラックでの惨劇




1巡目:バラックでの惨劇




ブリスケット 「おや?」
サーロイン 「どうした?」


ブリスケット 「北側の扉って、2つありやせんでしたっけ?」
サーロイン 「右側にあった扉は、隠し扉だったんだな」
三洲次 「作ってる地図を見ると、湖のあるエリアへ入る扉ですね」
サーロイン 「ま、今日はそっちには行かないから……」


サーロイン 「…右手の扉へ向かおう」
ロース 「『バラック』のある扉ね」



サーロイン 「ここだな」
ランプ 「鍵が掛かってたりしませんか?」
サーロイン 「どうだろう?
 とりあえず開けてみるか(ガチャ!)


サーロイン 「お! 簡単に開いたぞ」


扉の先の部屋の中は薄汚れていて、あちこちに土ボコリとクモの巣が見られた。
壁際には蹴り倒されて壊れた机も見える。

三洲次 「ここは宿舎の中でも、受付みたいな感じですね」
ロース 「この感じだと、もう長いこと使われてなさそうね」
ブリスケット 「左手に扉がありやすぜ」


サーロイン 「入ってみよう」


ガチャッ...!        ← 扉を開けた音


部屋の中は先ほどよりは広く、入り口付近には壊れた本棚や椅子が砂ボコリを被って散乱していた。
一方、反対側の壁の方は段差で一段低くなっており、そこは雑草が生い茂った地面になっていた。

サーロイン 「ここは何……え?!
三洲次 「どうしました?」


サーロイン 「壁際のところだ」
三洲次 「何です?」
サーロイン 「雑草に紛れて分かり難いが、例の生きた植物がいないか?」
三洲次 「え?」
ロース 「あら、本当だわ」



ランプ 「でも、全然こっちに来ませんね……」
ロース 「気付いてないのかしら?」
ブリスケット 「何かに夢中になっている様にも見えやすが……どうしやすか?」
サーロイン 「無視して素通りでもいいが、後から気付かれて背後から襲われても嫌だし、
 幸い前回より数が少ないから、先に片付けてしまうか」
三洲次 「H.P.は低かったですから、一気に減らせるでしょう」


戦うことを決断!!


先制攻撃で出来ることはまだ限られているから、まずはひたすら叩っ切るだけ!!

サーロイン 「いくぞっ!!」
三洲次 「えぇ、雑草むしりといきましょう!」
「刈り切るのは得意だぜっ!!」


奇妙な植物A  シュパアアァッ…!!


奇妙な植物B  ブシャワアアァッ…!!


奇妙な植物C  シュバアアァ…ッ!!


見事前衛1匹ずつ倒して、一気に半分に減らす!!
いいぞっ!!


─── 通常ターン


サーロイン 「よし!! 狙い通りだっ!!」
「やっぱりこの前の奴らと同じだったぜ!」
ランプ 「『クローリングケルプ』ですね」


再び登場!!
クローリングケルプ」!!
日本語に直訳すると這い回る昆布」!!

サーロイン 「ランプ、情報収集してあるか?」
ランプ 「はい」
サーロイン 「よし、分かっていることを教えてくれ」
ランプ 「ここら辺ではよく知られたモンスターで、
 そのウニャウニャした動きを歌った吟遊詩人の唄が有名です」
ブリスケット 「どんな唄っすか?」
ランプ 「曲は『這いよれ!ケルプさん』!」



這いよる!(うー!)
昆布だ!(にゃー!)
ニャルラトホ!(てっぷー!)

ウ~ニャ~!ウ~ニャ~!ウ~ニャ~!ウ~ニャ~!
 

ランプ 「…って唄です」
三洲次 「いや、確かにウニャウニャしてるけど……」
ブリスケット 「本当に吟遊詩人がそげな唄を歌ってんすか……?」
ロース 「なんて喋っている内に、あいつら、こっちに這いよって来たわよ」


ブリスケット 「で、どうしやす?」
サーロイン 「そうだな……、
 ランプ、無駄かも知れないが、一応カティノ(催眠呪文)を頼めるか?」
ランプ 「はい、挑戦してみます」
サーロイン 「前衛は全員で攻撃だ!!」
三洲次 「はい!!」
ぶった切ってやるぜ!!


!!!
ロース 「………………にゃー?」


通常ターン、戦闘開始!!




ランプ 「あ~~……ダメですね。
 こいつら呪文が全然効かないです」
サーロイン 「やはりダメか……」
寝かせるまでもねぇぜぇっ!!!
 根こそぎ切り刻んでやるっ!!!


ケルプD  ブシャアアァァ…ッ!!
ケルプE  ……!?
 …シュルルルルルッ!!


「おっと!(ばっ!)
サーロイン 「じゃ、残りも切り刻んでやるか!!」
三洲次 「もう余裕ですよ!!」



残りも見事一撃で片付け......、


...あっさりと勝利!!!
先制できたのが大きかったな!!

サーロイン 「この雑草まみれの庭も、少しは奇麗になっただろ」
ブリスケット 「そういうのを日本の諺で『焼け石に水』って言いやす」
三洲次 「しかし、相変わらず低過ぎる経験値だなぁ」
ロース 「倒した数より少ないって、ヒドイわよね……」


ランプ 「でも、お金はそこそこ持ってました」
三洲次 「昆布がどこにお金なんか持ってんだよ……」
サーロイン 「お金を持ってたんじゃなく、金貨の転がってるところに生息しているのかも」
ブリスケット 「どんな昆布っすか……」


さて......、


...戦闘を終えて、改めて周囲を見渡す。

サーロイン 「入り口側にイスとかがあって、庭を眺められる場所……か」
ランプ 「受付の隣ってことは、元々はロビーだったのかも知れません」
三洲次 「民宿とかで休憩や待ち合わせに使う場所ですね」
ロース 「右手に扉があるわ」
サーロイン 「ここがロビーなら、ここから先が居住エリアだろうな」


ガチャ!


三洲次 「お? 廊下に出ましたよ」


そこは両側に扉が並んだ長い廊下であった。
廊下の壁は石造りで、床は木製、そして天井は山の岩石がむき出しになっていた。
そして、どこも砂ボコリが満遍なく積もっており、今は使われていないことが伺える......

ランプ 「ロインの言った通り、ここが居住エリアですね」
ブリスケット 「どんくらい部屋があるか、まずは見てみやしょう」
サーロイン 「そうだな」


ロイヤルレンジャーズはランタンの灯りを頼りに、薄暗い廊下をゆっくりと奥まで歩いていく......



サーロイン 「ここまでか」
三洲次 「入って来た扉を除くと、左側に4つ、右側に5つの扉がありました」
ロース 「それと反対側の壁にも1つあったわ」
ブリスケット 「1つ1つ見ていきやすか?」
サーロイン 「もちろん!」
三洲次 「やっぱりそうなるのか……」
ランプ 「どの扉から入ります?」
サーロイン 「そうだな……ま、入り口に近い方から順番に開けていこう」


一旦入り口近くまで戻る。
そして......、


サーロイン 「まずは入って来た扉の隣からだ」
ロース 「誰か居たりしないかしら?」
サーロイン 「これだけ朽ち果ててたら、もう使われてないだろ」
ブリスケット 「いや、こういう場所ってぇのは、無法者とかが勝手に住み着いてたりしやすぜ」
三洲次 「じゃ、念のためノックしてみますか」


三洲次は朽ち果てかけた扉をノックしてみた。


三洲次 (コン!コン!)すいませ~~ん!!


 ......シ~~~~ン......

三洲次 「反応がありませんね」
サーロイン 「やっぱり、もう誰も住んでいないんだろ。
 開けてみろ」
三洲次 「じゃ……(ガチャ!)


三洲次 「部屋じゃなくて、廊下でした」
サーロイン 「なんだ、廊下が続ているのか」
ロース 「ここもあちこち汚れてるわね」
ランプ 「奥に扉が2つ見えます。
 あそこが部屋でしょうか?」
サーロイン 「かも知れん。
 まずは入り口に近い方、つまり左側の扉から確認してみよう」


三洲次 「じゃ、ここでも念のため……、
 (コン!コン!)誰かいますか~~?!


......シ~~~~ン......

三洲次 「ここも返事がないですよ」
サーロイン 「開けてみろ」
三洲次 「では……(ガチャ!)


扉の中は個室で、床には壊れたホウキやら、汚れ過ぎて土と区別が付かないほどの雑巾が散乱していた。

ブリスケット 「掃除用具入れっすな」
サーロイン 「従業員用のエリアだったかな?」
ランプ 「目ぼしいものは………特に何も無いですね」
サーロイン 「そうか、じゃ、反対側の扉に入ってみるか」


先ほど見た2つの扉の内、今度は...、


...右側の扉に入ってみる。

ガチャッ!


こちらは広めの部屋になっており、先ほどと同じく壁も床も汚れ放題の状態であった。
ただ、壁際や部屋の端っこの方に欠けたバーベルやダンベルが転がっているのが見える。

三洲次 「トレーニングルームだったのかな?」
サーロイン 「もし兵士たちの宿舎だったのなら、こういう部屋があっても不思議じゃないな」
ブリスケット 「どの器具もブッ壊れてて、使い物にならねぇっすな」
ロース 「反対側に扉があるわ」
サーロイン 「じゃ、今度はそっちから出てみよう」


真正面にある扉から外へ出てみる。

ガチャッ!


ランプ 「また廊下ですね」
三洲次 「右手は……」


三洲次 「…最初の長い廊下に出る扉と繋がっています」
サーロイン 「いったん廊下に戻ってみるか」


ガチャッ!




ブリスケット 「やっぱり最初の廊下でっせ」
サーロイン 「これで北側の扉は、5つの内3つが確認できた訳か」
ロース 「一番左端が入り口、その隣が用具室やトレーニングルームに繋がる廊下、
 そして左端から4つ目の扉が、今出てきた扉ね」
ランプ 「未確認なのは、真ん中と一番右端の扉だけです」
サーロイン 「このまま残りの扉も確認しよう。
 まずは真ん中の扉だ」


三洲次 「これですね」
サーロイン 「ここも、一応ノックしてみよう」
三洲次 「では……(コン!コン!)誰かいらっしゃいますか~?!


 ......シ~~~~ン......

三洲次 「どこも反応が無いですね」
サーロイン 「よし、開けてみろ」
三洲次 「はい」


ガチャッ!


扉の中は居住用の相部屋になっていた。
それも、特に仕切りの無い1ルームではあるが、10人以上は寝泊れる大きさである。
しかし今はもう住む者も無く、中は荒れ果てており、衣類の端切れや割れたコップが床に散乱し、ホコリを被っていた。

ブリスケット 「汚ねぇ個室っすね」
ロース 「これだけ汚いと、なんか監獄にある牢屋の中みたい」
サーロイン 「使われなくなって大分経つんだろう」
ランプ 「目ぼしい物も全然見当たりませんね」
サーロイン 「じゃ、ここはもう用済みだ。
 残った右端の扉に入ってみよう」


廊下に戻り......、


...一番奥にある扉の前まで移動する。


三洲次 (コン!コン!)……こんにちわ~!


 ......シ~~~~ン......

三洲次 「ま、予想通りの反応です」
サーロイン 「じゃ、入ってみよう」


ガチャッ!


ここも住居用の相部屋で、先ほどと同じく共同生活が出来るほど大きく広い部屋であった。
そして、こちらも生活の影は一切消えており、
紙の切れ端や割れた食器類が木製の床に転がって砂ボコリを被っているだけであった。

ブリスケット 「完全に無人のバラックっすね」
ロース 「モンスターさえいないって、本当に寂れた場所ね」
サーロイン 「まだレベルが低いから、探索する分には大助かりだが、
 修行するには不向きな場所だったか……」
ランプ 「そして、ここも目ぼしい物は無しですか……」
ブリスケット 「ここはこんだけっすかね?
 じゃ、北側の扉は全部見やしたから……」
三洲次 「いえ、さっきのトレーニングルームの反対側がまだです」
ブリスケット 「……え?
 あ、そういや、そうでやした」


この部屋を出て......、



...先ほどのトレーニングルームと思しき部屋を出た位置まで戻る。


ガチャッ!


扉の中は大きめのリビング位の広さの部屋であった。
床には壊れたイスが幾つか倒れており、その周辺には破れた紙片が散らばっていた。
壁際には空っぽの本棚が据え付けられている。

ランプ 「読書室ですかね?」
サーロイン 「そのようだな。
 さっきの部屋が身体を使う場所なら、ここは頭を使うリラクゼーション室ってところだな」
ブリスケット 「なにか巻物とか落ちてねぇっすかね?」
ランプ 「う~~ん…………破けた紙しか落ちてないですよ……」
ロース 「と言うか、どこもホコリと砂まみれね……」
三洲次 (コン!コン!)隠し扉とかも無いですね。
 今度こそ北側の扉は全て確認できたようです」
サーロイン 「じゃ、次は入り口とは反対側の南側のエリアを探索しよう」
ブリスケット 「入り口からどんどん離れていきやすぜ。
 大丈夫っすかね?」
サーロイン 「人どころかモンスターさえいないから、大丈夫だろ」


この場所を出て......、



...扉の並んだ廊下まで戻る。

ブリスケット 「南側に並んだ扉は、どれから入ってみやすか?」
サーロイン 「さっきと同じ様に、入り口に近い方から確認していこう」


と、言う訳で、入って来た扉のちょうど反対側にある......



...南側で一番右端にある扉へ。

三洲次 「ノックします?」
サーロイン 「もういいだろ、そのまま開けてみろ」
三洲次 「じゃ……」


ガチャッ!


三洲次 「ここも廊下でした」
ランプ 「扉が2方向にありますね」
サーロイン 「とりあえず手前の方から調べよう」


三洲次 「そのまま開けますよ?」
サーロイン 「あぁ」


ガチャッ!


部屋の中は個室で、壁はこれまで以上に酷い土ボコリで汚れており、何か刃物で削ったような跡があちこちに見て取れた。
ただ、床はこれまでの部屋とは異なり、土の地面がむき出しになっていた。
ランプがランタンで部屋の中全体を照らしていくと、奥の方にうごめくモノが見えた。

ランプ 「何かいます!」
サーロイン 「なに?!」



アナコンダA 「シュゥゥゥゥ…ッ!!」
   
ロース 「ヘビだわ!!」
ランプ 「こいつらは、かつて遠征の途中で戦ったことがあります!!」
サーロイン 「俺がパーティーを離れた後の話しだな?
 強いのか?」
ランプ 「H.P.は14で、攻撃力は22、素早さは11……」
サーロイン ちょっと待て!
 攻撃力??」
三洲次 「しかも22!?」
ブリスケット 「ランプはん、どこへ行った時の話しっすか?」
ランプ 「サマルトリ○という地域を通っていた時で、その時の形状は……」


(※) 諸事情により、一部隠しています。


ランプ 「…こんなでした」
三洲次 「それ、キングコブ○じゃね?」
ランプ 「あれ?」
「こいつら、ちょっと違うぜ」
ランプ 「えぇと………あぁ、すいません。
 こいつらはアナコンダですね」
サーロイン 「改めて聞くが、どんな生き物だ?」
ランプ 「普段は水辺の多い湿地帯やジャングルに住んでいる、肉食のヘビです。
 なぜ、こんなところに……」
ロース 「近くに湖があって湿気がひどいから、それで住み着いてるんじゃない?」
サーロイン 「毒は?」
ランプ 「先ほどのキングコ○ラは有毒でしたが、こいつは無毒です」
   
アナコンダB シャアアァァ…ッ!!
   
三洲次 「で…でも、なんか威嚇してますよ?
 こっちを襲う気満々なんじゃ……」
ランプ 「気性の荒い生き物ですから」
サーロイン 「そうか。
 では、ベテラン冒険者に牙を向けたらどうなるか、思い知らせてやろう!!」


戦闘開始!!

三洲次 てやあああぁぁっっ!!


アナコンダA シャァアッ!!
   
三洲次 「くそっ!
 一撃で倒せないかっ!?」
サーロイン 「三洲次、先走るな。
 ロース、寝かしつけてくれ。
 そうすれば簡単に料理できる」
ロース 「オッケー!」


ロース 「3匹とも寝かせたわ」
サーロイン 「さすがだ。
 これで楽勝だな。
 では……うりゃあああぁぁっ!!


サーロイン 「………………………………(汗)
ランプ 「寝てるのに外すんですか……?」
ロース はぁ~~ぁ……(怒)
ブリスケット 「ロイン殿、マジで全然変わってねぇっすな………」
サーロイン (;T_T)………………………………


けっ!
   
ランプ 「桃はさすがですね」
ロース 「やっぱり一番頼りになるわ」


まぁ、忍者なので最初から2回攻撃が可能で、確実性が一人だけ違うんですけどね。


───2ターン目


ランプ 「1匹目覚めました」
サーロイン 「ま、残り2匹なら、このターンで倒せるだろ!」
三洲次 「任せて下さい!!
 名誉挽回の一撃ぃぃっ! ! !


三洲次 「……………………………………(汗)
ランプ 「名誉挽回とは……?」
ブリスケット 「むしろ失墜してやすぜ」
ロース 「相変わらず、この人たちって………」
三洲次 (;T_T)………………………………


まぁ、この後は......


...特に外すこともなく敵を倒し......、


...ノーダメージで勝利!!

ロース 「あら……ちゃんとそれなりに経験値が入ったわよ!」
ランプ 「本当ですね」
サーロイン 「良かった……。
 俺、レベル2にするだけで、あと100回も戦闘しないといけないのかと思ってたよ……」
ブリスケット 「あの昆布が異常なだけなんでは?」
三洲次 「異常にもほどがあるけどな……」
サーロイン 「では、杞憂も一つ消えたところで、部屋の中を調べよう」


ブリスケット 「皆の衆っ!!
 あのヘビたちが居たところに、宝箱がありやしたぜ!!」
ランプ 「おぉ!!
 やりましたねっ!!
 初の宝箱ですよ!!」
三洲次 「ってか、ヘビの居た所にあったの…?」
ランプ 「桃、さっそく頼みます!!」
「めんどくせぇんで、開けずに行こうぜ」
ランプ 「なんてことを言うんです!!
 もしかしたらル'ケブレスが護っている宝珠が入ってるかも知れないじゃないですかっ!!」


「む~………」
   
ランプ 「なんで宝珠が入ってないと言えるんです?」
三洲次 「こんな所にあったら、とっくに見付かってるだろ、常識的に……」
ロース 「そもそもル'ケブレスってどこに居たのよ……」
   
「えぇと………」


宝箱の罠は「毒針」。

サーロイン 「判定は妥当なところかな?」
三洲次 「まぁ、こんなものでは」
サーロイン 「そうだな。
 よし、桃、開けてくれ」
「うぃーす」


では、解除に挑戦です。




いきなり失敗しやがったぁっ! ! !


くそっ!


これでは確実に毒状態になっちまう......。


とは言え、ディオス(H.P.回復呪文)はまだ回数使えるから、歩いて戻........




マジかあぁっ! ! ?

罠が間違ってたんじゃねぇかああぁっっ!!!


リアルに手からコントローラー落としちまったよ!!!


おい!!

ディオスが数回使えるとは言え、たかが知れてるんだぞっ!!!


そこそこ奥まで来てるから、これじゃ回復しきれずに、
ヘタすりゃ何人か死ぬじゃねぇかっ!!!

 

く......くそ......

 

出来れば......なるべく........



被害が出ないことを祈って..........

 

 


サイテーだっ! ! !


どうしてくれんだよ!!!

これ!!


サーロイン 「ごほっ! ごほっ…!」
三洲次 「げほっ! も…桃ぉっ!!
「ぃゃ~……」
ブリスケット 「がはっ!
 ど……どうすんすかっ?!
 迷宮の入り口からそこそこ離れてやすぜ?!」
ロース 「こほっ!
 こ……これじゃ、戻れないわ…!!」



......いきなり......救助隊を編成しないといけないの?!


ちょっと......勘弁してくれよっ!!!

   
ランプ 「げはっ!
 ……ど、どうするんですか?」
サーロイン 「げほっ!げほっ!
 いや……どうするって………」
三洲次 「も…戻れるだけ………ぶはっ…!………戻りますか?」
サーロイン 「そ、そうだな……。
 救助隊を待つにしても、なるべく入り口に近い方が良いだろうし……」
ブリスケット 「し…しかし……けはっ!
 ヘタに動いて、敵に遭遇しちまったら……」
ロース 「…もっと状況は悪化するわ!!」
サーロイン 「うぅ……む………」




さぁ......どうする........?



決断の時だ......



サーロイン 「自力で戻れるか……挑戦しよう!!」
ブリスケット 「マジっすか……こほっ!」
ランプ 「変な奴に遭遇しないことを祈るだけですよ……けほっ!」


自力帰還に挑戦してみます!!!

まず......、


...常にH.P.の状態を確認できるようにして......、

ガチャッ!


...迷宮の入り口に向かって、廊下を戻って行く......。




三洲次 「うぅ……ここは……?」
サーロイン 「受付……だったな……、くっ!」
ブリスケット 「残り7………」
ロース 「7……?
 はぁはぁ……、ギリギリ……行けそう………?」


なんとか「バラック」の入り口まで戻る。

ブリスケット 「ぐぐ……残りH.P.6なんで、残り5マス………」
サーロイン 「ここから入り口まで……残り何マスだっけ………?」
ランプ 「うぅ………あと3マスです………」
ロース 「3……?
 はぁはぁ……、それって………」
三洲次 「も……戻れますよ!!」
サーロイン 「本当か?!」


もしかして......いける?!


いける!!

いけるぞおおおぉぉっ!!!





入り口に到着ぅーーっ!!!


無事に生還っ! ! ! !

!!!
  ーっ!!!



いや........危なかった..........。


さすがウィザードリィ........常に死と隣り合わせの世界..........、


やはり、一回のミスが命取りになりかねないゲームだ。


 

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名前 LV H.P. コメント
サーロイン 1 12 15 15 15 15 15 13 0 0 敵が寝たら命中率って上がってもいい気がする。
三洲次 1 12 15 15 15 15 15 15 0 0 村正の無い侍って、成長の遅い戦士なだけかも。
1 12 15 15 15 15 15 15 0 0 いきなりしでかしてくれたなぁ!!
ロース 1 12 15 15 15 15 15 13 0 0 やっと優秀な魔法使いとして活躍しだした。
ランプ 1 12 14 15 15 15 15 15 0 0 そういや宝箱の中に何があったか書いてなかった。
ブリスケット 1 12 15 15 15 15 15 12 0 0 もしかして今回何もしていない?

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【更新履歴】
2024年 1月27日:文章を一部見直し。次ページへのリンクを設定。
2024年 1月17日:誤字を修正。
2024年 1月12日:新規公開。
2024年 1月 6日:プレ公開。