1.ローラーレンジャーズ召喚

【登場人物】  
サーロイン ロイヤルレンジャーズのリーダー。サーは敬称。
三洲次 元盗賊だった日本男児の侍。発音は「みすじ」。
接近戦最強のくノ一。でも細かい事は大っ嫌い。
ロース こんな名前だが細身で美人なエルフの女魔法使い。
ランプ 財宝一筋なエルフの司教。パーティーの知恵袋。
ブリスケット 日本オタクのエルフの僧侶。あだ名は「ブリ助」。

読了時間 (目安):約20分
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ワードナの魔除けを取り戻す冒険から、


       幾世代もの時が過ぎ去った........




栄華を極めたリルガミン王国は、今、滅亡の危機に瀕していた。


異常気象、天変地異、国土の荒廃........


何かとてつもなく悪い事が起こりつつある......人々はこの事を悟り、終末の到来に怯え始めていた。


王国の危機を前に、リルガミンの賢人たちは対策を議論し続けた。

その結果、彼らはある一つの結論に辿り着いた。


この混乱を解決する唯一の望みは、ル’ケブレス(L'kbreth)なる龍によって守られている神秘の宝珠のみ。

 その宝珠の力をもってすれば、毎日のように伝えられる出来事の、真の理由を解き明かすことができる


かくして、世界各地から勇敢な冒険者たちが呼び集められ、
宝珠を持ち帰るべく、ル’ケブレスが棲まう迷宮へと挑んだ。



だが........



迷宮には数多の魔物が跋扈し、

多くの冒険パーティーが彼らの前に屈し、

そして帰らぬ人となっていった........。

 

いまだ宝珠は迷宮の中........


 

リルガミン王国は、いよいよ終焉の時を迎えつつあった........

 

 



【目次】

1.最高国政会議

2.ローラーレンジャーズ召喚




1.最高国政会議

リルガミン城の最奥には重要な国政を決議する時に使われる会議場が存在する。

その会議場は円形のクーポラ(ドーム)を冠した巨大な円筒形をしていた。
天井となるドームの内部には、2人の大天使を中心に多くの天使達が舞う宗教画が描かれており、
それらは12本の太く直線的な柱で支えられている。
柱と柱の間には天井まで届く巨大な窓とアイボリーの壁面が交互に設えられており、
壁には黄土色の色彩で統一された高さ数メートルもの絵画が幾つも飾られていた。

会議場の中に目をやると、中央に円形のテーブルが置かれ、その周囲には9人分の背の高い木製の椅子が均等に配置されているのが見える。
ブラックチェリーで造られたそのテーブルと椅子たちは、長い歴史の中で深みのある赤褐色へと色合いを変化させており、
荘厳な会議場の中に華やかな彩りを添えていた。

北東側の壁を見ると、この会議場で唯一の扉があり、今、その重厚な木製の扉が
2人の衛兵の手で重い音と共に開かれた。

すると、その入り口から1人の女性が会議場内へ入って来た。

女性は20代半ば頃で、やや細身の顔立ちに横長な印象の目をしており、唇には鮮やかな口紅をしていた。
紫炎色の髪は前髪無しのロングヘアで、その頭には黄金のコロネットを被り、
身に纏った本紫色のマンチュア(宮廷服)と浅緑色に染められた白貂のマントと共に、高貴なオーラを放っている。

この女性こそが、この時代のリルガミン王国を統治するベイキ女王であった。

そのベイキ女王の後には、顧問議長と国政を決める7人の男たちが続いており、彼らも順番に会議場へと入場して来た。

2名の衛兵は、全員が会議場に入ったのを確認すると、再び扉を完全に閉ざし、扉の両脇に直立不動の姿勢で立った。



会議が終わるまで、


中に誰も入れぬように........







━━━━ リルガミン城 最高会議場

会議場に入った9人は、中央にある円形のテーブルへ向かうと、まずベイキ女王が最上座に座り、その隣に議長となる顧問議長
そして7つの政務省(内務、外務、財務、司法、軍事、宗務、教理)のトップを務める長官たちが、順番に着席していった。

50代前半と見られるやや恰幅の良い議長は、白地にワインレッドのクラヴィ(帯状の刺繍)が入った法衣を着ており、
顔には年季を感じさせる白髪交じりの豊かな髭を蓄え、茶褐色の目には政治闘争の中を生き抜いた鋭い眼光を宿していた。

顧問議長は全員の着席を確認すると、会議場全体によく通る声で口を開いた。

顧問議長 「では、本日の議題をお伝えします」


全員が顧問議長の方を見た。

顧問議長 「今回の議題は『善のパーティーの欠乏に関する対策』です」


その場に居る数人から、小さな唸り声が漏れた......

顧問議長 「ご存知の通り、度重なる異常気象と天変地異により国土は荒れ果てており、我々はこの原因を突き止めるべく、
 森羅万象を見通す神秘の宝珠を得んとせんが為、勇敢なる冒険者達を国内外から募っております」


全員が静かに議長の話しに聞き入る......

顧問議長 「しかし、国土の荒廃と疲弊が悪化するにつれ、人々の生活も荒み、
 この国に来る冒険者も含め、国民は皆、自分のことを考えるのに精一杯の状態で、他人に慈悲を施す精神的な余裕がありません。
 つまり性格や品性及び戒律が『善』の人が育ち難くなっているのが、この国の現状です」
ベイキ女王 「嘆かわしいことよ……」
顧問議長 「これの何が問題かは、諸君らはよく承知しておられるでしょう。
 ル’ケブレスが棲まう迷宮は、悪のみでも善のみでも乗り越えられないと言われております。
 つまり『善のパーティー』も育たなければ、宝珠を手にすることは不可能なのです」


年頃は初老と見られる細身の財務省長官が小さく手を挙げると、意見を述べた。

財務省長官 「しかし、現在の困窮と荒廃ぶりを考えると、国民に精神的な余裕を期待するのはかなり難しいかと。
 それとも何か良い手がありますかな、教理省に?」


問われたのは、この国の教育や道徳などの促進を担う教理省長官であった。
会議場の中では比較的若手と見られる40代前半の教理省長官は、財務省長官の方に体を向けると...

教理省長官 「教理省では社会と文化の向上を標榜し、常に道徳や倫理の教育に努めています」
財務省長官 「では今の荒んだ状況が、教理省の目指す国風なのですな?」
教理省長官 「お言葉を返すようですが、教育の質を高めるにも、先立つものは金です!
 幾度となく必要な予算を具申しているのに、それを却下しているのは財務省ではありませんか?!」
財務省長官 「我々がこの国を荒廃させていると申すのか!?」
ベイキ女王 止めんかっ!!


どうやら財務省と教理省は、日頃からいがみ合う組織と見られた。
財政も困窮してくると、文化面へ回す余裕が無いのであろう。

ベイキ女王 「責任のなすり付け合いをする場ではない!」


女王の一喝で2人の長官は黙って中央に向き直り、会議場は再び静寂に包まれた......。

ベイキ女王 「皆が限られた中で奮励しているのはよく承知しておる。
 現在の国策の範囲で打開出来ないのであれば、別の新しい対策を提案するべきであろう」
顧問議長 「女王陛下の仰る通りでございます。
 誰か、他に何か案を持ってる者はおらんか?」
宗務省長官 「僭越ながら……」


すぐに反応したのは、年の頃は60代前後、やや小柄な体型をした、この国の宗教や儀式を管轄する宗務省長官であった。
一際目立つ金色のクラヴィが入った白いダルマティカ(法服)を身に纏い、
その上には艶やかな緑色をしたストラ(襷)を、高い階級の人物らしく首から垂らす様に付けていた。

宗務省長官 「現代に期待できないのであれば、別の時代に期待するのが良いかと……」


全員が宗務省長官の方を見た。
そして当然の疑問を、顧問議長が代表して口にした。

顧問議長 「新しい時代が来るまで待つのですか?
 その前に、この災厄で国土は滅んでしまいますぞ?」
宗務省長官 「未来ではありません。
 過去です」
顧問議長 「過去?」
宗務省長官 「我が王国に伝わる秘術の一つに、過去と現世との間で人を往来させる召喚の儀法があります。
 時を司る精霊の力を借りるのですが、その精霊の力を借りられるのは数年に一度と言われております。
 しかし過去十数年、この秘術による儀式を行ったことはありません。
 ですので今こそ、この秘術を使う絶好の機会と言えます」
ベイキ女王 「過去の英雄達を召喚するのだな?」
宗務省長官 「左様です」
顧問議長 「そこまで案があるのなら、召喚する者達のアテも?」
宗務省長官 「はい。
 遥か昔、『ワードナの魔除け』を奪還するという困難な試練をやり遂げた『善』の英雄達がおります。
 彼らを召喚し、我らの時代の試練にも挑戦してもらおうではありませんか」
ベイキ女王 「もしや、その者らとは……」
宗務省長官 「はい、世界に伝わる伝説であり、皆様もご存知の者達です。
 かつてトレボー王の試練を成し遂げ、
 その後も王国最高の戦闘部隊としてその名を世界に轟かせた国王直属の親衛隊『ロイヤルレンジャーズ』、
 またの名を『ローラーレンジャーズ』!!

 



(2) ローラーレンジャーズ召喚



━━━━ リルガミン城 地下儀式場

リルガミン城の地下深くには、極秘の祭儀に使われる儀式場が設けられていた。

形は会議場と同じ屋根の高い円筒形だが、地下にあるが故、壁から天井まで全てが石造りで出来ていた。
人間より大きなサイズで切り出された石は、換気口を除いてヴォールト(アーチ状の天井)を支える柱の間に隙間無く積み重ねられており、
見事な建築技師の仕事であることが見て取れる。

その儀式場の中に、宗務省長官と彼の配下の3人の大司教がカンテラの灯りと共に入って来ると、
その明かりを頼りに、まず壁に沿って並べられた燭台に火を灯し始めた。

4人とも祭事に着用するシャンパンゴールドのアルバ(法服)とカズラ(貫頭衣)を身に着け、
さらに今回の儀式が極秘の聖務であることを示す金縁のエピタラヒリ(エプロン状の祭服)を首から掛けていた。

彼らは全ての燭台に火を点けると、次にチョークで床に魔法陣を描き始めた。

魔法陣は2つの四角形が45度の角度で交わる形でデザインされ、
その内の1つは、頂点が正確に東西南北を指すように描かれた。
さらに、その4つの頂点には色の異なる燭台...
...北に白色、南は青色、東には黄色、そして西には赤色の燭台が順番に立てられた。

3人の大司教は4つの燭台に火を灯すと、もう1つの四角形の頂点、
つまり北東・北西・南西の位置に、それぞれ中心を向くように立ち、宗務省長官の合図を待った。

宗務省長官 「では、これより時の精霊の力を借り、過去の英雄達を召喚する『通過の儀式』を執り行う」


宗務省長官はそう言うと、残った南東方向の頂点に立ち、
魔法陣の中心に聖水と王国に伝わる秘薬の粉を撒いた。

宗務省長官 「時を司る精霊達よ!
 我らも時の真理を知り、時の知見を理解し、時の法則に従う者……、
 そなたらと通じるに資する者なり!
 まず、それを示しめれば、とくと聞け!」
大司教A 「過去、それは創造者の記憶、そして全ての歩調の起源」
大司教B 「現在、それは今日の担い手、そして過去の奴隷」
大司教C 「未来、それは明日の予言者、そして現在の子供」
宗務省長官 「無限、それは全ての始まりから終わりまでに至り、現実の全ての限界を超越する」


大司教の一人が持つ鐘の音が鳴り響く......

宗務省長官 時の精霊達よ!!
 我らが声を聞きたまえ!!
 我らの望みは過去の英雄達との邂逅!!
 そなたらの力をもって、我らが求める古代の英雄達を、ここへ召喚させたまえ!!

さて、あんなアバウトな詠唱でローラーレンジャーズピンポイントで召喚されます。

考えてはダメです、感じるのです。


では、ターボファイル経由で、「狂王の試練場」でクリアの証である勲章を授与された「ローラーレンジャーズ」、
改め「ロイヤルレンジャーズ」のメンバーを転送します。

ただ、その前に......




...デフォルトの登録キャラクターを最初に全て削除します。

「狂王の試練場」では、デフォルトキャラクターの所持金に助けられましたが、
今回は自ら退路を断ちます。


全キャラクターの削除が完了しました。

では、今度こそ......


...転送を開始します。




では、順番に転送していきましょう。

まずはサーロイン(君主)です。




通過の儀式

まさに 始まらん

教会の牧師が

この古代の 英雄の 御魂と

その子孫を 結び付けよう



メッセージには牧師と出ていますが、今回は大司教達が呼んでいます。

あと、英雄の御魂と子孫を結びつけると出ていますが、
この記録では当人達が召喚されたことにします。
称号も付いているので。

ご了承下さい。



........成功とかのメッセージが無かったですが、
リストからサーロインが消えたので、転送が成功したのでしょう。
ただ消えただけだったらイヤだなぁ......

では、次は三洲次(侍)



あれ?

性格を選べるよ?

サーロインの時は聞かれなかったのに......?


そうか、その職業に付ける性格が1種類なら自動で決まり
複数種類あるなら、選ぶことが出来るのか。

まぁ、変更する気は無いので、#1と同じ「中立」のままでいきます。


この調子でローラーレンジャーズ全員を転送していきます。






転送は無事に成功!!




転送をすると、どうやらステータスは....

(1) 年齢は20歳固定
(2) 所持金は500ゴールド固定
(3) H.P.は12固定
(4) 能力値は最大15止め
(5) その職業が習得できるレベル1呪文を2つずつ習得済み

....になるようです。

この中で(3)(5)はすごい助かりますね。
特に(5)は、侍・君主・司教が最初から呪文を習得しているので、
これはスタート時に大きなアドバンテージになります。


では、転送したメンバーのプロフィールは最後に紹介するとして、
場面は再び召喚シーンに戻ります......





………

………………

………………………

………………………………


━━━━ リルガミン城 地下儀式場

サーロイン 「……え?」
三洲次 「……おや?」
「……ん~?」
ロース 「……あら?」
ランプ 「……は?」
ブリスケット 「……へ?」
サーロイン 「あ……あれ?
 なんでみんなが居るの?」
ロース 「それはこっちのセリフよ。
 あなたは一人だけ祖国に戻ったのに、どうしてここに居るのよ?」
三洲次 「ってか、どこだ? ここ?」
ランプ 「どこかの儀式所のようですが……、
 それより、ブリ助はなんで上半身裸なんです?」
ブリスケット 「いや……旅館の温泉に入ろうとしてたんすが……なして、こんなところに……?」
宗務省長官 「よくぞ来られました!!
 歴史に名を刻みし英雄達よ!!」
サーロイン 「誰です、あなた?」
宗務省長官 「私はここリルガミン王国の宗務省長官です」
サーロイン 「リルガミン……?
 なぁ、宗務省長官って、俺が祖国に帰ってから別の人に代わったの?」
三洲次 「いえ、俺たちも知らないですよ、こんな人」
宗務省長官 「そして……」


宗務省長官は壁際まで行くと、扉をノックした。
すると外に居る衛兵により扉が開けられ、ベイキ女王が部屋に入って来た。

宗務省長官 「こちらが我が国の女王陛下であられる、ベイキ女王です」
サーロイン 「女王なんて、いつ即位したんだ?」
ロース 「別に国王は変わってないわよ」
三洲次 「そもそも王女なんて居なかったじゃないですか」
ブリスケット 「ん?
 ってぇことは……」
ランプ 「この女王って……」
   
女王&長官 ()
   
サーロイン 「これはちょっと興味あるな」
ロース 「ねぇ、ブリ助、聞いて来れる?」
ブリスケット 「お任せを!」
ランプ 「こういう時、ブリ助の遠慮の無い性格は頼もしいですね」
   
ブリスケット 「ちぃと教えてくだせぇ!
 無礼を承知でお伺い致しやすが、どちら様との不倫でのご息女でいらっしゃいやすか?!」

ベイキ女王
  _, 、_
(; ゚゚)「………………………………」
宗務省長官 こら、こらぁっ!!
 本当に失礼なことを訊ねなさるなっ!!
 トレボー王は遥か昔に亡くなっておられる!!
宗務省長官 こちらはこの国のれっきとした正当な統治者ですぞ!!
サーロイン 「トレボーって、いつ死んだの?!」
ランプ 「いえ、ご健在のはずですが……」
サーロイン 「え……??
 いや……さっきから話しがサッパリ噛み合わないのだが?」
宗務省長官 「これは失礼しました。
 確かに突然のことで、最初に説明をするべきでしたな」
ロース 「えぇ、話しがすれ違い過ぎるから、ちゃんと説明してほしいわ」
宗務省長官 では単刀直入に言いましょう!!
 あなた方にとって、ここは未来の世界です!!
宗務省長官 「およそ120年後の世界です」
サーロイン 「え……?
 なんでそんな時代に居るんだ、俺たちは……??」
宗務省長官 「私たちがあなた方をこの時代へ召喚したからです」
三洲次 「召喚!?」
ロース 「未来に?!」
ブリスケット 「マジっすか?!
 服を取りに戻っちゃダメっすか?」
サーロイン 「どうして召喚したんだ?」
宗務省長官 「説明致しましょう。
 今、この国は過去最悪の災厄に見舞われており、国民は世界の終末が来たと怯えています。
 そこで我々は、天変地異の真の理由を解き明かす為に、ル'ケブレスという龍が守る神秘の宝珠を得ようとしています。
 しかしル'ケブレスが棲まう迷宮には多くの魔物が棲息しており、容易には近付けません」
ベイキ女王 「ですので、古代の英雄であるあなた方に、是非その宝珠を取って来てほしいのです」
サーロイン 「なるほど……俺たちを召喚した理由は分かったよ」
ロース 「でも、この時代にだって腕の立つ冒険者はいるでしょ?
 その人達を呼んだ方が早くないかしら?」
宗務省長官 「それがそう単純な話しではないのです。
 その宝珠を取って来るには、善と悪の両方のパーティーが必要と言われておるのです。
 しかし国土が荒み、人々は自らの生活に精一杯で、
 他人に施しをする様な精神的に余裕のある人……つまり善の人が殆ど育たなくなったのです。
 そのため、どうしても優れた善の冒険者を別の時代から呼ぶ必要ができたのです」
サーロイン 「そうか……そういう事情があるのか」
ベイキ女王 「えぇ、ご理解頂けましたでしょうか?」
サーロイン 「あぁ」
ベイキ女王 「では、この国の統治者として、公式にあなた方に依頼を致します」 
サーロイン 「………………………………」
ベイキ女王 「迷宮に入り、ル'ケブレスが護っている宝珠を、どうか我らの下に持ち帰って来て下さい」
サーロイン お断りする
ベイキ女王
宗務省長官
?!
サーロイン 「せっかく期待して呼んでもらったのに申し訳ないが、
 こっちには協力する理由が全く無いんだ。
 あなた方も一端の統治者なら、自分たちの時代の問題は自分たちで解決してくれ」
宗務省長官 「………………………………」
サーロイン 「と、いう訳で、元の時代に帰してもらえますかね?」
ベイキ女王 「宝珠を持ち帰って頂けましたら、元の時代にお帰し致しますわ」
サーロイン 「……………………………………」
ベイキ女王 「……………………………………」
サーロイン 「……………………………………」
ベイキ女王 「……………………………………」
サーロイン 脅迫じゃんっ!!!
ベイキ女王 「そんな、脅迫なんて人聞きの悪い……」
宗務省長官 さっきから、いちいち失礼ですなぁっ!!
サーロイン うるさいっ!!
 こっちの合意も得ずに一方的に呼び出すのだって失礼だろっ!?
 しかも、そっちの要望を叶えないと帰さないって、それは脅迫と何が違うんだっ?!」
ベイキ女王 「お待ち下さい!
 あなた方は善のパーティーのはずでは?」
サーロイン それが何か?!
ベイキ女王 「善の方々は、困っている人がいれば、見捨てずに助けてくれるはず!」
宗務省長官 「仰る通りです!
 なのに、なぜその様な反応をされるので?!」
サーロイン おまえ達は勘違いをしている!!
宗務省長官 「え?」
サーロイン 「いいか? よく聞くんだ!
 善の人間が実践するのは『自発的な善意』だ。
 だが、おまえ達がやっているのは『善意の強要』だ!!
 この2つは全く別のものだ!!
 まずはこの違いをちゃんと理解することだ!!」
ベイキ女王 「宝珠を取って来て下さいましたら、ちゃんと謝礼は致しますので、ここはなにとぞ……」
サーロイン 「そもそも、その宝珠を取って来るってのが、明らかに危険そうでイヤなんだよ!!」
ロース 「そうよねぇ。
 なんで私たちが取って来なきゃいけないのよ?」
宗務省長官 「しかし善の人がいない以上、他に頼る先も無く……」


突如、サーロインは宗務省長官の両襟を掴むと、顔を間近にまで近づけ...

サーロイン 「じゃぁ、良い事を教えてやる!
 よく聞け!!
 一番優秀な悪のパーティーを捕まえてくるんだ!!
 で、そいつらに友好的な敵から立ち去りまくれ、と指示を出せ!!
 アッと言う間に善のパーティーが出来上がるぞ!!」
ランプ 「アッと言う間かは疑問ですけど……」
宗務省長官 「いや、それも既にやっております。
 ただ、悪の人は自身の心に忠実で、こちらの指示など二の次でして……」
サーロイン 「いいから、やれっ!!
 それが一番早いんだ!!
 分かったな!?
 分かったら、俺たちを今すぐ元の時代に帰すんだっ!!!
三洲次 「そうだ! そうだ!
 早くしろ!!」
ロース 「私が居ないと進まない仕事がお城にはたくさんあるから、本当に帰してもらえません?」
ブリスケット 「あっしも旅館から勝手に消えると無銭宿泊で手配されかねねぇし、勘弁してほしいっす」
ランプ 「新しい巻物の発売日で、予約しているから買いに行きたいんですけど……」
宗務省長官 「いや、でもですねぇ………元の時代に帰そうにも、
 時の精霊の力を借りれるのは、数年にたった一度でして……」
サーロイン おまえらサイテーだなっ!!!
宗務省長官 「ですので、ここは宝珠を取って来る約束をしていただかないと、話しが前に進まないかと」
サーロイン やっぱり脅迫じゃねぇかっ!!
 よーーし!!
 脅迫には脅迫で返してやるっ!!
 元の時代に何としてもでも帰さねぇなら、ぶっ殺してやる!!
 これなら話しが進むだろっ!!!
ロース 「あなた、悪に転向したの?」
サーロイン 俺は今も善の人間だっ!!
三洲次 「桃も黙ってないで、何か言ってやれ!」
皆殺しにするなら手伝うぜっ!!
三洲次 「やっぱり黙ってて」
   
大司祭A 「(ひそひそ) あの……長官……?」
宗務省長官 「(ひそひそ) なんだ?」
大司祭A 「(ひそひそ) この人達、これで本当に善なのですか?」
宗務省長官 「(ひそひそ) そう伝え聞いておるが?」
大司祭A 「(ひそひそ) でも、忍者とかも居ますよ?」
宗務省長官 「(ひそひそ) えぇと………自信が無くなってきた………」
   
ランプ 「しかしこの司祭達を殺したら、むしろもっと帰れなくならないですか?」
ロース 「その通りよ。
 相変わらず考えの浅い人だわ」
サーロイン 「くそっ!
 じゃぁ、もう選択肢は無いって言うのか?
 なんでこんな依頼を聞かなくちゃならないんだ!?」
ブリスケット 「あの、あっし、マジで無銭宿泊で手配されちまうんで……」
宗務省長官 「ちゃんと呼び出した時の時間と場所にお戻ししますので、
 どうか我らの願いをお聞き下さい」
サーロイン 「くそったれ!!
 分かったよ!!!
 取って来てやるから、絶対に元の時代に戻すと約束しろよ!!」
ベイキ女王 「はい、この国を代表する者として、それは私が絶対にお約束を致します」
サーロイン よし!!
 みんな、円陣を組めっ!!!
宗務省長官 おぉ!
 やっと納得して頂けましたな!」
ベイキ女王 「宝珠奪取に向けて、気合を入れるのですね!」
   
サーロイン 絶対に元の時代に帰るぞおっ!!!
!!!
   
ベイキ女王 「あの………そこは、せめて『宝珠を取って来るぞ』にしていただけません……?」



ローラーレンジャーズのメンバーが出て来ると、


なんか途端に空気が軽くなるな........






では最後に、善のパーティーの概要とメンバーのプロフィールを紹介致します。


━━━━ ローラーレンジャーズ またの名を
     ロイヤルレンジャーズ

国王直々の命令で任務を遂行する王家直属の戦闘部隊
元々は狂王の試練場の時に御布令で集まった一介の冒険パーティーで、その時の名前が「ローラーレンジャーズ」。
そして見事魔除けを奪還してトレボー王の親衛隊となった際、
王家直属の戦闘部隊にふさわしい名前として、トレボー王より「ロイヤルレンジャーズ」の名を拝する。
その後は世界を股にかけて活躍し、トレボー王の領地拡大に多大なる貢献をして、世界中にその名を轟かせた。


今回はベイキ女王からの依頼で任務を遂行する。



──── サーロイン(君主)


名前: ロイン
種族: 人間(欧州出身)
性別: 男性
性格:
プロフィール: パーティーのリーダー
欧州の貴族出身で、祖国での反乱を機にリルガミンに逃亡。
仲間と共にトレボーの試練場で力と財力を身に付け、君主に復帰。
魔除け奪還後は一人だけパーティーを離れて祖国に帰還し、祖先の土地を取り戻して公式に君主となる。
ただし、リルガミンでの爵位は準男爵で、実際の名前は「ロイン」であり、「サー」は敬称。
剣で戦うセンスが悪く、呪文の詠唱もノロいので、あまり戦闘では活躍しないが、
パーティーを一度も全滅させずに目的を達成しており、リーダーとしての素質はあるようだ(多分)

──── 三洲次(侍)


名前: 三洲次(みすじ)
種族: 人間(日本出身)
性別: 男性
性格: 中立
プロフィール: 桃と共にパーティーの前衛ツートップを担う
その昔、孤児だった頃に日本で数々の盗みを働いて指名手配を受け、国外逃亡のために乗った船がリルガミン行きだった。
到着したリルガミンでは最低限の衣食住が得られる訓練所に盗賊として入所。
卒業後は桃の取り押さえ役としてパーティーに誘われ、魔除け奪還の冒険に参加する。
途中でに転職し、その後は最強の日本刀「村正」を手に桃と共に前衛として活躍。
その桃は、剣の師匠であり、盗賊技術の教え子でもある。

──── 桃(忍者)


名前: 桃(もも)
種族: 人間(日本人)
性別: 女性
性格: 悪(元々は中立)
プロフィール: パーティーが誇る接近戦世界最強の少女
その実力は、訓練所を過去最高の成績(FC版#1最高ボーナス29で誕生)で首席卒業し、
ワードナやバンパイアロードさえもザコ扱いして一撃で倒していくほど。
魔除け奪還後も数々の任務で無敵の働きをし、名実共に世界最強のくノ一として世界にその名を知らしめる。
ただ、性格は大雑把ゴーイングマイウェイ
そしてちょっとした事でキレるため、人付き合いは悪く、長く一人で過ごして育ってきた。
それゆえパーティー参加後も口数は少ない。
なお、罠解除の担当だが、細かいことが大嫌いで失敗ばかりしている。

──── ロース(魔法使い)


名前: ロース
種族: エルフ
性別: 女性
性格:
プロフィール: 桃が接近戦最強なら、彼女はパーティーが誇る遠距離戦のエキスパート
つまり、あらゆる呪文を自在に操る魔法使いであ……った。今回、召喚してレベル1に戻っちゃったけど。
エルフの国の復興資金を稼ぐ一団の1人としてリルガミンの地にやって来て、サーロイン達と共に魔除けを奪還
その後、サーロインがパーティーを離れた後は、ロイヤルレンジャーズの2代目リーダーを務める。
こんな名前だけど細身の美人です。エルフだしね。

──── ランプ(司教)


名前: ランプ
種族: エルフ
性別: 男性
性格:
プロフィール: パーティーの知恵袋とも言うべき司教。
知識欲が大変強く、財宝フェチという変わり者のエルフだが、
身に付けた知識・知見で迷宮にいるモンスターやアイテムの分析を担当する。
ただ、たまにとんでもない解説をすることもあるが......。
ロースと共にエルフの国から派遣された一団の1人で、訓練所でサーロインと知り合い、一緒に冒険をするようになった。
魔除け奪還後は祖国で自分の店を持つつもりだったが、メンバーに説得されてパーティーに残り、今では世界中を冒険している。

──── ブリスケット(僧侶)


名前: ブリスケット
通称: ブリ助
種族: エルフ
性別: 男性
性格:
プロフィール: パーティーの守護役にして、ランプと共に調査・調達を得意とする、いわゆる裏方的な存在。
6人の中では最も人とコミュニケーションを取れる性格で、特に女性へのアプローチは超積極的。.....本当に僧侶か?
一方で、年少期を過ごした日本が大好きで、三洲次も舌を巻くほどの大の日本オタクという一面も。
元々冒険には興味が無く、日本で覚えた大道芸で生活していくつもりだったが、
ランプに説得されてパーティーに参加し、魔除け奪還に貢献。
その後も貴重な回復役として一緒に活動している。

 


今回もこの6人と共に冒険をしていきます!



【お断り】
実際のプレイは、本プレイ記録よりも早いペースで進んでいます。そのため記録の中で、先を見越した内容がある場合があります。ご了承下さい。

 

「2.見えない終わりの始まり」へ



名前 LV H.P. コメント
サーロイン 1 12 15 15 15 15 15 13 0 0 今回もリーダーとして頑張ってくれ!
三洲次 1 12 15 15 15 15 15 15 0 0 今回も鋭いツッコミを頼むよ!…あれ?
1 12 15 15 15 15 15 15 0 0 今回も前衛として大いに期待しているぞ!
ロース 1 12 15 15 15 15 15 13 0 0 今回も呪文使いは彼女がメインとなるだろう!
ランプ 1 12 14 15 15 15 15 15 0 0 今回も知恵袋として活躍して頂きます!
ブリスケット 1 12 15 15 15 15 15 12 0 0 今回も色々とネタ提供サポートを頼むぜ!

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【更新履歴】
2024年 5月18日:文章を一部推敲しました。
2024年 1月 2日:新規公開。
2023年12月16日:プレイ公開。